エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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10話 これが予知夢、正夢で無いことを願う。

 

 

 

 

 

「戻ったのはいいけど、あのままルーサーも具現化させれば良かったな」

 

アプレンティスもエルダーも先の戦いで気絶したままだし……。

さてさて、どうしたものか……。

いや、待てよ。

月の中枢付近の場所じゃなくて、この場所だと具現化はどうなるのだろうか?

私はそれを試してみたくなり、邪龍の眼、今度はニーズヘッグの眼を持ってエスカファルス・ルーサーの具現化を試みる。

 

性格は……ルーサー……ルーサー=ラース=レイ=クエントの方にするかな。

ルーサーって結構シスコンだよなー。

待て要らんことを考えるな。

こんなことを考えるから、訳分からんことになるねん!

 

さて、想像創造。

ルーサー、ルーサー。

ルーサーラースレイクエント。

 

私はルーサーを想像し、具現化しようとした。

しかし……!

 

「うっ……!!?」

 

突如目眩に襲われた。

ただの目眩ではない……。

頭を強く殴られたような衝撃と、吐き気を催すような目眩に、私は壁にもたれ込む。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」

 

私は息を切らし、嫌な汗とヨダレを垂らしながら、必死にベッドへと向かう。

 

「頭が痛い……」

 

頭がズキズキと痛む。

あまりの想像に脳がオーバーフローを起こしたものだと考え、私は今日は寝ることにした。

 

目を瞑ると、頭の痛みが徐々に引いていく。

それと同じく私の意識も夢の世界へと入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

私は何処に!?

目を覚ますと、私がいたベッドとは違う全く別の場所にいた。

 

空は赤く、天から紫色の隕石らしき物体が降り注いでいた。

人々が逃げ惑っている。

その人々を追うように、無機物と有機物が混ざったような姿の怪物が迫る。

その怪物は黒い装甲に覆われ、関節部が水色のコードのような物で繋がれているのが確認できた。

更に、その人々の恐怖により、エーテルが作用し、なんとダーカーが具現化されていく。

これは私が生み出すエスカダーカーではない。

正真正銘、本物のダーカーだ。

この街は、謎の怪物とダーカーによって滅ばされていく。

 

人々の悲鳴もダーカーの金切り声や隕石ような物体が着弾する音に掻き消され、全てが無となる。

倒れた人々はダーカーに侵食され、新たなダーカーに変化し、そこは終末以外の言葉が思いつかない。

 

私は、終末の厄災、終末のアーモロートが頭に浮かび上がった。

 

 

その光景は、アシエン・エメトセルクが言ったこと、そのものだった。

「大地は崩れ、水は血となり、文明は燃え尽きる。」

「滅びは影よりも早い。」

「あらゆる命の存在を拒むかのように、災いの流星を降らせた。」

「怪物や人々の叫びは恐怖を掻き立て、その恐怖が新たな獣を生む。」

「一度、恐れを抱いたら、もう歯止めは効かない。」

 

これが地獄と言わずなんだと言うのだ?

混沌か?

終末か?

 

怪物に人々が殺され、ダーカーに侵食され、ダーカーに成り果てる。

 

本当に終わりだった。

 

 

このままでは、この母なる星が滅びる。

そうはさせまいと、母なる集団たちは、エーテルを使って滅びを阻止しようとした。

しかし、それを嘲笑うかのように突如、空が光始める。

私は咄嗟に空を見上げた。

 

「な、なんじゃあれ!?」

 

そこにいたもの、外見はまるで蛹のような形状だが、その体躯はもはや巨大な浮遊要塞そのものである。

そして、それを囲むように4機の怪物が混沌とした地を見下すようにこちらを見ていた。

1つはドラゴンのような姿。

2つは大蛇のような姿。

3つは人のような姿。

4つは鳥のような姿。

 

