エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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26話 終わった……。

 

 

 

 

 

 

朝。

素晴らしい目覚めだ。

私はベッドから降りて、トーストと目玉焼きウィンナーを具現化させた。

正直、具現化された飯は食べたら消化される瞬間にエーテル粒子に霧散した挙句、ゲップと同時にエーテル粒子がモワァっと出るから中々お下品な事になる。

それ故にあまりやりたくないのだが、冷蔵庫に飯が無い+寝起きから飯を買いに行きたくは無いので致し方なくエスカ朝飯を食べることにした。

味はビビるほど美味い。

まぁ、美味い飯と想像して具現化したから当たり前なのだが。

そういえば、今日は裕樹の学校で転校の手続きか。

帰りは……何時ぐらいになるやろうか。

わからん……とりあえず、それまで何するか。

 

 

「おはよー!」

 

デカパイ仮面が現れた。

私服であるピッチリスーツを着て……。

もー、朝っぱらからやめてくれや……。

心臓と股間に悪い……。

コイツには恥じらいという感情が欠落しているのか?

あー、違うわ。

私が女性だったらって妄想が反映されてるから、こういうのは恥らわないんだ……。

なんてこった……。

あと、くそ可愛いのが物凄い腹立つ。

 

「先輩、おはよう。キュウリのQちゃん余ってるからお裾分けしに来たよ」

 

キュウリのQちゃんをタッパーに詰めて持ってきたエルミルは、ペルソナの姿を笑顔でおはよう!と言った。

ペルソナも笑顔でおはよう!

と返した。

初めはペルソナの胸にヘイトが行っていたのに、いまそんな素振りもなく普通に話をしているエルミル。

慣れとは恐ろしいものだ。

マジでペルソナのおっぱいウォークライやからな。

pso2のハンターでもあそこまでヘイトを稼ぐことはできんと思う。

 

 

「あ、それとこれもあげるよ」

 

エルミルはそう言って1つの箱を取り出して、私に手渡す。

 

「何これ?」

 

私は不思議な表情でエルミルの方を見る。

エルミルは何も言わずにコクリと頷いた。

それを確認した私は箱を開封した。

 

「おおおおおお!」

箱の中にはホールのショートケーキが入っていた。

これは凄い!

私はエルミルにあることを訊ねてみた。

 

「え? これエルミルの手作り?」

「そうサ。僕特性ショートケーキサ!」

 

得意げな表情で答えるエルミルに私は何故か、コイツが鼻歌を歌いながらケーキを作ってる光景を想像してしまい、少し笑ってしまった。

 

「何を笑っているのサ!」

「待て待て違う! オメガのエルミルを見た私からしたら、料理をしてるエルミルが意外すぎてな!笑って悪かった!」

 

不機嫌になるエルミルを謝りながら必死宥めた。

 

「まぁ、いいけどサ。それより食べて、感想聴かせてよ」

「おう、わかった」

 

エルミルに言われて、私は朝からケーキという中々贅沢な朝飯を頂く事になった。

私はそのケーキを切って、皿に置いた。

それをテーブルに置いた私はフォークを持って、そのケーキを口に含んだ。

 

「……!」

 

食べた私は目をパッと見開いた。

これは美味いな。

下品な甘さではなく、かと言って上品な甘さのでもない。

エスカファルス・ペルソナ風に言うなら、ムッツリスケベな甘さ。

と言うべきだろう。

非常にバランスの取れた味だ。

スポンジもふんわりとした食感で、かつ仄かな甘さがあった。

まぁ、ぶっちゃけ何が言いたいのかと言うと、めっちゃ美味い!!

