エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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「なーさらちゃんご飯だよー!!」

アプレンティスは優しげな声で、"なーさら"と名付けたダックスフンドにご飯を渡した。
なーさらは嬉しそうにご飯をムシャムシャと頬張っていた。

「あー、なーさらちゃん可愛いー!」

その姿にアプレンティスは、トロトロした表情で見つめていた。

「あぁ、ホントになーさらちゃん可愛いなぁぁ」

もう、男の子と女の子とフローちゃんとフラウちゃんと、なーさらちゃんがいるだけで私は頑張れる。

アプレンティスはニマニマしながら、なーさらが飯を食べ終えるまで見つめていた。

「何があっても、私は子供達となーさらちゃんを必ず守るよ」

アプレンティスはそう決心した。



43話 始まる侵略

 

 

 

 

 

9月20日

 

 

「……」

 

小野寺龍照はファレグ・アイヴズと模擬戦を繰り広げていた。

 

1ヶ月ほど前に起きた凄惨な事件の後、龍照は自身の無力と愚かさに悔い、強くなる為に狂ったようにファレグさんや他のエスカファルス達と戦闘を行っている。

 

 

 

愚か者は1度痛い目を見ないと分からない。

私は2度も痛い目を見て、ソレに気づいた。

私は、本当に救いようの無い愚か者だ。

 

こんなんじゃ、本当に誰も救えない。

推しのキャラ達を……対魔忍を救えない。

弱ければ何も出来ない。

対魔忍にもなれない。

 

私は強くなる。

強くなければ、何も出来ない。

弱ければ、何も守れない。

何も救えない。

私は……最強にならなければならない。

対魔忍になる為にも、森羅万象の推しのキャラを守るためにも……。

 

ブレインフレーヤー等の宇宙のゴミ共に勝てない……。

私は……私は最強にならねばならない……!!

 

 

 

そう心に決めた龍照は1ヶ月間、永遠戦いに明け暮れた。

睡眠時間も削り、オンラインゲームを含む娯楽なんて、もうやっていない。

ペルソナが本当に心配した事は、今までは夜に、龍照が持っている対魔忍のエロ画像(綴木みことのイラスト数百枚(龍照が描いたイラスト含む))を見て発電していたにも関わらず、あの事件が起きてからは1度してしていなかった事だ。

 

龍照の深層心理から生まれたペルソナからすれば、彼が一切の発電せずに戦いに耽っているのは、ガチモンの異常事態だった。

 

「ねぇ、精神科に1度見た方がいいよ……。あんなの私じゃないよぉ……」

 

と、涙目になって心配するレベルだ。

いや、もう泣いていた。

 

 

 

「……」

 

龍照は具現化能力を使用せず、拳を握り締めて、ファレグさん同様の赤い闘気を纏わせた。

 

「潰す……!!」

 

その拳でファレグさんの顔面を殴りに掛かった。

一般の人が、それを食らえば頭が吹き飛んで即死するレベルの威力だ。

 

「遅いですよ」

 

ファレグさんは、それを難なく軽々といなした。

しかも、いなした一瞬に龍照のミゾオチに膝蹴りを食らわせる。

 

「おブっ!?」

 

龍照は情けない声をあげて吹き飛ばされるが、直ぐに態勢を立て直して復帰。

手刀でファレグさんの首元を狙う。

殺意の塊である。

 

「まだ、軽いですね」

「……!!」

 

ファレグさんは敢えて首元を晒し、攻撃を受けた。

それでも、ファレグさんにダメージが受けている様子はなかった。

それを見た龍照は歯を食い縛り、悔しそうな表情をする。

 

「ハッ!!」

「ゴハァッ!?」

 

殴られて地面に叩きつけられる龍照。

口から血と胃液が混じったモノを吐いて、痙攣した身体を起き上がらせる。

 

「……負け、ない!!」

 

そう言った彼の表情は、狂喜に歪み切った笑みを浮かべ再び殴りにかかる。

ファレグさんは片目を力良く開き、眼力で龍照の拳を受け止めた。

 

「で、デタラメな力を……!!!」

「龍照さん、1度冷静になってはいかがですか?」

「……私は、冷静や……!!」

 

闘気を纏って力を込めるが、ファレグさんの肌に触れる事すら叶わなかった。

本当にバケモンだ。

 

「私には、そのようには見えません」

 

カッ!!

