エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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このおもいは、私のおもいと深遠なる闇によって増幅したおもいの両方があるのだろう。
確かに私は、女性キャラクターが死ぬのを過敏に反応し、あまり好きでは無かった。
だが、ここまで敏感だっただろうか?
……もう私にもわからない。
ただ、この想いも悪くはないだろう。
誰も死なせない。
結構な事だ。
死なないに越したことはない。
誰も悲しまないし、誰も絶望を抱くことも無い。
結構なことでは無いか。
みんなで、未来を見よう。
明日を見よう。
皆で感じよう。
比較的平和な世界に生まれ、ある程度の希望がある、人として当然の権利である平凡な日常生活を受けていた頃のおもいを、皆も感じて欲しい。

深遠なる闇が誠におかしな話である。
絶対破壊の意志、万物生成に対するアンチテーゼなどと謳われている深遠なる闇が……
他人の死を恐れ、それを自らを犠牲にしてでも守ろうとし、他者に平凡な日常生活を求める。
何とも酔狂な深遠なる闇だろうか。


……構わない。
皆、生きてくれ。
最後まで、生きてくれ。
深遠なる闇(わたし)が守る。
どんな絶望も、深遠なる闇(わたし)が希望になるよう捻じ曲げる。
だから、お願いします。
最後まで、寿命の刻まで、生きてください。

深遠なる闇(わたし)は、皆が幸せに生きてくれたらそれで十分……。
それ以外は……何もいらない。


未来があるんだ、出し惜しみはしない!!!


それはそうと、綴木さんの対魔忍スーツは全体的に凄いヤバいと深遠なる闇(わたし)は思う。


47話 史実に存在しない非在の闇(エスカファルス・メアリースー)

 

 

 

 

 

 

深遠なる闇(わたし)は、みんなを守る。

もう、誰一人として死なせるつもりはない。

何があっても……。

 

 

─形態・絶・竜詩幻創(エスカ・ニーズヘッグ)

 

 

『エスカファルス・メアリースー……』

「……」

 

深遠なる闇(わたし)はドールの言葉に返事をせずに、自身の持つ力を使用する。

誰も死なせない。

誰も失わさせない。

最悪にして最低の能力を……。

……その時だ。

深遠なる闇(わたし)の背部からは、ダークファルス・ペルソナが背負っている徒花が顕現した。

違いとしては、その徒花の色は血のような赤色と違い、心の落ち着く、優しい青色をしていた。

その徒花の顕現により、私が深遠なる闇に成り果てた事を証明しているようにも見える。

 

 

「……生命の完全掌握!!!」

 

深遠なる闇(わたし)の全身から闇が輝いた。

次の瞬間、龍照の頭部、右足が破壊される。

 

「っ!!」

『……は?』

 

深遠なる闇(わたし)は声には出さなくとも、明らかに痛そうに顔を歪ませた。

その状況に、ドールの唖然になっている声がイージスが漏れる。

 

「……」

 

破損した頭部や右足は、瞬く間に再生して元に戻った。

だが、それでも次々と深遠なる闇(わたし)の全身が破壊されたように散らばる。

 

『何が……起こっている?』

 

この意味の分からない状況に、深遠なる闇(わたし)は余裕の表情を無理矢理作って、能力について話した。

 

深遠なる闇(わたし)の能力、生命の完全掌握は、この能力の対象になった人間を含む動植物、無機物が受ける痛み・快楽・外傷等を全て私自身が身代わりとなって受ける能力」

 

この馬鹿げた能力を聞いたドールや、マザーとペルソナまでも呆然とする。

 

『なん……だと……?』

「誰かが刺されても、それらの痛み、外傷は全部私が身代わりとなる。刺された本人は、刺されている自覚はある。でも痛みも無ければ、血も出ない。死ぬことも無い。反面、身代わりとなった私は、痛みを感じるし、その箇所から血も出る。最悪死ぬ事もあるだろう」

 

深遠なる闇(わたし)は話を続ける。

 

「ただ、私は深遠なる闇。不滅の存在。どれだけ刺されようが、頭を噛み砕かれようが、腸を抉られようが、直ぐに再生。死ぬことも無い」

『じゃあ……』

 

