エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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エピソード3 造られた光と大いなる闇
31話 マザークラスタ幹部【四神】と【神淵】


 

 

 

 

あの事件から3年が経過した。

私達は3年の期間を得てかなりの成長を遂げた。

エスカファルスとしての力以外にもフィジカル面でもかなり鍛え抜いたと思う。

それでも私を含むエスカファルス勢全員がファレグさんに勝てないのは何かの不具合だと信じたい……。

マジでHDDバースト並の不具合だと思ってる。

何で深遠なる闇級の攻撃を何食わぬ顔で弾き飛ばしているのかと……。

 

話がズレたが、もちろん3年の間に色々な事が起きた。

1番驚いたのが、私のpso2仲間にして大学の友人2人がこちらの世界にやってきた事だ。

正直あれはかなり焦った。

そしてもう1つ。

最近……というか1年前に起きた出来事だ。

私が月面基地で、ペルソナと戦っていた時の事だ。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「おらぁ!!」

 

私の拳がペルソナの顔面に直撃する。

ペルソナは「べぶっ!?」っと情けない声をあげて地面に吹っ飛んだ。

 

「まだまだぁ!!」

 

私は地面を蹴って倒れたペルソナ目掛けて腹パンを決めようとした。

 

「食らえ!擬似クエイクハウリング!!!」

「食らうかあぁぁぁぁ!!」

 

ペルソナは脚を思いっきりあげて、私の股間を蹴りあげた。

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!??????」

 

想像して欲しい。

深遠なる闇が繰り出す本気の金玉蹴りを。

視界が光に包まれ、エス・アンジェス達が優雅に飛び交う光景が見えた。

 

「がっあ……!」

 

私は目玉が飛び出るほどの激痛を感じ、口から胃液が少しだけ漏れ出た。

そして、悲鳴にすらならない悲鳴をあげてプロ野球選手ばりのホームランボールの如く吹き飛んで、そのまま痙攣したまま動かなくなった。

 

「お、お……お、おおお、お。お……おっ……お……」

 

陸に打ち上げられた魚の如くビクンビクン震える私。

ペルソナも息を絶え絶えになりなって立ち上がる。

 

「弱点を狙わない訳ないよね!」

「お、ま……え……それ、は……だ、め……」

 

私は股間を必死に擦りながらペルソナに訴えかける。

下腹部に激痛が走り、立つことが出来ない。

月面に情けない呻き声が木霊する。

多分今までで受けた攻撃で1番キツい。

痛みを受けているのは私だけじゃない。

 

〚ぐあああああ……!!!〛

 

幻創ニーズヘッグもまた激痛に悶えているようだった。

その様子は分からないが声を察するに、のたうち回っているのだろう。

あんな断末魔聞いたことない。

なかなか新鮮だが、今の私にそんな事を思う余裕などあるわけが無い。

 

〚そんなに痛いの?〛

 

一方、幻創ミラボレアスは痛みを感じていないようで、幻創ニーズヘッグに不思議そうに聴いているようだ。

それに対しての幻創ニーズヘッグの言葉が。

 

〚話しかけるなぁぁぁ……!!!!!〛

 

である。

 

 

「さぁ、どうする? まだやる?」

 

ドヤ顔で言うペルソナに、それはもう殺意が沸いた訳ですよ。

私は物凄い目つきで睨みながら「当たり、前……だろうが!!」と内股でヒクヒクさせながら啖呵切る。

それはまさに能力着けで95パーセントを落とされつつも、諦めずに能力着けをする歴戦のアークスである。

 

だが、その戦いは一通の電話によって幕が降ろされた。

 

携帯端末の画面を見ると、エルダーからだ。

私は、内股のまま電話を取る。

 

「はい、もしも……」

「おいお前ら!!」

 

エルダーの怒気が私とペルソナの耳を貫く。

ハンズフリーにしていないのに、ペルソナにも聞こえているレベルだ。

 

「ど、どうした?」

 

