エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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22話 惨劇に近づくと学び舎に死神が近づく。

 

 

 

 

 

あれから、1週間が経過した。

 

 

「できたー!!」

 

ペルソナは舞い上がっていた。

何故か、それは1週間掛けて生み出した創造物出来上がったからだ。

その創造物は六角柱に伸びた1本の結晶の形をしており、青いクリスタルと言える代物だった。

 

「あぁー、長かったー! これまで、とても、長かったー!」

 

生み出した最高傑作を見て、感極まるペルソナ。

そのまま床に大の字に倒れ伏した。

 

「ペルソナさん、大丈夫ですか?」

 

ハリエットが早歩きでやってきた。

ペルソナが倒れた音で駆けつけてきたのだろうと思われる。

 

「んー、大丈夫だよ」

「そ、そうは見えませんが……それに、ペルソナさんの持っているそのクリスタルのような物は一体?」

 

不思議そうな眼差しで、ペルソナの持っている青いクリスタルに目を向け、そういった。

ペルソナは、ヒョイッと起き上がり、クリスタルについて説明する。

 

ペルソナが生み出したクリスタルには、願いの力によって、その人の想像や妄想を具現化させる媒体らしい。

これは、一見すれば、小野寺龍照が行い具現化されたエスカファルスと同じであるが、大きな違いが1つある。

それは、エーテル適性のない者でも具現化でき、エーテル適性のある者であれば人智を超えた存在をも具現化する事ができる。

例えば神とか、自分の考える最強存在や、ゲームの自キャラ等も具現化(生み出す)させることができる等、悪用厳禁な結構やばい代物だ。

 

「めっちゃ頑張ったよー」

「し、しかし、これはかなり危ないのでは?」

「そうだねー。まぁ、大丈夫だよ。このクリスタルにはある制約をつけてあるから」

 

ペルソナの言葉にハリエットは首を傾げた。

 

「制約……ですか?」

「うん。このクリスタルは私と龍照しか扱うことが出来ないようにしてるの! これなら悪用されることは無いよ!」

「な、なるほど……」

「まぁでも、無闇矢鱈に使うのはいけないから、これは金庫の中にでも入れておこうかな」

「(……いま金庫ごと盗まれそうなフラグが立ったような……)」

 

ハリエットは少し不安そうな表情をして、心の中でそう思った。

 

「あれ? そういえば私(龍照)は?」

「龍照さんですか? 彼なら友人の家に行くと言っていましたよ」

 

ハリエットの言葉にペルソナは驚愕する。

 

「アイツ友達いたの!?」

「そ、それは少し失礼ではありませんか?」

「私が私の悪口言ってるからいいの」

「そ、そういう問題では……」

「そんな事より、私(龍照)の友達ってどんなの?」

「い、いえ、私は、彼から行くとしか聞いていないので……」

「なーるほどねー。まぁいいや!」

 

ペルソナは再び床に寝転ぶ。

そして、眼を瞑りながら、こう言った。

 

「1週間も寝てないから、少し一眠りするねー」

 

そう言い終えると、直ぐに眠りに着いたのか、スースーと寝息をたてた。

ハリエットはクスリと微笑んで、「おやすみなさい」と言って部屋から出ていった。

 

 

 

一方、もう1人の龍照はというと。

 

 

 

「おらああああああ!」

「でやああああああ!」

 

 

私は、香山裕樹の家に行き、カードゲームで遊んでいた。

あれ以来、私は香山裕樹と連絡を取り合って、よく遊んだりしている。

話してみると、なかなか私と趣味が合う部分が多く、直ぐに打ち解けて圧倒間に友人関係。

そして、ここ3日間は裕樹の家でカードゲームをしているのだ。

 

デュエマ、遊戯王、ポケカ。

朝に遊びに来て夜まで遊んだ。

裕樹の家はかなり広く、鳥や、猫、犬が沢山飼われていた。

みんな裕樹に懐いており、裕樹もまた動物達に甲斐甲斐しく世話をしている。

そのような光景を見た幻創ニーズヘッグは呆気に取られていた。

幻創ミラボレアスは何やら彼に興味が湧いているような感じを出していた。

 