何かを悟ったのか、ドールは零れるような声で呟く。

深遠なる闇(わたし)はこくりと頷き、話を続ける。

 

「ええ、深遠なる闇(わたし)の能力に掛けられている間、その存在は絶対に死ぬ事がない。文字通り不死身となるわけや……!!」

「深遠なる闇が持つ能力ではないけど、めっちゃヤバイ能力してる……」

 

その能力を聞いたペルソナは苦笑いで自身の感想を述べていた。

 

「これがあれば、全ての人々を救える……。もうガラスの外側で眺める事しか出来なかった無力なオタクはいない……!!」

 

深遠なる闇となった彼はニチャリと笑みを浮かべ、力強く言い放った。

彼がそう言っている間も、地球にいる誰かがドールズやSEEDの攻撃を受けたのだろう。

身代わりとなった深遠なる闇(おのでら たつてる)の身体が、止めどなく血を吹き出して損傷し、瞬く間に再生する。

その繰り返しだ。

 

「……深遠なる闇(わたし)が居続ける限り、地球にいる人々は死ぬことはない。いや、正確に言うと、寿命による死以外で死ぬことはなくなった」

 

私はイージスに向けて急降下突撃をする。

 

『……!?』

 

突然の攻撃にドールは怯みながらも、胸部にあるコアから特大のレーザーを放出する。

ちょっとした集落や街に撃てば、巨大なクレーターができて、そこにいる人々を消滅させることができるだろう。

 

「……!!」

 

そんな威力の特大のレーザーを龍照は、避けることも防ぐこともせずに一点突破する。

 

「この宇宙に、いや全ての宇宙に轟かせよう。"無限の勇気を持った"、"逆襲の"咆哮"を!!!」

 

 

─絶・竜詩幻創カータライズ─

 

 

『なっ!?』

 

レーザーの中から深遠なる闇の影が見えた刹那、そのレーザーを赤い炎の爆発によって吹き飛ばし、赤色炎を纏った私はダルクファキス・イージスの右腕に噛み付いた。

 

『くっ、離れろぉ!!』

「あぁ、離してやる……!!」

 

私は思い切り、イージスの右腕を地面に投げ飛ばした。

イージスからはドールの呻き声が聴こえる。

イージスが地面に叩きふせられた事で、他の同型機のダルクファキス達も標的を私に狙いを変え、襲いかかってきた。

 

「……」

 

私は全てのダルクファキスを一掃する為、体内のエスカダーカー因子を操作して姿を変化させた。

深遠なる闇(わたし)の全身を闇が優しく包み込む。

 

 

─形態・運命の幻創(エスカ・ミラボレアス)

 

 

私は闇を吹き飛ばす。

その姿は先程のニーズヘッグの骨格を基とした姿ではなく、ミラボレアスの骨格をした姿になった。

 

「行くぞ……!!!」

 

耳をつんざく歪な雄叫びを上げながら空間が歪み、月面が焼け焦げるほどの超膨大な灼熱を放出。

胸部から蒼く輝く炎が溢れ出している形態になった。

因みに角は一本も折れていない。

 

「喰らえ!!」

 

 

─運命の幻創・臨界扇形火炎ブレス─

 

 

空中に地面を具現化させ、その場に降り立つと同時に両翼を用いて体勢を固定し、巨大な扇状の青い火炎放射で前方に存在する4機のダルクファキスを焼き滅ぼそうとする。

 

『ぐっ……!!』

 

予想以上の広範囲のブレスにドールは一瞬思考が停止するが、直ぐにイージスを操作して回避行動に移る。

 

「深遠の炎に抱かれて死ね!!!」

 

イージス、クサナギ、シャルウルは回避出来たが、ロンゴミアントは回避に遅れ、超膨大の火炎に抱かれてしまった。

 

『ちぃ……!!』

 

ドールは舌打ちをしつつ私に向けて拡散するレーザーを放つが、そんな攻撃が深遠なる闇(わたし)に通用する訳がない。

ロンゴミアントの、雄叫びを彷彿とする鉄の軋む重厚な音が月面に響き渡る。

次第に奴の装甲は、青い炎によって焼け爛れていく。

その光景を見たドールは冷や汗を流した。

 

