エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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「イージスを私一人で相手しろと?」

私はペルソナに訊いた。
しかし、ペルソナは「あっ」と何かを思い出したように話を続ける。

「ごめん、やっぱ全員を1人で相手できる?」
「なんで!?」

この言葉には流石の私も驚きの声をあげた。
難易度上がってんじゃねーか。

「違うの、良く考えたらだけど、ゾディアークが消滅したら、抑えてるエーテルがまた暴発してSEEDが生み出されるから、万一の事を考えて防衛に向けた方がいいかなって思ったの」
「何も違わんわアホ! 結局私一人で相手しろ言うとるやんけ!」
「大丈夫、行けるよ! それにゲームとかだと、ここで能力の覚醒とかあるパターンだし!」

訳の分からん理屈を並べ立てるペルソナに私はため息を着いた。

「それは主人公の場合やろ? 私、主人公ちゃうぞ!」
「いいからお願い!」

そう言うと、ペルソナは私を深遠なる闇の神 ゾディアークから抜け落とした。

「ちょっ、ふざけんなあああああああ!!」

私の断末魔が月面に轟いた。
てか降ろすなら、もうちょっと優しく下ろしてくれ!
こんな背中を向けた状態で降ろすなバカタレ!!

「あーもう、しゃーない!! やるしかない!!」

私は背中から龍の翼を顕現させて、地面に着地した。
さて、どうするか……。

「私は、マザーと深遠なる闇とゾディアーク(わたし)を守るから、頑張れ!!」

ペルソナはゾディアークの状態で、ウィンクとピースをして私にそう言った。

「てか、ゾディアークと深遠なる闇の身体してるんやったら、どうにか出来んのか!?」
「流石に4体同時には無理。それに、この身体が無くなったら、地球を救えないのよ!」
「……どゆこと?」

私は眉を顰めて質問する。
しかし、ペルソナは「敵がいる前で作戦バラせるわけないやろ!!」と怒っていた。

「それもそうだ、すまん。私が悪かった」
「いいよ! あ、ヒント!! ダークファルス【仮面】の能力は!? そして、深遠なる闇戦の最後に【仮面】は何をしたの!?」
「え……そういう事?」

ペルソナのヒントに、私は呆気に取られた。

「そういう事だから、深遠なる闇の神 ゾディアークがやられたらダメなの!」
『何をするつもりか分からないけど、ゾディアークを滅ぼせば何も問題ない訳だ!!』

イージスは巨大な拳でゾディアークの胸元を殴りにかかる。


─竜詩幻創・天竜点睛─


二頭の竜がイージスの拳にぶつかり、その攻撃を阻止した。

〚〚「私が相手だ……!」〛〛

ニーズヘッグ、ミラボレアス、リオレウスの意匠を持つ竜となった私がイージス達に対峙する。
ペルソナのヒントが、そういう事ならばやるしかない。
私は火球ブレスを放った。


46話 おめでとう、おめでとう、おかえりなさい……

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

崩壊する東京。

ドールズとSEEDに対抗してる人達がいた。

 

「滅べ、消し潰れろおおおおおお!!」

 

エルミルこと、エスカ・マスカレーダの怒声が轟き、二丁銃を手にするドールズ、デストラグラスを青い茨で拘束し、大剣で一刀両断にした。

真っ二つに切り裂かれたデストラグラスは十字の爆発を起こして消え去る。

 

「この神聖な領域を荒らすなら、僕は君達を容赦するつもりはないよ!」

 

秋葉原にてエスカファルス・エルミルは、この地に降り立った龍型SEED、オルガディランと対峙する。

オルガディランは背部に収納した大翼をバサリと広げて天高く遠吠えした。

 

「さぁ、見せてあげよう。世界を救う、奇跡をぉ!!!」

 

エルミルは力を解放する。

青い光に包まれた彼は、完全体となり、エスカ・マスカレーダの仮面を被り、巨大な剣を振り上げる。

攻撃の予兆に、オルガディランはバックジャンプして、エルミルの攻撃を回避しようとした。

しかし、エルミルが繰り出した斬撃はオルガディランまで届き、吹っ飛んだ。

信号機やガードレール、その他諸々を巻き込んでビルに激突する。

砂煙や瓦礫が音を立てて落ちる中で、オルガディランは人吠えしてエルミルに突進し始めた。

 

