月の少年のちぐはぐなお菓子教室   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。

それではどうぞ。


第3話 定規の登場

なんやかんやあって、何とか一工程を終えた3人。

 

「羽沢さん、冷蔵庫から冷めた生地を出してきました。これからどうすればいいんでしょうか?」

「これからこの生地を伸ばし棒で伸ばしていくんです!」

「あ、ちょうど羽沢さんのお母様が説明を始めてくださいましたね」

 

厚さはだいたい……とつぐみが説明しようとした時、つぐみの母がその説明に入るところだった。

 

「…はいはい、なるほど。生地の厚さは5mmか……涼香、5mmだって」

「はーい」

「5mm……? さて、どうしたものかしら……?」

「(……紗夜さん、どうしちゃったんだろ? 急に動きが止まっちゃったけど……)」

 

疑問が解決したのか、悠里は涼香の分の伸ばし棒を渡した後、2人は生地を伸ばし始めた。一方で紗夜は首を傾げながら手を止めた。

 

「……あ。羽沢さん、定規はありますか?」

「えっ!? 定規、ですかっ?」

 

つぐみに定規はないか?と訊く紗夜。これにはつぐみも驚きの表情。

 

「生地を5mmにする為に必要なので貸してほしいのですが」

 

その理由を聞いたつぐみは、彼女は本当に真面目な人で、色んな事に誠実に向き合ってるんだろうなと思った。

 

「紗夜さん。確かに5mmって言いましたけど、『だいたい』で大丈夫ですよ! 多少差があったところで、失敗はしません!」

「そうなんですか?」

「はい! 分厚いクッキーっていうのもありますしね」

「…なんだったら逆も然りで、薄いクッキーもあるんだよ」

「そういうものなんですね。でも……(その『だいたい』という程度が、私には分からないわ……)」

 

つぐみと悠里はそう言うが、紗夜にはその『だいたい』というものが、どの程度なのかがさっぱりだった。とりあえず、つぐみが一緒に生地の厚さを見ていく事に……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふぅ……羽沢さん、とりあえず生地を伸ばしてみましたけど、これくらいが5mm程度でしょうか?」

「そうですね。これくらいだと思います! 試しに定規で測ってみますか?」

「やってみましょう。私も気になりますし」

 

とりあえず生地を伸ばしてみた紗夜。ただ、きちんと5mmになってるか気になってる彼女を見て、つぐみは定規を取りに行くのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「お待たせしました! それじゃあ、実際に測ってみましょう! ん~……えっ! じゅ、10mm……!? これは『だいたい』の範疇ではないですね……」

「……『だいたい』って、とても難しいですね」

「はぁ……すみません、紗夜さん。私、本当にしっかりしてなくて……」

 

試しに定規で測ってみたが、5mm……ではなく、10mmだった。これは流石に『だいたい』の範疇ではなくなってしまっている……

 

「そんなことは……とりあえずもう少し生地を伸ばします」

「はい、お願いします……お菓子作りはしっかり守った方がいいところと多少適当にやっても大丈夫なところがあるんです。生地の厚さはその……適当にやっても大丈夫なところなので、そこまで厳密にならなくても平気な筈だったんですけど……」

 

苦笑いしながら説明するつぐみ。

 

「しっかり守った方がいい箇所は、例えばどういうところなんですか?」

「えーっと……材料の分量とかですかね? そこはきちんと量って進めないと、焦げてしまったり、生地がまとまらなかったりしますから……って、なんかごめんない! すごく偉そうに説明してしまって……」

「いえ、羽沢さんは今、私にとって先生なのですから、気にしないでください」

 

自分は教わる側だし、気にしてないと紗夜は言った。それに、力の抜きどころ、入れどころを持つというのは勉強になる。

 

「羽沢さん。この生地の厚さはどうかしら?」

「……うん! すごく良さそうですね! 測ってみましょう!」

 

見た感じ、さっきよりも生地の厚さが良さそうなので、測ってみる。

 

「えっと……す、凄いです! 大体5mmになってますっ! わ~、おめでとうございます、紗夜さんっ! だってほら、どこを測っても5mmですよっ!」

「……そ、そんなに喜ぶ事なのでしょうか? だけど……ありがとうございます……ふふふ」

 

ただ、生地を伸ばせただけなのに、まるで自分の事のように喜んでるつぐみを見て、紗夜はこっちまで嬉しくなってしまうなと思った。

 

「この調子で次の工程もいきましょうねっ」

「はい、頑張ってみます。そうしたら次は、何をすればいいのかしら?」

「…あ、つぐみちゃん。生地の厚さの工程が終わったんだけど、次は何すればいいの?」

「終わった~」

「次は型抜きを使って、生地を切り取っていきます。型は、この中から選んでください!」

 

そう言って、用意しておいた型抜きを3人に見せるつぐみ。色々な種類の型があった。

 

「色々な型があるんですね。どれにしようかしら……(この中から選ぶとしたら……これと……これ、そして……これ、かしら……)」

「……悩むな。どれにしようかな……(この中から選ぶなら……これと……これ、それから……これを使えばできそうかな……)」

 

悩みに悩んだ結果……

 

「……決めました。この3つの型でクッキーを作ろうと思います」

「……僕も。この3つの型で作るよ。けっこう悩んだけど」

「私、これとこれとこれにするー♪」

 

3人はそれぞれ3つの型を選び、クッキーを作る事に。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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