エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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23話 これから起こる惨劇の元凶。

 

 

 

 

 

 

俺は井地芽 大素気ってんだ。

今俺はすげえイライラしてる。

だからよ、コイツを人気のない公園に呼んでプロレスをしてるんだ!

別にイジメじゃねえ、ただのプロレスだ。

まぁ、俺たちに文句を言うやつなんて1人もいねえがな!

 

「お前ホント弱ぇな」

 

地に伏している裕樹を見て俺はバカにするように笑う。

俺の取り巻き達も「ダセェ」やら「キメェ」やら大笑い。

あぁ、スカッとする。

最高に気分がいい。

 

「や、やめて……」

 

雑魚が苦しそうに何か言ってるが、俺には何も聞こえないな。

こいつは抵抗しているつもりなのか、顔を覆っている。

俺はその行動に腹をたてて、奴の腹部に思いっきり蹴りあげた。

 

「うごっ!?」

 

裕樹はキモイ呻き声を上げて、腹を抑えて蹲る。

挙句、口からキモイ色の吐瀉物を吐き出しやがった。

俺を含む全員が嫌悪感を抱く。

 

「うわっ!? こいつ吐きやがった!」

「マジでキモイ!!」

「ホント死ね!!」

 

罵声を浴びせ殴る蹴る。

裕樹はウグだとエグだの呻く。

それでも俺達はこの嫌悪感を晴らすために、何度も何度も蹴りつけた。

 

「も、もう……やめ……」

「うるせーなー!」

「キモイんだよ**! ***!」

 

殴る蹴るを辞めない俺達。

それを止める者が現れやがった。

 

「お前ら何やってんの?」

 

後ろから男性の声が聞こえてきて、全員が振り返った。

そこには、ジーパンに無地の白Tシャツを着た青年がいた。

突然の邪魔者に苛立ちを覚えた俺はソイツに突っかかる。

 

「おい、オッサンなんだよ。何か文句あんのか?」

 

俺はソイツの胸ぐらを掴んでガンを飛ばす。

だが、腹立たしい事にソイツは顔色1つ変えずに俺を見て不敵な笑みを浮かべあげた。

それにキレた俺は拳を握りしめて、奴の顔面を殴りにかかった。

 

「……」

 

だが、奴は俺の拳を受け止めて、逆に俺を投げ飛ばしやがった。

地面に叩きつけられ、背中に重い痛みを感じる。

 

「おぐっ!?」

「……」

 

その光景を見た俺の取り巻きたちは、一斉に身構えた。

俺も立ち上がって再び殴りかかるが……。

 

「おい……!!!」

「!?」

 

ドス黒い気を感じ、奴の後ろには龍のような幻影が視えて、俺達は固まる。

 

「……離れろや……!!!」

 

奴はドスの効いた低い声で俺たちを睨みつけた。

後ろの黒い幻影からも赤い目がこちらを睨んでいる。

俺達は完全に怖気付いて、その場から全力で立ち去った。

 

 

 

 

 

 

「おい裕樹、大丈夫か? 救急車よぶか?」

 

私はバカタレ共を威圧で蹴散らした後、地面に蹲る裕樹に声をかけた。

携帯を取り出して救急車を呼ぼうとしたが、裕樹に制止される。

 

「ゲホッゲホッ……いや、大丈夫。いつもの事やから……エホッ! ゲホッ! ゲホッ!」

 

噎せながら苦しそうにそう言うが、私にはとても大丈夫には見えない。

というか、いつもの事って……。

私は裕樹に初めてあった時のことを思い出し、裕樹に問いただした。

 

「裕樹、お前イジメの事は親に言ったんじゃないんか?」

「言ったよ。それで両親は学校に連絡したけど、全く取り合って貰えなかった……」

「マジか……」

 

裕樹の言葉を聞いて、私はフツフツと赤い感情が湧き上がっていくのを心で感じていた。

だが、その事を裕樹に察しられたのか、「大丈夫だよ。もう一度、明日に行くから」といわれてしまった。

 

「それより、タッツー。さっきはありがとう! もし暇なら今から遊ばないか?」

 

