余談だが、世間ではここは、マザークラスタ本部という扱いになっている。
「マザー」
ファレグ・アイヴズは、珍しく神妙な面持ちでマザーに話しかけていた。
『あぁ、分かっている。』
マザーもファレグが何を伝えようとしているのか、理解していたようで、頷いていた。
「何でしょうね、この気配……」
『……私にも不明だ。このような生命と無機物が混ざったような気配。初めて感じる。』
マザークラスタ月面基地の最上階で、2人は不気味な気配を感じる方を眺めていた。
マザーは今までに見た事がないような、険しい表情をしていた。
『……私の演算を遥かに上回る最悪の出来事が起きるかもしれない……』
「私、とてもワクワクしますよ♪」
『……相変わらずだな……』
それでも、強い方と相見える事ができると感じたファレグは、ニッコニコで言葉が弾んでいた。
それを見たマザーは少しため息をついて、呆れていた。
8月16日
9時00分
マザークラスタ極東支部のエントランス。
今日は他のマザークラスタメンバーとの演習だ。
私みたいな奴と組む事になる哀れな人は、誰だろうと待ち構えていたのだが……。
「……」
拍子抜けである。
私の目の前にいたのは……。
大原栄二と藤野キイナ、山原玲奈であった。
私は思わず突っ込んでしまった。
「お前らかい!」
と。
その言葉に大原が反応する。
「にゃー、俺も同じ意見よ」
ゲラゲラと大原は笑う。
山原さんも、藤野も同じ意見のようだ。
この4人、マザークラスタ【四神】が手を組むという事は、その相手は……。
「「「「……」」」」
全員が沈黙する。
察しがついたのであろう。
「行きますか」
山原さんの意見に3人とも頷いて、演習場へと向かった。
演習場へと向かう中、私はある話しをする。
「今更やけど、かなり歴史変わってきてないか?」
「どゆこと?」
藤野が首を傾げる。
「pso2の世界でのマザークラスタに、こんな支部とかあった?」
「分からない。でも、アースガイドには北米支部があるっぽいから、多分登場していないだけであるんじゃない?」
「そうなんかなー……。pso2の世界でのマザークラスタって表向きは、エーテル通信技術を使う総合通信企業なんやろ?」
「こっちの世界も同じだよ。この支部も、表向きはエーテル・インフラの向上と、エスカタワーの管理を目的として建設されたって書いてる」
藤野の手に持った携帯端末で調べていた。
その事を聞いた私は苦笑いをする。
「それで政府は納得しとんか?」
「まぁ、概ね……だね。エーテル・インフラを完全掌握してるから、政府も文句言えないって感じ」
「それさ、かなりヤバイよな。言うてしまえばマザーの匙加減で、この世界の生死が決められるようなもんやろ」
「だね。でも、マザーがそんな事をするとは考えられないから、そこら辺は心配ないと思うよ」
そう言って藤野は携帯端末をポケットに入れた。
そして、彼女は私の方を見て訊ねる。
「でも、何でそんなこと聞くの?」
「pso2の正史の方も、こんな支部あったのかな?って。なんか、私達の介入に物凄い歴史が変わってそうでな。これべトールや、マザーの他に誰か死人出るんゃないかって不安になって」
「あー、そういうこと。私もわかんないから、それに関してはノーコメント」
「んぁー……嫌やなー、べトール達生存させたら、代わりに別の人が死ぬとか……」
私は苦虫を噛み潰したような表情で頭を掻きむしりながら、言う。
藤野は「よくゲームでもあるよね! 誰かを生存ルートに持ち込んだ場合、他の誰かが死んじゃうっていうの!」とクスクスと笑った。
私はため息をつく。
「今1番に懸念してる点や。マジでやめてほしいな」
「そうなったら、誰が死ぬだろうね」
「マジで誰も死なんといてほしい」
私は肩をガクリと降ろし、ため息と共に言葉を漏らした。
「意外と私達の中から死人が出たりしてね」
