エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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2話 私の目的

 

 

 

 

 

私を呼ぶ声がしたので振り返ると、そこにいた人間はスキンヘッドの猛々しいお爺ちゃんがいた。

彼の姿は、ゲームで見たことがある。

 

「え、えーと、貴方は?」

 

とりあえず、ややこしくなりそうなので、知らない風を装う。

お爺ちゃんは、スキンヘッドの頭をコンコンと、左指で触れながら、ホッホッと笑って答えた。

 

「ワシはアラトロン。マザークラスタ、土の使徒じゃ」

「マザークラスタ……」

 

やっぱり……。

私は心のなかでそう呟く。

アラトロン・トルストイ。

マザークラスタに所属しており、その中の幹部であり、考古学者と建築家、宇宙飛行士という超高スペックのお爺ちゃんだ。

なぜ初っぱなからマザークラスタにお呼ばれをされたのかは、何となくお察しはつく。

 

「……えーと、マザークラスタが何のようですか?」

「マザーが主を呼んでおる。ワシと共に来てほしい」

「マザー……?」

「ホッホッ、行ってみれば分かる。オフィエルよ」

 

アラトロンはそう言うと、私とアラトロンを長方形の結界のような物質が現れて、私達を覆った。

てか、いまさっきオフィエルとか言ってたよな……。

そうこう考えているうちに、私の視界は東京から別の場所へと変わった。

本当にパッと。

多分、これはマザークラスタ幹部、水の使徒オフィエル・ハーバートの具現武装だろう。

隔離術式、EP4設定資料集によれば、この能力の正体は「一定の空間を切り取る」「空間同士を繋げる」というもの。

しかし、洗脳やら透明化やらワケわからんことを行うという中々謎の具現武装だ。

 

そして私は、いま意味不明な場所にいる。

目の前に地球らしき惑星が見える。

月か?

 

「え、ちょっと待ってここ月??」

「ホッホッ、察しがいいの」

 

ホッホッじゃねーよ!!

マザークラスタの本拠地やんけ!!

私はもう、どうしたらいいか分からず、ただただアラトロンさんの後ろを着いていくしかなかった。

てか、この場所、ep4の終盤にオークゥ・ミラーとフル・ジャニース・ラスヴィッツの戦う場所じゃん。

やべえ、どうなんの?

あー、不安。

その不安は、私の腹痛を促進させるのに十分すぎた。

五分ほど歩き、エレベーターと思われる場所にたどり着く。

アラトロンと私はそのエレベーターに乗り、エレベーターは上昇する。

エレベーターからは月の表面、宇宙、無数の星々、そして青々と輝きを放つ地球が見えた。

凄い……。

この一言に尽きる。

そんなことを考えていると、ピンポンと音がなって、エレベーターがゆっくりと停止。

扉が開いた。

 

「マザーよ。小野寺龍照を連れてきたぞ」

 

アラトロンはそう言いながら、エレベーターを降りた。

その場所は、あのマザーが初めて御披露目になったエリアだ。

ゲームの中でしか見たことがなかったので、凄い心が踊った。

 

『よく来た。小野寺龍照。』

 

ゾワッとするほど綺麗さがあり、しかしその中にママみを感じることができる程の美しい声が私の耳を通り抜け、脳にまで響く。

まさに、脳をくすぐられているかのようだ。

そう、私の目の前にマザーが、マザークラスタの紋章が飾られた特徴の椅子に座っていた。

 

『ありがとう。アラトロン。』

「では、ワシはこれで失礼するとするかの」

 

少し微笑んだマザーはアラトロンに向けて礼を述べると、アラトロンはホッホッと笑い、エレベーターで降りていった。

 

つまり、いまこの場所にいるのは、私とマザーだけということになる。

因みに、マザーはびっくりするレベルに美人である。

本当にゲームの非ではない。

ゲームのマザーも結構な美人だったが、それすらも優に超越している。

その美貌だけで原初や全知を掴んでいると言っても過言ではない。

深遠なる闇とか原初の闇とかダークファルス・ペルソナ(エルミル)とかも、マザーの美貌だけで浄化されるってレベルで美人。

私の住んでた地球でも、ここまでの美人はいないだろうと言える。

最早、美人の数値がオーバーロードしている。

 