私は戸惑いながらもエルダーに訊ねた。

すると、エルダーは非常に狼狽した様子で状況を説明し始める。

 

「デパートが突然爆発して崩壊した!! いま警察や消防達が来てやべえ事になってる!!」

「は!?」

「はい!?」

 

エルダーの状況に私とペルソナは呆気に取られる。

その衝撃は股間の痛みを完全に吹き飛ばすには十分過ぎた。

呆気に取られている中、エルダーの怒声は続く。

 

「まだ生き埋めになってる人達もいるんだ!! いま他のエスカファルス達も救助してる!! 手伝ってくれ!!」

「わ、わかった!!」

「今行く!!」

 

連絡が終わった瞬間に、私達はポータルを使い転移。

自宅にたどり着いた私とペルソナは窓を勢いよく開き、ベランダから飛び出した。

私は背中に幻創ミラボレアスの翼を顕現させ、ペルソナはその身をディーオ・ヒューナスに変えて上空へと飛翔する。

 

「どこや?」

「あそこじゃない!?」

 

キョロキョロと周囲を見渡す私にペルソナは、あそこではないかと指さす。

そこを見ると、少しだが黒い煙が上がり赤色灯と思われるものも見えた。

 

「あっこか!!」

「急ごう!!」

 

私達は全速力で空を蹴り、崩落したと思われる場所へと翔けた。

そして、絶句する。

そこは超大型デパート「鍋利臼(なべりうす)」と呼ばれるデパートだ。

そのデパートが跡形もなく崩壊し、阿鼻叫喚の凄惨な地と化した。

 

「2人とも来たか!! 下にまだ人が残ってるんだ!!」

 

エルダーは大声で私たちに叫んだ。

私とペルソナは急いでエルダー達の方に向かう。

だが、その時私の耳に男の子の悲痛な叫び声が入ってきた。

 

「誰か!! 誰かああ!!」

「すまん、向こうに!!」

 

エルダーの方はペルソナに任せて、私は全部の言葉を言う前に男の子の方に走った。

 

「大丈夫か!?」

 

赤い髪をした男の子の方に駆けつけると、男の子は涙目で私に助けを求めた。

 

「父さんと母さんが!!」

 

パニックになっているのか、必死に瓦礫の方を指さして叫び声を上げている。

その子の言っている事が理解出来た私は瓦礫をどかそうと力を込めた。

 

「大丈夫か!! しっかりしろ!! 今助ける!!!」

「父さん!!母さん!!今助けてくれるからしっかり!!!」

 

私は全力で力を込めて巨大な瓦礫をひっくり返す。

瓦礫の下には真っ赤に染まった男性と女性がいた。

 

「いま治療する!! 死ぬな!!!」

 

私は大声をあげて男性と女性に話しかけ、エスカ・アンティレスをかけた。

頼む、生きてくれ!!

私は祈りながらアンティレスで治癒する。

 

 

 

しかし……。

 

「傷が深すぎて……全然塞がらない……!!」

 

崩落時の衝撃があまり強すぎたせいか、男性女性共々傷が癒えることがなかった。

それどころか……男性の方は……もう……。

 

「父さん、母さん!!!」

 

男の子は涙をボロボロ流しながら2人の手を取る。

母と思われる女性は力ない声で男の子に話しかけた。

 

「エン……ガ……」

 

と。

その時の私は、その子の母親の治癒に必死で気づいていなかった。

 

「お母さん、死んじゃダメだ!! ここで死んだら息子さんが悲しむ!! 絶対に生きるんだ!!!」

 

私は懸命に母親に語りかける。

だが、母親は自分の死を悟ったのだろう。

カタカタと震える手で男の子の手を持って、今にも消え入りそうな、か細い声で話す。

 

「聞いて……エンガ……これ、からは……あなたが……ヒツギを守ってあげて……」

「母さん……!」

「しっかりね……えんが……」

 