「いやぁ、それは絶対にやめて欲しいな。マジで発狂して、どうにか成りそうや」
「それは同意見」
「俺も」
「私も」
私の言葉に藤野、大原、山原さんが頷く。
「ねえ、マザーを救うって言ってたけど、具体的な方法は考えてるの?」
藤野が私に質問を投げかけた。
私は「うーん」と唸りに近い声をあげて、「多分不可能やと思うで?」と前置きした上で答えた。
その内容は……。
デウス・エスカと和解した後、マザーが奇跡の具現をした場面で救う。
マザーが復讐を終え、消滅する瞬間に、私は魂を閉じ込める物質で、マザーの魂を封じ込める。
そして、予め用意しておいたマザーそっくりの身体に埋め込む。
そのような内容を言うと、その場にいた3人が怪訝な表情になった。
いや、まぁ……そんな表情になるよな……。
私も言ってて意味わからんもん。
「本当にそれでマザー救えるの?」
「……」
藤野の言葉に私は目を逸らした。
正直、これで救えるかと言われたら、凄い答え辛い……。
「あと数年だよ? それに、元凶であるアーデムを殺せばいいんじゃない?」
藤野の意見は、最もだ。
だが、私は「いや……」と小声で呟き、会話を続ける。
「私も初めはそう思ったよ。でもな、下手にアーデムを殺すと、アースガイドが黙ってる訳ないし。オフィエルが動かないって保証もない。何ならアーデムのポジションがオフィエルに変わりそうな気もする」
「にゃー、龍照も大変やのぅ」
「本当ね」
他人事の大原と山原さんに私は、やさぐれた表情で2人に言う。
「大原、山原さん、あんたらも手伝って貰うからな」
と。
あまりの表情に2人とも若干引き気味なる。
「お、おう。わかっとるよ」
「も、もちろん。マザーには恩があるからね」
若干引きつつも、苦笑いをする2人を他所に、藤野は「演習場所ってここであってるよね?」と指さす。
そこには、大演習場と記された電光掲示板があった。
「あー、ここやな」
私達は、その場所に入った。
「やっぱりお前らかい!」
「そらこっちのセリフだぜ」
待機室に入り、一番に私達の目に入った人物を見て笑いが混じった声で突っ込みを入れる。
まぁ、それは向こうも同じ意見だったようで、巨漢の男も、私と似たような表情で言った。
今日の演習相手はエルダー、ルーサー、アプレンティス、ダブルの4人(5人)のペルソナを除いた、ep1~ep3のオラクルダークファルス勢だ。
ルールは、この殺風景なフィールドで戦って、2人以上が気絶した方の負けという至ってシンプルだ。
つまり、隠れる事も出来ずに正面から殴り合うしかないといった感じである。
「シンプルでおもしれーじゃねーか! 早くやろうぜ!!」
「早く遊ぼー!」
「いっぱい楽しもー!」
エルダーとダブルは、ニヤニヤウキウキで今にも大暴れしそうな程だ。
「それじゃあ、やるか」
私の言葉に反応するようにエルダーは、ヒューナル体となって私達に襲いかかってきた。
「おらあああああ!!」
拳を地面に叩きつけて、青色の衝撃波を放つ。
私たちはサッと、後方へと飛び上がって回避する。
「早いわあああああ!!」
藤野は具現武装を生み出してエルダーに襲いかかった。
彼女の手には、複数のカードを持っていた。
そのカードの中から1枚を選んで掲げる。
「さぁ、行くよ。私の下僕よ!!」
藤野の高らかな叫びと共に、天に掲げたカードが煌々と光出して、別のモンスターへと姿を変えた。
「出てよ、エスカ・マジシャン!!」
彼女は、目の前に現れたモンスターの名前を言う。
そのモンスターは、白色の鎧を身に纏う魔道士のような姿をしていた。
彼女の具現武装は「エスカード」。
モンスターや魔法等が描かれたカードを操って、敵を倒していく召喚師のような具現武装だ。
ぶっちゃけると、戦うデュエリストである。
相対する相手を、相手フィールドに存在するモンスターとして扱い、自身は、モンスター、魔法、罠カード巧みに扱い勝利へと導く具現武装である。