なんなんだ、アイツは……。

私は、浮遊要塞のような存在を凝視していると、その巨大な浮遊要塞の腹部の装甲が開き、中から黄色に輝くコアのような物が姿を表す。

そのコアにエネルギーが収束される。

これはヤバい。

エネルギーが解き放たれようとした。

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 

私はベッドから飛び起きた。

時計を見ると、時間は2時丁度。

身体中に嫌な汗がびっしりと流れ、全身に鳥肌が走る。

悪寒に襲われ、心臓が飛ぶように鼓動する。

怖い。

ありえない、嫌な夢だった。

 

私は震える身体で冷蔵庫まで行き、ミネラルウォーターを全て飲みほす。

アプレンティスの部屋を見ると、彼女のベッドの下にエルダーがゴロ寝をしていた。

 

「……」

 

あの夢が正夢にならないことを願う。

気分が悪くなった頭を抱えて、自分の寝床についた。

だが、あの夢のせいで私は寝付くことが出来なかった。

まぁ、それでも睡魔の方が勝り、夢に入ることになるのだが……。

 

 

 

 

 

 

「何よコイツら! 100%ありえない!」

「オークゥ! ここは逃げよう!」

「でも、あの子たちが!」

 

終わりは突然訪れる。

 

「……やめろ」

 

「フル!後ろ!!」

「え? あっ……」

「フルぅぅうううう!!!」

 

人の悲鳴が絶望を創り出す。

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"いだいいだいいだいいだいいだいいだいいいいいいいいいいい!!!!!!」

「オークゥ! くっ、ハギトよ!! ワシがここで彼奴らを止める、主らは逃げろ!!」

 

超えた科学には具現は無意味だった。

 

「そ、そんな僕の大和が、どうして……具現武装が通用しない!? 来るな、来るなああああああああぁぁぁ!!!」

 

「やめろ……」

 

一人、また一人と仲間が消えていく。

 

「これ以上は行かせんぞ!!」

 

全てが無意味だった。

 

「どうやら、ここまでのようですね……」

 

幾千の鍛え抜かれた力でさえも意味が無いものだった。

 

 

『どうして……こんなことに……私の復讐は……』

 

母なる存在でさえも、超次元より来たりし存在の前には無力だった。

 

残るのは、人だったモノと荒れ果てた地だけ。

最後に笑うのは、私たちです。

最強の科学者、ーーーーです!!

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、龍照大丈夫!?」

「おい、大丈夫か!?」

 

「……え?」

 

私はアプレンティスとエルダーによって起こされる。

 

「私は……」

「凄い魘されてたわよ!」

「何か悪い夢でも見てたのか?」

 

「まぁ……うん」

 

私は静かに言う。

アプレンティスとエルダーは、嫌な事は忘れた方がいい、とだけ言ってそれ以上追求することは無かった。

 

「お風呂に入ったらいいよ! さっぱりしなさい!」

 

アプレンティスに半ば強制的に、風呂に入らされる。

風呂場で時間を見ると、10時になっていた。

 

……あの光景が頭から離れない。

思い出したくもないのに、頭から離れない。

……。

こんな状態でルーサーの具現化なんて出来るのかな?

私は湯船に浸かりながら考える。

まだ、時間はある。

具現化はまた今度にでもしようかな。

 

「ふぅーーーーーーーー」

 

私は一息ついて、風呂から上がる。

リビングに入ると、朝飯が置かれていた。

どうやら、今日はエルダーが作ってくれるらしい。

エルダーがエプロン姿で居るのは、凄い違和感があり、少し微笑ましい。

ゲッテムハルトが、あのような事が起きずに、メルフォンシーナと添い遂げれば、このような光景を見れたかもしれないのか。

泣けてくるな……。

 

アカンは、あの夢を見てから何故かブルーの方に気持ちが偏ってまう。

こんなんじゃ具現化なんて出来んぞマジで。

 

とりあえず、飯を頂こう。

朝っぱらから寿司というのも、なかなかいいものだ

それに私はお寿司大好物だから、非常に嬉しい。

 

「美味いなやっぱり!」

 

私は出された寿司を全部平らげた。

ふぅ。と一息ついつく。

さて、何しようかな。

 

「……」

「龍照、貴方少し外出て気分転換したらどう?」

 

少しだけ強い口調のアプレンティスに私は圧されて、外出をすることになった。

 

東京をぶらつく私。

何かするかなぁ……。

 

 

「裕樹はどれが食べたい?」

「俺はこれでいいかな? 真衣菜は?」

「私はこれかなぁ」

 

 

カップルだろうか、高校生っぽい男女が店外にあるメニューを見ながら、注文するメニューを決めていた。

 

「さて、どこに行くか……」

 

あちらこちらを、人の流れを眺めながら、行先を頭の中で決める。

結果。

 

よし、あっこに行くか!