男の子も涙でぐしゃぐしゃになりながらも、母親の手をギュッと握りしめ、「わかった、俺が……しっかりと守るよ……やくそく、する……」と呂律の回らぬ言葉でそう言った。

 

「……」

 

私は、また助けられなかった……。

悔しさと無力感で涙が止まらなかった。

 

 

 

 

結局、このデパート崩落事故での死亡者数は702名。

負傷者は137名。行方不明者が3名に登った。

そして、爆破の原因は20人程のグループが行ったと報道された。

理由などは明白にされておらず、ネットなどでは様々な憶測が流れている。

しかし、私はその犯人について、心当たりがあった。

このデパート崩落事件だが、私はpso2をやった時にWikiやpixivで見たことがある。

私の予想が正しければ、この犯人は狂信的なマザークラスタのメンバーによる独断行動ではないかと考えた。

確か、そんな設定があったはず……。

だが、その仮説について1つ引っかかるのが、向こう……原作世界ではエスカタワーの建設の為の土地買収に応じなかったデパートを爆破したという歴史だったはず。

こちらは既にエスカタワーは立っており、マザークラスタの支部建設の為の土地買収……。

という事になっている。

 

……私がこの世界に介入した事で歴史が変わってる?

それとも、原作の方でもWikiで見たデパート崩落事件の前にこの崩落が起きていて、また少ししたら八坂一家が巻き込まれるデパート崩落事故が起こるのか?

 

……考えていても仕方がない……。

 

あの男の子を救急隊に預けた私は、意気消沈した様子で瓦礫の撤去作業を手伝った。

瓦礫には赤黒い色をしたものが付着しており、やるせない気持ちになる。

正直、その狂信的なマザークラスタメンバー全員を皆殺しにしてやろうかと考えてしまった。

 

 

 

「深遠なる闇やダークファルスに準ずる存在は……人を救うことができないのか……?」

 

私は無意識にそう呟いた。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

これがデパート崩落事件だ。

あの後、マザーから"無用な破壊行為を禁ずる"というルールが作られた。

更に被害者たちへの償いとして金銭面での援助を始めたそうだ。

このことから、あれがWikiなどでみたデパート崩落事件のようだ。

という事は、あの中に八坂一家がいたのか……。

無事だと良いのだが……。

 

 

 

「……」

 

私はデパート崩落の場所に献花をして、黙祷をした。

 

 

 

 

「……」

 

5分の黙祷を終えた私はゆっくりと歩き、どこか適当にブラブラしようと考えた所で、今日の夜、8時にマザーから緊急の召集がかかっているのを思い出し、おもむろに早歩きで自宅へとかえることにした。

 

「ただいま」

 

私はいつもの自宅マンションに帰宅。

すると……。

 

「あ、お、おかえり……」

「お、おかえる……」←多分噛んだ。

 

藤野キイナとデカパイ仮面ことペルソナが、私の冷蔵庫で食べ物を物色していた。

 

「……」

 

藤野キイナ。

私の中学からのpso2仲間で、共に皇龍海大学に通っている友人だ。

メガネをかけ、黒髪セミロングの結構顔の整った女性だ。

結構アホの子で留年が決まりそうとかで騒いでいたが……。

まぁ、この世界に来れたからある意味で留年は免れたな。

どうやら、大阪自然公園でもう1人の友人大原と私の行方について話し合っている時に、何者かの転移魔法らしき物に巻き込まれて、この世界にきたららしい。

ぶっちゃけなかなかぶっ飛んでて訳分からんかったが……。

 

 

「……何してる?」

 

私が殺気立ててそう言うと、2人は凄いバツが悪そうに目を逸らした。

 

「ぺ、ペルソナが、無料食べ放題ビュッフェがあるって聞いて……」

「……」

「ほう、無料食べ放題ビュッフェ……ね?」

 

私はギロりとペルソナを睨みつける。

彼女は開き直ったのかドヤ顔でGoodをした。

 

「いい度胸しとーやないか……!」

 

 