「エスカ・マジシャン、エルダーに攻撃! エスカ・マジック・バーニング!!」
彼女の攻撃命令にエスカ・マジシャンと名乗るモンスターは錫杖を振るい、特大のエネルギー弾をエルダーにぶつける。
「おもしれえぇ!!」
迫るエネルギー弾を前に、エルダーは背負うエルダーペインを抜いて、斬りかかった。
エスカ・マジック・バーニングと、エルダーのオーバーエンドがぶつかり合う。
「にゃー、申し訳ないがエルダーよ」
「っ!?」
2つの力が拮抗している中、不敵な笑みを浮かべて謝罪する人物がいた。
その者は、具現武装・幻創世器の世果【創暁】を具現化させて、がら空きのエルダーの横腹を切りかかろうとする。
「大原の野郎っ!!」
「にゃー、すまんなぁー!」
悪そうな笑みを浮かべる大原。
光り輝く刀がエルダーに直撃する寸前……。
「キャッスル・エスカ・ウォーーーーール!!」
大原とエルダーを分断するように、不気味な壁が出現し、大原の刃を弾き返した。
「すまねえ、助かったぜ、ダブル!!」
「にゃー、そう簡単にゃー、いかんもんやのぅ」
大原は気怠そうに、ダブルの方を見る。
ダブルは無邪気な子供その物の笑みを浮かべ、ヒューナル体……しかもダランブルへと変身した。
「「大原お兄ちゃん! 僕と私と、めいっぱい!遊んで遊んで、楽しもう!」」
「おー、ええぞー。化け物通しの遊び合い(ころしあい)、始めようか!!」
大原は世果【創暁】を解除し、創杖クラリエス∀を具現化。
エスカ・イル・グランツをブッパした。
「「キャッスル・エスカ・ウォール!!」」
何重にも重ねられた壁を自身の前に置いて、エスカ・イル・グランツを防いだ。
「にゃー、当たらんかー」
「「じゃあ、僕達はこれっ!!」」
ーキャッスル・ビックリ・たからばこー
ダブルの頭上に宝箱が現れ、それがパカリと開く。
すると、中からイル・メギドを彷彿とする玉が大量に出てきて、床を這うように大原目掛けて移動し始める。
「あぁー、面倒やのー」
大原はクラリエス∀を小さく掲げ、エスカ・テクニックを発動する。
ーエスカ・アル・メギドー
紫色のハニカム模様のバリアを展開し、ダブルのキャッスル・ビックリ・たからばこの攻撃を防いだ。
更に大原はクラリエス∀を掲げる。
ーエスカ・メギディールー
ダブルを中心に円状のフィールドが形成される。
エスカ・メギディールは、超重力を発生させるフィールドであり、その場にいる者は強い重力によって動きが鈍る効果がある。
「「わ、わわわ!? ナニコレナニコレ!? 身体が重くなって動けない!!」」
「おし、じゃあ、今度はこれで」
膝をついて、慌てふためくダブル。
それを見た大原は追撃を加える。
ーエスカ・ノス・フォイエー
大量小さい火の玉が、蛇行する軌跡を描きながらダブルに迫る。
着弾する火の玉は小規模の爆発を起こし、その小さな爆発が何回も重なり、ダブルを飲み込んだ。
しかし……。
「キャッスル・ビックリ・エスケープ!!」
爆煙を吹き飛ばす勢いで、巨大な宝箱からエスカ・ダランブルであるダブルがピョーーンと登場する。
それを見た大原は「おー」と笑って、再度クラリエス∀を構えた。
「にゃー、楽しめてるか?」
ニヤリと微笑む大原の言葉に、ダブルは「うんっ! とっても楽しい」と言ってピョンピョン飛び跳ねる。
「それじゃあ、まだまだやるか!!」
「うん!!」
2人の攻撃がぶつかりあう。
「!!」
「……ふっ!」
一方でアプレンティスと山原玲奈さんはエルダーやダブルに、藤野や大原の援護に行けぬよう互いに牽制しあっていた。
その姿は、人ならざる異形の姿をしていた。
アプレンティスはヒューナル体であるエスカ・アプレジナ。
対する山原さんは、露出度高めのセクシーな黒い衣装を身に纏い、黒い翼を生やした姿。
彼女の具現武装・サキュバスである。
サキュバスを全身に具現化させているのだ。
「やっぱり玲奈ちゃんは強いね♪」