そんな中で、私とマザー二人という状況。

これなら、まだエキスパ称号とるために一人でデウスとマザーソロ狩りしてる時のほうがよっぽど心臓がいい。

ていうか、脳がヤバイ。

ku100の耳舐めとかそんな次元を余裕に超えている。

すんごいくすぐったい。

 

「え、えっと、私を呼んだ理由は?」

『マザークラスタへと入ってほしい。』

「ま、まぁ、そうでしょうね。ですけど、マザー。貴方には本当のことを知ってもらいたいです」

『どうした?。』

 

私は、マザーに自分の今の状況を嘘偽りなく説明することにした。

そもそもマザーは、フォトナー(pso2のたわけ)が惑星シオン……まぁ、簡単に言うと、宇宙規模のスーパーコンピューターみたいな存在の最初に作られたコピー。

しかし、制御が出来ずに亜空間へと捨てられた存在だ。

 

まー、私もpso2の歴史はあまり詳しくないから、間違ってるところがあるかもしれない。

もっと分かりやすく言うと……。

 

フォトナー「シオンの複製を作って楽しよう」

マザー「出来たよー」

フォトナー「楽したいから、宇宙全域の管轄任せた!」

マザー「んなクソみたいなこと言わずに働け!」

フォトナー「こいつ失敗作だ捨てよ!」

マザー「は?」

 

こんな感じだ。

多分。

 

 

まぁ、凄い頭のいい女の子ということだ。

女の子かどうかは定かではないが……。

だから、私の今の状況を教えても問題ないと思った。

私は、マザーに私のことを洗いざらい話した。

 

「というわけです」

『そうか。エーテルの異常数値が確認されたのは、やはり君がこの世界に来たことが原因か。』

「ええ、この世界に来たのはマザーが?」

『私ではない。私でも、多元からピンポイントで人を転移させるほどの力は持っていない。』

「じゃあ、私がこの世界に来たのは分からないというわけですか」

 

マザーはコクりと頷いた。

 

「まぁ、それは別に良いとしてや。私はこの世界とは別世界からの来訪者ですよ? それでも、得たいの知れない私をマザークラスタに?」

『そうだ。』

 

私の問いにマザーは頷いて、こう続けた。

君は、ここにきて間もないのにも関わらず、具現武装を発現させた。

そして、オラクルのことも知っている。

それは最高のアドバンテージとなる。

ぜひフォトナーの復讐を手伝ってほしい的なことを言われた。

色々と言われたけど、ようわからんかった。

まぁ、行く宛がないので、私はうなずいた。

 

『小野寺龍照。君の住む家は提供する。これからよろしくお願いする。』

「ええ、こちらこそ」

 

そう言って、私とマザーは握手をした。

そのあとは、アラトロンに私の住む家を案内してもらった。

高層マンションの18階の1部屋、2ldkで、家賃はタダというちょっと引くぐらいの手厚い待遇に私は唖然とするしかなかった。

とりあえず、この一室を好きに使ってよいという。

最後にアラトロンから、あるものをいただいた。

 

「これは?」

 

私はマジマジと、AndroidとPSVitaを足して2で割ったのような形状の物体を見つめながらそういった。

マザークラスタの月拠点へと向かうことが可能らしい。

 

「(そういえば、ep4で八坂エンガが使ってたな……。それとは少し違う感じか)」

 

それと、月拠点のことは他言無用的なことも言われた。

そして、色々と説明を終えたアラトロンは、月拠点へと戻って行き、この部屋には私一人となった。

ぶっちゃけ、なんもわからんかった。

とりあえず、金の援助はマザーが何とかするから、エーテルの操る力を上げろ的なことを言われた気がする。

 

「てか、私がタワマンに住むなんて夢にも思わなかった」

 

私はバルコニーへと出て、外の景色をみる。

暗闇を引き裂くように建物の光が煌々と輝いており、美しい以外の何物でもなかった。

そして、ここから見える景色の少し左側に赤く輝く東京タワーと蒼色の光で照らされたエスカタワーが対照的に並んでいるように見えており、心を惹かれた。

 

「これはすごいな……」

 

私はそう口から言葉をこぼした。

ずっと見ていたいほど、私の目に映る光景は神秘的だったのだ。

都会も悪くはない。

そう、思ってしまう。

 

「……」

 

私はポケットにあるスマートフォンを取り出す。

やはり、同じ地球ではあるが別次元の地球ゆえに、私のスマートフォンのアンテナは圏外になっていた。

まぁ、何となく分かっていたので、私はスマホのsdカードに入れてある、1つのBGMをかけた。

 

「Waiting for shining stars to fall.