「無駄だ!!」

 

エルミルは瞬時に巨躯の仮面を被り、分離した4つの巨腕を用いて突撃するオルガディランを掴み、地面に叩きつけた。

オルガディランは振り解こうと、体をクネらせて抵抗するが、エルミルは力を込めて押さえつける。

 

「うおおおおおおおお……!!」

 

エルミルは雄叫びをあげて、4本の巨腕でオルガディランを押さえたまま自身の拳で、脇腹をぶん殴った。

奇声に近い断末魔をあげ、悶えるオルガディラン。

 

「……!!!」

 

再び、エスカ・マスカレーダの仮面を被り、手のひらから気弾を撃ちながら剣を構え、高速で突進し突きを繰り出し、オルガディランの頭を刺しにかかる。

 

「トドメ!!」

 

大剣が頭に刺さったオルガディランは、押さえ込んでいた巨腕を振り解き、頭をブンブン振り回しながら暴れまわった。

 

「チッ……!」

 

それを見たエルミルは苛立ちの表情を浮かべ、敗者の仮面を被り時間を停止させる。

そして、頭に刺さった大剣を引き抜き、奴の頭を切り落とす。

 

「君達の様な存在が、オタクの聖地に踏み入ることは許さん……!!」

 

仮面を被っていて分からないが、その声は殺意に満ちていた。

上空から次々と降り注ぐドールズ、次々と生み出されるSEEDを前に、彼は剣を構えて殲滅しに掛かった。

 

 

 

 

「ハアアアアッ!!」

 

 

山梨県の農園地帯。

エスカファルス・ハリエットは、ソダムの形態になって、進撃するペダス・ヴェラを鋭利な木の根で串刺しにする。

いや、ペダス・ヴェラだけじゃない。

周囲の小型ドールズやSEEDも片っ端から串刺しにした。

 

「風界!!」

 

ハリエットは風の力を解放。

全身に緑色の風が全身を纏った。

 

「これで終わりです!!」

 

風の力を使い、生成した鎌鼬を飛ばして、串刺しにされて動きを封じたペダス・ヴェラを八つ裂きにする。

切り傷まみれのボロボロのペダス・ヴェラは身体中から赤色の液体を吹き出して機能停止した。

だが、それでもSEEDやドールズは止めどなくやってくる。

 

「樹界!」

 

ハリエットは避難している人々を守るため、再び大木の根を生み出してドールズとSEEDに襲いにかかる。

ハリエットが自然の力を解放する度、この一帯に大自然を創造した。

地界の力によって、崩れた大地は元の大地へ戻り…

水界の力によって、腐った水は透き通った美しい水を取り戻し…

樹界の力によって、焼け崩れた木々、山々は緑に溢れる景観な山々になり…

風界の力によって、熱く重い風は、涼しく心地の良い風に元通りとなる。

そして、それに反比例するかの如く、この地に倒れ伏したSEEDやドールズが広がっていく。

 

「地球を滅ぼす存在を……私が全て消し去ります」

 

ソダムの形態の彼女は、全力で殺しにかかった。

オルガディラン?

デストラグラス?

ヴァーディアス?

 

関係ない。

自然を破壊する存在を、原初の闇は許さない。

それだけだった。

 

 

 

 

 

商店街 春湖丹。

活気で溢れかえった商店街も、今は炎に焼かれて見る影もない。

ただ、無数のドールズとSEEDが跋扈しているだけだった。

そんな中……。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!!」

 

女性が少女を抱え、追っ手から逃げていた。

抱えられた少女は、1つの人形を大事そうに持って、怯えている。

 

『………………』

『………………』

『………………』

 

後ろから女性と少女を追いかける存在は、全身が赤い液体が流れるチューブだらけの人型のドールズだ。

名は、アムス・クローネ。

戦域統制型ドールズ アムス・クヴェスの簡易量産型だ。

 

胸部、関節部には黄色に輝くコアのような物に目がいく。

最早、人間がそのままドールズになり、尻尾を生やしたようなグロテスクの見た目に、製作者であるドールは何故このような嫌悪感を抱く姿にしたのか、小一時間問い詰めたい程である。

 

「お、お姉ちゃん……」

「大丈夫! もう少しの辛抱よ!!」

 

