エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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夏だ、海だ、ハリエットだ、全知だー!
夏だ、海だ、フローちゃんだ、フラウちゃんだー!
夏だ、海だ、花火だ、いっぱいいっぱい遊ぼー!
お○ぱいだ、お○ぱいだ、お○ぱいだ、お○ぱいだー!
夏だ、海だ、アニメだ、ゲームだー!
夏だ、海だ、スイカだ、スイカ割りだー!
夏だ、海だ、競泳水着だ、ピッチリスーツだー!









『……上からの決断が決まった』

アザマ博士はドールに伝えた。

『これは破棄が決まった』
『まぁ、そうだよね。制御が難しい物を置くのも無理がある』
『ああ、もう少ししたらワームホールが開く。そうしたら直ちに、これを破棄だ』
『んー、でもなんか、勿体ないなー』

ドールはそう言って、私に近づいてきた。
そして、ドールは私の身体に触れた。

『おい、なにやってる!?』

アザマは鬼気迫る表情でドールを私から引き剥がした。

『いや、これって女性体だから破棄しなくても、別の方法になら使えるんじゃないかなーって』
『そんな事に使えるわけないだろう!』
『まぁ、そうだよね』

アザマの怒声に、ドールは笑って納得する。

『あー、しまったな。さっき触れた事で身体にフォトンが流れて来ちゃったよ』
『全く何やってんだか……』
『まぁいいか!』
『良くないと思うが……あー、そういえば閃機種の具合はどうだ?』

アザマはドールに訊くと、ドールはドヤ顔になって資料を開示した。

『見たまえ、この閃機種の量を!』

ドールが見せた資料には閃機種がずらりと記載されていた。

量産機アンジュール・ネメシス10億機
部隊長機アンヴァール・ネメシス1億機
少数生産機アンヴァリーズ・スレイヴ500万機
量産支援機べルード・フォードルス3000億機
少数生産支援機フルドリード・フォードレス10億機

マイ級駆逐艦100億隻
ラビュリス級巡洋艦30億隻



『まだまだ他の物も製造中さ!』
『全宇宙を管轄するにはまだまだ必要だな』
『そうだね』
『ところで、前のアレは破棄したのか?』
『する訳ないじゃないか!』
『はよ廃棄しろ!!』
『えーー!』






34話 夏だ、海だ、闘争だ、激闘だー!

 

 

 

 

8月1日

7時00分。

 

 

 

「皆、準備できたかー?」

「こっちは大丈夫!」

 

龍照の声にペルソナは手を振る。

蝉の合唱が続く中、私たちは海に行く準備をしていた。

フローとフラウは学期末試験の教科を全て80点以上を見事におさめた事でアプレンティスからのご褒美に、皆で海に行きたいと言ったので、今日の8月1日に皆で海に行くことになったのだ。

 

私、アプレンティスはカメラと水着をバッグに入れて車に乗り込む。

私達は車を持っていなかった為、シスコン敗者ことルーサーがハイエースコミューターをレンタルしてくれた。

 

「荷物はこんだけか?」

 

積まれた荷物を見て龍照は言う。

エルダーは「おう、これだけみたいだ!」と返事をする。

 

「それじゃあ皆車に乗ってほしい」

 

とルーサーは言いながら、運転席へと乗り込む。

運転手はルーサーである。

彼はシオンに無自覚にフラれたショックを掻き消すために、エルダーとの鍛錬に加え、様々な資格や免許を取っていたみたいだ。

 

「海だー!」

「海だー!」

 

テンションアゲアゲのダブル。

よっぽど楽しみだったのだろう。

シールドベルトをしっかり閉めて両足をバタバタしている。

あぁーもう本当に可愛いなぁぁ!!

私は、ダブルのキュートな仕草に抱きつこうとしたが、シートベルトに邪魔されてしまった。

 

「暴れると怪我するよ誘拐犯?」

「失恋者は黙ってなさい」

「あーやめろこんな時に」

 

私とルーサーのバチバチ睨み合う中、エルダーは呆れながらも仲裁に入った。

 

「とりあえずルーサーよ、出してくれ」

「ああ、分かった」

 

龍照は窓の景色を見ながらそう言った。

車はエンジンを鳴らして出発する。

 

「思ったけど、これ車に乗らずに海まで飛べば良くない?」

 

エルミルは至極真っ当な正論をぶつけた。

確かにそうだ。

ここにいる全員、宙を滞空し、自在に動くことができる。

その気にならなくても海へ飛ぶことなんてお手の物だ。

でも、今回の主役であるフローちゃんとフラウちゃんがそれを却下したのだ。

 