「ありがとうございます!」
魔力により生み出された短剣と、アプレンティスが持つ刀がぶつかり合う。
その鍔迫り合いは、どちらも退く事をせずに押し合いをしていた。
絶対に援護には向かわせないという鋼の意志を感じる。
「ふふっ♪」
「んふっ♡」
2人は不敵に、妖艶に微笑む。
だが、その笑みとは裏腹に全身から赤い闘気を放っており、相当な手練でも近寄る事すらできないほどだ。
そんな中、空中で激しく争う存在がいた。
「グラン・ゾンデ!」
「竜詩幻創・ナーストレンド!」
ルーサーであるエスカ・アンゲルと小野寺のヒューナル体であるエスカ・ドラゴンナイトの空中でのぶつかり合い。
その余波は演習場全域に広がっている。
「竜詩幻創・ドラゴンダイブ!!」
分身した8体のエスカ・ドラゴンナイトはルーサーに急接近して突き刺そうとする。
「食らうつもりはない、ザンディオン!!」
しかし、ルーサーは風と雷の翼を生み出して飛翔、急接近する小野寺の攻撃を回避した。
小野寺の攻撃は地面に突き刺さり、爆炎が発生する。
あのまま直撃していたら、どうなっていたことか……。
ルーサーは少し冷や汗を流しつつ、右手に炎を左手に闇を生み出し、それらを合わせて小野寺目掛けて照射した。
「トドメだ、フォメルギオン!!」
「あかん!!」
槍を抜く事に気を取られた小野寺はルーサーのフォメルギオンをモロに直撃する。
苦悶に歪む声を上げて、小野寺は吹き飛ばされてしまう。
「くっ……強いな……」
「ありがとう。お褒めに預かり光栄だよ」
ルーサーはそう言いながら、追い打ちを掛けに来る。
右手に氷、左手に光を生み出し、氷と光で作られた刃を両手に持ち、小野寺に突進して何度も斬りつける。
「ま、ける。かよおおおおお!」
「!?」
小野寺は黒い刀を具現化させて、ルーサーの刃を叩き砕いた。
更に、後方へステップした後、大振りの回転斬りをルーサーに斬りつける。
「ぐぅっ!!」
その斬りつけの攻撃で、ルーサーは吹き飛ばされ、小野寺自身も決死の攻撃の為に、バランスを崩して倒れ伏す。
「やばぃ、……普通にルーサーに勝てん……!!」
若干絶望しつつ、小野寺は必死に立ち上がり、槍を再度具現化し、攻撃を仕掛ける。
「スパン……ダイブっ!!」
ルーサーの青白いコアを狙いを定め、ジャンプで急接近、串刺しにしようとした。
しかし、コアに食らう瞬間に、ルーサーはテレポートをしてそれを回避。
小野寺は勢いを殺す事が出来ずに、ルーサーがいたところに槍が突き刺さる。
「ぐっおっ!!」
槍が壁に衝突した反動で、小野寺の全身も壁に叩きつけられる。
「終わりだ。ビッグクランチ・プロジェクト!!」
ルーサーは飛翔し、極太のレーザーを小野寺目掛けて照射する。
「竜詩幻創ドラゴン……サイト、竜詩幻創バトルリタニー……!!」
小野寺は最後の力を振り絞り、近くにいた山原さん目掛けて補助をかける。
青い龍が山原さんを包み込む。
そして、小野寺はビッグクランチ・プロジェクトの特大レーザーが直撃し、撃沈。
小野寺龍照、敗北。
だが、小野寺が齎した補助は山原さんを勝利へと導くには十分過ぎた。
「ありがとね、龍照!」
ニヤリと微笑み、龍照に感謝する。
そして、持っている短剣を再度強く握りしめ、力を込める。
「でやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「!!?」
山原は、耳を覆いたくなる程の咆哮をあげ、獲物を狩る百獣の王の如き表情になる。
その咆哮と表情に、普段とのギャップを感じたアプレンティスの力は一瞬だが緩んだ。
しかし、その緩みを山原は見逃す事はなかった。
一気に押し切る。
龍照が残した補助の力は絶大だ。
今の山原は、水を得た魚。
精を得たサキュバスである。
鍔迫り合いに負け、後方に仰け反ったアプレンティス。
大きな隙が生まれ、その隙をついて山原はアプレンティスに抱きつき、深い口付けを交わす。