それに限る。

なんなら、これをエルミルが作れた事に驚きを隠せない。

 

「これすげー美味いな!!」

 

まぁ、ただ、私は大体の食べ物を食べて美味いと言ってむしゃむしゃ食べる故に、私の美味いはあまり信用出来ない部分がある。

だが、これは胸を張って言える。

クソ美味い。

 

ペルソナも「すっごぉ、めっちゃ美味い!!」と絶賛していた。

 

「それなら、良かったよ」

 

エルミルは自身の作ったケーキが好評で、とてもご満悦の様子だった。

腹立つぐらい守りたい笑顔で言う姿は元のエルミルからは、とても想像し難いものだ。

正直、一瞬エスィメラでも入ってるのではないかと思ったがそういう物もない。

私はエルミルだからと言う理由でそんなことを疑ったことを恥じた。

だが、次の瞬間、エルミルはその表情を崩さずにこう話を持ちかける。

 

 

「それじゃあ、先輩これ買って!」

「はい???」

 

私は眉を顰めてスマートフォンの画面に映る物を見た。

そこには、様々なグッズが映っていた。

 

「僕いまお金なくてねー」

「待て、何故ケーキを食べてそうなる?」

「だって僕ハンドメイドのケーキを食べたんだよね。だから、そのお礼という事で僕に」

「まるで意味が分からんぞ……」

「エルミルは何を言っているのだ?」

 

エルミルの超理論を前に呆気に取られる私たち。

ちなみに金額を見たが、タペストリーやら抱き枕やらフィギュアやら、総額30万は行っていた。

あのケーキは美味しかったがちょっと待て。

 

「ダメかい?」

「ダメ」

「なんでサ!?」

「逆に何故この総額を提示してOK貰えると思ったんだ!?」

 

エルミルの言葉に私はツッコミを入れる。

 

「別にいいじゃん! 貯金いっぱいあるでしょ!?」

「あるけど、そんなにポンポン使ったら無くなるやろ!」

「そんなー!」

 

ガーンという音でも聞こえて来そうな程に、悲壮に満ち満ちた表情で膝崩れるエルミル。

ちょっとだけ哀れに思えて来た……。

だが、少しだけ疑問が残る。

 

「ていうか、私が上げた小遣いはどうしたのよ?」

「全部使った」

「なんすと!?」「ぱんすと!?」

 

ペルソナがいらん事を言っているがそれを無視する。

 

「1ヶ月に12万あげてるよな?」

「うん」

「何に使った??」

「えーと、ゲーミングPC」

「お前……人のこと言えた立場やないが、もうちょい計画的に使ってくれ……」

「はーい」

「まぁ、3万ならええよ」

「本当かい!?」

 

顔を上げて、パァァっと眼を輝く。

ちょっと涙目なのが、うん。

 

「だが、条件がある」

「条件?」

「ああ、買った物をしっかり私に見せること。無論、レシート。残りの金。それを了承してくれるなら、その3万は好きに使うといいわ」

「本当かい!? やったー! ありがとーーー!」

「しっかりと買った物見せろよ? 万引きとか犯罪行為だけはするなよ??」

「分かってるサ! それじゃあ後でアキバに行ってこよーっと!」

 

眼をキラキラと輝かせて、軽やかなステップで自分の部屋へと戻って行った。

その姿は100円を貰った5歳児である。

 

「おい、あのエルミルがオタクに走って行ってるぞ」

「原作のエルミルに比べたらこちらの方が圧倒的に幸せだろうし、いいんじゃない?」

 

確かに、ペルソナの言う通り……なのかな?

私は何とも言えない表情で「まぁ、そうやなー」と言った。

 

「それより、デートしない?」

「唐突過ぎねーか?」

「暇なんだよね」

「朝から暇なんて言うやつあんまりおらんぞ」

「朝ごはん食べた。デザート食べた。歯磨いた。トイレした。発電した。他に何しろっていうのよ。それに私(龍照)は暇じゃないの?」

 

不思議そうな表情で言うペルソナ。

私は幻創むぎ茶を生み出してそれを一呑みしてからこう言った。

 

「ああ、今日久しぶりに月面で龍型エスカダーカーの鍛錬でもしようかなって思ってる」

 

すると、ペルソナは「じゃあ、私も眷属生み出すから、1回戦ってみる?」と言う。

 

「まぁ、ええけどさ」

 

私はそう言って立ち上がろうとした時だった。

バンっ!