「ヤダ! みんなで車に乗って行くのがいいの!」

「ヤダ! 家族で車に乗って出かけるのがいいの!」

 

フローとフラウは、エルミル向けて叫んだ。

2人の言葉を聞いたエルミルは、何故か龍照の方を見た。

だが、その目線に気づくことなく龍照は「家族かー」と少し微笑んだ。

 

「エスカファルス一家?」

 

ペルソナも龍照と同じく窓から景色を眺めながら言った。

……どうして龍照とペルソナは、いつも見ている景色を必死に眺めているのだろう?

 

「私たちが家族となると、父と母は誰になるのでしょう?」

 

ペルソナの言葉にハリエットが乗っかった。

その言葉に全員が自然と考え込む。

 

「父が龍照で、母がペルソナじゃないかな?」

 

私は口を開いた。

少なくとも、私たちエスカファルスを生み出したのは龍照だし、それならその龍照の裏側のような存在であるペルソナが母になるのではないだろうか?

 

「私が父か……それは構わんが、母親がコイツって……なんかのエロ同人誌に出てきそうなエッチな若妻みたいやな」

「私、寝取りはNG」

「……んなこと聞いとらんわ! てか、どうでもええわそんな情報!」

 

龍照とペルソナの豪速球キャッチボールが始まった。

表裏なだけあって仲がいい。

 

「……眠い……」

「……眠たい……」

 

そんな中、フローちゃんとフラウちゃんは睡魔に襲われたのかウトウトし始める。

本当に可愛い。

 

「目的地までまだまだ先だからゆっくり寝ておくといいよ」

 

眠そうな2人に対して、ルーサーは優しく諭した。

海に行くのが楽しみすぎて、まともに寝ていないのだろう。

ルーサーに言われた2人は直ぐに眠りに着いたのか、可愛い寝息をたていた。

 

「ルーサーよ、場所は分かるよな?」

「ああ、大丈夫だ。明字賀浦海水浴場だろう? ここからだと3時間もあれば到着するね」

 

信号待ちの時に助手席に座っていた龍照と、運転席に座るルーサーが場所の確認をしていた。

その間、私は携帯端末でフローちゃんとフラウちゃんの写真を堪能していた。

 

このまま何事もなく海水浴場へと到着すると思われていたが、少しばかりトラブルに巻き込まれる事になる。

 

それは常盤自動車道を走行中に起こった。

 

 

「? なんだろうか?」

 

運転しているルーサーが異変に気づく。

その声に龍照やダブルを除くエスカファルス達がルーサーの方を見た。

 

「どうした?」

 

エルダーがルーサーに訊ねる。

ルーサーは片手運転をした状態で、空いた手で目の前を走行している車を指さす。

ダブルを除く全員がその車を見た。

 

「うわー……」

「面倒くせえなぁおい……」

 

龍照は少しだけ引いて、エルダーは明らかに機嫌悪い表情になる。

目の前に走行している車は先程から蛇行運転をしたり、スピードを緩めたり、急ブレーキを掛けたりと人の神経を逆撫でするような行為をしてきた。

煽り運転、というやつだろう。

聞いた事、動画等で見た事はあるが、実際に見るのは初めてだ。

 

「……僕の頭の中にある案を言ってもいいかい?」

 

ルーサーは少し低い声をして話す。

それを聞いた龍照は「どうぞー」と言った。

 

「まず1つ目、僕の時間停止能力で、時を止めて逃げる」

「ほう」

「2つ目、時間を止めて、煽り運転をしている車をガードレールから突き落とす」

「犯罪、ダメ」

「3つ目、煽り運転をしている車が止まって、中から人が降りてきたら僕たちも全員降りて、ヒューナル形態に成って、煽り返す」

 

ルーサーは3つの提案をする。

ただ、残り1つは龍照によって却下された。

全員で話し合った結果……。

 

 

「良し、それじゃあ、その案で行こうか」

「賛成だ」

「ふふ、楽しみだね」

 

私とエルダーは悪い笑みを浮かべて、煽り運転をする車を眺めていた。

私たちがそんな事をしているなんて、露とも思っていない煽り運転の車は相も変わらず蛇行運転、低速運転、急ブレーキを繰り返している。

見ていて腹が立つが、ここは我慢だ。

 

そして、刻は来た。

 

「……止まるね」

 

