エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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3話 具現化のやり過ぎで頭痛を起こすアホ

 

 

 

 

 

 

「……むぅ」

 

目が覚めた私はソファーから降りて、出掛けることにした。

現在時刻は11時。

近くのファーストフードで朝飯を済ませようと考えた。

 

「……服、買わないとな……」

 

冷蔵庫やテレビ等の家電製品はマザーの計らいか、結構高級な物を用意してもらっていたので、私が用意するものは、服と食材だ。

鍛えるのは、後でするとして、まずはその2つをどうにかしないとな……。

マンションを出た私は、頭をボリボリと掻きながらファーストフードを探しに彷徨うことにした。

 

「……」

 

若干、眠気が抜けない私は長い欠伸を決めながら、ファーストフードを探す。

しかし、その眠気を吹き飛ばすある事件が起こった。

 

「ひったくりいいいい!!!」

 

女性の悲鳴に近い声が周辺の建物に反響する。

通行人たちは、その女性のほうを一瞬みて、その後すぐに黒いヘルメットを被った男の方に視線が向く。

しかし、いきなりのことで全員身体が動いていなかった。

かくいう私もその一人である。

しかし、我に返った私は自然と足が動いた。

 

「……!!!」

 

中学の頃、科学部に所属していながら、陸上部に匹敵するスピードを持っていた私は引ったくり犯を追いかける。

 

「……あのやろ……」

 

裏路地に回られたが、それでもすかさず追跡する。

巻けないと思ったのか、引ったくり犯は立ち止まりとんでもない物を取り出した。

 

「おいまて落ち着け!」

 

私は声を荒げる。

これは洒落にならん。

引ったくり犯が取り出した物はナイフだ。

どうやら、自棄糞になっているようで、今にも襲いかかってくる勢いに、私は少し後退る。

しかし、本気で殺すつもりはないようで、私の後退る姿を見た引ったくり犯は、逃げる動作を見せた。

 

「……」

 

やっていいのか分からなかったが、私はとあることをしてみた。

 

「(エスガン……)」

 

そう心のなかで呟く。

すると、エスガンが具現化された。

「出番だー!!」と言っているかのように、金切り声を発しながら前足を上げた。

 

「!?」

 

引ったくり犯は驚き、今度は彼が後退る動きを見せた。

彼にはエスガンが見えるようだ。

エーテル適正の低い人は、幻創種は見えない的な設定があったはずなのだが、彼はエーテル適正が高いのだろうか?

 

「やれ!」

 

私はエスガンにそう命じるとエスガンは物凄いスピードで接近、四本足を使った力強い跳躍を披露。

そして、落下と同じに前足にエーテル粒子を纏わせ、そのまま地面着地。

引ったくり犯がいる前方に衝撃波を起こして、引ったくり犯や近くにあったゴミ箱諸とも薙ぎ倒した。

 

「ぐあああああ!!!」

 

彼は断末魔を上げて吹き飛ばされた。

私はすかさず、エスガンに礼の言葉を言った後、具現化を解除させて彼を捕まえる。

 

「引ったくり犯を捕まえました!! 誰か警察を呼んでください!!!」

 

大声で叫ぶ。

その声を聞きつけた人々がぞろぞろと現れ、少ししたら誰かが通報してくれたのだろう。

警察が駆けつけてきた。

とりあえず、引ったくられたカバンは、持ち主の元に戻ったようで、よかったよかった。

そのあと、私は警察から事情聴取を受けることになった。

そして、聴取が終わったときには、3時を回っていた。

空腹が最高潮に達しており、もう何でもいいから食べたいと頭の中は、それでいっぱいだ。

頭の中はいっぱいなのに、お腹は空腹。

なんとも面白い矛盾だろうか……。

 

「腹減った……」

 

しかし、それを彼女が許さなかった。

そう、マザーである。

私は突如、マザーによって、月面拠点に転送されたのだ。

 

『突然で申し訳なく思う。小野寺龍照。君に渡すべきものがあった。』

「渡すべきもの?」

『これを。』

 

そう言って頂いたのは、クレジットカード、通帳と黒色で縦長の革財布だ。

やけに生々しいものをくれるな……。

 

