ひと葉 ~参の巻~   作:亜空@UZUHA

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手をとって

 

「どうし……」

 

 

 言葉が途切れた。

 目の前にネジが居る訳……。わざわざ言葉にして尋ねなくてもわかってしまう。

 戦場を抜けて逢いに来てくれたわけでも、まして、戦争が終わったわけでもない。

 

「どうして……!」

 

 だが、ナナはそう叫んだ。

 理由を尋ねたわけじゃなく、何故こんなことになってしまったのかという、言いようのない腹立たしさからだった。

 

「ネジ君!」

「ナナ……」

 

 ネジはなだめる様に言った。

 

「泣いてくれるのか? ナナ」

「だって……ネジ君っ……!」

 

 穏やかな彼の表情に、苛立ちが募った。

 何もかもを取り払って自由になったというような、清々しい顔。それがうらやましくもあったから。

 だが、ネジはそれをも受け止めるように、さらりと事実を述べた。

 

「ナナ……オレは戦場で死んだ」

「っ……!!」

 

 そんな事実は嫌だった。

 まるで聞き分けのない子供のようだと自覚していても、とうてい受け入れられなかった。

 

「ナナ、この戦争は予想を超えた規模に拡大した。『本物のマダラ』が復活して、十尾を操っている。なんとかナルトの力に引っ張られる形で忍連合も対抗しているが、状況は厳しい」

 

 ネジが淡々と語る戦況に、興味はなかった。

 ただ、「どうして」と壊れた玩具のように繰り返しつぶやいていた。

 

「ナナ、戦争に犠牲はつきものだ」

「でも……!」

 

 頭でわかっていても、「どうしてネジが」という思いが胸を締め付ける。

 こんなふうにネジを困らせたくはないのに、暴走する感情を少しも止められない。

 

「オレは、ナルトを守って死んだ」

「え……?」

 

 それを切って捨てたのは、ネジの言葉だった。

 

「大切な仲間の楯となって死ねたんだ。オレは後悔していない」

 

 誇らしげに、ネジは笑った。

 

「オレはオレなりに、自分の忍道を貫けた」

 

 ネジの白い眼は優しかった。

 そしてその額からは、あの刻印が消えていた。

 

「ネジくん……」

 

 その視線に気づき、ネジは少し距離を縮めた。

 

「最期の瞬間、オレはお前のことを考えた」

「え……?」

「できれば、もう一度お前に会いたいと……」

 

 小石を踏む音は聞こえない。

 ただ、川の流れが静まった。

 

「こういうことはお前の専門だろうが……、オレはおそらく“魂”というやつになって、ここへ来られた」

 

 涙をぬぐった。

 目の前のネジが、もう“人”ではなくなったネジが、そうまでしてここに来た訳を、改めて考えた。

 

「ネジ君……」

「お前と初めて話をしたのは、中忍試験が終わった日の夜だったな」

 

 その言葉に誘われて、あの日の夜風を思い出す。

 中忍試験大詰めの、大蛇丸による木ノ葉崩し。そして我愛羅との出会い、一尾の封じ……。

 戦いの中、里の長である三代目が命を落とし、夜気は人々の戸惑いを絡めて吹いていた。

 あの日、病院の中庭にたたずむネジを見つけた。

 ナルトと戦った日向一族の忍。

 天才と言われ、ヒナタやナルトを落ちこぼれと見下し、才能だけを肯定していた彼は、ナルトとの戦いのさ中で変わっていた。

 だが……彼が言っていた言葉は胸に突き刺さっていた。

 彼がいかに変わろうと、その棘に似たモノだけは変わらずそこに在ったから。

 彼と話がしたかった。いや、ただ言いたいことがあった。

 

『……私ね、ネジ君の言ってたこと、「そうかな」って思う……』

 

 ネジは不思議そうな顔をした。

 唐突だったから無理もない。

 だが、彼は聞いてくれた。

 

『ナルトに言ってた……人の……運命っていう話……。私も、人の運命は決められているんだって、時々思う……』

 

 彼に言っても仕方のないことだった。

 自分の背負う運命を彼に告げることはできなかったし、『運命は変えられる』と悟ったばかりの彼に、わざわざそう言うなど残酷だと思った。

 だが、どうしても言いたかった。

 

『……私も、運命は変えられないって、思うことがある……』

 

 我愛羅の中にあるモノを見て、感じて……。

 初めてだったから。尾獣を封印するために生み出されたくせに、直接()()()のは初めてだったから。

 己の運命を改めて実感した。現実を突き付けられた。

 

『私も……この血に運命を決められてる……』

 

 ネジがそれを知る由もなかった。告げていいはずもなかった。

 それでも、ネジは心をくれた。

 

『ナナ、お前が何を背負っているのか、オレに聞く権利もない……だが』

 

 少し不器用に。

 