『完全な耐熱装甲なのに、なんて火力だよ……!?』

「……まずはお前からだ。ダルクファキス・ロンゴミアント……!」

 

ドールの言葉を無視して、深遠なる闇(わたし)はロンゴミアントにトドメを刺す為、創造された浮遊する地面を蹴って飛翔、接近しながら体内にある因子を操作して再び姿を変える。

 

「行くぞ! 私の……原初にして起源の大好きなキャラ!!」

 

私は自身の闇に包まれる中で、大声をあげてその名を呼んだ。

 

「天空の王者、リオレウス!!」

 

 

─形態・天空の王者(リオレウス)

 

 

自ら包んだ闇の中からリオレウスが姿を見せた。

だが、その色は我々がいつも見ている、赤や蒼、銀、もしくは白色ではなく黒い色に包まれていた。

鱗の間や棘の部分は青く光を放っていて、厨二心をくすぐる姿をしている。

 

「王の前に平伏せ!!」

 

物凄いスピードでロンゴミアントに突撃する。

その速度はソニックブームを発生させるのに十分すぎた。

 

「宇宙のゴミ共がぁぁぁぁぁ!!!」

 

私は何人もの人を殺っているような目つきでロンゴミアントに急接近する。

ロンゴミアントは展開してある八本の槍を私目掛けて投擲した。

 

「王にそんな攻撃が通用するわけが無い」

 

飛んでくる槍を、リオレウスは蝶のように舞いながら華麗に回避する。

ロンゴミアントは背中に装備しているイージスと同型のタレットからブースターを吹かして宇宙まで飛び立ち、私の打突攻撃を回避した。

だが、私も直ぐに地面を蹴って方向転換しつつ再度飛翔。

ロンゴミアントを追撃する。

 

『させるかよ!!』

 

無論、イージスや他のダルクファキスも下腹部に装備されているエネルギー砲を使って迎撃。

それを私はリオレウスの優れた飛行能力で全弾回避し、距離を離そうとするロンゴミアントに接近。

斜め上からの鋭利な爪を使ったキックをお見舞いしつつ空中で抑え込み、それは激しい揉み合いとなり、2体は月面に墜落する。

 

「終わりだ」

 

しかし、私は直ぐに上空に飛び立ち、起き上がろうとするロンゴミアントに対して青い火炎放射を浴びせた。

 

 

─劫炎─

 

 

『なっ!?』

 

ミラボレアスの劫火と比類するレベルの蒼炎がロンゴミアントを飲み込んだ。

只でさえ溶けかけている装甲が更に爛れ初め、ロンゴミアントからも呻くような低い声が聴こえてくる。

 

『やめろおおおおお!!』

 

ドールは他のダルクファキス達に命令をして、胸のコアから特大のレーザーを放出する。

 

「……」

 

私は攻撃をやめて、イージス以外の2体のダルクファキスの攻撃を回避して、イージスの特大レーザーを片方の翼で防ぎながら滑空しつつイージスに接近する。

 

『何でこの攻撃を翼で防げんだよ!?』

深遠なる闇(リオレウス)だからに決まってるやろ」

 

ドールの狼狽したセリフに私は至極真っ当な正論をぶつけて、サマーソルトキックを食らわせて上空に吹っ飛ばす。

 

「消えろ……!!」

 

私は吹っ飛んだイージスの胸部のコアに、闘気を纏わせた翼でぶん殴った。

地面に叩きつけられドールの悲鳴が聴こえる中、私は狙いをロンゴミアントとイージスに狙いを定める。

 

「焔迎え!!!」

 

上空に無数の青い炎の槍が生み出される。

その数は正気とは言えないほどの量で、月面が青く照らされるほどだ。

私は大声で技名を言い放った。

 

終炎雨創造り(ゆうだちあめつくり)!!!」

 