ルーサーの呟く声に全員が前を見る。

確かに、前の車のスピードが徐々に、徐々に落ちていく。

最後には完全に停止した。

煽り運転の車からフルパワーで扉を開け、男性と女性が出てくる。

女性の方は、携帯端末を持ってこちらを撮影しているのが見えた。

男性の方は、ゴツイ体躯でチンピラを絵に描いたようなイメージの男性だ。

その男性は怒声を上げてこちらに詰め寄ってくる。

 

「ゴラァァァ!! チンタラ走ってんじゃねぇよ!!」

 

どの口が言っているのかと、私は一瞬怒りを覚えたがフローちゃんとフラウちゃんの、寝顔を見て落ち着いた。

 

「さぁ、行こうか」

 

ニヤリとしたルーサーはそう言ってシートベルトを外す。

それを合図に、寝ているダブル以外がシートベルトを外して、外へと出る。

 

「舐めてんじゃねえぞゴラァ!!」

 

男性は大声を上げてこちらに噛み付いてくる。

 

「深遠、崩壊、その先にあるものは希望の未来。我が名はルーサー、エスカファルスなり」

 

ルーサーは詠唱し時間を止める。

蝉の鳴き声や鳥のせせらぎ、風の音、あらゆる環境音が消失した事で、女性と男性はたじろぎ、辺りを見渡す。

その間に私たちはエーテルを解放し、エスカヒューナル体へと変身した。

目の前の人々が異形の姿になった事で、煽り運転をしていた女性と男性は悲鳴を上げて車に戻って逃走を図ろうとした。

だが、そんなことを私達がさせるわけが無い。

 

エルダーこと、エスカ・ヒューナルは跳躍で煽り運転の車の前に着地し、その車を片手で掴み、持ち上げた。

 

「あああああああああ!?」

「いやああああああああ!!」

 

男性と女性は雄叫びをあげて腰を抜かしていた。

後でエルダーから聞いた事によると、その時の2人の顔は笑えるほどマヌケな顔だったと言う。

 

「……失せろ……」

 

今までに聞いた事のない、地獄の底から呻くような声でエルダーは2人に言い放ち、持っていた車のバンパーを握りつぶした。

ゴシャンッ!!という音が無音の世界に響き渡り、2人は悲鳴にならない悲鳴を上げて失禁する。

 

「二度と煽り運転なんてすんじゃねぇ……!」

 

エルダーはそう言うと車をゆっくり下ろし、ゆっくりと男性の方に近づく。

ちなみにヒューナル体である。

 

「あ、かっ、ああ……か……え、あ……」

「ん、んん、ん、んんんんん、ん、ん……」

 

男性と女性は逃げようとするが、完全に腰が砕けたようだ。

立つことができず、その場で藻掻いていた。

恐怖に呂律が回らずに言語能力が消失している。

そんな2人にエルダーは、口と口が触れ合う程まで顔を近づけた。

 

「……煽り運転は、他人を傷つけるだけじゃねえ、下手したら人の命すらも奪う最低な行為だ。二度とするなよ。わかったか?」

「……い、あ……あ……」

「……分かったか!?」

「「あ、は、あ、あぁ、あぁい!!」」

 

エルダーの気迫に圧倒された2人は涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして頷く。

 

「……ならいい」

 

エルダーはドスドスと重い音を発ててこちらに戻ってくる。

 

「行こうか」

 

エルダーはヒューナル体を解除しながら言った。

それに続くように私達もヒューナル体を解いて、人間に戻り、車に乗り込む。

男性と女性の方を見ると、そそくさと車に乗り込んで出発しようとしていた。

それを見たルーサーは時間停止を解く。

 

「さて、気を取り直して、目的地にレッツゴーだ」

 

ルーサーはアクセルを踏んで車を発進させた。

因みに、ダブルは凄い幸福そうな表情で眠りについていた。

 

 

 

 

10時39分

 

 

「ここでいいよね?」

「そ、そうやな」

 

ルーサーは、巧みなハンドルテクニックで車を駐車場に停車させた。

 

「よし、到着したよ」

「あー、やばかった……」

「お、同じく……」

「大丈夫?」

 

私は、顔色を悪くして死にかけている2人に、声を掛けた。

龍照もペルソナも車酔いによりグロッキー状態だ。

 

「おいおい、大丈夫か?」

「すまん、大丈夫や……うっぷ……」

 