『オレは、うずまきナルトと戦ってみて、目が醒めた』

 

 でも、優しく。

 

『運命は変えられると……、そう思えるようになったんだ』

 

 精一杯、心を夜気に乗せてくれた。

 

『「思えてくる」だけじゃなくて、ホントに運命は変えられるのかなぁ……』

 

 ナルトのヒカリを思い浮かべて呟いたとき、ネジはこう言った。

 

『オレにもまだわからない……』

 

 簡単に同意しなかったことは、ナナにとって救いだった。

 そして次の言葉は、揺らいだ心をなだめてくれた。

 

『だが……、「変えようとしてみる」気にはなった……』

 

 たとえこの疑問の『答え』がどうであれ、『答え』がわかるその日までは抗い続けるのだと……。

 それが大切なこと……そう、教えてくれた。

 これこそが、あの時、欲しかった言葉だった。

 

『お前とオレは、少し似ている……』

 

 ネジの白い眼は、この心を見透かしているようだった。

 そう……似ているのだ。

 ネジの額に印されたモノと、この胸に印されたモノ……。さだめの刻印。

 

『似ている……』

 

そう言われた時に、ネジを心から信頼するようになった。

 

 その彼が、木ノ葉を出るときに唯一引き留めてくれた人だった。

 サスケ奪還に失敗して、ナルトも自来也との修行に入って、自分は……姉を倒すための修行と言って和泉の里に行こうとした時だ。

 あの白い眼には、それが半分“口実”であると見透かされていたことだろう。

 本当は……半分は逃げたかった……ということも。

 

『今は、「運命は変えられるものだ」とはっきり言える』

 

 だからわざわざそう言ってくれた。

 共に音の忍と戦った彼は、また戦いの中で確実に何かを得ていた。

 

 嬉しかった。心に響いた。

 だが……作り笑いを返すことしかできなかった。

 一刻も早く、逃げたかったのだ。

 サスケを連れ戻せなかった結果。傷を負った仲間たち。サクラの失望。姉から受けた憎悪。

 それから……それから、目の前から立ち去ったサスケと、追わなかった自分。

 逃げたかった。

 だからネジの優しさに背を向けて、消えたのだ。

 

 それでも……ネジはずっと、優しかった。

 二年後、砂の里で再会を果たしたときも、心は脆く崩れかけていた。

 砂を守れず、挙句、我愛羅を死なせて……イタチと再会した。

 無力感と喪失感に打ちのめされた弱い心は、イタチとの未来を求めた。

 

『お願い……私を連れて行って……』

 

 とうとうイタチに言ったのだ。もう、イタチがくれる想いしか、すがれるものがなかったから。

 イタチの言葉も、いつもの突き放すようなものではなかった。

 嘘の仮面を外して、イタチは言った。

 

『オレは……お前が愛おしい……』

 

 初めてイタチの心が露わになった。

 子供の頃にも決してはっきりと示さなかったそれは、嬉しくもあり、また苦しくもあった……。

 早くその痛みを取り去りたかったから、そのまま連れて行って欲しかった。

 が、イタチはそうはせず、“道”を示したうえで約束をしてくれた。

 自分の中で答えは決まっていた。次の朝、イタチとの約束を果たすと心に決めていた。

 我愛羅を送って、親切にしてくれた砂の者たちに礼を言って、木ノ葉のみんなには別れを告げず……と。

 が、我愛羅がチヨバアの術で生き返って、急に頭がはっきりとした。

 見えなくなっていたモノが見えて、イタチに見えていたモノがわかった気がした。

 イタチが今さら指し示した“道”の意味を知ってしまった。全てを放り出そうと思っていたのに、手の中にまだ在るものに気づいてしまった。

 それで、めちゃくちゃに混乱した。

 我愛羅は生きていた。

 彼には恩がある。特別な想いも……。命に代えても彼を護りたかった。

 彼の元を黙って去って……仲間との絆も断ち切って、イタチ元へ行って良いのか?

 “道”は? “約束”は? “忍道”は? “未来”は?

 何が、正しい……?

 情けなく取り乱していたさ中、ネジが現れた。

 ネジはやはり、何かを悟っていて……。彼も何かが見えていた。

 それを教えてはくれなくて、この先のことは「自分で決めろ」と言った。

 最初から、そのまま木ノ葉に帰るつもりがなかったことを知っていたようだった。

 だから、それだけで何も言ってくれなかった。

 我愛羅も、ネジも、選ばせようとするだけで、答えを示してはくれなかった。ナルトのように、自分の気持ちを知らしめてもくれなかった。

 

『無理だよ……もう……ココから一歩も進めない……』

 

 だからあの時、とうとう思考に限界が来て、その場にしゃがみ込んだ。

 客観的に思い起こせば、本当に手間のかかる子供だった。面倒くさい人間だった。

 自分のことは何も語らない癖に、悩みを押しつけて……本当に情けなかった。

 が、ネジは優しく頭を撫でてくれた。

 