不安そうな女の子、芽流本ディアを、姉である芽流本シーナが走りながらも必死に宥めている。

それでも、シーナの表情は険しかった。

ここから避難施設までかなりの距離がある。

 

「……!?」

 

シーナは目を見開いて絶望する。

目の前から大型SEEDである、ディルナズンやダーベラン、ダーヴァガインが現れた。

そして、後ろからはアムス・クローネ。

 

「そ、そんな……」

「うぅ……」

 

2人は絶望的な表情を浮かべる。

そんな2人を無視して、SEEDとドールズはゆっくりと近づき、殺そうとした。

 

「ごめん、エルダー……」

「助けて……エルダー様……」

 

2人は目を瞑り、死を覚悟した。

最後に、1人の男性の名を呼んで。

そして……。

 

 

鮮血が辺りを赤く、花火のように染めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

全てのアムス・クローネは、赤い血のような液体をチューブから吹き出してた倒れ伏す。

 

「ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!」

 

どれだけ走ったのだろうか。

エスカファルスである彼の体力を持ってしても、息を切らす程、彼女達を探し回ったのだろう。

 

「大切な人を……二度も失わせてたまるかぁぁぁ!!!」

 

怒りに打ち震えるエスカファルス・エルダーは、大型SEEDを持っていたエルダーペインで斬り伏せた。

 

「エルダー!」

「エルダー様!」

 

2人は驚きつつも、希望に満ちた表情を見せる。

エルダーも一瞬、安堵の表情を浮かべ、直ぐに険しい表情をして駆け寄った。

 

「お前ら、怪我はないか!?」

「ええ、大丈夫よ。ディアも無事」

「エルダーさまぁ!」

 

ディアは涙目でエルダーに抱きつく。

それをエルダーは受け止めて「もう大丈夫だ」と宥めた。

 

「シーナも無事でよかった」

「さっきは、本当にありがとう……」

 

そう言い終えると、シーナもエルダーに抱きついた。

 

「本当に……怖かった……」

「あぁ、もう大丈夫だ」

 

エルダーも優しい声で抱き返した。

だが、そんな事をしている暇なんてない。

 

「……アイツが、親玉か……」

 

エルダーは眉間に皺を寄せ、空から降り立つ黒い鎧を纏ったドールズを睨みつけた。

アムス・クローネの上位種、戦域統制型ドールズ アムス・クヴェス。

 

『…………………………』

 

 

 

「……シーナ」

「……?」

 

エルダーは力を使い、ヒューナル体となった。

彼はシーナとディアの方を振り返って彼女達に、こう話した。

 

「今まで黙っていてすまねぇ。俺は幻創種だ。人間とは違う、人によって創造された存在なんだ」

 

彼は2人にそう告白した。

その言葉にシーナはクスリと笑みを浮かべた。

 

「もしかして、それを気にして結婚を考えさせてくれって言ったの?」

「……ああ」

 

エルダーはシーナの言葉に頷く。

それを聞いた彼女は「プッ……ふふ……」と笑って言った。

 

「そんな事、初めてあった時から知ってたよ!」

 

と。

そのシーナの笑いながら言った一言に、エルダーは呆気に取られる。

 

「だって、エルダーの左頬に幻創種特有のマークがあるもん!」

「あ……」

 

ハッとしたように、左頬に触れた。

 

「私はね、それを込みで結婚を申し込んだのよ」

「そ、そうだったのか……」

 

あれだけ気にしていた自分に、少し恥ずかしくなって顔を赤らめるが、直ぐにニヤリと微笑みシーナに言った。

 

「分かった。それなら、俺もシーナに言いたいことがある。この戦いが終わったら、確りと伝えたい」

「ふふ、待ってるよ!」

「ああ」

 

エルダーは頷き、力を解き放つ。

シーナとディアを救うため、二度と失わせない為に。

 

「さぁ、来い。俺が相手だ」

 

エスカ・ヒューナルは手を天に掲げ、眷属であるエスカ・アームを具現化。

巨大な腕はシーナとディアを守るように覆った。

そして、エスカ・ヒューナルとアムス・クヴェスは互いに睨みあった刹那───。

 

「おらああああああああ!!」

『…………………………………………!!』

 

2体の拳がぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

また別の場所。

 

 

天星学校では……。

 

「「えーーい!!」」

 

