月の少年のちぐはぐなお菓子教室   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
紗夜ちゃん、日菜ちゃん誕生日おめでとう。

今回は本当の最終回であり、後日談になります。
自分なりに頑張ってみました。

それではどうぞ。


最終話 おねーちゃん先生

とある休日。氷川家、リビングにあるキッチンにて。

 

「それじゃあ、日菜。始めるわよ」

「うんっ! よろしくお願いしまーす!」

 

エプロン姿の紗夜と日菜。これから姉妹でクッキー作りをするのである。

 

「(えへへ、おねーちゃんと一緒にクッキー作り~♪)」

 

紗夜が羽沢珈琲店での約束を覚えてくれてたのも嬉しいが、こんな風に何かを教えてもらうのも日菜にとっては嬉しかった。

 

「ねーねー、おねーちゃん! まずは何をすればいいの~?」

「そうね、まずは完成までの作業の工程を説明しましょうか」

 

このメモに書いてるから、それを読み上げるわねと言う紗夜。

 

「はーい!」

 

妹の返事を聞き、メモを読む読み上げる。

 

「作業の工程は多いように見えるけど、1つ1つをしっかりとやれば、あなたにもできる筈よ。だって私にもできたのだから。かと言って、全てに力を入れる必要はないわ」

 

お菓子作りには力を入れなければいけないところと入れなくてもいいところがあるの。と説明する紗夜。

 

「わぁ、おねーちゃん、なんか先生っぽい!」

「……ふふ、今のは羽沢さんの受け売りよ」

 

受け売りとはいえ、日菜に『先生っぽい』と言われ、悪い気はしない紗夜。

 

「よーし、じゃあ、さっそく頑張るぞ~! まずは生地作りだね♪」

 

そして生地作りを始める紗夜と日菜。

 

「(え~と、確か薄力粉を振るって……次にバターと砂糖、卵を混ぜるんだよね)」

 

そしてチラッと紗夜の方を見ると……

 

「薄力粉は120gだから……」

「(わ~、おねーちゃん、ちゃんと量ってる……)」

 

ちゃんと量ってる姉を見て、さすが几帳面だなぁ~と思う日菜。

 

「(砂糖は40gって言ってたから……う~ん、大さじで大体このくらいかな?)」

 

40gなので、大体の感覚で日菜は生地に砂糖を入れる。

 

「日菜、どう? ここまで分からないところはない?」

「バッチリだよ、おねーちゃん!」

「そう、なら、次の工程に進みましょうか」

「はぁ~い♪」

 

そして2人は次の工程に進むのだった。

 

 

 

 

「型抜き楽しかったね~♪」

「そうね。型抜きの時に汐里さんの名前を堂々と言ってたものね」

「うっ、そ、それは……その……」

 

紗夜に指摘され、顔を赤くしながら、視線を逸らす日菜。心の中で汐里の事を言ってたつもりだったのだが、どうやら思いきり口に出してたらしい。

 

「……(まぁ、私も型抜きの時に、悠里さんの事を考えてたから人の事をあんまり言えないけど)」

 

実は紗夜も日菜と似たような事をしていた。ただし妹みたいに口には出さなかったが。

 

「さて、最後の工程よ」

「わ~い! やっと食べられるところまできたね~!」

「ええ、今から焼くわよ」

「どんな感じに焼けるんだろ? 楽しみだなぁ~♪」

 

クッキングシートに型抜きをした生地を並べて、オーブンに入れ、2人は焼き上がりを待つのであった。

 

 

 

 

そして20分後。

 

「さあ、完成よ」

「わーい、やったぁ♪」

 

オーブンから焼きあがったクッキーを取り出す。

 

「いい焼き具合ね。早速、味見してみたらどう?」

「ううん、最初の一口はおねーちゃんにって決めてたんだ~!」

 

だから、おねーちゃん、どうぞ♪と言う日菜。

 

「そうだったの。なら、遠慮なくいただくわね」

 

そして日菜が作ったクッキーを食べてみる紗夜。

 

「……どう? おねーちゃん? 美味しい?」

「…………硬いわ」

「えぇ!? どれどれ……ハグっ!……って、硬ぁ~い!」

 

紗夜に『硬い』と言われて、自分も作ったクッキーを食べてみる日菜。口にすると、確かに硬かった……

 

「お、おねーちゃんの食べてみてもいい?」

「ええ、いいわよ」

「いただきます! もぐもぐ……美味しい!」

 

自分が作ったクッキーとは逆に、紗夜が作ったクッキーは美味しい。

 

「えぇ~? なんで~?? おねーちゃんに説明してもらった通りに作ったのにぃ~……」

 

何がダメだったんだろうとしょんぼりする日菜。

 

「……日菜。本当に私が説明した通りにちゃんと分量を量って、工程を守って作ったのかしら?」

「うっ……だいたい合ってる筈だよ……」

「だいたい……? それはつまり、しっかりと量らなかった、という事?」

「うっ、うぅ……実は、なんとなーくで進めた所が……」

 

そう指摘され、日菜は正直に答える。実際に途中から、感覚で進めてたところはあったからだ。

 

「はぁ……だから言ったでしょう? 力を抜く事も大切だけれど、力を入れなければいけないところもあるのよ」

「ごめんなさい……」

 

せっかく紗夜に教えてもらってるのに、がっかりさせちゃったかな……と落ち込む日菜。

 

「全く、しょうがないわね。今度はちゃんと見ていてあげるから、最初からやり直しましょう」

「おねーちゃん……! うんっ! 今度こそ頑張って、美味しいクッキーを作るね!」

「汐里さんに食べてもらいたいクッキーをでしょ?」

「ひゃい!? お、おねーちゃん!?」

 

今度は失敗しないように教えてもらえる事になったのは嬉しいが、紗夜にからかわれ、変な声を上げてしまう日菜であった。

 

余談だが、買い物から帰ってきた母が、何故か悠里と汐里を連れて来たのを見た時の氷川姉妹の反応……

 

「ただいま~。その荷物、そこに置いてもらってもいいかしら?」

「分かりました。汐里、さっきの荷物、そこだって。あっ……」

「は~い。あっ……」

「「悠里さん(汐里くん)!?」」

「あら? あらあら~♪」

 

更なる余談だが、母から『それで? 今の様子だと、どっちが紗夜と日菜の本命?』とニヤニヤした表情で迫られ、悠里と汐里に『お義母さんって呼んでもいいわよ♪』と言い始めた母を止める為に、紗夜と日菜が慌てふためながら奮闘するのは別の話。




読んでいただきありがとうございます。
これにて、この作品は本当に完結になります。
本日はありがとうございました。
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