水月と重吾は、大蛇丸のアジトで見つけたとっておきの“ある物”を手に、サスケの元へ向かっていた。
水月にサスケの居場所を感知する能力はなかったが、重吾にはそれができた。
ずいぶんと離れたところにいるようだったが、彼らは裸足のままひたすらにそこへ向かった。
水月はある大きな期待を抱いていた。そのために、サスケの元へ行くという目的があった。
今手にしているもの……それは大蛇丸が遺した一本の巻物だった。
偶然にもアジトの隠し部屋を見つけ、大蛇丸の極秘資料を見たときは心底驚いた。その中でこの巻物を見つけ、書いてあることを目にしたときにはすこぶる高揚した。
隠し部屋の壁に記録されていたのは、初代から四代目までの火影に関する詳細なデータ。
そこには彼ら全員が、『
さらに、穢土転生で彼らを蘇らせるという計画も……。
そしてこの巻物には、まさにその術を解く方法が書かれているのだ。
これがあれば、四人もの火影を蘇らせ、意のままに操ることができる……。そうすれば戦争など瞬く間に終焉を迎え、この世界は必ず自分たち『鷹』の手のうちに入るだろう。
そう考えると興奮した。
木ノ葉隠れの里に……いや、この世界に深い憎しみを持つサスケなら、きっとこの話に乗るはずだ。
仲間としての意識が強いとはいえないが、彼には類稀なる力があることは認めている。
そして彼にはうってつけの話だという自信もあった。
重吾が示したサスケの居場所は、深い森の中の洞窟だった。
大好きなじめじめとした空気の中、鍾乳石の間を縫って奥へ進む。
重吾が一気に床を突き破った。
瓦礫と共に下の空間へ飛び降りると、そこにはちゃんとサスケが居た。
が、その光景はどこか不可思議だった。
警戒し、構えていたサスケの後ろに、白い影がたたずんでいる。
それには見覚えがあった。
いずみナナだ。
あの時と同じく白い袴姿をしている。
ナナはサスケの後ろに隠れるように……いや、サスケがかばうようにしていた。
それにまず、違和感をおぼえる。
そして彼らの近くには、木ノ葉の忍の死骸が無残に横たわり、その奥には腹から大蛇が突き出た気味の悪い男が突っ立っていた。
とりあえずこちらへの警戒を解いたサスケが、ここで起こったことを話した。
その不可思議で壮大で残酷な内容のわりに、サスケの口調はやけに淡々としていた。
だが実際のところ、話の中身は七割ほどしか頭に入らなかった。
瓦礫に腰かけて話すサスケの傍らに、まるで幽霊のように青白い顔で座るいずみナナの姿が、視界の端に張り付いたようで話に集中できなかったのだ。
思い切って、水月はまっすぐにナナを見た。
ひと目でわかる、涙の跡。鼻先はまだ赤い。腫れた瞼。眼に光はなく、どちらかといえば虚ろで、何も映してはいないようだった。青紫がかった唇は真横に引き結ばれ、言葉を忘れたかのように開くことはなかった。
そして何より、襟元から覗く白い肌……首筋から左頬にかけて、皮膚が鱗のようにかすかに盛り上がっている。
はっきり言って、彼女の姿は不気味……に映った。
『いずみナナ』の名前は以前から知っていた。大蛇丸がその名を何度か口にしていたからだ。
和泉一族という伝説の陰陽師一族の末裔で、大蛇丸がその身体と血を欲した存在。木ノ葉の忍で、元はサスケの仲間だった。
そしてサスケが標的とする兄、うちはイタチの許嫁。
マンダの腹から二人で出て来た時……。あの時の絶望的な顔は、まだ鮮明に覚えている。
少しだけ、ほんの少しだけ、彼女に同情したことも。
サスケといずみナナとの関係を詳しく知りはしなかったが、興味が無かったわけでもないので、二人の間に何があったのかを吟味した。
香燐がかけた言葉、その“攻撃”に明らかに怯えた姿からも、彼女のことがなんとなくわかったような気がしていた。