エスカ・ダランブルは、遊ぶようにドールズやSEEDを葬った。

 

「「これなんてどーお?」」

 

ダランブルの口の様な手から、刃の付いたコマを三つ射出した。

 

「「いっけー!」」

 

そのコマは、刃を回転させて敵をズタズタに八つ裂きにして行く。

 

 

「「ここは絶対に壊させないよ!!」」

 

自身の学び舎を背に、ダランブルは迫る怪物共に立ち向う。

だが、ダランブルの行動を嘲笑うかのように、終末の空から一対の巨大な龍が降り立った。

戦域統制型ドールズ、ネクス・エアリアル。

鉄と鉄が擦り合うような鳴き声を発したかと思えば、ネクスの口内に燐光が溢れ出す。

 

「「……! キャッスル・エスカ・ウォール!!」」

 

ダランブルは咄嗟に学校を囲うように壁を生み出して守りを固めた。

ネクスは口から赤く燃え滾るブレスを吐いた。

それはダランブルが生成した壁に直撃するが、その壁はビクともしない。

 

「「絶対に壊させたりしないよ……!」」

 

ダランブルの声は強かった。

絶対にここを守る。

鋼の意志が感じられた。

だが、その意志を砕くばかりにネクスは金属音の咆哮をして、炎をチャージする。

 

「「させない!!」」

 

ダランブルは炎球を破壊しにかかる。

だが、破壊する直前にネクスは強靭な脚力で跳躍後退、熱線を使ってダランブルを巻き込みつつ、壁を溶解する。

 

「「うぐっ!」」

 

溶けかけた防壁にダランブルが激突し、壁に穴がポッカリと開いた。

それをここぞとばかりに、ネクスは金属音の雄叫びを上げて火球ブレスをその穴目掛けて狙撃する。

 

「「ここだけは……!!」」

 

ダランブルは痛む身体に鞭打って起き上がり、火球ブレスを身一つで受け止めようとする。

だが、その必要は無かった。

 

「クソ龍があああああああああああ!!!」

 

その火球ブレスは、ダランブルに直撃するよりも前に上空からのビームによって爆散する。

 

「"私"のフローちゃんとフラウちゃんに、手を出すなあああああああああ!!!」

 

殺意が籠った猛々しい声と共に、巨大な虫の拳がネクスを襲った。

よく見たら、巨大な虫の頭にはダックスフンドと思われる犬がちょこんと座っていた。

その虫を見て、ダランブルは歓喜する。

 

「「アプレンティスだー! 助けてくれてありがとう!!」」

「ファーーーーー、もう本っ当に可愛いなぁぁぁ!」

 

ダランブルは子供のような仕草でお辞儀をした。

その愛くるしい姿に、完全体のアプレンティスは狂気乱舞……いや、発狂気乱舞する。

本当なら、このまま抱きついて顔をスリスリしたいところだが、今はそんな悠長な事をしている場合では無かった。

突如、地響きが発生する。

そして、運動場の地盤を打ち砕いて、地中から大蛇をモチーフとしたような大型のドールズが姿を見せた。

若干、バル・ロドスに似てなくもないその大蛇は、グワナーダが大ダウンした時のあの声に近い声を上げて、顔にあるヒレのようなモノを震わせた。

やつの名はレヌス・リテシナ。

ネクス・エアリアルと同じ戦域統制型ドールズだ。

 

「「おっきな蛇だ」」

「どうやら、やるしかないみたいね!」

 

アプレンティスは、青い色をした刀を具現化させて構える。

片方の目が黄色く光り輝く。

 

「なーさらちゃん、確り捕まっててね!」

 

アプレンティスは、ダックスフンドにそういうと、言葉が分かるのか、なーさらと名付けられたダックスは「ワンっ!!」と返事をした。

 

「この学校には思入れ(少年少女の盗撮)があるから、私もこの学校を守るよ!!」

「「ありがとう!!!」」

 

本当の意味を露とも知らないダランブルは、その言葉を素直に受け取り、彼らも攻撃の構えをとった。

 

その行動に、ネクスとレヌスは互いに雄叫びを上げて襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

東京都立中央図書館

 

 

「……」

 

辺りが燃え殻となり塵と化す中で、この図書館だけは一切の損害を被っていなかった。

1人の男によって。

 

「……無駄だよ。根本的に造りが違う」

 