と勢いよく扉が開き、物凄い嬉々としたエルダーがやってきた。

 

「闘争の気配を感じたぞ!!!」

「「ああああああああ!!?」」

 

いきなりの訪問に私とペルソナはホラーゲーム実況者レベルの悲鳴をあげてひっくり返った。

 

「あ、す、すまん」

「驚かすなや!!」

「おバカ!びっくりしたでしょ!」

 

キレる私とペルソナ。

シュンっとした表情で反省するエルダー。

だが、直ぐに元に戻り闘争をせがみ始める。

 

「闘争するなら俺も混ぜてくれ!」

「私はええけど……」

 

チラッとペルソナの方を見る。

彼女は「いいよ。三つ巴の戦いになるかな?」と言った。

 

「あー、待って。私エスカファルスに成れない」

「あの龍には成れないのか?」

「部分的には成れるけど完全な姿になるのは、幻創龍に頼まんと無理や」

 

そう私が言うと、エルダーは「んじゃあ頼んでくれ!」と言ってきた。

なんて無茶振りを……。

 

「話聞いてたか?」

〚我は問題ない〛

〚いいよ〛

 

マジか!?

予想外の返答に驚きを隠せない私。

思わず「何故?どうして!?」と聞いてしまった。

 

〚鍛えないと、アイツに勝てない〛

〚面白そう。あともっと強くなれる〛

 

幻創ニーズヘッグが言うアイツとは、ファレグさんの事だろう。

まぁボコボコにされたもんな……。

幻創ミラボレアスは知らん。

なんか初めに見たあのドス黒いオーラとは打って変わって、自由人っぽい感じだ。

ミラボレアスというドラゴンがこの様なものなのだろうか?

それとも、世界中の人々の想いによって生まれた存在故、性格もゴチャゴチャになった結果なのだろうか……。

まぁ、ええか。

考えても仕方ない。

それに敵意や復讐心を持つより、ずっとマジである。

 

 

「いいってよ」

 

私がそう言うと、エルダーは「っしゃああ!」とガッツポーズをとる。

 

「三つ巴でいいんだよね?」

 

ペルソナが確認すると、エルダーは首を振って「いや、お前ら2人で来てくれ!」と言う。

 

「ええのか?」と私とペルソナ。

 

「ああ、不利な状況の方が強くなれるし、楽しい」

「さよか」

「まぁ、別にいいけど」

「っしゃ! じゃあ早く月面に行こうぜ!」

 

 

エスカファルス・エルダーVSエスカファルス・ペルソナ&エスカファルス・リベンジの戦いが決まった。

無論、月の裏側での戦闘だ。

月の裏側に着いた瞬間、刹那の速度でエルダーは完全体に変身。

いきなり巨大な腕を使った叩きつけを繰り出してきた。

 

「はえええよお馬鹿ああああああ!」

「出オチすぎるでしょおおおおおお!」

 

その衝撃波に吹き飛ばされる私とペルソナ。

だが、こちらもむざむざとやられる訳にはいかん。

吹き飛ばされながらも、私たちも変身する。

 

「じゃあ、2匹とも頼むぞ!」

〚……分かった〛

〚あいよー〛

 

私は眼を瞑り、カッと開眼。

左右がニーズヘッグとミラボレアスの眼になり、全身が黒いオーラに包まれる。

 

〚〚「さぁ、行くぞ」〛〛

 

1人2匹の重なった声が聞こえ、黒いオーラを解放し、あのドラゴンが姿を表した。

ニーズヘッグ、ミラボレアス、リオレウスこの3匹を継ぎ接ぎにつけたような姿の龍。

エスカファルス・リベンジだ。

 

「来たか、ドラゴン」

「よそ見厳禁!!」

 

ペルソナは深遠なる闇の姿で、巨大なコートカタナを使って一刀両断する。

 

 

ー崋山撫子・深遠式ー

 

 

「させねえよ!」

 

エルダーは腕に冷気を纏わせて硬化。

巨大な刀の振り下ろしを受けきった。

鉄と鉄がぶつかるような音が木霊する。

 

「硬った……なにこれ……!?」

「炎すら凍らせる氷だよ!」

「絶対零度を、上回るなやぁ!!」

 

文句を言いながら力を込めるペルソナ。

パキパキと氷の割れる音が聞こえてくる。

もう少し、もう少し……。

しかし、そんな鍔迫り合いの中、エルダーは残っている腕を使ってペルソナを羽交い締めにする。

 

「グッ……!?」

「腕はまた沢山あるんだよ!」

 