I'm lost and I'm found.

Walking in the darkness,

Looking for the star.」

 

pso2に登場する東京フィールドの夜に流れる曲『Realization』だ。

夜の東京の街を展望しながら、この曲を聴く。

最高すぎる。

ここに紅茶とかお菓子があれば最高だった。

 

「具現化できるかな……」

 

ふとそんなことを思い、私は目を閉じて想像力を働かせる。

紅茶。

スコーン。

頭の中で紅茶とスコーンを思い浮かべた。

そして、パッと目を開けると……。

 

「マジか」

 

目の前にスコーンと紅茶があったのだ。

少しだけ青みかがかっているのは、幻創物だからだろうか……。

まぁ、とにもかくにも、出現したこれを頂かない選択肢はない。

私は座りながらスコーンをパクリとかぶりつく。

 

「なんやこれ……」

 

飲み込んだ後の言葉がこれである。

何も味しない。

空気でも食べたかのように、本当に味がしない。

まさかと思って、紅茶も飲んでみる。

 

「……水???」

 

そう錯覚するほど無味だった。

紅茶の少し苦味のある味などは一切ない。

本当に何の味もしなかった。

 

「……まだ、私の具現能力がそこまで達してないのか……」

 

少しだけがっかりしつつも、創造できたことに変わりはない。

少しずつ鍛えていこう。

そう考えながら、エスカタワーを見つめた。

 

「……」

 

暫く見つめていると、不意にマザーのことが頭に浮かぶ。

マザーはオラクルのフォトナーに復讐をすると言っていた。

だが、フォトナーは当の昔に滅んでいる。

ダークファルスやダーカーによって……。

つまり、マザーの復讐は叶わない願いなのだ。

そして、この世界がpso2ep4と同じ筋書きを辿るならば、マザーは……。

 

「……死ぬんだよな……」

 

私はポツリと呟いた。

……。

 

[キーーー!]

 

後ろで、金切り声のような物が聴こえ、振り返ると、そこにはエスカダガンがいた。

 

「……エスカダーカーか……」

 

私はエスカダガン、これからはエスガンと呼ぶことにしよう。

ゆっくりと近づいて、エスガンの頭を撫でた。

すると、エスガンは子犬のように私に歩みよりスリスリとした仕草をする。

それは、宇宙の敵と呼ばれた存在などではなく、最早ただの人に懐いているペットであった。

私は虫(特に蜘蛛)が大の苦手なのだが、こんな子犬のような仕草をされてしまえば愛着が沸いてしまう。

 

「……エスカダーカー」

 

私は立ち上がり、再びバルコニーに出てエスカタワーを眺める。

マザーが死ぬとき、私はガラスの外でその光景を見ていた。

ヒツギたちと和解し、新たな道を行けると思った時に……。

あのマイショップでやたらと高く売られたヘアースタイルのバカタレに殺された。

 

「よし、まぁええわ!!」

 

私は手をたたいて大声をあげ、リビングへと戻る。

とりあえず、1つの目的ができた。

これから、あらゆる手段を講じて、自分の具現能力を高めよう。

それにマザーから言われた通り、これから起こる事が全て分かっているのは、凄いアドバンテージだ。

最早、この世界において私はアカシックレコードなのではないかと思えてくる。

今は2020年、ep4の時期は2028年、タイムリミットは8年だ。

その間に初代深遠なる闇(ゴモルス、ソダム)や二代目深遠なる闇(ペルソナ)や三代目深遠なる闇(エルミル)をも凌駕する地球版の深遠なる闇になって、歴史を改編してやる。

マザーやベトールの生存ルートを導きだしてやる!!!

 

「よし! やるかぁ!!!」

 

私は気合いをいれて、エスガンを霧散させて、風呂に入った。

風呂を上がった私はとりあえず、寝て明日考えようと思い、ふかふかのソファーに寝転んでそのまま眠りについた。

目を瞑り、うとうとし始めた時だ。

 

「あ」

 

と、あることを思い出して、目を開けた。

 

「ヤバイ、エスカダーカーについてのことマザーに聞くの忘れた!」

 

 

 

 

続く

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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