 

 

 

1時間後。

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

 

冷房が効いている店内に入る。

中はかなりの人がいて、ショーケースにあるカードを眺めていたり、ストレージにある1枚30円カードを血眼になって目当てのカードを探していたり、奥の部屋で人同士がカードバトルをしていたり、活気溢れる店内。

カードショップである。

 

私は、向こうの世界でカードゲーム、特に遊戯王とデュエルマスターズをプレイしていた。

こちらの地球でも、それらがあるのではないかと思い、ここ秋葉原へと来た。

別にこの世界に知り合いはいないけど、向こうの世界で作ってたデッキをこちらでも組んでみようと思ったのだ。

 

「えーと、この世界にはあるかなぁ……」

 

私は遊戯王のカードが綺麗に陳列されたショーケースを眺める。

私の住む向こうの世界と同じカードもあれば、こちらの世界オリジナルのカードもあった。

そして、私の目当てのカードは……。

 

「あるじゃん!」

 

4種類のとあるドラゴンを見つける。

私は即座に店員さんを呼んで、それらのカードを名指す。

 

「状態確認は」

「あー、いえ、大丈夫です」

「かしこまりました。ではレジまでどうぞ」

 

店員さんに連れられてレジへと向かい、会計を済ませて、商品を受け取る。

 

「っしゃ、ゲット!」

 

私は4枚のカード。

焔征竜ブラスター

嵐征竜テンペスト

巌征竜レドックス

瀑征竜タイダル

と名前が記されたカードを眺めながら、ルンルン気分で秋葉原を歩く。

 

よし、それなら他のカードも購入しよう!

このカードがこちらの世界にもあって、上機嫌になった私は、向こうの世界で持っていたデッキを全部作ろうと考えて、秋葉原の街を練り歩いた。

秋葉原にあるカードショップを全て訪れ、端末のメモアプリに必要なカードと、そのカード格安の値段、及びその店の名前を書き記し、最安値でデッキを作成する。

その結果……

 

 

 

 

7時間後

 

 

 

よっしゃ!

作れた!!!

私は心の中でガッツポーズをして、意味の分からない舞を踊る。

遊戯王とついでにデュエルマスターズのデッキを作成したのだ。

頭の中で軽やかなスキップをしながら、自宅へと帰還した。

 

 

「ただいまー」

「おかえりー」

「おう、おかえり」

 

アプレンティスとエルダーが玄関まで出迎えてくれた。

朝の私の感じを見て気を使ってくれてるのだろう。

私は「もう大丈夫やで! ありがとう」と言って、エルダーが作ってくれた晩御飯を頂く。

 

献立は寿司だ。

大好物なので、晩飯も寿司でOK。

有難くペロリと食べた。

 

 

「さて、せっかくやし、ここでルーサーを具現化するかな」

「今度はルーサーね。……なんか負け犬って言葉が出てきたわ」

「おいおい、急にどうした?」

 

ジト目で苦笑するアプレンティスに、笑いながら言うエルダー。

 

「じゃあ、具現化やるか」

「私たちは隣の部屋にいるわね」

「そうだな。じゃあ、終わったら言ってくれ」

 

そう言って、2人は隣の部屋へと退避した。

私は「あいさ」と返事をして、邪龍の眼を握る。

 

「さて、と。ルーサー……」

 

ルーサーを頭の中で思い浮かべる。

性格はルーサー=ラース=レイ=クエントさんにしようかな。

そう言えば、オメガのルーサー地味にシスコンなんだよな。

いや、あれば地味にではない。

普通にシスコンだな。

って、あかんあかん、いらん事を考えるな!