ペルソナは抵抗するように身体をくねらせるが、エルダーの力は相当なもので解くことが出来ない。

そんな中、エルダーは額の青いコアから紺青色のエネルギーが漏れ出る。

 

「これはヤバいマジで!!」

「耐えてみろよ!!」

 

エネルギーが臨界を超えた時、眩い閃光が額付近を灯す。

 

「破滅の一撃を!!!」

 

エルダーの声と共にエネルギーが放たれた。

しかし……。

 

 

ー創炎ー

 

 

青々しい特大の火球ブレスがエルダーに直撃。

火球の大きさからは想像もつかない規模の爆発にエルダーの身体の半分がバラバラ崩壊した。

 

「っ!?」

 

〚〚「……!!」〛〛

 

ブレスが飛んできた方を見ると、小野寺龍照&幻創ニーズヘッグ、幻創ミラボレアスことエスカファルス・リベンジが鬼気迫る表情で突撃してきた。

 

「!?」

〚〚「叩き斬る……!!」〛〛

 

 

斬造(きりつくり)

 

 

リベンジは咆哮し、前方に巨大な斬撃を生み出して、エルダー目掛けて飛ばす。

だが、リベンジの攻撃はこれだけでは終わらない。

 

 

焔迎え・終炎雨創造り(ほむらむかえ・ゆうだちあめつくり)

 

 

 

再び天高く咆哮が響く。

刹那、月面上空に小さな火の玉が無数に造られていく。

 

「ほう、おもしれーじゃん」

「何もおもんないわ!!味方ごと潰そうとするなあああああ!」

 

〚〚「終われ……!!」〛〛

 

リベンジの言葉に呼応するように、無数の火の玉は小さな槍となって月面目掛けて夕立ちのように降り注いだ。

 

「その雨全部ぶった斬ってやる!!」

「ていうか、空気のないところで炎を顕現すんな!!」

 

ペルソナは愚痴りながら徒花の形態に逆行して、防御態勢に入る。

一方エルダーはエルダーペインを具現化し、ノリノリで切り裂く気満々だった。

 

〚〚「人は愚かなものだ、特にお前」〛〛

「俺は愚かだよ、火の雨を切り裂こうとする奴やぞ舐めんな!!」

 

リベンジの呆れた言葉に堂々と無敵すぎる発言を返すエルダー。

彼の持つエルダーペインが青い光の刃を形成し、リーチが格段に伸びる。

 

「ぶった斬る!!!」

 

 

-オーバーエンド・スラッシュ-

 

 

迫りくる炎の雨をエルダーは巨大なエーテルの刃を纏わせたエルダーペインで全てをぶった斬った。

強力なエルダーのエーテル粒子によって、リベンジが創り出した炎は全て跡形もなく消え去る。

それを見たエルダーは得意げな笑みを浮かべた。

 

「マジか……」

「どうよ?」

 

唖然とするペルソナ。

ドヤ顔のエルダー。

 

〚〚「前言撤回する。お前は化け物だ」〛〛

「当たり前だろ、こちとらダークファルスだ!」

〚〚「それならこれはどうだろうか?」〛〛

 

 

妖焔・蛇火の戯れ(ようえん・へびのたわむれ)

 

 

リベンジの周辺から蛇の形をした蛇がニョロリと現れ、エルダーに巻きついてくる。

それは炎に意思が宿っているかの如く、しつこくエルダーの身体にまとわりつく。

 

「なんてふざけた力だ!」

 

エルダーは愚痴を零しながらも力を解放して、まとわりつく炎を霧散させる。

だが、その隙をついてペルソナが全ての花弁からエーテル粒子を突起させて突撃した。

 

「ぐあっ!?」

「隙ありいいいいいい!」

 

身体の右半分が砕け散る。

エルダーは即座に欠損部位を再生させようと試みるが、往復してきたペルソナの突撃に左半分も砕け散った。

今のエルダーは額のコアより下が破壊されて、本当にたけのこの里のような状態になった。

だが、そのような状態になっても尚、エルダーがくたばるはずもなく。

 

「まだ終わりじゃねーぞ!!」

 

エルダーは自身の氷結能力を駆使して、バラバラになった身体を全て氷で補強した。

 