ともう片方の目を見開いて、その覇気だけで吹き飛ばした。

地面に倒れる龍照。

だが、それでもまだ立ち上がる。

 

「強くなる、という決意は素晴らしいと思いますが、日常生活を厳かにしていては、強くはなれませんよ」

「……私は……」

 

彼が何かを言う前に、ファレグさんは「今日はこれまでにしましょう。それと貴方は暫くお休みになってください」と言って、威圧する。

その覇王色の覇気のようなモノを受けた龍照は一瞬にして気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

「だづでるぅうううううぅ!」

 

家に戻ると、ペルソナが泣きながら抱きついてくる。

いきなりの事に私は驚いてしまった。

 

「ど、どうした?」

「どうしたじゃないの!?」

「もう休んで!! お願い!!」

「いや、先程ファレグさんから1ヶ月は休まないと、鍛錬に付き合わないと言われたから、やむ無しに……」

 

私がそう言うと、ペルソナは涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、ビビる事を言った。

 

「私がオ〇ホになってあげるから、本当に休んで!!」

「はい?」

「私のこと好きに使っていいから!」

「待て待て」

「綴木みことちゃんにもなるから!!」

「うん、それは綴木さんに謝罪した方がいい。自分と同じ姿、声をした者が、こんなキモオタと過ごすのは嫌悪感MAXやろうて」

「乳〇ピアスも淫紋も刻むし、首絞めプレイも喜んでするから!」

「おいバカやめろ。あの回想の話をするでない」

 

ペルソナのトンデモ発言に四苦八苦していると、藤野が「久しぶりにデュエマしない?」と誘ってきた。

 

そういえば、最近してなかったな。

ファレグさんにも、戦いは一旦やめとけって言われたし……。

私は「ええで! やろうか!」と言って、部屋からデュエマのデッキケースを取りに行った。

 

「確か、ここに置いてたような……。あったあった!」

 

テーブルに野晒にされているデッキケースを掴み、被っていたホコリを払った。

 

「それじゃあ、デュエルやるか!」

「うん!!」

 

私は藤野と、テーブルでカードゲームをすることになった。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

マザーが目覚める前の時代に遡る。

 

フォトナーの世界なら逃走したドール。

仮の名は赤暗土流(アカクラモグラ)。

 

彼が目覚めたのは、東京の、とある学校ができる前の路地裏だった。

 

 

『ここは?』

 

僕は頭を抑えて起き上がり、辺りを見渡した。

建物の裏手のような場所だ。

フォトナーの場所にも似たような場所はあったが、土表や建物の材質を見る限り、全くの別であった。

では、フォトナーが侵略した惑星の内のどこかに辿り着いたのだろうか?

その考えは違うと、僕は首を振った。

 

『あの時、僕は異次元ホールを開けて、そこに逃げ込んだ。という事は、ここは別次元の惑星……なのか?』

 

僕は結論付けて、路地裏を出た。

僕の目に広がったのは人々が闊歩する光景だった。

 

『何だここは……』

 

あまりの衝撃に僕は驚きを隠せなかった。

僕は怪訝な表情のまま、人々に混じって歩き出した。

 

『ん?』

 

ある程度歩いた時、僕はある違和感を感じ、ふと足を止めて地面に触れた。

触れた時、僕は驚きのあまり『うおっ!?』と声を上げてしまった。

地脈からフォトンに酷似している粒子を感じたのだ。

触れた感覚的だから確実とは言えないが、フォトンのように爆発的なエネルギーを生み出すことは出来ないが、情報伝達能力に優れていると考えられる。

 

しかもこれ……。

フォトン特有の人の感情の影響を強く受けるという性質も有しているから、これを利用して何かの創造物を創る事も可能なのではないのか?

地脈に流れているフォトンモドキの量は少ないけど、僕の持っているフォトン量で賄える。

しかし、何故……異次元の惑星にフォトンモドキが?

 

『いや、考えるのは後だ。先に創造物を作れるか試してみるとしよう』

 

僕は目を閉じて、体内にあるフォトン粒子を放出する。

人々がこちらを怪訝な表情で見ているが、僕にはそんなことはどうでもよかった。

SEEDを具現化させてみようと頭の中でイメージする。

そして、見事に具現化できたのだ。

 

『これは、凄いな……!』

 

ニヤリと微笑んだ。

僕は生み出したSEEDを地脈に流れるフォトンモドキに送り込み、霧散させた。

この効果がどうなるか分からないが、この星の侵略する際に、役にたてるだろう。

だが、まだそれを行わない。

この原住民達が如何程の強さをしているのかは、分からない。

下手すれば、こちらが殺られる可能性すら有り得る。

故に、僕は早速準備に取り掛かった。

僕は人気のない場所へと移動し、先程は比べ物にならない程のフォトンを爆破的に解放する。

そして、僕は宇宙に巨大な母船と、少女を創造する。

戦力を整えて、地球を侵略する為に。

 