〚面白い人間だ。興味深い〛

「さいでっか」

「ん? タッツーどうした?」

 

タッツーとは私の事だ。

正直めちゃめちゃ気に入っている。

私は、「いんにゃなんでもないよ」と首を振って、話をすり替えた。

 

「タッツーのターンだよ!」

「あー、すまん! っしゃ俺のターンドロー! ……ろくなカードひかねぇ……」

 

手札を見て絶望する私。

これは酷いや……。

まぁ、なんとかするしか方法はあるまい……。

 

このようなやり取りが9時まで続いた。

 

 

「そろそろ時間やし、帰るわ!」

「おう! 今日もありがとうな!」

 

私が帰ろうとすると犬や猫が玄関まで送ってくれる。

裕樹の両親も「いつもありがとう」と礼をいい、送ってくれた。

 

私はイヤホンでpso2東京夜のBGMを聞きながら、自宅へと帰ろうとした……。

が、そういえば、マザーから呼ばれていたことを思い出しポータルを使って月へと転送した。

 

「さてさて……マザーに会いに行きまっか!」

 

私はスケルトンエレベーターに乗って、月面基地最上階へと登った。

エレベーターの扉が開き、最上階フロアに着くと、そのにはマザーが専用の椅子に座って、私の到着を待っていた。

 

『待っていた。具合はどうだ?』

「えーと、幻創ミラボレアスと幻創ニーズヘッグとでワイワイやってます」

『どこにも異常がない?。』

「はい。特に異常はないですね」

『そうか。』

 

マザーは少しだけ眉をひそめてこちらを見つめる。

そして、1呼吸置いてから、私に話を始めた。

そのマザーから言われた事は、私を絶句させるには十二分過ぎるものだった。

 

『君はもう、人間じゃない。』

「は、い?」

 

呆気に取られる。

急にそんなことを言われても、私はどうしたらいいのだ……。

言葉が喉に詰まっていると、マザーは淡々と言葉を私にぶつけてきた。

 

すまない。

人間じゃない、というには少し語弊がある。

いま、君の身体は

 

人間の他に、七大天龍が一翼の邪龍ニーズヘッグ、伝説の黒龍たるミラボレアス、空を統征する王リオレウス、森羅万象を蝕む闇である深遠なる闇、そこから生み出されたダークファルス。

それらが君の身体に入り交じっている。

マザーは言ったのだ。

 

それは血液も同じ。

赤い龍血、古龍の特濃血、そしてダーカー因子に限りなく近いエスカダーカー因子。

それらが流れているというのだ。

 

「……」

 

私は呆気に取られるしかなかった。

いや、絶句した。

何も言わないまま、私は自分の手を見る。

そこには何も変わらぬ私の手があった。

至極当たり前な事だ。

故に、私の中にそのような物が混じっているというのが、あまりに信用出来なかった。

だが、逆にこう考えよう。

私もなろう系主人公顔負けの中々に強い力を手に入れたと。

 

私は最近見たある動画を思い出す。

辛いことが起こったら、この7文字の言葉を言うんだと。

 

「これでいいのだ」

 

半分程人間を辞めたことに関しては、思うところというか複雑な気持ちはある。

だが、四の五の言っても仕方がない。

 

「これでええねん」

 

どうとでもなる。

それに、この力があれば、べトール達を本当に救えるかもしれない。

あー違うわ、先にニーズヘッグ達と和解をだな……。

 

『大丈夫か?。』

「んえ?」

 

どうやら、かなり考え事をしていたようで、マザーが心配して話しかけてきた。

 

「あ、あぁ、大丈夫です。ちょっとこれからの事で悩んでました」

『幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアスの事か?。』

 

どうやらお見通しのようだ。

私は「そうですね」と少し笑い、これからの事をマザーに話した。

 

「というわけなのですが、よくよく考えたら数千年も生きる龍に、3年で心が変わるのかと。少し不安になりまして」

 

そう言うと、マザーはキョトンとした表情になる。

 

『君の中にいるニーズヘッグとミラボレアスは人間の想いによって生まれた存在。つまり、全て人間の尺度で具現化されている』

「え?」

『つまり、3年もあれば、ニーズヘッグ達の心を動かせる可能性がある。という事だ。』

「はぁぇー」

 