この後、食べた分全部買いに行かせた。

 

 

 

 

「あのバカ2人……」

 

私はデリバリィーツで出前した寿司を頬張る。

このデリバリィーツ、私のいた世界で言うところのウーバー的な感じだな。

 

「にゃー大変やのぅ」

「大原か」

 

いつの間にかもう1人の友人、大原が私の部屋に入ってきて話しかけてきた。

大原栄志。

もう1人のpso2仲間で大学の友人だ。

小麦肌で顔の整った痩せ型長身の男性。

スポーツマンっぽい見た目であるが、中身はバリバリの文系男子でアイドル好きである。

"にゃー"という口癖がある。

因みに猫では無い。

私達からすれば、大原の"にゃー"は「いやー」や「あー」という受け取りでいいだろう。

 

「まぁったくペルソナと藤野も大したもんやよな」

「せやなぁ、寿司食べや」

「おぉ? ええんか?」

「おん、ええで。結構あるしな。好きなだけ食べや」

「おー、ありがとう」

 

大原は笑みを浮かべて寿司を食べ始めた。

マグロ1つ食べると、目を瞑って「いにゃー上手い!」と感激していた。

 

「ホンマにな!」

 

私もマグロを食べて同意する。

寿司三郎という100円寿司なのだが、クソほど美味い。

 

「そういや話変わるけど、小野寺はマザーに夜集まるように言われたか?」

「ん? あぁ。なんか言うとったな」

「なんやと思う?」

「さぁ……。なんかの任務とかか? 大原は何か聞いたか?」

「にゃー、集まれとしか言われんかったぞ」

「うむー」

 

私と大原は腕を組んで考えた。

少しの時間、長考が続いたが、私がふと時計に目を向けると時刻は7時になっていた。

 

「もう7時か」

「にゃー、そうやのー」

「どうする? もう月面に行って、8時になるまで適当に手合わせする?」

「にあー、そうするかー」

 

そう言って、私達はテーブルにずらりと並んだ寿司を必死になって平らげた。

そして、ポータルを用いて月面へと転移した。

 

 

 

 

「さて、それじゃあ早速やるかー」

「おーええぞー」

 

大原も藤野も、この3年で具現武装を生み出せるようになった。

マザー曰く、私と同じくエーテル適正がかなり高いとの事。

大原の具現武装は……。

初めて見た時は笑うしか無かった。

私も大概とんでもないものを具現化したが、向こうもまぁまぁヤバい奴を具現化しよった。

 

「そいやー行くかー!」

「あいよ」

 

そう言って、大原は1つの武器を具現化した。

口上を述べて……。

 

幻創想像・具現化(エミュレート・エスカード)

 

六芒星に似た紋章が浮かび上がり、武器の形を成していく。

 

「終えよ、世果【創暁】!!」

 

そう言い具現化された武器は巨大な長方形の鞘に封印されているかのような刀だ。

このまま鞘で殴ってもかなりの致命傷になるのでは?と思える程に、その刀は威圧感を放っていた。

 

大原栄志の具現武装、それは幻創世器である。

pso2の世界では六芒均衡というアークスの最強クラスの方々、もしくは六芒均衡クラスのアークスが使用する量産性・耐久性を度外視した代わりに破格の性能を得た専用武器だ。

 

大原曰く、ゲームのpso2では武器迷彩しか持てなかったから、自分で創世器を振るってみたかったらしく、その願いの元に具現武装となった。

性能の方は、本物を見たことは無いが確実的な事は言えないが、創世器程ではないにしろ普通の武器を持てなくなるぐらいにはヤバい性能をしているらしい。

あと、この幻創世器はシオンやシャオ、マザーの力を借りずに使用することが可能で、元の創世器よりも安定さた運用が出来るそうだ。

また幻創世器の力により、身体能力も向上するらしい。

……エスカダーカーやエスカファルスを具現化できる私が言えたことでは無いが、コイツも大概チート具現武装持ってんだよなぁ……。

 

「ほな、行くか!」

「せやな!」

 

大原は地を蹴って私に急接近、巨大な鞘で殴りにかかる。

最早鈍器である。

 

「させるかいな!!」

 

私はエスカダーカーを具現化させる。

 

「いでよ!! ドラゴン・エスカX!!」

[いざ、尋常に勝負!!]