面倒くさいことになる!

 

……ルーサーか、あのバーにありそうな椅子に座りながら、本を読んでるイメージが強いな。

本か、天宮紫……やめとこう。

変な能力が付いてくるのもあれだな。

うん。

あら、そう言えば、ルーサーって……

……こっちの方でやってみるか。

 

 

「……よし」

 

私は目の前にいる人を見て、頷く。

エスカファルス・ルーサーが具現化された。

見た目は異世界オメガにて存在していたルーサー=ラース=レイ=クエントとだが、1つ違う点がある。

それは耳だ。

ルーサーはオラクル、オメガ共々エルフ耳、pso2で言うところのニューマンの耳だが、私が具現化したルーサーの耳は、普通の耳、ヒューマン耳となっている。

これは特に意味はなく、私の個人の趣味的なものだ。

 

「どうやら、君が僕を創った主君みたいだね」

「まぁ、そうですね」

「君の事だから僕の名前ぐらい知っているだろう。故に自己紹介は省かせてもらうよ」

「ええ、まぁご自由にどうぞ」

 

なんというか、ルーサーらしい??感じだ。

特に変わった様子も見られない。

まぁ、本当にルーサーだ。

アプレンティスみたいに幼女美少女大好きマンという訳でも、エルダーみたいに気さくな兄ちゃんという訳でもなく、本当にルーサーらしいルーサーだ。

 

「……具現化できたみたいね」

「このゴマ油ポテチなかなか美味いな」

 

ジト目のアプレンティス、嬉しそうにポテチを食べているエルダーという中々の2人が隣の部屋から現れた。

 

「やぁ、君たちがアプレンティスとエルダーだね。よろしく」

「おう、よろしくな!ルーサー!」

 

ニコニコと爽やかな笑顔で握手するエルダーに、私は物凄い新鮮な気持ちになった。

一方アプレンティスはなんとも言えない表情で握手を交わす。

こいつらはオラクルがあれだからな。

まぁ、そういうことなんだろう。

 

「これで、エスカファルスが3人。あとはダブルかしら?」

「そうやな」

 

アプレンティスが私に言う。

確かに、アプレンティス、エルダー、ルーサー。

残りはダブルか。

 

「いや、ダブルの他にあと3人おるわ」

 

私がそう口を開くと、エルダーがポテチをボリボリと食べながら「ペルソナか?」と一言。

 

「ペルソナは宿主君じゃないのかい?」

 

ルーサーが私の方を見てそう言ったが、それは何か違う感じがしたので、ペルソナは別に具現化するとだけ言った。

 

「じゃあ、残りはダブル、ペルソナ、エルミル……あと一人、誰かいたかしら?」

「初代深遠なる闇の依代、終の女神シバ、つまり僕の愛すべき妹ハリエットだね?」

 

若干の圧を出して私に問い詰めるルーサー。

「はい」以外の返答はさせないよ。

と言わんばかりの圧に私は、あー、オメガのルーサーだわ。

しっかり具現化されてるわ。

と、謎の安心感が出てきた。

 

「まぁ、そうやな。残るは、ダブル、ペルソナ、エルミル、ハリエット。これやな」

「それは楽しみだ!」

 

ハリエットの名前を聞いたルーサーは、舞い上がらんばかりの感情をさらけ出してはしゃぐ。

 

「とんだシスコンね」

 

アプレンティスの毒舌に私は吹き出しそうになるが、流石に失礼なのでグッと我慢する。

ちなみに、ルーサーは舞い上がるあまり、アプレンティスの毒舌は聴こえていなかった。

 

まぁ、聞こえていたら聞こえていたで、「ウジ虫」「負け犬」のキャッチボールが始まるだけなので、これでいい。

 

「さて、ルーサーも具現化したことだし、有翼型エスカダーカーも具現化するかな」

「月の中枢にでもいくの?」

 

アプレンティスが私を見ながら言う。

 

