エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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『さぁ、地球を終末の惑星へと変えよう!!』

僕はイージスのコックピットから言い放つ。
アクセルペダルを大きく踏み込んで、スピードを上げる。
まずは序章といこうか!!

『無慈悲の刃、喰らえ!!』

僕は目の前にあるモニターを操作、更に操縦桿を使って攻撃コマンドを入力。
すると、イージスは光り輝く剣を発射し、各国のエスカタワーへと飛んで行った。

『後は、僕が昔仕掛けておいたSEEDがエーテル粒子に交わっていれば、最高なんだけど……まぁ、大丈夫だね』

僕は不敵な笑みを浮かべ、シオンコピーがいるであろう事が予想できる月面へと向かった。
僕を出来損ないとホザいた腰抜け共に見返してやる。
僕が最高の科学者であることを……!!!




───────────────────────────

アンチヘイトご注意ください。


44話 終末の地球に顕現した英雄

 

 

 

 

 

恐るべき事態となった。

エスカタワーの崩壊によって、溢れ出たエーテルは人々の恐怖に呼応し、異形の幻創種……SEEDを生み出した。

 

「なんだコイツら!?」

「ヤバいよ、逃げろ!!」

 

化け物に恐怖し、逃げ惑う人々に奴らは奇声をあげて襲いかかる。

東京……いや、日本……地球全てが阿鼻叫喚の地獄絵図、終末の惑星となった。

 

 

マザーは地球から溢れるエーテルを抑えようとするが、それは決壊した大型ダムから無限に放流され続ける水を止めろ、と言っているようなものだ。

いくらマザーでも、不可能に近かった。

 

『ダメだ……エーテルが……抑え込めない……!!。』

 

苦悶に満ちたマザーが呻くように口を開く。

しかし、地球を終末の惑星へとするのは、SEEDだけではない。

宇宙から紫に光る流星が雨のように落ちてくる。

その流星一つ一つがドールズであり、地面に落着し、人々に襲いかかった。

その恐怖にもエーテルは反応し、SEEDを生み出した。

無論、マザークラスタやアースガイドはドールズに立ち向かった。

各々が具現武装を以て立ち向かう。

……しかし、人が具現武装を使用した時、その者は苦しみながらSEEDへと姿を変えたのだ。

 

昔、ドールがこの地でSEEDを具現化し、ソレをエーテル粒子が流れる地脈へと戻した。

その時、SEEDとエーテル粒子が混ざりあったのだ。

これまで具現化をしてもSEEDに侵食されなかったのは、エスカタワーによってエーテル粒子を制御されていた為である。

それ故にエスカタワーが破壊され、エーテルが止めどなく溢れる現状でエーテルを用いた場合、SEEDが混じったエーテル粒子によって身体を包む為、そのまま侵食されてしまうのだ。

つまり、マザークラスタやアースガイドでもドールズに立ち向かうことが不可能だった。

 

この現状でドールズとSEEDに対抗出来る存在は、SEEDによる侵食を気合いで弾くファレグさんと、そもそもSEEDに侵食されないマザー。

そして……。

 

 

「おらああああああああ!!!」

 

突如の絶叫と共に、人々に襲いかかろうとしているペダス系ドールズとSEEDをバラバラに薙ぎ払った。

 

深遠なる闇に片足を突っ込んでいる小野寺龍照だ。

彼も強大な力によって、SEEDの侵食を防いでいる。

更に、彼は幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアスの邪眼が持つ莫大なエーテル粒子を使用してある為、SEEDによる侵食がされないのだ。

 

「エクスとクォーツは、コイツらを極東支部内に避難させろ!!」

 

〚御意!!〛⁡

〚分かった……〛⁡

 

2匹の龍は怯える市民に寄り添い、安心感を持たせて極東支部の地下へと案内する。

 

「エスカラグナスは蜘蛛の巣をありとあらゆる所に張り巡らせて、機械人形とSEEDの侵攻を遅らせろ!! 徹底的に遅延行為をするんや!!」

 

〚──────!!!〛⁡

 

ラグナス達は飛び上がって、ビルとビルの間を器用に動いて粘着性・耐火性抜群の蜘蛛の巣を張り巡らせた。

 