立ち上がり、いつもと変わらぬ笑みで私に話かけてくる。

私は少し心配に思いながらも、彼と遊ぶために裕樹の家へと向かった。

 

「ただいまー」

「お邪魔します」

 

裕樹の家に入ると、母親が迎えてくれた。

 

「龍照君いらっしゃい! いつもありがとうね! 後でお菓子持って上がるわね」

「いえいえ、いつもありがとうございます!」

 

私は笑顔でお礼をして裕樹と一緒に2階の自室へと向かった。

犬や猫、鳥たちが私と裕樹の帰りを出迎えてくれる。

 

〚この男……〛

〚興味深い人間ね〛

 

幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアスはそう呟く。

何やらこの2人は裕樹の事が気になるようだ。

なかなかいい感じかもしれない……。

いい具合にニーズヘッグの感情に変化があってくれ……。

私はそのような事を心の中で思い、裕樹の猫や犬、鳥とじゃれ合いながらカードゲームやら何やらを遊んだ。

 

 

6時……。

 

 

ゲームに遊び疲れた私たちは雑談モードへと移行する。

 

「だからさ、あのムービーよ。テスリーン!」

「あー、うん」

 

私はff14のとあるムービーについて、裕樹に語った。

 

「まぁ、確かにあのシーンはトラウマものだよね」

「ああ! おかげで、あれ関連のワード検索出来へんなったからな!」

「タッツーの気持ちは分かるよ」

「やろ!? あれはヤバい。全ての意味で」

「うむ」

 

私は裕樹に語る。

ff14のトラウマシーンの1つが、どれだけ私の精神を蝕んだかを熱弁した。

正直、pso2にアークスがダーカー化するムービーとか無くて良かったと心の底から思った。

 

人の恐怖が具現化するこの世界に置いて、絶対にあのシーンの幻創種はどこかで出現していると思う。

まぁ、そんな幻創種が居たら私は全力で逃げる。

マジで。

目を瞑って耳を塞いで全力で逃げる自信がある。

確か、マザーもff14やってたはずだから、あのシーンについて聞いてみよう。

 

 

「ふぅ、あのシーンが頭から離れねーぜ……」

「そんな熱弁するから……」

 

頭を抱える私。

苦笑する裕樹。

なかなか微笑ましい光景だが、いかん、このままあのシーンが頭に残るとホントに具現化されるかもしれん。

あれ普通に何も知らん子供がみたら泣くんじゃないか?

ダメだダメだ、なんか別のこと考えよう。

……そうだ、推しの対魔忍の競泳水着の姿を妄想して、トラウマシーンをかき消そう。

あんな幻創種が具現化されようもんなら卒倒もんだ。

 

 

 

 

7時

 

 

「裕樹粉塵粉塵!」

「おけおけおけ!」

「この原初レウス強すぎやろ」

 

雑談からモンハンワールドフロンティアオンラインを一緒にプレイしようと言うことになり、私は裕樹のPCの1台を借りて狩りに行っている。

 

「ちょっと待てバゼルが乱入してきよったぞ!」

「またかよ! タッツー肥やし持ってる?!」

「補給忘れた、1個だけ」

「それ頼む!」

「あ、ごめん、外した」

「バカ!ドンマイ!」

 

 

 

「神龍強すぎやろマジで」

「タイダルウェーブの回避がシビアすぎるよね」

「今回は何とか回避できたけどさー」

「神龍の攻撃が苛烈極まっとる」

「ごめんやられた」

「ドンマイや」

 

 

 

 

8時

 

 

「あ、皆に餌あげないと」

 

ハッとしたように裕樹は立ち上がり、犬や猫、鳥達に餌をあげ始める。

皆「待ってました」と言わんばかりに、裕樹に集まってくる。

裕樹は笑顔で1匹1匹に丁寧に餌を与えていた。

 

〚……〛

〚いいね〛

「そういえば」

「ん?」

 

餌をあげ終えると、裕樹はハッとしたように私の方を見る。

私はスマホでモンハンのスキルシュミレーターでスキルビルドしながら返事を返す。

 

「タッツーの背後にドラゴンみたいな影がいるけど、背後霊的なやつなの?」

「……え?」

〚!?〛

〚!?〛

 