『通帳の番号は財布の中に入れてある。後で確認するといい。』

「あ、はい。ありがとうございます」

 

私はペコリとお辞儀をした。

これってマザーが口座作ったのかな、だとしたら少し可愛いな。

まぁ、それはないか。

 

てか、マザーに呼ばれてちょうど良いと感じた私は、マザーに私の具現武装について尋ねた。

 

「すみません。私の具現武装についてなんですが……」

『どうした?。』

「これって、私の具現武装はエスカダーカーってことでいいんですかね?」

 

私はマザーに質問をすると、マザーはコクりと頷く。

 

『その考えで間違いはない。君の努力次第で、様々なエスカダーカーを具現することができるだろう。そして、最終的には、ダークファルスをも具現することが可能となる。』

「なるほど……。すません、エーテルを操るには、どういった風にすれば良いですか?」

『簡単なことだ。具現武装は、使い手の意思と心の強さが反映されている。強い意思や、精神力を持ってすれば、自ずと強くなれる。』

「そう言うものですか。分かりました。ありがとうございます。では……」

『君は、使徒になる素質がある。期待している。』

 

使徒か、待て、私が使徒になったら他のpso2にいた使徒はどうなるのだろうか。

現状マザークラスタ幹部の地位に確定でいるのは、

土の使徒アラトロン・トルストイ

火の使徒ファレグ・アイヴズ

 

予測として、

水の使徒オフィエル・ハーバート

木の使徒ベトール・ゼラズニィ

 

この4人だ。

PSO2では、

上記の4人に加えて、

金の使徒亜贄萩斗

日の使徒オークゥ・ミラー

月の使徒フル・ジャニース・ラスヴィッツ

この3人が加わる。

もし、ここで私が使徒になってしまえば、3人はどうなってしまうのだろうか。

ヤバイ、なんか変なことになりそう。

 

「えーと、ありがとうございます」

 

取り敢えず、いまはどうしようもないので、私はマザーに一礼をした。

すると、マザーは私を元の場所へと送り返してくれた。

 

「あー、出る杭は打たれるなこれ。いや、逆に出ずに、深くめり込めば打たれることはないか? ちょっとどうしようか……」

 

考えたが、良い案は浮かばなかったので、とりあえず、財布のなかを確認してみた。

すると中に5000円が入っていたので、私はその金でカガリ食堂と呼ばれる定食店で昼御飯?を済ませた。

店を出たときには5時である。

 

最早、さっきのが晩飯だったのでは?とすら思える。

帰り際、近くのスーパーで炭酸水とクエン酸、プロテインを購入し、自宅へと戻った。

 

「ういー、疲れたー」

 

初っぱなから、引ったくり犯と鬼ごっこをして、かなり疲れてしまった。

私は直ぐ様、服を脱いで風呂に入ることにする。

脱いだ服は洗濯機へと放り込んだ。

いまは、これしか服を所持していないが、いたしかない。

風呂上がりに汗まみれの服を着るのもあれなので……。

 

とりあえず、風呂を入り終えた私は、ふとマザーからもらった通帳が気になって、中身を確認することにした。

 

「……」

 

通帳のなかには金額が入っていたので0の数を確認する。

 

「一、十、百、千、万……」

 

え?

 

「一、十、百、千、万、十万、百万……」

 

??????

もう一度、私は通帳を確認する。

 

「一、十、百、千、万、十万、百万、千万……」

 

……。

は?

1000万??

 

「……」

 

私はソッと通帳を閉じて、ソファーに寝転がった。

とんでもねえ額が入っていた。

 

「ふぅー」

 

心臓の鼓動が早くなる。

 

1000万なんて大金、持ったことないので、何て言えばいいか……。

とにかく、説明つかない緊張が私を襲ったのだ。

しかし、逆に考えたらある程度節制しながら過ごせば、何とかなると考えた私はソファーから飛び起き、エスカダーカー具現化の鍛練をしようと考えた。

 

マザーは使い手の意思と心の強さが反映されている。強い意思や、精神力を持ってすれば、自ずと強くなれる。

と言っていた。

ep4でマザーとベトールを救う。

その願いを糧として、私は具現を行おうと考える。

しかし、いきなりラグネとかゼッシュとかブリューとかを具現化するには無理があると思い、小さめのダーカーから具現しよう。

そう思った。

ダモスとかクラーダ辺りにするか。

……。

 