あの時、サスケはナナを拒絶した。
『……お前も一緒に殺してやる……!!』
あのサスケの声は今でも覚えている。本物の殺意さえあったとも思う。
今のいずみナナの打ちのめされたような様子は……絶望に沈んだ姿は、あの時と同じだった。
だが、今のいずみナナは一切の感情を見せなかった。
いや、終に心を失くしてしまったようだった。
ナナに気を取られながらサスケの話を聞き終えたとき、要件を伝えるはずが重吾に後れをとった。
「マダラとかいうヤツの穢土転生は止まっていないようだぞ」
サスケの表情が険しくなった。
が、やはりナナは瞬きすら調子を変えなかった。
「そ、そんなことより……!」
水月は気を取り直して、懐から巻物を取り出した。
今はいずみナナのことなどより、サスケに目的を示すことが需要だった。
「これ、見てよ!」
ナナを意識しながら、巻物をサスケに手渡す。
その行方すら、ナナの視界に入っていないのがわかった。
「これだ……」
サスケの反応を心待ちにしていたのに、隣で空を見つめるナナが気になってしまっていた。
だから、危うくサスケの呟きを聞き逃すところだった。
「全てを知る人間……」
「え?」
サスケは巻物をナナに手渡した。
ようやくナナは反応を示し、素直に巻物に視線を落とした。
読んでいる最中も、読み終えてサスケにそれを返す時までも、やはりナナは何の感情も示さなかった。
が、それをサスケは気にする様子もなく、さっさと巻物を丸めた。
「会わなければならない奴ができた……。オレは行く」
「誰?」
「大蛇丸だ」
その言葉に、やっとサスケの方に集中した。
「は? 何言ってんの? 大蛇丸は君がぶっ殺したはずじゃ……!」
さすがの重吾も驚きを隠せないでいる。
そもそもサスケ自身がこの情報と巻物を利用すると思っていたのに、自ら殺した人間の名を口にするのが全く解せなかった。
「ボクは君がコレを……!」
サスケの耳に、言葉は届いていないようだった。
「大蛇丸は誰よりもしぶとく執念深いヤツだ。あれくらいではくたばらないだろう」
独り言のように、倒れている木ノ葉のくのいちを向いて言う。
「またヤツの顔を見るのは胸クソ悪いが、どうしてもヤツにやってもらわなければならないことがある」
とても低い声で。
「一族……里……全てを知る人間に会いに行くために……!」
それは確かに彼の決意だった。
が、水月にはやはり何のことかわからなかった。
カブトとの戦い、うちはイタチとの再会で、何か劇的なことが起こったのは察しが付く。いずみナナの様子を見ても、普通じゃないことがこの場で起きたのだ。
だが、サスケから聞かされた話では、彼らの心理を推し量ることはできなかった。
「だからなんでわざわざ大蛇丸? どうやってヤツに会うの? それに“全てを知る人間”って何なの?」
苛立ちはしなかった。それだけ絶対的なカリスマ性をサスケに感じ取っているのは認めている。
だから疑問をそのまま並べ立てた。
「……お前たちには関係ないことだ」
サスケは一瞬だけ口をつぐんでからそう言った。
だがやはり、腹が立つことはなかった。
ただ、反論した。
大蛇丸を復活させることの危険性。たとえサスケが“巻物の術”を大蛇丸にさせようと考えていようとも、その存在はあまりに危険すぎた。
「お気に入り」と自負するほどの部下だったからわかる。あの大蛇丸の恐ろしさ、いや、不気味さは言葉に表せないほどだ。
それに、サスケなら今すぐに大蛇丸を復活させて術を成さなくとも、時間をかければサスケ自身が術を会得できると思っている。まさにそのために、わざわざ彼を探してここまで足を運んだのだ。