龍照とペルソナは、私とエルダーに介抱されて車を出た。

その表情はこの世のモノとは思えないほど窶れ果てており、若干の恐怖さえも覚えるほどだ。

 

 

「わーい!海だー!」

「わーい!海だー!」

 

屍人のような2人とは対照的に、目を覚ましたダブルは、車窓から見える辺り一面に広がる青い景色に興奮して、車から飛び出してきた。

浜辺には大勢の人々がいて、テントを建てて海水浴を楽しんでいるのが見えた。

正直、ダブル程ではないが、私達エスカファルス勢も、海水浴に来たのは初めてだったので、テンションが上がっていた。

皆、早々と車に積んでいる荷物を持って浜辺へと早歩きで向かう。

みんなでテントを建て終えると、全員が服を脱ぐ。

服の下には、直ぐに海に入れるように既に水着を着ていたのだ。

 

「初めての海だ、片っ端から泳ぐか!!」

 

因みに、エルダーの水着は青色の水玉模様が特徴のトランクス型の海水パンツだ。

長身で顔立ちの整ったエルダーと合わさって、見事な爽やか兄上系男性となっている。

 

「そうだね、たまにはこういう息抜きも悪くない」

 

一方で、シスコン失恋者ことルーサーは、想像通りのブーメランパンツだ。

それでも見た目と相まって爽やか系である事に変わりは無い。

 

「僕もいっぱい泳ごう!」

 

フローちゃんは、エルダーと似たような子供向けのトランクス型の海パンだ。

可愛い。

 

「私は砂遊びをするー!」

 

フラウちゃんは、チェリーが彩るワンピース型の水着だ。

2人とも凄い可愛い。

私は抱きしめたい衝動に駆られるが、公共の場であることを考慮して必死にその欲望を抑えた。

 

「僕はフローの面倒をみるね」

「私も見ようか?」

 

エルミルと龍照はウェットスーツにトランクス型の海パンを着た姿だ。

スキューバダイビングを趣味とする大学生といった風貌だね。

 

「では、私はフラウ様と一緒に砂遊びをします」

 

ハリエットは青いフリルが装飾された可愛らしい白ビキニだ。

上品なエロさとお嬢様さを存分に醸し出している。

 

「龍照は私と泳ごう!!」

「マジかい、すまんエルミル任せた」

「りょうかいだよ、センパイ!」

 

最後にペルソナだが、彼女は私と同じ空色の競泳水着だ。

特大と胸は健在だ。

あまりの大きさに競泳水着の肩部の紐がちぎれそうになっている。

 

「私もフラウちゃんと砂遊びするー!」

 

私もペルソナと同じ競泳水着だ。

それ以上でもそれ以下でもない。

 

「それじゃあお昼まで各自好きにしようか!」

 

龍照の言葉に全員が頷いて……。

 

「っしゃああ! ルーサー、あの岩まで競走だあああああ!」

「ああ、絶対に勝ってやる!!」

 

エルダーとルーサーは、子供のように明るい顔で海まで全力疾走をする。

 

「一応言っとくけど、人命救助とか溺れる以外でヒューナル体になるなよおおお!」

 

走り出す2人に向かって龍照は忠告をする。

2人はこっちに振り向きながら手を振って「わかってるよおおおおお!」と言った。

そして、エルダーとルーサーはバタフライで泳ぎ出した。

 

「おい、ハルク見てえなイケメン2人がバタフライで泳いでるぞ!!」

「なんだありゃ!?」

「トビウオか?」

 

2人の競走をみた他の人々は、口々に言いながら驚愕している様子だ。

また、若い女性達は「何あのイケメン!?」「ナ声掛けてみようかな?」などと言っていた。

 

「じゃあ、私も泳ごうか!」

 

ペルソナはニコッと微笑んで龍照の腕を引っ張る。

 

「あー、分かったから引っ張るなー!」

「いってらっしゃーい」

 

ペルソナに連れていかれる龍照を私は手を振って見送った。

 

「何じゃ、あのデカイ胸!?」

「なによあの胸、人間の胸じゃないわよ!」

「何であんな冴えない男と一緒なんだよ……!」

「きっと、ATMにされてるよあの男。吸われて捨てられるって感じね」

「あの男なら声掛けて奪えれるんじゃねーか?」

 

 

「ぷふっ……酷い言われようだね」

「少し龍照様が不憫です……」

 

周りの人々の意見に私は少しだけ吹き出してしまった。

もちろんだが、周りの声はあの2人にも聞こえているようで……。

 

