小野寺龍照の口から出た言葉の名前は誰にも分からなかった。
しかし、強盗たちは恐ろしい怪物を相手にしていると感じただろう。
「どうする? まだやる?」
エスカファルス・アプレンティスは少し意地悪な表情で強盗2人に問いかける。
強盗はニヤリと笑みを浮かべ、ポケットから予備と思われる拳銃を持ってアプレンティスに発砲した。
「そう、それが答えね」
アプレンティスは目を瞑り、迫る銃弾を親指と人差し指で摘む。
「なんでだろうね。可愛い女の子が泣いてるのを見ると、助けたくなっちゃうのよね」
そう淡々と語りながら、アプレンティスは発砲される銃弾を全て摘む。
「ば、バケモノ……」
銃弾を全て撃ち尽くした強盗は、そう呟いた。
その言葉を無視して、アプレンティスはゆっくりと近づく。
彼女は、ため息混じりの言葉を強盗に言い放つ。
「仕方ない、じゃあこれだけ言うね」
失ウせセろロ
目を見開き、満面の笑みを浮かべたアプレンティス、強盗以外の人々には見えていなかったが、強盗の目には男性の姿ではなく、巨大な蜂のようなナニカが見えていた。
その姿にパニックになって、警察たちが待機している外に逃げ出した。
「……」
アプレンティスは、何も言わずにそのまま姿を消した。
「……あれ?」
目が覚めると、そこはソファーだった。
まて……。
確か私はベッドを買うために金下ろしに銀行に……。
って、あれ???
寝室を見ると、何とそこにはベッドがあったのだ。
正直全く覚えがない。
……。
痴呆症???
若干怖くなり、私は急いで病院へと駆け込もうとしたが、時間外の為に受診できなかった。
……参ったな……。
あれか?
あの後、どうにかなって、普通にベッド買いに行ってその疲れで寝てしまったとか……。
昨日、エスカダーカー具現化しまくったからその負荷が余程あったとか。
……。
まぁ、夜だしテレビでもつけてなんか見るか。
そう思って、テレビをつけた。
画面には今日のニュースが流れている。
強盗2人は逮捕され、撃たれた女性に命に別状はない。
銀行員や客の証言から、1人の男性が強盗を捕え、そのまま何処かへといってしまった。
「覚えがない……。にしても1人で強盗を捕らえるのは凄いな」
私は紅茶を飲みながら、そのニュースを聴いていた。
しかし、拳銃を持った男性2人を捕らえるとは、なかなか強い男性も居たもんだ。
私も銀行強盗2人ぐらい制圧できるぐらいの強さを持たないとな。
そう、考えると何だかやる気が湧いてきた。
調子も良いので夜だけど、このまま月で具現化の鍛錬でも積もうと思い、ポータルで月面基地へと向かった。
少し迷ったが、何とか中枢近くへとたどり着く。
そこで再び、エスカダーカーの具現の訓練に取り掛かる。
「……」
今回は趣向を変えて、座禅を組み、具現化してみることにしてみた。
とりあえず、グワナーダことエスカ・グワーダの具現化は出来た。
そのまま、ダークラグネのエスカ版、エスカ・ラグナスも顕現させることに成功した。
多分、前はブリアーズとエスアーダを30匹ずつ具現化していたから、容量的に不可能だったと考察する。
「これなら、ワンチャン、ダークビブラスも具現化行けるか?」
独り言を呟いて、私はダークビブラスのエスカ版、エスカ・ビブナスを顕現させる。
もしかしたらと、スマホからダークビブラスのBGMを流す事で、具現化が楽になるのではないかと考えて、流してみた。
テーレーテテテーテテテー
テーレーテテテーテテテー
テーレーテテテーテテテー
ティレッテテテテッテッテーテーテテー
ダークビブラスのイントロが流れだす。
それと同じタイミングで、エスカ・ビブナスがあっという間に具現化された。
余りの事に少しだけ吹き出してしまう。
私の脳って単純なんだなーっと……。
少しだけ呆れてしまう。
ただ、これはいい情報だ。
次からはBGMを流して具現化させよう。
エスカ・グワーダ
エスカ・ラグナス
エスカ・ビブナス
の三体は、私が考えているのを、じっと見つめていた。
可愛いなこいつら……。
こんなに巨大なのに変な愛嬌があるから困る。
とりあえず、私は一旦ボスエスカダーカーを霧散させて、具現化に取り掛かる。
次はゴルドラーダのエスカ版、プラチドーラスにしようと思った。
こいつとエスカラグナスはpso2にも登場するエスカダーカーだが、何故かこいつだけ名前の原型がほぼほぼないんだよな……。
ゴルドラーダ……プラチドーラス……。
ドーラスはドラーダの部分だとして、ゴルとプラチ……。
……………………………。
まて、ゴル(ド)=金、プラチ(ナ)=白金ってとか!?