だがサスケは、まったく耳を貸さなかった。
「大蛇丸でなければできないこともある」
サスケはナナを振り返った。
言葉もなくうながされたように、ナナはおとなしくサスケの傍らに立つ。
その様子に、またわずかに気を取られたが、
「大蛇丸がこの戦争のことを知ったら乗っかるに決まってるよね?! ヤツも木ノ葉を潰したいんだし! そしたらボクらも戦うことになっちゃうんじゃないの?!」
目いっぱい反対の意思を突き付けた。
いくらサスケがこちら側にいようとも、大蛇丸と戦うのは御免だった。せっかく支配から脱したのに、今さら再会など望むわけがない。
しかしサスケは、まくしたてるように述べた反対意見を全て聞き流し、
「少し黙ってろ水月。それより、そこのカブトの体の一部をえぐって持って来てくれ」
命令口調で言う始末。
「人の言うことを聞かないやつの言うことを聞くと思う?」
皮肉を言うのが精いっぱいだった。
とりあえず大げさにため息をついてせめてもの抵抗の跡を残し、横目でチラリとナナを見る。
まるでこのやり取りが耳に入っていないかのように、サスケと横たわるくのいちを傍観していた。
水月はもう一度深くため息をついた。
所詮、強引に逆らっても無駄なこと。サスケに勝てるとは思えないし、重吾はサスケ側につくと決まっている。もう観念して、成り行きを傍観するしかないのだ。
いずみナナのように……。
重吾は「仙人化」とかいう気味の悪い術で、カブトの体の一部をえぐり取った。そしてそれをくのいちの首に押し当てる。
よく見ると、そこには見覚えのある大蛇丸の呪印があった。
(へぇ、この人も大蛇丸の……)
諦めて見守っていると、
「重吾、ナナを護れ」
サスケが重吾に命じ、重吾は言われるがままナナの前に立った。水月自身も、慌ててカブトの影に回り込む。
サスケは術を発動した。何の術かはわからない。
が、くのいちの首元からは大蛇がぬめりと首をもたげ、その唾液まみれの口がパカリと開いた。
そして、長い舌と共にあの大蛇丸が姿を現した。
吐き気をもよおす……とまではいかないが、不気味な光景だった。そしてやはり、身体にしみついた恐怖が肌を泡立たせた。
「まさか……あなたたちの方から私を復活させてくれるとはね……」
しわがれた声と陰気な笑みは、まさに大蛇丸のもの。本当に、彼は復活したのだ。
ごくりと唾を飲み込んだ。
大蛇丸の視線がこちらを向く。
「ど、ども……お久しぶりっス!」
カブトの影から、愛想笑いをしてみる。
大蛇丸はこちらには一瞥をくれただけで、カブトを見つめたまま何も言わなかった。
「大蛇丸、アンタにやってもらいたいことがある」
サスケは大蛇丸に対して警戒もせずに口を開く。
「いちいち説明してくれなくていいわよ。アンコの中で全部見ていたから」
やはり大蛇丸は特別な人間だった。
“意識体”で他者の中に存在していたとは、とても普通の人間が為せる技じゃない。
いや、水月にとって大蛇丸はもはや人間とすら呼べない域にいた。
「だったら戦争のことも知っているのか?」
「もちろん……。ただそれについて一つだけ断っておくわ。水月」
突然、自分の名が呼ばれた。悪態づいた心の中が見透かされたのかと、全身に緊張が走る。
が、大蛇丸はこう告げただけだった。
「私……この戦争には興味ないわよ」
思わず驚きの声を上げる。
と、大蛇丸は口の端を上げて説明した。
「他人が始めてしまった戦争なんてね。未だに興味があるとすれば……サスケ君、アナタのその身体ね……そして……」
大蛇丸はサスケと重吾の後ろに立つナナを見た。
やはり、ナナの表情は変わらなかった。まるで、大蛇丸の存在が目に入らないかのように。
サスケもまた、大蛇丸の言葉に顔色を変えない。挑発と知って聞き流しているかのようだった。