「んぐっ!?」
だが、その口付けを受けたアプレンティスは、苦悶な表情を浮かべる。
それもそのはずである、サキュバスとなった山原の口付けは、他人の生気やエネルギーを無理矢理奪い、自身の力に変換する事が出来るのだ。
「♡」
エスカファルスが内包する莫大なエーテルを山原は残さず奪う。
初めは暴れていたアプレンティスも、次第にピクピクと動かなくなっていく。
それは猛獣に捕らえられた小動物のように。
アプレンティスの表情も次第に恍惚として、エスカファルスが見せるような表情になっていった。
ちなみにババア化では断じてない。
最後にはヒューナル体すら解けた彼女は、地面に倒れ伏した。
だが、その表情は最高に情けなく幸せな表情をしていた。
「ぼへー……ひ、ひあわひぇぇぇ♡」
呂律の回らぬ口調でアプレンティスは気絶する。
エスカファルス・アプレンティス、敗北。
あと1人。
エスカファルス・アプレンティスの力を一時的に得た山原は、ルーサーに狙いを定める。
「さぁ、行くよ。ルーサー!!」
「くっ、来い……!」
ルーサーは一瞬、怖気付くが、すかさずビッグクランチ・プロジェクトを撃った。
山原はその迫る特大レーザーを、両手に展開された魔法陣で受け止める。
「流石、誘拐犯の力を奪っただけの事はある。僕の技を受け止めるとは……!」
「つよ……い、アプレンティスの力を奪っても、こんなに───!!」
山原は歯を食いしばって必死に特大レーザーを受け止めている。
だが、その勢いは次第に失せていく。
「君を倒せば、僕たちの勝ちだ!!」
「絶対にルーサーを倒して勝ってやる!!」
そう言う山原だが、状況は圧倒的にルーサーが優勢だ。
展開している魔法陣も徐々に薄まっていっている。
そして遂に……。
「なっ、そんな……!!」
魔法陣が消滅し、特大レーザーが山原を包み込んだ。
「僕達の勝利だ!」
勝鬨の雄叫びを上げるルーサー。
しかし、その表情も一瞬だった。
特大レーザーの後には砕けた地面があるだけで、山原の姿はなかった。
「馬鹿な……一体どこに……!?」
狼狽するルーサー。
辺りをキョロキョロと見渡す。
「ここよ」
「っ!?」
ルーサーの真後ろから冷たい声が耳を舐め回す。
振り向こうとするルーサーを、山原は阻止する。
自らのサキュバスの尻尾使って、彼を拘束し動きを封じ込た。
「ど、どうやって、あの攻撃を───」
「あれは私の幻影よ。本物の私は姿を消していたの」
「……なん、だと?」
驚愕するルーサーを他所に、山原はルーサーの目を自分の手で覆った。
「それじゃあ、勝利は頂くね♪」
淫靡な笑みを浮かべる山原さんは、口を大きく開けて、ルーサーこと、エスカ・アンゲルの首元に噛み付いた。
「……ぅおっ!?」
ルーサーは奇妙な声をあげ、バタリと倒れて、ヒューナル体が解除された。
エスカファルス・ルーサー、敗北。
これでエスカファルス組が2人、戦闘不能になった事で、【四神】組の勝利となった。
ダブルと大原は、戦うのをやめて互いにヒューナル体と具現武装を解除する。
「「楽しかったよ! ありがとう!! また遊ぼうね!!」」
「おー、ええぞ! またやろうか!」
戦闘というより、戯れに近い事をしていた大原とフロー、フラウは握手をして笑いあった。
その一方で……。
「勝ち負けなんざ、どうでもいい! 猛き闘争を続けようぜ!!」
「あいよー」
エルダーと藤野は、そのまま戦闘を続行。
2人の攻撃がぶつかり合った。
続く
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
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いいよ。
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ダメ。