「いや今回は月の裏側でやろうと思ってるよ」

「珍しいわね。いつもならあそこでやっているのに」

「ああ、いつもはエーテル濃度の濃い、あっこでやっていたけど、眼の力でどこまでいけるか試したくてな。敢えてエーテル濃度の……まぁ、裏側でも大概濃いけど、そこでやろうと思ってて」

「じゃあ、ルーサー、俺の一戦交えないか?」

 

相変わらずの戦闘狂エルダー。

ルーサーは少し嫌な表情を浮かべて口を開く。

 

「僕にメリットが無いのだが……」

「いいじゃねえか! 具現化した祝いだ。パーっと行こうぜ!」

「どういうこっちゃ……」

 

エルダーの無茶苦茶な言葉に私は突っ込む。

ルーサーも???な顔をして、呆気に取られていた。

 

 

 

結果。

 

 

 

 

「まぁ、時には戦いも良いものか」

「だろ?」

 

エルダーに押されるがまま、バトルをすることになった。

ルーサーも諦めて、ポジティブに考え出す。

 

「私が審判をするから、龍照は具現化したらいいわよ」

「どうもありがとうございます」

 

私はアプレンティスにお礼を言って、この場から避難をする。

エスカファルス同士の戦いの近くにはいられない。

昨日、身をもって味わったから。

 

「さてと、具現化するか」

 

邪龍の眼を取り出して有翼型エスカダーカーを想像する。

個人的に有翼型ダーカーは、物凄い好きなデザインをしているから、ちょっとだけ凝りたいな。

特にブリューリンガータを。

 

 

「応えろ深遠、俺の力にいいいいいいい!!!」

「深遠と創造の先に、全知へと至る道がある!!!」

「刮目しろ!! 俺がエスカファルス・エルダーなりいいいいいい!!」

「僕の名はエスカファルス・ルーサー、全知そのものだ!!」

 

私の後方で2人がやり合っている。

ダークファルス同士が戦っている姿を見るのは、昨日と今日だが、これを実際のゲームでも見てみたかったよ。

ルーサーの剣とエルダーの刀。

かなり距離があるはずなのだが、ここまで2人の声が聴こえるってことは、かなりの声で発していると言うことだろう。

 

「演算の必要も無い!」

「この程度じゃないだろう?」

 

楽しげな口調をしている辺り、ルーサーもノリノリなのだろう。

さて、こちらも具現化の鍛錬でもするかな。

とりあえず、確りと凝りたいから1番はじめはブリューリンガータにしよう。

 

 

「……」

「闘争の由は、無限に広がる!!」

「ビッグクランチ・プロジェクト!!」

「深遠の闘争よ、不滅の希望を紡げ!!」

「まだ見ぬ未来を描かん!!」

 

なんだろう、絶妙に集中できんな……。

この状態で具現化するのもあれだし、終わるまで待っとくか。

せっかくだし、この月を散歩でもするかな。

まさか、人生で宇宙服なしの私服で月を散歩できるとは思いもよらなかった。

しかも重力がある。

細かい事は聞いていないが、月に地球同等の重力があり、酸素がある。この理由はマザーの力の影響らしい。

まぁ、マザーの本体って月みたいな所あるやろうし、そういうことなんやろう。

とりあえず、分かりきったことだが、なんも無い。

クレーターがやたら多くて暗く、何も無い。

ただ、上を見上げると、感動する程の星々が目に入る。

 

「綺麗だ……」

 

私は漆黒の海に漂う星々を見て、呟いた。

散歩するのをやめて、体育座りで星を眺める。

こう眺めていると、なんか色々の事がどうでも良くなってくる。

どうでも良くなったらダメだけど……。

それでも、自分のすること全てがちっぽけなモノだと感じてしまう。

 

あれから、1時間は月から見える星々を眺めていた。

ルーサーやエルダーとの戦いの声が聴こえなくなる程に、私はのめり込んでいた。

なんて美しい光景だろうか……。

 

「あれ?」

 

しかし、ふと違和感を感じる。

私の眼ってこんなに良かったっけ?