そう言って、完全体のルーサーはグラン・ギ・メギドを唱えた。

自身の前方に6枚のタリスを展開。

そのタリスから極太のレーザーを右から左に薙ぎ払うように照射して、迫り来るSEEDとドールズを真っ二つに焼き切った。

だが、薙ぎ払っても、とめどなくやってくる敵を前に、ルーサーは時間を操る。

 

「全てが無意味だ。大人しく滅びる事を薦めるよ。宇宙のゴミ共……!!」

 

その言葉に呼応するように、ドールズ達の動きが非常に遅くなった。

時間操作によって、ドールズとSEEDのみの時間を1/16にしたのだ。

 

「抵抗出来ないまま、地獄に堕ちるといい」

 

動きがスローモーションとなった敵に向けて、複合テクニックを使用する。

光と氷の巨大な剣を生成。

 

「さようなら。安らかに眠れ」

 

彼は冷たい氷のような声で奴らに吐き捨てた。

そして、その剣を振るう。

 

 

─グラン・エスカ・バーランツィオン─

 

 

 

横に薙ぎ払うように剣を振るい、前方にいる全ての敵を吹き飛ばし、真っ二つにして殲滅した。

 

「言っただろう? 根本的に造りが違うと」

 

冷静な口調で爆散、消滅したドールズとSEEDに言い放った。

だが、直ぐに一対の巨影がルーサーの前に現れる。

キリンと首長竜を足したような姿をしたドールズだ。

戦域統制型ドールズ、ニルス・ステラ。

そして、その簡易量産型のドッツがニルスの後に続いてやってきた。

 

「ふむ、どうやら、君がこの区域を指揮しているようだね」

 

ルーサーはニルス・ステラを見て、そう独り言ちる。

無論、ニルス・ステラには言葉は通じる訳もなく、奴は頭上にエネルギーをチャージし、ルーサーへと照準を合わせ、レーザーを狙い撃つ。

 

「ならば、君を倒せば指揮系統は乱れる訳だ」

 

ルーサーは腕に闘気を込めて、裏拳で弾き返す。

更に彼は指をパチンと鳴らし、テクニックを唱えた。

 

 

─グラン・エスカネシス・ゾンデ─

 

 

一閃の落雷をニルスに落とした。

更にそのニルスの周辺にいた簡易量産型ドールズ ドッツにも雷が伝播。

瞬く間に、全てのドッツを消し炭にした。

だが、ニルスはそれ程のダメージを受けた様子はなく、寧ろピンピンしていた。

それを見たルーサーは、手を嘴に触り「ほう、あの攻撃を耐えるのか。興味深いな」と関心の声をあげた。

 

『……』

 

ニルスはルーサーに狙いをつけ、口から幅広V型の弾を撃ち出した。

 

「……ふむ」

 

ルーサーは腕に魔力を集約させ、それを刃状にしてニルスの弾を叩き切った。

そして、ルーサーはニルスに距離をつめて切りかかる。

だが、ニルスは瞬時に生成した溶岩球を頭突きで叩き割り、その場に広範囲の爆発を起こした。

 

「!?」

 

ルーサーはその爆発に対応し切れずに、吹き飛ばされた。

吹っ飛んでいる最中、ルーサーは自身の剣を地面に突き刺して勢いを殺した。

 

「お見事……!」

 

ルーサーは、ニルスの方を見て強気な態度をとった。

ニルス・ステラは、また頭上にエネルギーをチャージし始める。

 

『……』

 

ルーサーは6枚のタリスを前方に展開。

闇のテクニックをチャージする。

 

「森羅万象は全知へと集束する……!!」

 

 

─グラン・ギ・メギド─

 

 

ニルスのレーザーとルーサーのテクニックがぶつかり爆発を引き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

月面にて……。

 

 

 

 

 

『所詮は、翼の生えたトカゲ。僕の最高傑作達の敵ではないな』

 

人を小馬鹿にしたようなドールの声は、地面に倒れる私には届いていなかった。

 

〚〚「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」〛〛

 

あの後、イージスや他のダルクファキスと戦闘を行うが、多勢に無勢過ぎた。

結果、右の角を折られ、左の翼膜は破け、尻尾が切断されるという大ダメージを負った。

深遠なる闇の神 ゾディアークとなったペルソナも、あまりの劣勢さに隙をついて加勢するが、それでも戦況を覆すことができずに、寧ろペルソナ側にも大ダメージを受ける羽目になった。