私は何とも言いようのない表情で、マザーを見ていた。

ただ、そうなら、あの2匹に光を見せる事は出来るかもしれない。

少し希望が見えてきた。

 

 

『以上だ。身体に少しでも違和感があったら報告してほしい。』

「もちろんです。それでは」

 

私はそう言ってポータルを使って自分のマンション前まで転送しようとするが、ある人が私の後ろに現れて、反射的に振り返った。

 

「龍照さん、お怪我はありませんか?」

 

ファレグさんの降臨である。

いつもと変わらず、ニコニコした表情からは想像もつかない覇気を放っている。

私の中にある幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアスが無言で彼女を見つめていた。

それに気づいたのだろう、ファレグさんは少しだけ目を開いて「あらあら」と呟く。

 

「とてもお強い気を放っていますね。どうですか、ここで一戦でも」

『ダメだ。ここでやるのは許さない。』

 

ファレグの言葉にマザーが速攻で阻止する。

 

「個人的にまだ辞めておきましょう!」

 

私はマザーに便乗……する訳では無いが、ファレグさんの誘いを断り、直ぐにポータルを起動。

自室へと帰還した。

ファレグさんと一戦交えようもんなら、確実の骨しか残らない。

んな事はごめんである。

 

 

 

 

 

 

 

「ただい……ま……!?」

 

自分の部屋に戻った、そこに広がる光景に私は呆れ果てた。

まーたエルダーとルーサーが恋に侵食されているよ。

 

「あぁー、シオンシオンシオンシオンシオンシオン!」

「シーナ、シーナ、シーナシーナ、シーナシーナシーナ!」

 

病気とすらも疑いたくなる2人に少し戦慄を覚えたが、こんな事で一々戦慄していては、これからの困難に立ち向かうことができないと思い、何も言わずにカバンをソファーに置いて、冷蔵庫から唐揚げを取り出す。

その間も2人は「シオンシオン」「シーナシーナ」と呟いていた。

 

〚人とは愚かなものだ。特にあの2人〛

 

ニーズヘッグもため息をついて、2人の事をディスり出す始末。

だが、私はニーズヘッグのその言葉に笑ってしまった。

 

「あのさ」

 

突然、ペルソナが凄い申し訳無さそうに、入ってきた。

私は何か嫌な予感がしつつも、ペルソナに「何?」と問う。

 

「えーとね、その2人があんなことになったのはね。私がちょっとイタズラを……」

「何したの?」

 

私がそう言うと、ペルソナは大きめなクリスタルを取り出して説明し始める。

 

「えーと、このクリスタルを使ってね。エルダーとルーサーにシーナさんとシオンさんを模倣させてね。競泳水着を着たのをね」

「……」

「そしたらね、ルーサーとエルダーがちょっと可笑しくなっちゃって……」

「おバカ……」

 

ペルソナのお馬鹿発言に、私は頭を抱えた。

 

「わ、私だってまさか、エルダーとルーサーが一撃で沈むと思わなかったの!」

 

慌てて弁解をするペルソナ。

私はもう何も言えなかった。

バカバカしすぎて……。

 

「とりあえず、明日には完治していることを願おう……」

 

私はため息をついて立ち上がり、ペルソナの部屋で寝る為、彼女を連れてこの場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日……

 

 

 

 

とある高校の体育館の裏手にタバコを吹かした明らかに不良な姿をした、男子や女子が何やら話をしていた。

 

「なぁ、最近裕樹のカスが先生にチクってるらしいぜ」

 

笑いながら小馬鹿にしていた。

それに他の取り巻き達も頷く。

 

「馬鹿だよな。先生もこんな面倒事に関わる訳がねえのに!」

「アイツ、趣味とかマジでキモイんだよね〜」

 

女子も裕樹の事悪口を平然といっていた。

 

「どうする? 今日の帰り公園に誘って嬲るか?」

「うはは!いいね!」

「マジで最高! やっちゃおやっちゃお!」

 

タバコをその辺に捨てた、不良達は大声で駄べりながら、教室へと戻って行った。

 

 

呑気なものだ。

自ら開いた破滅の扉に気づくことも無く……。

新たな闇が、連鎖する闇が生まれる引き金を……。

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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