裕樹の言葉に私を含む黒龍、邪龍が時間が止まったかのように固まる。

私のその表情を見て裕樹は何かを感じたのか、少し狼狽した表情になる。

 

「あれ? これ聞いちゃいけない事だった? それとも見えちゃいけないやつ?」

「いや、そんなことは無いけど見えてるの?」

「うん。ちょっと靄がかかってるけど」

「oh.......まさか見えているとは……」

 

私がそう言うと、裕樹は凄い興味津々に食いついてきた。

 

「この2匹のドラゴンって誰なの?」

 

まぁ、そう来るよな。

はぐらかすのもあれだと思い、この2匹の事を話した。

幻創ニーズヘッグと、幻創ミラボレアスの事。

具現化された出来事。

なぜ、私に2匹の龍が住んでいるのか等。

その話をきいた裕樹は当たり前だが、驚きを隠せずにいた。

 

「本当にff14のニーズヘッグとモンハンのミラボレアスがタッツーの中にいるのか?!」

「正確には、ニーズヘッグとミラボレアスの形をしたナニカやな」

「それでも、凄いよ!!」

 

〚……〛

〚凄い見てくるね〛

 

幻創ニーズヘッグは何も言わずに、幻創ミラボレアスは不思議そうに裕樹を見つめていた。

 

「タッツーも大変だね」

「まぁな」

「俺から、ニーズヘッグ達に言える事は、人間には悪い人もいるし、良い人もいる。それでも昔のイシュガルドよりかは、マシ……だと、思う?????」

「なぜ疑問符なんだ?」

「お、俺も自信が無いから……」

「そうか……私も同感だけどな」

「ま、まぁ、とにかくニーズヘッグとミラボレアスは自分の眼で世界を見たらいいと思うよ。もしかしたら、自分の価値観が変わったりすると思うから」

 

裕樹は私ではなく2匹を見て、そう言った。

2匹はそれを聞き、グルルと唸り声をあげる。

ん?

ていうか、待てよ?

幻創龍2匹の姿が見れるって事は……。

 

「裕樹ってエーテル適正あるのか!?」

「そうなのかな? 自覚ないや」

「いや、幻創種であるこの2匹の姿を多少の靄ありやけど見れるのは適正あるぞ」

 

私は裕樹にそう説明する。

実感が湧かないのか、裕樹はうーむと首を傾げていた。

ん?

それなら……。

私はある案が頭に浮かんだ。

だが、まだ確定ではないので、私はここでは言うのを辞めた。

 

「さて、そろそろ時間やしお暇するかなー」

「お、そうかそうか!」

 

私は荷物をまとめて立ち上がる。

裕樹も私の荷物の片付けを手伝ってくれて、私はカバンを背負い玄関へと向かった。

 

裕樹の母親にも見送られながら、自宅へと帰る。

と、思わせて角を曲がった時に、ポータルを使って月面基地へと転移した。

 

「マザー、少しお願いがあるのですがよろしいですか?」

『?。』

 

私は真面目な表情でマザーに訊ねた。

 

「私の友人に香山裕樹という方がいまして、その方をマザークラスタに入れる事は可能ですか? それと、裕樹を天星学院に転入させることは出来ますか?」

 

と。

 

 

 

 

 

黒いマザーシップ内部。

 

製造場で、白衣を羽織った男性が黒い装甲を纏った機械人形と思われる物を見つめていた。

 

「主様」

「マノンか、どうだい?」

「やはり、どれも期待していた数値を上回る事が出来ません」

「うむ。やはりエンジンを変えるしかないか。他に何かエンジンはあったかな?」

「あるにはありますが……」

「何か問題があるのかい?」

「はい。このフォトン粒子エーテルエンジンは、永久とも言える出力を出すことが可能ですが……」

「条件が厳しいと?」

「はい。このエンジンを動かすには、人の想いが必要になります」

「人の想い?」

「はい。つまり……」

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、確かに難しい条件だ……。そのエンジン内に入れる事は可能だが、それを見つけて調達する事ができない。これは無理だな……。他を当たろうか」

「了解しました」

 

男性と女性は別のフロアへと向かった。

 

 

 

続く

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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