『ナナ、迷う必要はない……』

 

 まるで、催眠術をかけるように……。

 

『お前の心の“一番奥”を見つめればいいだけだ……』

 

 そのとおりにした。

 ネジの誘導に従うように、心の一番奥を見つめて……深く、深く……錆びついた扉で閉ざしていたその奥を……。

 そこを覗くのは、とても怖かった。開けてはいけないと、無意識のうち、ずっと自分に言い聞かせていた場所だったから。

 

 

『私……サスケに逢いたい……』

 

 

 答えはネジの前にさらけ出した。

 彼は何も言わなかった。

 全部知っていたかのように……やはりその目で見透かしていたかのように、穏やかに笑った。

 

 

 

「ネジくん……」

 

 彼との時間を思い出し、ナナは言葉を零した。

 

「ありがとう……」

 

 涙と共に。

 

「いつも……私を見守っていてくれて……」

 

 ネジはあの夜のように笑った。

 二つ年上の彼は、もっとずっと大人びていた。

 

「ネジくん……お願い……」

 

 だから、ナナは安堵にまかせて言った。

 

 

「私を……連れて行って……」

 

 

 彼なら今も見抜いてくれる。

 その確信があった。

 願いを叶えてくれる。

 その奢りもあった。

 だが単純に、優しい彼にすがりたかったのだ。

 

「ナナ……」

 

 ネジは驚かなかった。ただ困った顔で首を振った。

 

「オレにはできない」

「大丈夫!」

 

 一度、涙を拭った。

 

「手を……」

 

 濡れた手を彼に差し出す。

 

「手をとって……そのまま引っ張ってくれればいい……!」

 

 彼の身体はうっすらと光を纏い、その輪郭が揺らぎ始めていた。

 このまま、彼と共に逝ける……。

 

「ナナ……」

「お願い、ネジ君!」

 

 願い……いや、そんな個人的なものではないつもりだ。

 

 この身が闇に染まれば、世界が滅びる……。

 

 大げさとしか言いようのない悪い予感が、さっきまでよりもずっと強くなっていた。

 

「違うの、私は……!」

 

 だから、叫ぶように言った。

 

「逃げてると思うかもしれないけど、でも違う! 私の存在は危険なの! マダラか……、他の何かにこの血が利用されたら、大変なことになる。もうすでに“計画”は始まっているの。きっと、初めから……」

 

 結局ここで、変えられない“運命”を彼に突き付けているようで、心が痛んだ。

 が、どうしようもなかった。

 

「お願い、ネジ君! 私、そんなふうになりたくない! だから私は自分で終わらせようとした……。けど、駄目だったの! 自分の力じゃ駄目なの……! だから、だから……」

 

 ネジがその眼で、現状と少し先の“避けられない未来”を見越してくれることを信じて。こんな時にも働く和泉の血が、はっきりと予言する“黒い未来”を、彼が見てくれることを祈って。

 

「お願い、私を一緒に連れて逝って!!」

 

 そう叫ぶと、荒ぶる息をそのままに、ネジの答えを待った。

 拙い言葉だった。

 が、それ以上説明ができないのも事実だ。

 実際、この先に何が起こるのかわからない。

 ただ、この身が、血が、眼が……すでに何か呪いのようなものに囚われていることだけは強く感じるのだ。

 それは抗いようのないもので、これこそが絶望なのだと今さら気づかされるほどに、それの前ではまるで無力だった。

 

 

「ナナ……」

 

 ネジの声音に、落胆した。

 

「ネジくん……お願い……」

 

 それでももう一度、願う。

 

「ナナ、すまない……」

 

 あたりまえだ……。

 ネジが、うなずいてくれるはずがなかった。

 

「お前を困らせるつもりはなかった」

 

 目を伏せた。

 わかっている。ネジが謝る必要など何もないのに。

 

「オレはただ、どうしてもお前にただ伝えたいことがあったんだ……。オレの我がままだ」

 

 我がままを言って困らせているのは、自分のほうなのに。

 だが、ネジはさらに光を強くしながら言った。

 

「ナナ、オレの眼を見てくれないか?」

 

 悲しさと後ろめたさで、顔を上げられなかった。

 が、ネジは続ける。

 

「この眼に映るお前は、いつも強かった」

 

 極めて弱い心をさらけ出したはずなのに、ネジはそう言った。

 

「中忍試験の時、死の森で仲間を命がけで護ろうとする姿も。リーの誇りを守るために戦った姿も。そして……深く傷つきながらも、サスケを追おうと決意した姿も」

「でも……」

 

