エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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20話 頑張れエルダああああああああああ!!!

 

 

 

 

 

1週間が経ち、明日はフローとフラウが学校に登校する日だ。

フローとフラウが通う学校は天星学院初等部らしい。

 

「待て待て、天星ってあっこやないか!」

「知ってるの?」

 

アプレンティスは刀の手入れをしながら、聞いてきた。

 

「知ってるも何も、アイツらが通う学校やないか」

「アイツら?」

「まぁ、まだまだ先の話よ」

 

10年後に、ep4の主要キャラクターが通い、就任する学校。

この時から存在してたのな。

まぁ、マザークラスタ経営やから、あの2人がここに通う事になるのは妥当か。

 

「小野寺フローと小野寺フラウって名前で行くんでしょ?」

「ああ、まぁ無難やろ」

「だね。ところで、あの2人は? 最近見てないけど、まさかまだあの調子?」

「まぁ、余程シオンさんと、シーナさんって人に惚れたっぽいな。まぁ、気持ちは分からんでもないが……」

「そんなに美人だったのかな?」

「まぁ、美人やと思うよ」

「みたことあるの?」

「いや、ない。私の勘や」

「なーんだ」

 

そんな話をしてる内、アプレンティスは、刀の手入れを終えたのか鞘に刀を納めて紅茶を飲もうとカップに口を付けようとした。

 

その時だ。

 

 

「キャアアアーーーーーー!!」

「「!?」」

 

事件性のある悲鳴がマンションのその階に響く。

ハリエットの方からだ。

なにかあったのかと私とアプレンティスはハリエットの号室に駆けつける。

 

「どうしたんだい!?」

「何事よ!?」

「「なになにどうしたの!?」」

 

ダブルとエルミル、ペルソナもハリエットの悲鳴を聴いて駆けつけてきた。

 

「なにがあった!?」

「ハリエットどうしたんだ!?」

 

あれだけ呆然と固まっていたエルダーとルーサーも、ハリエットの悲鳴を聞いて正気を取り戻したようだ。

血相を変えて私の部屋からやってきた。

特にルーサーの血相がヤバい。

とんでもない顔芸である。

私たちはハリエットの部屋に推し入ってハリエットに駆けつけた。

 

「ハリエットどうした!?」

「わ、私の私が育てた野菜達が……」

 

ムンクの叫びのような表情で膝をついて愕然とする。

ハリエットの前には、無惨にも枯れ果てた野菜達にそれを侵食するように生えている青く煌めく花が咲き乱れていた。

 

「なにこれ? 新種の花か?」

 

私が妖しげな花に近づいて、触れずに確認していると……。

 

「あ、それ僕が栽培してる花だよ」

「……エフィメラか?」

 

私はエルミルが栽培してる花と聞いて真っ先に浮かんだ花の名前を言った。

すると、エルミルは悪気もなく「大正解!さっすがセンパーイ!」とおちゃらけた口調で言った。

 

「まぁ、本当はエフィメラの幻創種、エスィメラだけどね。いやー増草剤を全部ぶっ掛けたから急成長したのかなー、あははははは!」

 

ルンルンで話をしているエルミルに恐ろしい殺気を出して、ハリエットがゆらりと立ち上がる。

 

「エルミル、これをやったのは、貴方ですか?」

 

ゆっくりと大人びた声色でエルミルに問いかける。

青いオーラと共に、床から草や花が咲き乱れる。

ヘラヘラしていたエルミルも、これはやばいと気づいたのか、一瞬で顔を引き攣らせる。

 

「どうやら、お仕置が必要なようですね」

 

ペロッと舌を出して、妖艶な表情でクスっと笑うハリエット。

それは、その声色、口調、表情、仕草、雰囲気全てをとってもハリエットではなく……。

無論、その姿を見た我々はエルミルをシバエットに押し付けてそそくさと避難した。

 

 

「あまりに手応えがありませんね」

「いぎゃあああああああやめてええええええええ!!!!!」

 

エルミルの断末魔がハリエットの号室から聞こえてくる。

pso2ep5でも聞いた事のない断末魔だ。

 