槍が雨の如く月面に向けて落下。

それはロンゴミアントとイージスに無慈悲に降り注ぐ。

イージスは降り注ぐ中、必死に身体を動かして攻撃範囲内から離脱する。

あれだけの攻撃を受けても尚、動けるのは流石としか言いようがない。

しかし、ロンゴミアントは2回の火炎放射のダメージが来ているようだ。

うつ伏せの状態で肘を地面に付けながら、降り注ぐ炎の槍を受け続けていた。

次第に焼け爛れた装甲が、炎の槍によってジワジワと剥がされてゆき、青い液体が流れる管が露出していく。

 

『……それ以上は!!』

 

ドールは背部にある巨大なタレットを深遠なる闇(わたし)目掛けてぶん投げた。

 

「ちっ……!」

 

ロンゴミアントを滅ぼす事に集中してた為、回避が遅れた私は、タレットの殴打をモロに受けてしまい吹っ飛ばされた。

更に吹っ飛ばされた隙を狙い、ダルクファキス・クサナギが持っている巨大な刀で降り注ぐ炎の槍を薙ぎ払って広範囲攻撃を止めた。

 

「この野郎……!!」

 

私は吹っ飛ばされつつも気合いで体勢を立て直し、ロンゴミアントにトドメを刺そうと闇を溜め込む。

それを見たダルクファキス・シャルウルは、6本の棍棒を巧みに操って、無防備の私に攻撃を仕掛けてくる。

その動きはダブルセイバーのPAそのものだ。

てか、こんな巨体でタブセみたいな挙動はやべぇよ……。

 

「復っ活っ!! でやあああああああああ!!!」

 

だが、そんな時、驚くほど大きく元気な声を上げて、ニッコニコの深遠なる闇の神 ゾディアーク(以下ゾディアークとする)が姿を見せて、ダルクファキス・シャルウルに拳を振りかざした。

 

「潰れろおおおおおおおおお!!!」

 

シャルウルはゾディアークの多腕による連続パンチを避けることが出来ずに殴られ続け、最後には重い一撃を腹部に食らい、吹っ飛ばされた。

 

『チッ……くたばり損ないが……!!』

「それ、ロンゴミアントにも言わせてくれ……」

『!?』

クサナギとイージス(ドール)がシャルウルに気を取られた、一瞬の隙をついた私はニーズヘッグの形態へと変化させて、口から赤黒い光を漏らす。

 

「……さようなら、安らかに眠れ!!!」

 

 

─絶・竜詩幻創アク・モーン─

 

 

赤黒いエネルギー弾を、機能停止寸前のロンゴミアントに撃った。

目にも止まらぬ速度でロンゴミアントの背部に直撃し、禍々しい爆柱を発生させる。

 

「ダルクファキス・ロンゴミアント……。貴方が滅びるまで、この攻撃はやめんぞ……!!」

 

深遠なる闇(わたし)は全力のアク・モーンを、何度もロンゴミアントに撃ち続けた。

 

『龍照ううううう!!』

 

ドールは大声を上げて攻撃を阻止しようとするが、ゾディアークがショルダータックルをかまして逆にイージスの反撃を阻止する。

 

「消えろぉぉおおおお!!!」

 

アク・モーンの連続攻撃を受けたロンゴミアントは全身から火花を散らしながら、力無く宙へと浮き始めたかに思えば十字形の爆発を起こして跡形もなく消え去った。

 

『なっ……!?』

「おー、龍照グッジョブ!!」

「……ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」

 

撃破されたロンゴミアントが居た虚空を見つめて驚愕するドールに対して、ゾディアークは笑顔でGoodポーズをする。

私は口から炎を吐きながら一息つく。

無論、その一息の間も私の身体が壊れては再生していく。

もう、痛いのか痛くないのかわからない程まで来ている。

 

『くっ、こうなれば……奥の手を使う!!!』

「……は?」

「ん?」

 

イージス、クサナギとシャルウルの機体から黒い影のような物が私とゾディアークを包み込む……。

私たちは抵抗しようとするが、恐ろしいことに身体が動かなかった。

 

『位相空間で決着をつけてやる!!!!!』

 

視界が黒く染まる中で、ドールのそんな声が聴こえてきた。

 

 

 

続く。

 

 

 

 

 

 

 

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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