「エスカビブナス含む、有翼型、龍型エスカダーカーは、空中から機械人形とSEEDを叩き潰せ!!」

「龍照ーー!!」

 

エスカダーカーに指示を出す中、ペルソナがドールズをコートエッジで真っ二つにしつつ駆け寄ってくる。

エスカファルス勢は幻創種だからか、SEEDによる侵食を防ぐ事が出来ていた。

 

「マザーはなんて言ってた!? 何で急にファンタシースターに出てくるSEEDが現れた!?」

 

私の言葉にペルソナは冷や汗を流しつつ、一呼吸おいて状況の説明をした。

 

「マザーが言うには、フォトナーの1人が地球を侵略しに、ドールズっていう兵器を投入しているみたい」

 

ペルソナの、ある単語に私は耳を疑った。

私は、ドールズと呼ばれる名前を、この世界に来る前にきいた覚えがあった。

 

「は? ドールズ!? 何でNGSの敵が!?」

「私も知らないよ!! でも、マザーが言ってたんだって!! 大量のドールズが地球に侵攻をしてるって」

「他のエスカファルス達は!?」

「みんな別の所でドールズとSEEDの掃討をしてる!!」

「じゃあ……あ、待って、ドールズが来たわ。先にコイツら殲滅してからや!!」

 

龍照はSEEDについても聞こうと思ったのだが、運悪く現れたドールズ、ペダス・ヴェラを前に闘気を纏わせる。

ペルソナもコートエッジを構えて戦闘態勢をとった。

 

「緊急クエストに出てきそうな、ボス級エネミーやな」

「ベータテストにボスとして出そうだね」

「ああ」

 

龍照とペルソナは、そのような軽口を叩き、ペダス・ヴェラに先制攻撃を仕掛けた。

 

 

 

一方……マザークラスタ極東支部内では……。

人々が不安気な表情で避難をしていた。

 

「あ、あの……私たちは助かりますよね?」

 

老婆が泣きそうな表情でスタッフ達に訊ねていた。

スタッフ達は「現在、外ではマザークラスタ達が食い止めていますので、大丈夫です」と答えた。

 

「今はパニックや不安にならず、平静な気持ちでいてください」

 

と他のスタッフが避難民に言った。

それを聞いた人達は、コクリと頷く。

 

「私の世界じゃあ、こうは行かないかもね」

「まぁ、そうやのぅ……」

 

民度の高い人達を前に、大原と藤野は呑気な話をしていた。

2人は小野寺の指示で避難経路の確保と避難誘導に回っていた。

小野寺は2人がエーテルを使うことで、SEEDに侵食されるかもしれないという心配から、そのような指示を出したのだ。

 

「歯痒いね。上ではみんな戦ってるのに、私たちはここで待つことしか出来ないなんて」

「にゃー、しゃーないよ。俺達もSEEDになったら、それこそよ」

「そうだけど……」

「待っとこう。アイツらなら、この状況を打開できるよ」

 

大原は何とも言えない表情で天井を見ながら呟いた。

 

 

 

 

そして、小野寺とペルソナはというと……。

ペダス・ヴェラを破壊し終えて、息を切らしていた。

 

「普通に強くて笑えんのやが……」

「ほんとだね」

「てか、こんな挙動のエネミーなんか? NGSのドールズも」

「だとしたら、かなりのクソエネ……」

「やめろバカ!!」

 

ペルソナが言いかけた言葉を私は制止する。

彼女はアハハと笑いながら謝罪をした。

呑気なことを言っている場合ではないが、こういう状況だと、呑気な事を言わないと精神的に辛いのだ。

 

空は赤紫色に染まり、流星が止めどなく落ちてくる。

その光景は終末そのものだった。

アーモロートでもここまで……いや、同じぐらい酷いわ……。

 

本当に明日が燃え殻になりそうなんやが……。

本当に文明が燃え尽きそうなんやが……。

 

 

「……どうするよ……最終的な勝ち筋が見えんぞ……」

 

私は終末の空を見上げながら、苦しげな表情でペルソナに訴えた。

ペルソナは、マザーがSEEDが現れた原因を説明していた内容を彼に伝えた。

 

「なるほど……それならマザーの救援しに行くか」

 

眼の力を使って、大型龍型エスカダーカーを具現化させて、ここら一帯のドールズとSEEDの殲滅を命令する。

私はポータルを使って、月面へと向かった。

 