「どっかの海軍大将みたいなことしてるよ……」

〚〚「我が炎で焼くだけだ」〛〛

 

リベンジとペルソナはエルダーに攻撃を仕掛ける。

 

「応えよ深遠……」

 

エルダーの氷の手が赤い炎を纏い出す。

2人はエルダーのセリフにこれはヤバいと察知し、攻撃をやめてエルダーから一気に距離を置いた。

 

「俺の力にいいいいいいい!」

 

両方の掌に圧縮された炎を解放。

エルダーを中心に大爆発を起こした。

更に大爆発する中から槍の形をした槍が、四方八方に放たれた。

 

 

焔影・動守(ほむらかげ・うごかぬまもり)

 

 

邪眼が光を放ち、リベンジの前方に炎の壁が出現。

迫る槍を相殺した。

 

「へっ、最高だな」

〚〚「同じ意見だ」〛〛

「そんな事言ってる隙あるの?」

 

コートエッジDFEを生み出したペルソナは、大振りの攻撃を行った。

 

「ねえな!」

 

ガギンっ!

と金属音と共に両者の刃のぶつかり合いに火花が散っていた。

 

「くっ!」

「ペルソナも大概つえーぞ」

「ありがとね!」

 

ペルソナはテレポートを使ってエルダーの後方に瞬間移動する。

 

「!?」

「形を示せえええええええ!!!」

「チッ!!!」

 

エルダーは舌打ちをしながら、刀を具現化させて対応する。

 

「これでも防ぐとかバカでしょおおおおおお!」

「褒め言葉だよ!!」

 

金属音、火花が散る音。

2人の力を込めた声。

そんな中、戦況が進む事が起こる。

 

 

〚〚「ペルソナ。そのまま鍔迫り合っててくれ」〛〛

 

 

リベンジはそう言って、天に向けて人吠えした後、上空へと飛翔。

その際、リベンジの顔や腹部、翼は蒼く煌めく炎を纏わせた。

そして、エルダーへと狙いを定め……。

 

一瞬溜めたと思いきや、月面を覆う程の焼き払う火炎放射を発射。

その攻撃にペルソナはマジギレする。

 

「そんな技味方いる前に撃つなぁああああああああ!!!」

「はっ! どんな攻撃だろうが、打ち返してやる!!」

 

鍔迫り合いに勝利したエルダーは、怯んだペルソナを拳でぶん殴り月面に叩きつけた。

そして、エルダーペインを持って再びオーバーエンドを打つ態勢をとる。

 

「さぁ、来いよ!! お前の炎、俺がぶった斬ってやる!!」

 

そう啖呵を切るエルダー。

次の瞬間……。

 

 

-劫火-

 

 

 

火炎放射を爆発的に上昇させ、万象を焦土に変える超絶的な炎をエルダーに浴びせた。

月に近づいていたスペースデブリ等、それら全てを溶かす勢いの熱量の前には、流石のエルダーを抵抗する事は出来ず、補強していた氷の身体も一瞬にして蒸発。

断末魔をあげる暇さえ与えずに、完全体が解けたエルダーは月面に叩きつけられた。

 

 

「ごはぁ!! はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」

 

大の字で倒れたエルダーを前にゆっくりと翼を羽ばたきながら着地するリベンジ。

 

〚〚「まだやるか?」〛〛

「いや、俺の負けだ」

 

エルダーは起き上がり、足を崩した体勢で息を切らしながら、そう言った。

 

「こらああああああ!!」

 

ペルソナは大声を上げながら、リベンジの頭をグーでパンチする。

 

〚〚「ぐぅ!」〛〛

「少しは加減しろおおおおおお! 殺す気かああああああ!!」

 

どうやら、先程の攻撃が余程気に入らないらしい。

怒声を上げながら、リベンジをボコボコ殴る。

申し訳ないと謝るリベンジ(完全体)。

切れるペルソナ(完全体)。

仲介に入るエルダー。

 

そして、その様子を伺う1人の影。

 

「ふふ、良い具合に成長しているようですね」

 

その女性は続ける。

 

「全力であなた方と相見える機会が、楽しみでなりませんよ」

 