 

〚〚「このクソ野郎が……!!」〛〛

『消えろ、クソトカゲが!!』

 

イージスの4本のタレットから青い燐光が溢れ出る。

 

〚〚「クソがぁ……!!」〛〛

 

私は全力で回避するが、まともに動く事ができず、拡散するレーザーを直撃してしまった。

 

〚〚「……ぬぐぁぁぁ!!」〛〛

『終わりだな』

 

更に4本のタレットから特大のレーザーポインターが私に向く。

ヤバいと感じるが、身体が全く動かない。

 

『消えろ!!』

 

4本の特大レーザーが私を襲った。

焼ける痛みが全身に伝わる。

 

〚〚「ぐぅぅぅ……!!!」〛〛

 

仰向けのまま、私は歯を食いしばって耐える。

 

『龍照!!』

 

ペルソナも何とか龍照の援護に回ろうとするが、3機のダルクファキスに阻まれた。

マザーも守らないといけない為、ペルソナも防戦一方だ。

 

〚〚「……」〛〛

 

イージスのレーザー攻撃が止んだ時、私は仰向けでぐったりと動かなくなっていた。

 

『エスカファルスだが何だか知らんが、イージスの敵ではないということだ』

 

そして、イージスはペルソナの方を振り向く。

次はお前だ。

とでも言っているようだ。

 

「これ普通にやばい!! マザー! エスカタワーどれくらい創造できた!?」

 

狼狽するペルソナの声が月面に響く。

マザーは険しい表情で『まだ……あと8カ国に残っている。』と言った。

 

「これ……いける?」

 

ペルソナは冷や汗を流して、ボソリと呟いた。

4機のダルクファキスがペルソナ目掛けて攻撃を仕掛ける。

 

「あー、やるしかない!! 星と少女を救った英雄をナメるなやああああああああ!!!」

 

ペルソナは大声を上げて闇を解放する。

4機の化け物にどこまでやれるか分からないが、やってみるしかない!

 

『身の程を知ることだ』

 

ドールはイージスを操り、攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

 

〚化け物め……!!〛

〚すんごい悔しい……!!〛

「……シャレにならん強さしとる……。ダルクファキスとか言ってるけど、あんなんただのダークファルスやんけ!!」

 

私とミラボレアス、ニーズヘッグが精神部屋で悪態をつく。

復帰したいが、身体が全然動かない。

それほどまでにダルクファキス・イージスは強力だった。

 

〚身体が動かん……!!〛

〚結構痛めつけられたからね、限界なんでしょ〛

「……早く何とかせんと、ペルソナがやられる!」

 

私は意識を身体に向けて、動かそうとする。

しかし、私の身体はうんともすんとも言わなかった。

 

「がぁぁぁっ!!?」

『所詮は人が成した存在、僕が生み出した最高傑作には敵わないんだよ!!!』

「うがぁっ!?」

 

 

私の耳にはペルソナの悲痛な叫びが突き刺してくる。

これはヤバイ。

シャレにならん。

私は、ある方法で再起を図ろうと思い、2匹に話しかける。

 

「ミラボレアス、ニーズヘッグ頼みがある!」

〚……なんだ?〛

〚どしたの?〛

 

2人は勝てる宛でもあるのか?

とでも言いたげな表情でこちらを見た。

私は意を決して2人に懇願する。

 

「お前らの中にある深遠なる闇を全て、私に渡して欲しい!」

 

私の言葉に2匹は「ふざけんな!」ってキレるのでは無いかと不安だったが、幻創ニーズヘッグは唸るように無言を通し、幻創ミラボレアスは「あー……」と複雑な雰囲気を出した。

 

「お願い!! コイツらを破壊するには、深遠なる闇になるしかないんや!!」

 

私は必死に説得モドキをする。

 

「てか、このままやと、人類全員が滅ぶぞ! ファレグ以外!! そうなれば2人の、人類に復讐をするっていう願いも一生叶わんぞ!?」

〚いや、私は正直人類の復讐はもう……あー、うーん……〛

〚……〛

 

私のメチャクソな訴えを聞いた幻創ミラボレアスは何やら含みのある声を出し、幻創ニーズヘッグは無言だった。

 