 

 

一体の龍が生み出される。

ドラゴン・エスカXだ。

 

[剛陣っ!][一刀壊断っっ!]

「ふんっ!!」

 

ドラゴン・エスカの刃と大原の世果がぶつかる。

ガギンッっと耳を突き刺すような金属音が月面に木霊する。

 

「……!!!」

 

大原は幻創世器により身体能力が上がった大原はそのままドラゴン・エスカを押し上げた。

 

[!?]

「おら!!」

 

鈍器のような世果【創暁】を振るい、ドラゴン・エスカの頭部を殴りかかる。

 

[旋陣][一刀破断!!]

 

だが、ドラゴン・エスカは怯むことなくその場で体を横に一回転させ、大原の弾き飛ばそうとした。

しかし、その攻撃に大原はニヤリと笑う。

ドラゴン・エスカの攻撃が当たる直前にガード態勢をとり、ドラゴン・エスカの攻撃を受け流した。

 

「世果・創刃解印!!」

 

大原の言葉に呼応するように、巨大な鞘が機械的な音を立ててバラバラに解放され、巨大な刀身が露になる。

 

「……!!」

「おらぁ!!」

 

大原はその巨大な刀を一閃、だがドラゴン・エスカもタダでやられるわけが無い。

 

[王陣][砲壊閃塔!!]

「うらああああああ!!」

 

ドラゴン・エスカの巨大な刃と大原の世果の一閃がぶつかる。

2対のぶつかり合った衝撃で青いエーテルの竜巻を巻き起こし、大爆発を起こした。

その大爆発の中で、地に伏せたのは……。

 

 

[見事……良き……戦いであった……]

 

ドラゴン・エスカだ。

龍は彼に賞賛の言葉を渡し、静かにエーテルとなって霧散した。

 

「っしゃあ!!」

 

大原は具現武装を解いてガッツポーズをとる。

ドラゴン・エスカXをいとも簡単に倒すか……。

 

「じゃあ、次は……!!」

 

再び具現化する。

クォーツ・エスカとヴォル・エスカだ。

2匹の龍は氷のような、炎のような咆哮をあげて大原を睨む。

 

[滅びよ……]

[グルアアアア!!]

 

静かに、激しく声をあげた2匹は攻撃を繰り出そうとする。

大原も再度世果を具現化して迎撃の態勢に入った。

しかし……。

 

『戦っているところ申し訳ない。2人とも、いつものところに集まってもらえないだろうか?。』

 

戦いの間に割り込んだマザーは指で大原とクォーツ、ヴォルの攻撃を止めて、申し訳なさそうな表情で言った。

 

「あ、もう時間ですか?」

「にゃー、いい所やったのに」

『……申し訳ない。』

 

マザーは攻撃を止めながら謝罪をする。

仕方ない、これで終わりにしよう。

まぁ、あのままやってても多分クォーツとヴォルはやられていただろうしな。

 

「そしたら行くか」

「そうやの」

 

私達はポータルを通じて月面基地の最上階に転移した。

 

 

 

 

最上階にあるドーム状の場所には、既にエスカファルスと藤野キイナが集まっていた。

 

「ごめん、待たせた」

「にゃーすまん……」

 

私と大原はペコペコ謝りながら、エスカファルス達が集まっている所に混ざる。

 

「戦いしてるなら、言ってくれよー。俺も混ざりたかったぜ」

「その時、君はソファーでグースカ寝ていたじゃないか。僕が起こさなかったらそのまま遅刻していたよ」

 

エルダーとルーサーがそんな話をしている中、マザーがやって来て、まずは謝罪が始まった。

 