と。

穏やかなで、だが内側には途方も無い闘争心を秘めた言葉で……。

 

 

 

 

 

12時。

 

転校の件で待っている裕樹。

 

「早く帰ってタッツーと遊びたいな。それと真衣菜をあのマンションに呼びたいな。楽しみだ」

 

そこであのイジメっ子、井地芽 大素気やその取り巻きがやってきた。

 

「おい**!」

 

暴言どころの騒ぎでは無い言葉を裕樹に投げかけた。

 

「……」

 

裕樹は大素気の事を無視する。

こういうのは無視するのが1番だ。

無視されて腹を立てた大素気はニヤリと微笑み、ポケットからスマートフォンを取り出した。

 

「**裕樹さぁ、これ見ても俺達のことシカト出来んのか?」

 

大素気はそう言うと、裕樹に1つの画像を見せた。

 

「え……??」

 

それを見た裕樹は顔を青ざめて画像を見る。

そこには白い液に覆われて涙目になりながらピースをとる真衣菜の姿がいた。

 

「な、なんで……!!」

「んなははははな! お前が入院してる間に、お前の彼女を頂いたんだよ! まぁ、最初は抵抗してたけど、写真の事やお前の事を脅して一日に何回もやったよ!!」

「あぁ、アイツの〇〇〇は最高だったよ!!今日の朝もアイツに抜いてもらったしな!!」

「あいつも馬鹿だよな! こんな**の為に初めてとってたなんてよ!」

「ホントホント!」

 

ゲラゲラと笑う大素気と取り巻き。

更に大素気は続ける。

 

「まぁ、一日何百回もやったおかげで、ヤリ〇ン狂いのクソビ〇チに大変身さ! 金がねえ時はアイツに頼んで夜の店で稼いで貰ってるよ!!」

「う、うそ……だ……」

 

絶望のどん底に叩きつけられる裕樹。

更に大素気はある事を打ち明ける。

 

「あー、そうそう。言うの忘れてたけど、お前の家燃やしたの俺達だからさ!!」

「!!?」

「マジで面白かったよなー! お前のカーチャンやトーチャンの断末魔!」

 

「ああああああああ!!とか、いああああああああ!!とか!! いやいや近所迷惑やからww」

大素気の言葉に取り巻き達がドッと爆笑する。

 

「ゆ、裕樹、あなたは……生きるのよ! 私たちの分、まで……」

「大素気似てるwwwwww!!」

「先輩最高っすwwwwwww!!」

 

炎に巻かれる直前の裕樹の母のモノマネをダミ声ありでする大素気に再び起こる熱狂の嵐。

裕樹は彼女を寝取られ、弄ばれた絶望と幸せな家族を奪われた絶望に発狂寸前だった。

それを見た大素気は満面な笑みで、裕樹の背中を叩いてこう言った。

 

「そう気を落とすなって! いざとなれば、お前の元彼女抱かせてやるから!まぁ、俺たちがいっぱいやったからガバガバだと思うけどなwwwwwwww!」

「それと、もうアイツ快楽で頭おかしくなってお前の事覚えてないかもよwwwwwwwww!」

「だよな! あれもうセ〇クス依存性の廃人だわwwwww!」

 

 

wwwwwwwwwwwwwwww

この場所にいた裕樹以外の人物全てが草原に包まれるほど、大爆笑をしていた。

 

 

「こ、こいつらが……おれの、たいせつなひとを」

 

2つの絶望が裕樹を包む。

その途方も無い絶望は、周りにあるエーテル粒子に反応する程に……。

 

青いエーテル粒子が赤く染まり、裕樹の身体を蝕んでいく。

 

その異常な光景に大素気や他の取り巻き達も異変を感じ、呆然と裕樹の方を見つめていた。

 

 

 

もういいや

おかあさんおとうさん

まいな

たつてる

ごめん

おれは

おれは

 

 

あはぁ

すごいきぶんがいい

さっきまでのきもちがうそのようだ

いまはさいこうにちょうしがいい

ふしぎだ

どうしてこんなにきぶんがいいのだろう

 

 

あぁ

 

 

 

 

 

 

 

こいつらぜんいんころしたい

 

 

 

 

 

 

つづく

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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  • ダメ。
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