「終わりです」

「待って何すんの!?やめて!!!!!?」

「下手に抵抗するから苦しむ事になるのです」

「おごおおおおおおおそれは入らないいいいいいい!!!!!」

「無駄な足掻きを!」

「やめて!!僕を吸わないでえええええ!おおおおおおおおおおごおおおおおおおおおお!!!!!」

「あっははははは! なんて無様な姿!! とてもそそられますよ!」

「ごめんなさいごめんなさい!! もうやりませんから許してえぇぇえええええ!!!」

 

 

 

……。

エルミルの悲惨な断末魔に我々は戦慄し、その場から動けなかった。

中で何が起こっているのだろうか……。

怖すぎて扉を開けることが出来なかった。

これはヤバい……。

 

 

「……」

 

暫くして、先程までの声がパタリと止み、私達は恐る恐る扉を開けて中の様子を見に行った。

 

「……うわっ……」

 

リビングにあったものは、バラバラに引き裂かれたエスィメラと、草花が生い茂る中にポツリと佇むハリエットと、ハリエットの指から伸びる鋭利な根に貫かれて干からびているエルミルの姿だった。

 

「……某海賊物語の海軍大将?」

 

あまりの光景に私は素っ頓狂な言葉を洩らす。

その声に気づいたハリエットはゆっくりとこちらを振り向き、ニコッと微笑んだ。

その笑みすらも私たちの恐怖心を煽ぐのに十分過ぎた。

 

「あらあら、すみませんね。もう少ししたら終わりますので」

「ぉ……ご……ぉ、ぉ、ぁ……」

 

か細い呻き声を出すエルミルが更に干からびていく。

 

「あ、あのハリエットさん。そこまでにした方がよろしいと思います……」

 

怖すぎて自然と敬語になってしまう。

だが、ハリエットは平然とした風に言う。

 

「いいえ、私が一生懸命育てた野菜達を、あのような事をしたのです。挙句謝罪の一言もない。絶対に許しません」

「あ、はい。それじゃあ、私達はこれで失礼します」

 

恐怖に負けた私は、ハリエットを見ずに他のエスカファルスを連れて部屋から退散する。

 

 

「あ、あの何かありましたか?」

 

どうやら騒ぎを聞きつけて、上と下の階の住人が心配そうな表情で駆けつけてきていた。

 

「あ、すみません。ゴキブリが3匹ほど現れて、てんやわんやしておりまして、お騒がせして大変申し訳ございません。いま燻煙殺虫をしているので、外に出たところです」

 

私は駆けつけてきた住人に状況を説明し、帰ってもらった。

 

 

 

「どうする?」

「「アイフル?」」

「こんな時にくだらないこと言わんでええねん!」

 

エルダーとルーサーを叱責する私。

アプレンティスは「まぁハリエットも凄い楽しみにしてたからね、仕方ないよ」と言う。

それにペルソナも「そうだねー」と同意した。

 

まぁ、エルミルには犠牲になってもらうとしよう。

私、エスカファルスは頷いて各々の部屋へと戻って行った。

 

 

〚奴のやっている事は我々と変わらぬ〛

〚同意〛

 

幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアスが語りかけてくる。

 

「まぁ、そうかもな」

 

私は笑いながら言った。

それを聞いた2匹は〚何が可笑しい?〛と問いかける。

低い声色を聞く感じ、あまり良い表情はしていないだろう。

 

「私は人の全てを見せるって言った。だから、人の良い所も悪い所も、両方見せてるだけやで。それで両方を見て、聞いて、感じて、復讐をするか考えてくれたらええわ」

 

そう言って、私は昼飯にありつく為に冷蔵庫を開けたが、冷蔵庫には何も無くスッカラカンだった。

 

「ペルソナの野郎、私が居ない間に全部食べやがったな……。おぉい! 私がとってた板チョコアイスもないやんけ!!」

 

空っぽの冷凍庫を見て発狂する。

そして、私は怨嗟の声をあげた。

 

「あのデカパイ仮面め……ぜってえ後でアイス5000円分買いに行かせたるわ……」

 

 

 

 

一方、ペルソナはと言うと……。

 