そして黙って、あの巻物を大蛇丸に差し出す。
「彼らに会ってどうするつもり?」
「オレは……あまりに何も知らなすぎる。だから、奴らに全てを聞く」
二人が対峙するのを、もう一度唾を飲み込んで見守った。
「そもそもの始まりは何だったのか……。オレはどうあるべきであり、どうすべきなのか……」
「復讐を迷っているの?」
「違う。復讐自体を迷っているわけではない。イタチと再会したことで、木ノ葉への憎しみは増した」
大蛇丸はニヤつくような笑みを引っ込めて、サスケの決意を聞いている。
「ただ……汚名を着せられ死してなお、木ノ葉の忍として里を守ろうとしたイタチが、何を想っていたのか……」
サスケは目を伏せた。
その姿に、彼がもう憎しみの色だけに染まっているのではないことが、水月にもわかった。
「全てを知り、己の意志と眼で成すべき答えを出したい」
彼が明らかに、生き方を変えたことを知った。
大蛇丸は何も言わずこちらに向かって歩いて来た。危険を察知して、水月は慌ててサスケの元へ走り寄る。
「カブトの力を全て吸い取ってパワーアップするつもりだよ! 用心したほうがいいって!」
サスケは黙って大蛇丸の様子を見たまま、動かない。
重吾もそれに従い、ナナはナナでやはりどこを見ているかわからなかった。
「今のアナタ……悪くないわね」
大蛇丸はサスケに向かってそう言って、カブトのチャクラを吸い取った。
……ように見えた。
だが。
「いや、カブトの中にあった“自分の”チャクラを取っただけだ。カブトのチャクラには手を付けていないようだ」
重吾が落ち着いた声でそう解説する。
それを信じ切る前に、
「いいわ、協力してあげる。ついて来なさい」
大蛇丸は何を企んでいるのか、上機嫌な口ぶりでそう言った。
耳を疑ったが、サスケは勇んだ。
「場所はどこだ?」
「フフ……アナタもよく知っている場所よ」
不気味に笑む大蛇丸。あくまで目的を達成することだけを考えているサスケ。
水月は一瞬迷った。
大蛇丸はもう自分に興味はないようだし、サスケにこれ以上ついて行く義理は無い。“全て”を知ったサスケが出す答えも、サスケが言った通り自分にとっては関係のないことだ。
だが、この先に起ころうとしていることが気にならないわけでもない。ここから一人で行動するのも面倒だ。
それに……。
水月はまたナナのほうをチラリと見た。
彼女がこれからどうなるのか……ほんの少しだけ興味があった。
と、
「その前に……」
そのナナの方を、大蛇丸が改めて向く。
さすがのサスケも身構えた。重吾も手を広げてナナの姿を隠そうとしている。
かすかな殺気が湿った空気に漂った。
「ナナちゃんのソレをどうにかしなくちゃならないわ」
ゆっくりと、大蛇丸がナナに近づく。
サスケもナナの側に寄った。
「カブトの細胞が少し、皮膚に同化しちゃってるようね……。早く取り除いておいたほうがいいわよ」
サスケは大蛇丸を睨み上げた。
「何とかできるのか?」
「簡単なことよ。さっき、私がカブトのチャクラを取るところを見てたでしょ? あれと同じよ」
重吾がサスケと大蛇丸を交互に見ていた。
その気持ちはよくわかる。大蛇丸がナナに手を出さない保障はないが、サスケにはナナを護る強い意志があるはずだった。
今までの様子をみるからには……おそらく……。
「身体への影響は?」
「見るからに消耗しているようだから、少しきついかもね」
「後遺症はあるのか?」
「細胞を全て取り切れば大丈夫よ。そして私には確実にそれができる」
しかし当の本人であるナナは、まだ虚ろな目でサスケだけを見ていた。
「若い身体だもの、カブトの細胞は死滅しないでナナちゃんの中で徐々に増殖してしまうわよ?」