「……お前、私をATMにしてるんか!?」

「どうやってATMにしろって言うのよ!」

 

関西人バリバリのボケをペルソナに披露する。

それに乗ったペルソナはツッコミを入れた。

 

「しっかし、私の評価酷いなー」

「中学から似たような事言われてるから慣れてるでしょ?」

「ああ。あの手の悪口には耐性があるからな」

 

2人は周りの悪口をネタに笑いあっていた。

 

「あれ? フローちゃんとエルミルは?」

 

私は辺りをキョロキョロ見渡しながら言う。

するとハリエットは「もうとっくに海で遊んでいますよ」と2人が遊んでいる所を指さした。

 

「あ、良かった。迷子になったかと……」

 

私はホッと胸を撫で下ろした。

 

「ねー、砂でお城作ろうよ!」

 

フラウちゃんはそう言って私とハリエットに言った。

 

「そうですね! どんなお城を作りましょうか?」

 

ハリエットはフラウちゃんに訊ねる。

「大きいやつ!」と言ったので、私はあるお城を作ろうと考えた。

 

「お城って言ったら、ハリエット。分かるよね?」

 

私の頭の中には、経験した記憶のない、とある記憶があった。

どうやら、ハリエットにもあったようで、微笑んで頷いた。

 

「作りましょう、アプレンティス(マルガレータ)様!」

 

「「神聖エピクエント魔導国を!!」」

「おー!」

 

 

私たちは経験した覚えのない記憶を頼りに、砂を使ってお城を作り始める。

 

「ここは、確かこうだったよね?」

「ええ、そこは……。そうです、そんな感じで……」

「お城の壁はこんな感じでいい?」

「そう! フラウちゃん完璧だよ!」

 

3人で城壁、迎撃拠点、王城を砂で器用に組み立てていく。

その規模は最早ただの砂遊びを超越し、砂の芸術作品でも作っているかの様だった。

その壮大な砂遊びに関心を持った人々達がゾロゾロとやってきて眺めだした。

 

「あの子達凄いもの作ってるぞ!」

「3人とも可愛いなぁ」

「お父さんあれ作って!」

「よっしゃああ、お父さんに任せなさい!」

「本格的だな」

 

 

 

岩で笑いあっている2人。

 

「時には競走もいいものだな」

「ああ、今回は俺の負けだ」

「じゃあ、かき氷1つご馳走様だね」

「くっそー、リベンジだ!! ここから浜辺まで競走だ!!」

「ふふ、かき氷を2つ奢る事になるよ」

「言ってろ! 行くぞ!!」

「ああ!!」

 

岩から飛び降りて、トビウオの如く浜辺まで泳いで行った。

その結果……。

 

「かき氷、2つご馳走様になるよ!」

「お前、時間操作使ってるだろ……はぁ、はぁ、はぁ!」

「失礼な。勝負は真剣、そんな小細工を使う事なんてしないさ」

「ちくしょう、仕方ねえ。かき氷くれてやるよ」

 

エルダーは、ゼーゼー息を切らしながら、財布を取りにテントへと向かった。

ルーサーも得意げな表情で着いていく。

 

「ん? なんだありゃ……」

「何かあったのかな?」

 

自分達のテントの所に人集りが出来ているのを見て少し不審に思い、早歩きで向かう。

 

「おい、アプレンティス何かあった……のか?……なんじゃこりゃ!?」

「どうしたんだい? ……未知の事象過ぎる……」

 

人集りを掻き分けて、アプレンティス達にたどり着いた2人は唖然とする。

テントの前には巨大な王国が建国されていたのだ。

人々は「すげえ」「これはバズるぞ」等と言った賞賛の声が聴こえてくる。

 

「できたー!」

「できました!!」

「お城かんせーい!!」

 

3人は高らかにそう言った。

それに、見ていた人達も「おおおおおおおお!!」と拍手喝采が巻き起こる。

 

「確かにこれは凄いな」

「……クエント城??」

 

ルーサーは、その城に見覚えがあるのか、そう呟く。

 

「あ、ルーサー兄様! 見てください、どうですか!? この神聖エピクエント魔導国!」

 

ハリエットは、普段は見せない無邪気な笑顔でルーサーに訊く。

ルーサーは「本当に凄い……」と拍手と賞賛を送った。

フラウちゃんも超得意気に胸を張っていた。

本当に可愛い。

 

その後、この場所は写真撮影の舞台となったのだった。

 

 

 

 

 

朝の部、終わり。

後半、昼から夜の部へ続く。

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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