 

私の視力は自分でもビックリする程に悪く、眼鏡も度が合っていないため、掛けていても眼を細めないと見えない。

それが、眼鏡を掛けているとはいえ、星々が鮮明に見えているのだ。

 

「なんでや?」

 

遠近法的な感じで、そう見えているとかか?

それは違うか。

そもそも、遠近法ってここで使うような意味でもないし。

なぜ?

視力が回復したとか?

そんな急に?

 

「龍照ー!」

 

アプレンティスの声にハッとする私。

とりあえず視力が良くなったのは、とても良い事だと考えて、アプレンティスの方へと向かった。

 

 

 

 

眼が……。

 

 

 

 

「僕の眷属達は作れたのかい?」

「いんや、星に見惚れてて具現化どころじゃなかった」

「なんだそりゃ」

 

ゲラゲラと笑うエルダーに、私は「結構綺麗だったからさ」と笑って誤魔化した。

 

「それで、具現化はどうするのかしら?」

「もちろん、やるよ。3人は先に帰ってて大丈夫やで」

「俺はもう少しここで、トレーニングするぜ」

「僕は君の頭の中に入って読書でもするかな」

「私は寝ようかな」

 

そういい、ルーサーとアプレンティスは身体を霧散させ、私の頭の中に入りこんだ。

 

本当にep5のダークブラストみたいだな……。

 

「俺は奥でトレーニングしてくる!」

「ほーい」

 

さてさて、具現化するかー。

邪眼を手に持ち、エーテルを放出する。

私は、ブリュー・リンガーダの姿を思い浮かべた。

 

色合いはエスカダーカーで、手に持っている武器はどうしようかな。

翼鞘にある刀はそのままで、うーん。

原種は槍、レア種がハルバード、超化種がメイス。

……。

あれにするか。

 

 

青いプラズマを発しながら、ブリュー・リンガーダが具現化されていく。

青いキューブが重なり合い、形を成す。

 

私の目の前に、ブリュー・リンガーダが具現化された。

 

色合いは、ランカ・ヴァーレスと同じ。

原種やレア種、超化種との違いは、首元にあるリングが無く、翼が左右に2枚重ねになっており、四刀流を扱う。

更に、槍やハルバード、メイスを持つ場所には、アサルトライフルを所持させており、これによりウィークバレット連射したり、メシアタイムのような攻撃をするようにしている。

 

これぞ、ぼくのかんがえたさいきょうのブリュー・リンガーダやな。

……pso2で実装されたら間違いなく荒れるな。

名前は……

 

「エスカ・リンガダーズ」

 

だな。

言い辛ぇ……。

まぁ、いいか。

 

よし、残りの有翼型エスカダーカーも具現化出来るようにしよう!

私は邪龍の眼を握りしめ、エーテルを使う。

ここまで、具現化出来るのも、この邪龍の眼あってのこと。

まさに眼様々だわ。

ありがたい話しよ。

これで、アークス……というより安藤さんが来るまでにどうにかなりそうだ。

 

安藤さんが来たら、エスカダーカー操ってシエラさんと、安藤さんをビビらせてやるわ!

マジで腰抜かすやろうなぁ!

別世界の地球に来たら、ダーカーを完全に使役してる人間がおるねんもん。

これが、実際のpso2のep4で出てきたら、pso2wikiとかで地球版深遠なる闇とか、実は深遠なる闇に操られているとか色々と考察されそうだ。

 

私はそんな事を脳の隅っこで妄想しながら、有翼型エスカダーカーを具現化させた。

とりあえず、問題なく具現化することに成功。

 

さて、帰ろうかと私は考えた矢先……。

 

「う゛っ!!?」

 

あの目眩が再び起こった。

凄まじい吐き気が襲ってくる。

船酔いの状態で1時間吐かずにいた状態で、グルグルと100回回転したような恐ろしい吐き気だ。

だのに、吐けない。

鼻水と涎が地面に滴る。

私は、必死に自宅に戻るため、ポータルを使う。

しかし、ポータルで移動する前に力尽き、私は月面で気絶した。

 

 

 

 

 

 

眼が光を放っている。

 

 

 

 

 