私はハッとしたように顔を上げて「なるほど!!」と手を叩いた。
クソ訳の分からん数学の問題を1週間かけて解いた時の様な達成感がいま、私の脳に直撃した。
私は爽快に満ち満ちた状態で、採掘基地防衛戦【絶望】のWAVE7のBGMを流して具現化する。
その時、私はあえてプラチドーラスが持ってるウェルク武器を持たせずに具現化した。
プラチドーラスが16匹現れる。
改めて見ると、名前もそうやけど姿形もかなり元のゴルドラーダより違いがあるなー。
pso2のwikiのコメントであったが、ダーカーユガ種が闇に堕ちた存在なら、エスカダーカー種は対となる聖騎士みたいって見たことがあるけど、正にその通りや。
しかし、ダーカーは色合いが違うだけで、こうも印象がかわるものなのか……。
私は関心してしまった。
元ネタゴキブリだけど。
……聖騎士のゴキブリかー。
自分で思っておいてなんだが、その聖騎士のゴキブリという名前がパワーワード過ぎて吹き出してしまった。
それを見たプラチドーラスは、お互いの顔を見合って首を傾げ出す。
一々動作が無駄に可愛いんだよ!!
まぁ、それはいいとして……。
私にはある考えがあった。
プラチドーラスはアークスのように武器を持ってそれで攻撃をする習性というか、力がある。
ただ、プラチドーラスが使用する武器はソード(大剣)、ランチャー(大砲)、ウォンド(短めの錫杖)、ジェットブーツ(魔法が使用出来る靴)と4種類しかない。
それなら、折角だしpso2に登場する武器種全てを各々に持たせるのが良いのではないかと考えた。
そんでもって、その擬似的なフォトンアーツを教える。
アークスからしたら鬱陶しいことこの上ない敵になるだろう。
まず、武器だが……pso2通りのウェルクシリーズの武器にしようと考えたが、この際別の武器を持たせるのも面白いな。
「なんかあったっけか?」
スマホを取り出してネットを見ようとしたが、そうだ。
世界違うから私のスマホネット使えないんだ……。
「明日スマホ契約するか……てか、した所でこの世界pso2無いから意味無いやん……」
肩を下ろす。
仕方がないので、頭の中にある全武器種が存在するシリーズ武器を思い起こす。
私の中で浮かんだシリーズ武器は……。
クラース、アジェル、オフス、光跡シオン、リバレイ ト、ノヴェル、アトライクス、ピュラス……アーレス、アストラ、ゼイネ、クリファド、紅葉、ユニオン。
この中で選ぶとしたら、ユニオン武器だな。
色もプラチドーラスと合ってるし。
ぶっちゃけ、クラースとかすれば良かったかもしれないが、それは何か嫌だったので、ユニオン武器にした。
そういう訳で私は1個ずつユニオン武器を具現化。
なんか従来よりも青々しい目に優しすぎる色合いになったけど、それが意外とプラチドーラスとマッチしていて、より一層の味方側を彷彿とする姿になった。
「クソかっこよなったぞ」
16体のプラチドーラスに各々の武器を渡す。
一応イメージで、強化値+35、潜在能力Lv3と最高値にして、特殊能力は
アストラル・ソール
エーテル・ファクター
マナ・レヴリー
アブソリュート・グレア
リターナーⅤ
クラックⅤ
イクシードエナジー
マークジョイオ
という頭の悪い能力たちを付与させるようにイメージして具現化した。
ただ、それがしっかりと付与できてるかは知らん。
それにこの能力付けが正解なのかも分からない。