 思わず首を振った。

 それらはどれも、まっすぐな意志を掲げて戦っていたわけじゃない。

 サスケの呪印、ナルトの封印、そして、自分の血……サスケの言葉、サスケへの想い。とても誇れる姿ではなかった。

 だが、ネジは言う。

 

「実の姉と戦い、瀕死の状態に陥ったお前も。うちはイタチとサスケの戦いを止められず、ボロボロになって帰ってきたお前も。それでも、里のみんなを暁から守ったお前も。オレはちゃんと見てきたつもりだ」

 

 徐々に、視線を上げた。

 

「お前がナルトの中の九尾が暴走した時、“代わりの器”となるために木ノ葉に来た和泉一族の人間ということは、だいぶ後になって知った。それに、うちはイタチと幼い頃から関わりがあったということもな……。だが……」

 

 もう、ネジの身体の向こう側の景色が見えていた。

 

「それでもオレの眼に映るお前は、強く美しかった」

 

 ネジの言葉は居心地が悪かった。

 だが、伝わってくる空気は、心地よい安らぎに他ならなかった。

 

「だから、ナナ……」

 

 ネジは風にそよぐように笑った。

 

 

「お前は今でも、強い」

 

 

 そこに吹いた風は、初めて話をした夜の涼やかさと同じで……あの時よりずっと柔らかかった。

 

「ネジくん……」

 

 全部見えているはずなのに、それでも「強い」と言うのか……。

 彼の真意を探るため、両目でしっかりと彼を見た。

 

「たとえお前が戦場から遠く離れたここで、ひとりで死を選んだとしても……、オレの眼にはお前が弱いようには映らない」

 

 こんなに情けない自分を肯定する彼の言葉に、憐情は含まれてはいなかった。

 

「お前はよく戦った……」

 

 与えられるのは愛憐だった。

 

「戦場に居ないお前に、どうしてもそれを伝えたかった」

 

 許された……。

 そう感じた。

 

「ネジくん……私……」

 

 手を伸ばせば触れられた。

 だが、触れても温度を感じられないことを知っていた。

 

「ナナ、オレはお前が言った通り、ずっとお前を見守ってきた。……見守るだけだった」

 

 優しい風……。

 まるでネジはそこに溶けていくようだった。

 

「あの時もそうだったな。砂隠れの里の……お前が初めて本心を見せた夜も……」

 

 あの夜とこの夜が、ネジの光の中で交わっているように思えた。

 

「オレは、木ノ葉に戻るかどうか迷っているお前を知っていた。だから声を荒げてでも、『一緒に帰ろう』と言いたかった。説得したかった。だが……オレはそうしなかった。できなかったんだ……」

 

 ネジは後悔をさらけ出しつつも、満足げに笑った。

 

「だから、ナナ……。オレは今さらお前を連れて行くことはできない」

「ネジくん……」

 

 彼の眼を見て、醜く垂れ流した要求を全て飲み込んだ。

 

「ごめん、ネジ君」

 

 本当の心を、惜しげもなく露わに伝えてくれた彼の優しさに、心から感謝をしていた。

 

「こんなふうに逢いに来てくれたアナタを、困らせてごめんなさい」

 

 そして……。

 

「本当は、私がアナタをちゃんと送らなくちゃいけないのに」

 

 やっと、己の役目を思い出した。

 

「ナナ……」

 

 ここへきて、ネジは少し困った顔をした。

 

「すまない……結局オレは……」

「謝るのは私のほう!」

 

 だから、やっと彼の想いに応えるべき言葉を紡ぎ出すことができた。

 

「いつも私を見守っていてくれて、ありがとう」

 

 改めて、彼の存在を心に感じた。

 病院の中庭も、木ノ葉の門へ続く道も、風影の屋敷の庭も、全ての夜が大切だった。

 

「アナタの優しさと、強さと、それから忍道……。全部、私の中にちゃんと残しておくから……。だから、少しだけ向こうで待ってて」

 

 もう、彼の姿は完全に光に包まれてしまっていた。

 

「ああ……ナナ、笑ってくれたな」

 

 こんなに近くにいるのに、声も遠くから聞こえて来る。

 

「ネジくん……」

 

 印を結んだ。

 彼が迷わず向こうへ渡れるように。そこで、必ず大切な人たちと再会できるように。

 そう、例えば彼の父親とか……。

 

「さようなら」

 

 (しゅ)は必要なかった。

 想いだけで送れると思っていた。

 

「ナナ……これからもお前を……見守っている……」

「うん……ありがとう……」

 

 ネジだった輪郭は完全に消失し、光の塊になって……やがて、それは煙のように立ち上って消えた。

 

「ネジくん……ありがとう……」

 

 ネジが逝って光が消え、闇が再び全身を覆い尽くすようだった。

 

「ありがとう……ネジくん」

 

 そのまま何度も呟いた。闇の中で呟いた。

 その闇を、振り払うことができないのだから、仕方がなかった。

 

 

 

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