続く

 




有翼型エスカダーカー一覧

・エストゥラーズ(シュトゥラーダ)
・ティラルーズ(ティラルーダ)
・ドリュアーズ(ドリュアーダ)
・ダブリュース(ダブリューネ)
・ダブリュンズ(ダブリュンダ)
・エスカンダース(ブリュンダール)
・ソグルダ・カーピス(ソルダ・カピタ、グル・ソルダ)
・ドゥエスカ・ソルズ(ドゥエ・ソルダ)
・ランカ・ヴァレース(ランズ・ヴァレーダ)
・ボンバス・ヴァーレズ(ボンバヴァレーダ)
・リューズソーサラー(リューダソーサラー)
・デコル・マリューズ(デコル・マリューダ)
・エスカ・リンガダーズ(ブリュー・リンガーダ)
・アポカリス・トリツァース(アポス・ドリオス)


創世種有翼型エスカダーカー一覧

・リンゼソーサラー(ユグダソーサラー)
・リンゼ・ヴァレーザス(ランズ・ヴァレーダ)
・リンゼ・ブリューリンダーズ(ブリュー・リンガーダ)



エスカ・リンガダーズ
二つ名:創の翼

データ
弱点属性:闇・光・風
有効状態異常:風
弱点部位:頭部(HS)・腹部コア(常時露出)
部位破壊:アサルトライフル×2・両翼×2・刀・尻尾


出現クエスト
フリークエスト:東京探索
アルティメットクエスト:創世調査・地球【大阪】
アルティメットクエスト:創世調査・地球【東京】
緊急クエスト:顕現する真実の探求者【敗者】
緊急クエスト:史実に存在しない非在の闇
緊急クエスト:採掘基地防衛戦【幻創】


攻撃パターン
突進
ボスエネミーおなじみの技。
一直線に突っ込んでくる。
一瞬仰け反るのと特徴的な嘶きが突進の合図。

古の光針散弾
バックステップした後、両手にあるアサルトライフルを構え、前方広範囲に光の散弾を撃つ。
範囲が広く、1度ヒットするとHPをゴッソリと削られる。
自機にウィークバレットが貼られた状態だとほぼ床ペロは必須である。

クーゲルシュトゥルム
扇状の掃射を3連続で行う。

回転掃射
ぐるりと一回転して周囲を攻撃する。
ジャンプすれば当たらない。

スプレッド・ウィークバレット
バックステップし、アサルトライフルをリロードする動作をした後、広範囲のウィークバレットを1発撃つ。
かなりの広範囲で、下手すれば12人全員が当たる可能性すらある。

尻尾振り
こちらが後ろにいると尻尾を振って切り裂いてくる。





全方位衝撃波
体力低下後に使用。
武器を全て地面に突き刺し、全方位に衝撃波を発生させる。
その後、地面に弾丸を撃ち抜き、爆発を発生させる。
射程はあまり広くなく予備動作もやや長めだが威力が非常に高い。

居合鬼刃連斬
体力低下後に使用。
左右上下いずれかの刀に手をかけて構えた後、超高速の斬撃を2回放つ。
攻撃範囲がかなり広く、威力も非常に高いので注意。
右手で放つ場合と左手で放つ場合があり、右手の場合はミラージュ・パニックの重複効果を、左手の場合はインジュリー・フリーズの重複効果を付与する。

居合連斬弾・幻創
必殺技。
体力低下後に使用。
何度も居合抜刀を繰り出し、更にアサルトライフルから、散弾を無差別に乱射、超広範囲の相手を斬撃と弾丸の渦に巻き込む。
この斬撃に当たると、バーン・フリーズ・ショック・ミラージュ・パニック・ポイズン・インジュリーを一気に付与されるため、当たると確実に床ペロする。





あぁ、推しのキャラクター達が死んでゆく……。
あぁ、あぁ……。
アイツらさえいなければ、あの世界があのような未来になることはなかった。

あぁ、

あぁ、なんて調子が良いのだろうか。


眼が再び光を放つ。
私の足を誰かが掴んでいる感覚に襲われる。

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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