『みんな忙しい中、集まってくれて申し訳なく思う。だが、今日はどうしてもみんなに伝えなければならない事があり召集をかけた。まずは感謝と謝罪を……』

 

そう言って、マザーは今回の内容を話し始めた。

 

『まず、ここにいる皆は、今日からマザークラスタ幹部に昇格となる。』

 

マザーの言葉に全員がざわめく。

私はすかさず手を挙げた。

 

「マザー、一つ質問があります」

『どうした?』

「幹部になると言うことは、つまりアラトロンさんのように使徒になるということですよね?」

『そうだ。だが、小野寺 龍照。大原栄志。藤野キイナ。君達にはアラトロン達とは違う幹部になってもらう。』

「違う幹部ですか?」

「大変な事になりそうやのー」

「どのような?」

 

藤野、大原、私はそれぞれ言葉を漏らす。

アラトロンさん達とは別の幹部になるということは、まぁオリンピア組はアイツらになる訳やな。

良かった。

歴史がごちゃごちゃにならなくて。

 

『君達は【四神】の座を与える。』

「四神?玄武とかの?」

『その通りだ、藤野キイナ。』

 

そして、マザーは私たちに幹部【四神】の座を与えた。

 

大原栄志には、黒の使徒 玄武

藤野キイナには、白の使徒 白虎

私には、赤の使徒 朱雀

が、それぞれ与えられた。

 

……私は朱雀か。

……何の因果だろうか……。

まぁ、その事は別にええか。

ん?

青龍は誰になるんや?

 

「マザー、青龍は?」

 

私はマザーにその事を聞くと、『今療養中故、復帰するまで青龍の座は空席になる。』とのこと。

誰だ?

私は疑問に思ったが、その考える隙もなくマザーは私たちに、あの幻創使徒礼装を渡してきた。

貰った時、私たちは「あー、やっぱこれだよね」といった雰囲気を出した。

 

『マザークラスタの幹部にのみ与えられる幻創使

徒礼装だ。私が予め幻創した物を与える。後は、各々の適した形に変えるといい。』

「まさか、生きてて本物のこれを着る時が来るとは……にゃー、人生分からんもんやなー」

「ホンマやな」

「私もまさかこれを着る日が来るなんて想像もしてなかった」

 

とりあえず、私たちはマザーから頂いた礼装を着用してみる。

男性である我々の礼装は、アラトロンさんが着ている礼装そのままだった。

そして、女性であるキイナの礼装は、フルさんが着ている礼装のものだ。

という事は、あの2人はマザーから頂いた時の状態の奴をそのまま着ているのか。

マザーから頂いた物だから、変えたりせず使っているのだろうな。

 

『そしてエスカファルス達は幹部【神淵】の座を与える。』

 

マザーはそれぞれに座を与えた。

エルダーには巨躯の使徒。

ルーサーには敗者の使徒。

と、それぞれの名前が漢字で表した時の名前の使徒が割り振られた。

因みに、エルミルとハリエットは、それぞれ徒花の使徒、原初の使徒だった。

 

そして、エスカファルス達にも幻創礼装を配布されるはずだったが、エスカファルス達には戦闘衣があらから大丈夫と言って断っていた。

マザーもそれを理解して、マザークラスタ幹部の証であるシンボルを我々全員に譲渡していた。

これでマザークラスタの幹部になったということらしい。

 

「つまり、俺たちは自己紹介する時にその気になればあのシンボルマークを表せられるってことか?」

「そうじゃない?」

 

小声で私と大原が会話をする。

 

『そして、ここからが本題だ。』

 

マザーの真剣な言葉に私と大原は会話をやめてマザーの方を見る。

 

『1ヵ月後に神奈川県にマザークラスタ極東支部が完成する。君たちは、そこでの勤務をお願いしたい。』

 

「「「え?」」」

 

マザーからのニート卒業宣言。

もしくは、働け宣言を言い渡された瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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