 

『くっ、エーテルが……。』

「マザー大丈夫ですか!?」

『龍、照か……。』

 

私はマザーに駆けつけた。

気づいたマザーは苦悶に歪み歯を食い縛った表情でこちらに振り向く。

 

『申し訳ない。このような事になってしまって……』

 

マザーは謝罪をするが、そんなことをしている場合じゃないと言って、私もエーテルを抑え込もうとマザーの助太刀を行うとした時だ。

 

上空から光の刃が降り注ぎ、私達は既のところで回避する。

 

「なんや!?」

「またドールズ!?」

『遂に姿を現したか……ドール!。』

 

マザーは怒りの表情を浮かべて宇宙を見上げた。

私とペルソナも、それに反応して同じように見上げる。

 

「なに……あれ?」

「……」

 

宇宙から飛来してくるドールズに、私とペルソナは呆気にとられた。

そのドールズは遠くからでも分かるほど巨大な図体をしており、巨大な腕に甲虫の前ばねを彷彿する肩部、6つの多脚、長く伸びる尾に、昆虫を思わせる特徴をしていた。

いや、よく観察すると背部に4本の長い巨大パーツが羽のように展開してあるのが見えた。

ナンジャこいつは……。

 

アプレンティスとは異なる、昆虫のようなドールズに私は目を細めて見つめていた。

それはペルソナと同じだ。

 

「何あれ……」

 

と、巨大なドールズに目が離せなかった。

 

 

『やぁ、シオンコピーじゃないか、久しぶりだね』

 

巨大なドールズから声が聞こえてくる。

あれ、この声、昔聞いたことが……。

 

『それに、そこにいるのは……3年前にあった小野寺君じゃないか!』

「まさか、赤暗土流さん!?」

 

3年前……私がこの世界に来て間もない頃に、ほくほく線へと行く時に新幹線の車内で話をした赤暗さんだった。

 

「何故、赤暗さんが?」

 

私は率直な疑問を赤暗さんに投げかけた。

彼はドールズの中で答える。

 

『何故も何も、あの時、僕はこの世界を侵略する為に、世界の地形や建造物を確認していただけだよ。その時、この世界の人間がどんな反応をするのかを試していたのさ』

「……」

『結果、ここの人達は、頭のおかしい人として片付けて何も対策を取らなかった。それが今の現状と言うことだ』

「……」

 

赤暗さんの言葉に、私は何も言わなかった。

ぶっちゃけそんな事よりも、今のこの現状の打開策を考えていた。

 

『さぁ、この次元の星々を征服し、僕を出来損ないと宣ったフォトナー共に見返してやる!

行くよ、ダルクファキス・イージス!!』

 

赤暗さんはそう言うと、巨大なドールズ……ダルクファキス・イージスは背部にある4本の長い巨大なパーツ(以下タレットとする)が、ガシャンと音を立てて月面に4つ突き刺した。

なんかヤバイと感じた私とペルソナ、マザーは、武器を具現化して、月面に突き刺した巨大なタレットに攻撃を仕掛けた。

 

『無駄だよ。その程度の攻撃では、僕のイージスの動きを阻止することなんて不可能さ』

 

月面内にあるエーテルを吸収し終えたのか、タレットを背部に戻し、1本の特大レーザーを上空へと発射。

レーザーは、拡散するように弧を描くように月面や地球に向けて降下して行く。

その内の三本は私とペルソナ、マザー目掛けて落ちてくる。

 

『2人とも集まれ!。』

 

マザーは強く言い放つと、周囲にバリアを生み出して、攻撃を防いだ。

しかし、拡散するレーザーによって月面基地は半壊。

地球全土にも甚大な被害が出た事は明らかだった。

 

『くっ……まさか……こんな事に……。』

 

マザーは悲しげな表情を浮かべた。

私は「未知の事象だってありますよ」と言いながら、イージス目掛けて攻撃を繰り出す。

しかし、イージスは何処からか、巨大な盾のような装甲板を6つ展開させた。

 

「!?」

 

その展開した盾には無数の砲台が備わっており、回避不可能とすら思えるミサイル、散発弾、レーザーの弾幕が私、ペルソナ、マザーを襲った。

 