「……個人的にクラーダ好きやし、クラーダを具現化させるか!」

 

よし。

私は立ち上がり、スマホのpictureフォルダからクラーダのイラストがスクショされた画像を取り出して、それを見る。

こんな時のために、pso2攻略wikiか全ダークファルス、ダーカーのイラストをスクショしててよかった。

そして、私はクラーダを具現化しようと想像する。

 

「(クラーダ……)」

 

すると、変に愛嬌のある寄生が聴こえ、目を開けると……。

 

「お、出来てる出来てる!」

 

私の目の前に一匹のクラーダが、そこにはいたのだ。

名前は、クラーズにしよう。

色は、エスカダーカーと大差ない配色で、姿形も若干差異があるな。

まぁ、これもエスカダーカーと変わらないか……。

このまま、エスガンを具現化できるのかな?

ふとそんな考えが浮かんだ私は、直ぐ様エスガンを具現化させた。

 

「できるわけね」

 

では、エスガンをもう一匹具現化すると?

私は具現化させた。

しかし……。

 

「なーるね……」

 

一瞬だけ具現化したエスガンだが、形を保つことができずに霧散してしまった。

どうやら、いまの私の力では小型ダーカー二匹が限界のようだ。

少し悔しい。

てか、エスガン一匹、クラーズ一匹って弱々しいにも程があるだろ……。

マザーやベトールを救いたいって気持ちはその程度なのだろうか……。

なんかショックだ。

 

「ん? まてよ?」

 

私はある出来事が脳裏に浮かんだ。

それはpso2と新世紀エヴァンゲリオンがコラボしたときに登場したコラボエネミー、第6の使徒でのことだ。

 

話は割愛するが、とあるオペレーターやアークスたちの想像が具現化された。

だが、エーテルの濃度不足により巨大な質量を維持できず、すぐに消滅。

何度か具現化することにより、エーテル濃度が安定して長時間の具現化が可能になる。

その存在が、pso2のコラボエネミーである第6の使徒だ。

さらに、あの第6の使徒は「使徒はエヴァでしか倒せない」その概念の元に生み出されている。

 

これを参考にするならば……。

何度も何度も、エスカダーカーを具現化して行けば、維持することが可能になるのではないか。

そして、エスカダーカーにもダーカー固有の、他者を侵食する力も再現できるのではないか。

私はそう考え、何度も何度も具現化を試みた。

因みに、ダーカーの侵食能力は、あえて「深遠なる闇、ダークファルス、ダーカーのみを侵食し、エスカダーカーへと変異させる」というイメージで具現化させた。

 

2時間ほど、具現化を試みた結果。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ああああ、頭使い過ぎて、頭痛がひどい……」

 

エスガン20匹、クラーズ15匹を安定して具現化させたところで物凄い頭痛に苛まれた。

これはダーカーの影響とかではなく、単純に集中のし過ぎにより頭痛である。

 

「うううう……頭いてえ……」

 

頭を抑えて悶える姿をみたエスガンとクラーズたちは心配そうに私に寄り添う。

因みに部屋中に虫がいるという虫嫌いからすれば地獄絵図の光景だが、ぶっちゃけ頭痛の方がひどいので、そんなことを気にしている場合でもなかった。

 

「ああ、大丈夫や。ただ、ちょっと具現化解除するで」

 

私は心配する虫たちにそう言って、私はエスガンとクラーズたちの具現化を解いた。

先程よりは頭痛が引いたが、それでも痛みは残る。

私は、片手で頭を抑えながら、冷蔵庫に入っていたエーテルの力を高めるドリンク(マザー産)を飲んでソファーに向かう。

更に、先程買ってきた炭酸水の中にクエン酸を少々入れて、飲み干した。

明日は……エルアーダ辺りに挑戦してみるか……。

まぁ、虫型ダーカーを全種コンプリートしてから別のダーカーを具現化させよう。

 

私は心の中で誓い、ソファーに倒れるように眠りについた。

使徒の件と8年で完全に制御できるのかという不安を抱きながら……。

 

 

 

 

 

続く

 

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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