水月にとっては文字通り他人事だったが、それでも大蛇丸の“治療”を受けるべきだと思った。
「わかった」
サスケの決断は早かった。
側にいた重吾も、それにはかすかに驚いている。
「支えててあげなさい」
サスケはナナを座らせ、後ろから抱きかかえた。
「ちょ……」
言いかけて口をつぐんだ。
ここで心配してやる義理もまた、水月にはなかった。
ただ、ナナ本人の意思を確認せぬまま事態が動こうとしていることに、今さら違和感を覚えたのだ。
「ぼ、ボクは知らないからね……」
自分を納得させるようにつぶやいた。
重吾でさえ躊躇して、サスケと大蛇丸、そしてナナを見ている。
が、自分の役目を思い出したかのように、大蛇丸に対して警戒の意を示した。
「そんなに殺気立たなくても大丈夫よ、重吾。今の私ではサスケ君に敵わないから」
大蛇丸はニタリと笑い、印を結んだ。
サスケがナナに身体に回した腕に力を込める。
水月はその様を自然と凝視していた。
大蛇丸の手が、ナナの首筋にかかる。サスケはナナを抱きかかえたまま大蛇丸から視線を外さない。
ナナは……術が発動して初めて顔を歪めた。
「うっ……」
痛みか不快感か……水月にはわからなかったが、ナナは苦しげに目をつむる。
と同時に、醜い鱗がナナの白い肌の上で蠢いて、大蛇丸の手のひらに吸い込まれるようにして消えて行った。
「終わったわよ」
意外にあっさりと、“儀式”は終わった。
「ナナ」
サスケが呼びかける。
ナナはすでに、意識を失っているようだった。
「それで、このコはどうするの?」
大蛇丸は手のひらに浮いた何かを地面に捨てるような仕草をしながら尋ねた。
その答えには、水月も大いに興味があった。
「連れて行く」
サスケはナナを背負いながら、さも当然のように答えた。
「そう」
それ以上、大蛇丸は何も言わなかった。重吾もサスケの行為に異を唱える気はそもそも無い。
自分だけが、動揺していた。
「ちょっと、大丈夫なの?」
すでに洞窟の出口へ向けて歩き出そうとしているサスケを、思わず呼び止めた。
「何がだ?」
「そのコだよ」
サスケの背でぐったりとしている、いずみナナ。
薄汚れた白い袴は、それでもやはり俗世離れしていて、“和泉一族”という特別な存在であることを意識させる。
「本当に連れて行くの?」
本当は、「連れて行ってどうするつもりか」と問いたかった。
が、これまでのサスケの態度があったから、そこまでは憚られた。
「ああ」
こともなげにサスケは言う。
「でもさ、相当ヘバってるみたいだし……それに……」
これではまるでナナのことを案じているようだ……と思って、口ごもった。
大蛇丸の愉快そうな口元も視界の端に見えている。
それに少し苛立って、こう言った。
「君がどんな答えを出すか知らないけど、どっちにしろそのコ、君の邪魔になるんじゃないの?」
あの時の香燐の顔が脳裏に浮かんだ。
いや違う……香燐とは違う……そう、言い訳するようにサスケを睨む。
「お前には関係のないことだ」……またそう言われるのだと思った。
だが、違った。
「ナナは連れて行く。たとえオレの知りたいことを、知りたくなくてもな……」
よくわからない言い回しだと思った。その黒い眼からは、何も感じられなかった。
決意も、同情も……ナナへの愛すらも。
ただそれが、自分たちの及ばない力が働いて決められたこと……そう、“運命”であるかのように、サスケは言ったのだ。
「行くぞ、水月」
戸惑ってたたずむ間に大蛇丸とサスケは行ってしまった。
重吾に促され、水月はやっと足を進める。
「よくわかんないな、まったく」
悪態づいて、暗く湿って居心地の良いはずの洞窟を後にした。