ペルソナはマザーが具現化したバリアで弾幕を防げたが、攻撃を仕掛けた私はバリアに入ることが出来ず、弾幕をモロに直撃してしまった。

 

「うぐっ!!」

 

全身に伝わる痛みに私は涙目で歯を食いしばって月面に叩きつけられる。

 

『早くしなければ……地球が……!!』

 

マザーはバリアを展開しながら、呻くように呟く。

ペルソナはチラリと地球を見た。

青い星と呼ばれた地球は赤紫にどよめいており、青い星とはかけ離れていた。

 

「待って……ワンチャンいけるかも……!」

 

何か策を考えたペルソナは、ポケットから1つのクリスタルを取り出した。

それはペルソナの能力・創造魔法【具現化】によって創造したクリスタルである。

そのクリスタルを掲げるだけで、自身の思い描く姿へと、自分もしくは相手を変える事ができる。

だが、今から成る存在は、洒落にならないほど強大な存在だった。

そのため、ペルソナは刀を使って弾幕から身を守っている龍照を呼びかけて、マザーのバリアに入るように言った。

 

「龍照こっちきて!!」

「おけ! わかった!」

 

龍照は多少の攻撃を食らう覚悟で全力で走り出し、バリア内にダイブする。

そして、ペルソナは龍照に、とある作戦を出した。

世界を救う方法を。

 

 

「……そんなことをできるの? いや、んな事言ってる場合やないな……」

「そゆこと! 私が考える一番の最適解!!」

 

そう言って、ペルソナは龍照にもう1つのクリスタルを差し出した。

彼は、そのクリスタルを受け取り、2人は手を握る。

 

「マザー、少しの間だけでいい。私達を守ってほしい……」

『分かった。』

 

ペルソナの要求にマザーは頷くと、彼女はバリアを何重にも貼って守りを固めた。

 

『どれだけ守ろうと同じこと! このイージスの力の前には無力なのさ!!!』

 

ドールは狂喜の声を上げて再び拡散レーザーを打ち上げ、今度は全弾をマザーの周辺に降らせた。

幾つもの爆発にマザーは飲み込まれる。

何重にも張り巡らされたバリアは、瞬く間に砕け散った。

 

『ぐぅぅぅぅぅ……!』

 

マザーは必死にバリアを再展開する。

ペルソナと龍照はクリスタルを握り締め、想いと願いを浮かべた。

 

 

─世界を救いたい─

 

 

そう想った時だ。

違和感を感じた龍照は、ゆっくりと眼を開けた。

彼の目の前に広がる光景は、闇だった。

暗い暗い何も無い真っ黒な光景。

 

「……」

 

その暗い闇の空間の中、彼の耳に声が聴こえてくる。

発する声は上手く聴き取れないのに、その言っている内容は理解できた。

その時、彼は頭の中で納得した。

 

これは、自分の記憶にあるモノの再現なのだろう。

私の想いが頭の中で具現化され、幻聴として聴こえていた。

ゲームで言うところの演出やエフェクトのようなものだ。

それでも私はその声に、こう切りかえした。

あくまで、彼ら彼女らの気持ちに対しての返答だ。

 

 

 

ええ、あなた方が生み出した神を、あんな形で終わらせたりしない。

世界を壊させたりしない。

 

 

 

そして、私とペルソナの身に2つの最強を降ろし、融合させた。

 

「「あぁ、馴染んでいく……。果てしない力が、私と私の身体と繋がっていく……」」

 

2人の声が同時に聴こえてくるその神を前に、イージスは少したじろいだ。

そのような事も無視して、2人は言葉を連ねる。

 

「「星と少女を救った2柱の英雄でどこまでやれるか、ブレインフレーヤーやBETAで試そうと思っていたのですが……。この際です、世界を救うのに最も邪魔な、あなた方から消すといたしましょう……!!」」

 

ゆっくりと、静かだが力強い口調で、ドールとイージスに言い放った。

 

『お前は……なんだ?』

 

イージスからドールの震える声が聴こえてくる。

2つの神を融合させた存在。

……安直だが、違和感の無いシンプルな名前を答えた。

ぶっちゃけ、私とペルソナのネーミングセンスだと、これが限界である。

 

 

─深遠なる闇の神 ゾディアーク─

 

 

と。

 

 

 

続く

 

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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