〚わかった。よく考えたら、人類が滅んだら大好きな板チョコアイスが食べれなくなるって事に気づいた〛

〚……人類の復讐出来なくなるのは、勘弁願いたいな。それに、我は、あの人間が気に食わない。いいだろう〛

 

ニーズヘッグが言い終えると、ミラボレアスは私に忠告をする。

 

〚前にマザーにも言われてたから、知ってると思うけど。この闇は結構やばいよ。本当に気を引き締めないと人格に異常を来す可能性もあるから!〛

「分かってるよ。こうでもせんと、あの男によってやられる」

〚わかった。じゃあ行くよ!〛

〚……アイツを殺すぞ〛

 

そう言って、2匹から深遠なる闇を私に送り込んだ。

 

「……!?」

 

ドクン!っと心臓が張り裂けそうな衝撃が走る。

全身に強大な力が流れ込んでくるのが分かった。

私は歯を食い縛って、その闇の激流に耐えた。

 

「私は……こんな所で、終わる訳には行かない」

 

全身から淡い闇が漏れ出る中、私は必死になって自身の人格を保とうとする。

 

私はこんな所で終われない。

私はマザーをべトールをシバ様を救う。

史実とは違う歴史へと持っていく。

 

そして、私は……対魔忍の世界に行き、対魔忍へと成るんだ。

対魔忍の歴史を見て、色んな場所を見るんだ。

ブレインフレイヤーのゴミ共を、私の手で葬り去りたい。

 

「ぐぅ……うぅ……!!」

 

私は対魔忍を……救う!!

絶対に未来対魔忍のような……最悪な未来にはさせない……!!

あのアルサールとかいう産業廃棄物を……!!

この手で……!!

私は……対魔忍を……!!

 

「……ぅ……ぅぅぅうう……?」

 

いや、違う……対魔忍だけじゃない……!!

皆、皆を救うんだ……!

対魔忍や、推しのキャラだけじゃない、皆……これから出会う人々皆を……幸せに……!!

全員で幸せになる……!!

数多の世界の絶望を捩じ伏せ、希望に変える!!

私は……深遠なる闇(わたし)は……

 

 

全ての人々に救いを齎したい。

 

 

小野寺龍照の思いがエスカファルスによって増幅し若干の歪みを生み出した。

だが、その増大な歪んだ思いは、全ての闇を受け止め、自身を強大な存在へと成り果てさせた。

 

 

 

 

 

おめでとう

おめでとう

おかえりなさい

 

【深遠なる闇】

 

 

 

 

 

仰向けで倒れた龍照から闇の柱が発生する。

それは正に、EP3にて安藤が深遠なる闇へと成る時のようだ。

 

『遂に成ったか。小野寺龍照。』

『この反応……うそ、だろ?』

「やっぱ主人公じゃん!」

 

その闇の柱の発生に、ドールは攻撃を止めて呆気にとられている。

一方、ペルソナはニヤリと笑い、深遠なる闇の誕生を賛辞しているようだった。

 

「……」

 

闇の柱に一対の巨影が浮かび上がる。

そして、闇を払うように翼を羽ばたかせ、その姿を見せた。

一対の巨龍の姿は、エスカファルス・リベンジの時と同様だが、その色は継ぎ接ぎのような色合いではなく、黒一色の甲殻をしており、元々1つのドラゴンであるかのようだ。

更にその龍から覗く赤と黄色のオッドアイの邪眼。

その威風堂々たる黒龍の眼光は、地球を侵略し、人類に絶対的な敵意を持った存在を冷たい視線で見つめていた。

 

「……」

『お前は……誰だ……?』

 

イージスの中から、ドールの戦慄した震えた声が聴こえてくる。

その言葉に、彼は反応し、口を開いた。

 

「……深遠なる闇(わたし)は……」

 

彼は一瞬だけ言葉が詰まったが、直ぐに自身の名を語った。

 

深遠なる闇(わたし)は、マザークラスタ極東支部所属、小野寺龍照。そして、深遠なる闇 救災龍エスカファルス【非在(メアリースー)】」

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




史実に存在しない非在の闇。
私が全ての人々を救い、深遠なる闇(わたし)が人々に仇なす全ての存在を消滅させる。

救災龍 エスカファルス・メアリースーの手によって……!!

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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