「ヘクシュン!!」

「ペルソナさん、風邪ですか?」

「んー、わかんない。それより白菜も植えない?」

「いいですね、植えちゃいましょう!」

「後は大根とキュウリも植えちゃおう!」

「いいですねいいですね♪」

 

ワイワイはしゃぎながら、ハリエットの家庭菜園を手伝っていた。

無論、冷蔵庫の中にあるものを全部食べた事など忘れている。

 

 

 

 

 

「買いに行くか……」

 

私はため息をついて、財布を手に持ちスーパーへと向かった。

 

ハリエットの号室の前を通る時に、ハリエットとペルソナがワイワイと楽しそうな声が聴こえてくる。

 

「……エルミル大丈夫かなー」

 

私はエルミルの心配をしながら、階段でエントランスまで行く。

途中で、エルダーとルーサーにバッタリと出会い、一緒に同行することになった。

 

「さてさて、行くか」

「おう」

「そうだね」

 

全員ラフな格好でマンションから飛び出す。

8月の最終日だと言うのに、普通に暑い。

額から滴る汗を手で拭いながら、カンカン照りの中、私達はスーパーへと向かった。

 

「おい、スーパーより商店街の方で買う方が安いぜ」

 

エルダーは商店街へと続く道の方を見ながら、私とルーサーに言った。

 

「そうか、それなら商店街の方に行くか」

「そうだね」

 

私達は方向転換し、商店街の方へと向かう。

ほぼ9月に入ると言うのに、蝉は鳴き、ありえない日射に私達は途中で自販機でジュースを買ったり、日陰で休憩したりしながら目的の場所へと足を進ませる。

ちなみに各々が自販機で購入したジュースであるが、私はコーラ。エルダーとルーサーはコーヒーブラックである。

 

「商店街ってこんな所にあるねんな」

「おう、俺はここの商店街を利用してるぜ」

「なーる」

「僕も初めて来るね。どんな場所なのか楽しみだよ」

「なかなか趣のある場所だ。ルーサーも気に入ると思うぞ」

「ほう。それは面白そうだ」

 

私とルーサーはワクワクした感情を出して商店街に向けて歩き続けた。

 

すると、大きな看板が見えてきた。

 

そこの看板には“春湖丹商店街“と書かれていた。

私は目を細めて呆然とする。

マジか。

春湖丹の名前に負けず劣らず、商店街の左右が白と黒を基調にされた凄い言葉に出来ない商店街だ。

私は、ある意味でダブルを連れてこなくてよかったと思った。

うん。

しかし、本当に凄いな。

店員さん達の服装も白と黒で統一されている。

何故こんなことになったのかは、まぁええか。

あまりの濃い商店街に私とルーサーは呆気に取られた。

その表情を見たエルダーは「どうだ?すげぇだろ?」とドヤ顔をする。

 

うん。

これは凄いわ。

呆気に取られながら、私たちは商店街を歩き続ける。

 

「おおエルダーの兄ちゃん! 1週間振りだね、元気にしてたかい?」

「エルダーの兄貴! 久しぶりだな! 揚げたてコロッケあるんだが買ってくかい?」

「お、エルダー君じゃないか! 最近顔を出さないから心配してたよ! 元気だったかい?」

「兄貴! この前はプラモ手伝ってくれてありがとう!」

「イカ兄ちゃん! 久しぶりにまたサッカーやろうぜ!」

 

行く先々で話しかけられるエルダー。

凄い馴染みように驚いた。

 

「えらい人気者やな」

「ん? あぁここのCDショップ寄ったついでに色々と買ってたからな」

「なーるほどね」

 

そんな話をしながら私達は昼飯を購入しに色々と探し回る。

とりあえず、エルダーの人望をフル活用し、コロッケやお刺身、野菜などを驚くべき値段で購入することに成功した。

 

「「お前凄いな!」」

「だろう?」

 

 

私とルーサーの驚きの言葉に、得意気な笑みとドヤ顔が融合したような表情をするエルダー。

だが、これはその表情をしても許せるレベルだ。

ワイワイガヤガヤと話しながら、歩いていると前からエルダーに声をかける2人の女性が現れた。

その人を見てエルダーは石化した時のように固まる。

なんなら、それを見た私も目を丸く開けて、声にならないレベルの驚愕をした。

 