 

 

───────────────────────

 

 

時は戻り現代へ……

 

 

太陽系外にある漆黒のマザーシップ。

それはドールによって具現化された物だった。

彼の目的は、具現化したマザーシップでフォトナー達が出来損ないと宣った機動兵器……《ドールズ》を作り出し、あらゆる星を侵略し、フォトナー達に見返すことだ。

そして、はじめの侵略が地球であった。

 

 

 

「主様、全てのドールズの調整が完了しました。現在、降下艇に格納中です」

 

金髪の美少女が、白衣を着た青年……ドールに報告をした。

ドールは「ふむ、ありがとう」と頷き、自分はある場所へと向かう。

それは、あの長い長い廊下を歩いた先にある部屋だ。

その部屋に向かっている最中、ドールはメカブランこと、テスト運用で地球に降下したヴァーディアス・ヴェラの反応が一瞬にして消失した事を考えていた。

 

何者かに破壊されたのか、それとも機械トラブルか……。

降下を延期して、少し地球の様子を探るか?

いや、大丈夫だろう。

こちらには無限とも入れる程のドールズがいる。

如何なる力を持った存在が居ようと、物量で押し切れる。

 

地球侵略をこのまま進めることを決めたドールはダルクファキス・イージスが建造されたドック、ドール・メディオラの扉を開けた。

 

「さぁ、出番だよ。僕と共に宇宙を飛び回ろう!」

 

ドールは笑顔でダルクファキス・イージスを起動する。

すると、イージスは音を立てて動き出し、カプセルから飛び出した。

コアのような部位が開き、コックピットが露になる。

そして、ドールはイージスに搭乗した。

 

「さぁ、はじめよう!! 最高の侵略を!!」

 

ドールの言葉と共に、マザーシップから数え切れない程のドールズの降下艇が放たれ、イージスと共に地球へと向かった。

 

 

───────────────────────

 

 

 

『……何の……冗談だ……。』

 

とあるデータを見たマザーは戦慄する。

マザーのこのような表情は、後にも先にも、これが最初で最後かもしれない。

 

一ヶ月前に起きた謎の存在、メカブランの解析が完了し、そのデータをマザーは目を通したのだ。

 

「マザー、何か分かったのか?」

 

アラトロンは、近づきながらマザーに問いかけた。

それにマザーは、深刻な表情をして返答する。

 

『不味い事態になっている。』

「……? これは、小野寺龍照と山原真衣菜が戦ったロボットか?」

 

モニターには、あのメカブランの姿が写し出されていた。

城ヶ崎島に漂うエーテル粒子を回収し、粒子に記録されている情報データをCGでモニターに写しているのだ。

アラトロンは頭をコンコンと叩き「何とも不思議なロボットじゃのぅ」と言った。

 

『……。』

「フォトナー時代の遺物か?」

 

マザーの様子に何かを察したアラトロンは、静かにそう言った。

マザーは深刻な表情を崩すこと無くコクリと頷いた。

 

『アラトロン、各支部に直ぐにでも市民を避難できるように、避難場所の確保・誘導の訓練を行うように連絡を入れていてくれ。』

 

マザーの言葉にアラトロンは「うむ」と頷いて、各支部に連絡を行いに向かった。

 

『……アレがここに居るという事は……やはり、あの太陽系外にある気配は……。なぜ、アイツがこの世界に……。』

 

マザーはモニターに写し出されたメカブランを眺めた。

遥か昔に彼女は、ある2人の研究者の話の中に、メカブランの事が出ていたのを思い出す。

陸海空の戦域を統制する機械人形。

1人の研究者は、そのメカブランの名を、

 

ヴァーディアス・ヴェラ type-Gigantix

 

と言っていた。

それが地球に降りてきて、マザークラスタの仲間の1人を殺した。

これはもう、ただ事では済まされない事態だ。

マザーは大規模な結界を貼る準備を行おうとした。

だが、無数の気配を感じ、その手が止まった。

 

『まさか……!?。』

 

マザーは宇宙を見上げる。

見上げた先には、大量の紫色に煌めく物体がこちらに近づいているのが分かった。

 

『……!』

 

マザーは地球を包む程の結界を張ったが、無慈悲な光の刃によってその結界を貫き、更には複数のエスカタワーを破壊した。

 

エーテル粒子の放出量をコントロールする役割を持っているエスカタワーが破壊されたことで、エーテルが暴発。

突然のエスカタワーの爆発による、人々の恐怖によって暴発したエーテル粒子が反応、世界中に異形の幻創種を生み出した。

 

 

 

続く

 

 

 

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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