「この前は本当にありがとうございます!」

「ありがとうございます」

「え? あ、あ、あぁ。君も全画像(元気そう)で何よりだ」

 

急にキョドり、噛みまくるエルダー。

ルーサーはそのエルダーの反応に「???」の態度だが、いや、これはエルダーはキョドる気持ち分かる。

だって……私たちの前にいる2人の女性、少女はメルフォンシーナとメルランディアに非常に似ていたのだから……。

 

「……」

「……」

 

固まるエルダー。

呆気に取られる私。

だが、状況を察したルーサーは自らの能力を使用する。

パチンっ!

と指を鳴らす。

 

 

 

―エスカタストロフィ・レイ―

 

 

 

私とルーサー、エルダー、マザー、ファレグ以外の全ての時間が停止した。

 

「僕達は先に行っているよ!」

「あ、そうだな!」

 

我に帰った私もルーサーの行動を理解して咄嗟にそう言う。

 

「お前ら、ありがとよ!! 頑張ってみるわ!!」

「ああ、エスカファルスの意地見せるんだ!!」

「頑張れよ私も応援してるで!!」

 

ルーサーと私はそう言って全力で商店街から出た。

そして、ルーサーは再び指を鳴らす。

 

 

パチンっ!

 

 

時間が動き出した。

 

 

「あれ? さっき2人居たような」

「? 気のせいじゃないか?」

「そうかな? それよりもこの前はありがとう!」

「あ、いやいや気にしないでくれ。えーと……」

 

エルダーが言葉を詰まらせていると、それに気づいた女性は「あ、自己紹介が遅れたわね。私は芽流本シーナよ。この子は私の妹の芽流本ディア」と笑顔で言った。

その笑顔にドキッとするエルダー。

だが、ここで固まってしまってはいけない。

エルダーは「俺は小野寺エルダーって言うんだ、よろしくな」と爽やか風の少しぎこちない作り笑顔で言う。

 

「ふふ、よろしくね。ねえ、もし時間あったら近くのカフェでお茶しない? この前に助けてくれたお礼に」

「!?」

「この子もエルダーさんに会いたがってたのよ」

 

ディアは「エルダー様、この前はありがとうございます!」と幼い声で深々とお辞儀をした。

 

「あぁ、怪我がなくてよかった。シーナさん達が良ければお茶を……ぇーと、ごいっしょしていいか?」

 

ぎこちない言葉を出すエルダーに、シーナは「フフ」と笑って「もちろんよ!」と返した。

 

 

 

 

その晩。

 

 

 

「あぁ、シーナさん。シーナさん、またシーナさんとディアさんと食事行きてえなぁ」

「どうやらエスカファルスの意地は見せれたようだね」

 

エルダーの姿を見たルーサーは微笑みの表情をして私たちに話す。

 

「あれだけ戦闘バカのエルダーが、あんな恋に堕ちるなんて、そのシーナって女性は相当な強者ね」

 

アプレンティスは考え込みながら、そう言うが……。

まぁ、私は分かるよ。

うん。

 

シーナ、ディアとの食事を思い出して、ニヤケ顔になり、そのニヤケ顔を誤魔化そうと必死で顔を隠すエルダーを見て、私、ルーサー、アプレンティスは微笑ましい目つきで見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「主様。DLSーXDF1000―アルサルの製造が完了しました」

「ふむ、ご苦労様。他の調子はどうだい?」

「はい、統制型DLS―XDD2000ソード及びアックスの最終調整が完了しました」

「なるほど」

「また、砂漠地帯特化統制型DLS―XSD5000ハンマー及び、雪原地帯特化統制型DLS―XRD1000ソードの製造を開始しました」

「まだ時間がかかりそうだね。引き続き、お願いするよ」

「はい、主様」

「……さて、マザークラスタの動きも気になるところ。エーテル適正の高い奴らを使徒にするって噂もある。早々に行動に移したいが……油断は禁物だな」

 

 

 

 

 

 

「ふふ、僕の怒りを……受けてくれよ。地球に住まう人間共……!!」

 

 

 

 

続く

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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