私も流石にイクシードエナジーやマークジョイオを付けたことはないので、分からないのだ。
「とりあえず、プラチドーラスにフォトンアーツを教えるか!」
両手をパンっと戦いて、そう言うとプラチドーラスたちは「???」と首を傾げる。
その後、4時間ぐらいかけて私はプラチドーラスたちに擬似フォトンアーツ……エーテルアーツを教えた。
プラチドーラス達は覚えがよく、直ぐにエーテルアーツをマスター出来た。
感想だが、こいつらが採掘基地防衛戦でたら絶対に相手にしたくないと思える。
何の捻りもなくアークスと塔を徹底的に破壊しにかかることは間違いない。
「さて、これでええか」
「ホッホッホ、熱心じゃのぅ」
後ろから声がする。
振り返るとそこにはアラトロンさんと、もう1人男性がいた。
「君が、小野寺龍照か」
物凄いラスボス感溢れる貫禄を放つ声を発した。
マザークラスタの装束を身に纏い、聴診器を首に掛けた医者の風貌をした男性だ。
「オフィエル・ハーバートさんですよね?」
「ああ」
私の言葉にオフィエルは頷いた。
「心拍数が上がっているが、緊張でもしているのかな?」
不気味に優しい声を掛けられ、少し動揺してしまう。
私は「少しばかり緊張しまして、やはり、マザークラスタの幹部が2人もいれば、やはりといいますか、緊張はしますよ」と少し笑いながらそう言った。
アラトロンさんは、ホッホッと笑う。
「なに、そんなに緊張しなくてもよい。ワシたちはマザーに用があってきたのじゃ」
「マザーに?」
私がそう言うと、アラトロンさん達が口を開く前にマザーが姿を現した。
『アラトロン、オフィエル、どうした?。』
そう言って、アラトロンさんとオフィエルの前に浮遊しながら話しかける。
3人が何やら会話をしている間、私とプラチドーラス達は、隅っこの方に行って、静かにエーテルアーツの練習を行った。
3人が話している隅で、プラチドーラス達が空気を呼んで、チマチマとエーテルアーツの特訓をしている。
「龍照よ!!」
アラトロンさんの大声に一瞬ビクッとして、振り返る。
「はい? なんでしょう?」
私の後にプラチドーラス達がちょこちょことついてくる。
なんだろうかと思っていると、どうやら鳥取砂丘で大型の幻創種が現れたらしい。
そこで、私がその幻創種を駆除して欲しいとの事だ。
せっかくだし、それを承諾した。
その幻創種は「エスコピオン」と呼ばれており、サソリの形をした幻創種らしい。
尻尾のトゲには毒があり、その尻尾から毒液を飛ばしてきたりするとのこと。
こえーな……。
「まぁ、ちょうど、プラチドーラスの戦いも見ておきたかったですし、やってみせますよ」
その後はオフィエルの隔離術式によって、その幻創種がいる場所に転送してもらった。
「ここが鳥取砂丘か、はじめてきた」
そんなことを思いながら、夜の砂漠を見渡す。
夜空は素晴らしく綺麗だ。
想像以上に。
これを見るだけで人生が変わると言っても過言ではないだろう。
しかし、呑気に眺めている場合ではなかった。
危険は私の後ろから迫り来ていた。
「……!!?」
後ろを振り向いて、すぐさま回避行動に出る。
後少し遅ければ病院送りだったであろうことは、星を見るより明らかだ。
「こいつが討伐目標か」
そこに居たのは、pso2では実装されていないオリジナルの幻創種。
黒い甲殻に、長い尻尾、強靭な鋏、幻創種特有の青いラインが引かれている幻創種、エスコピオンだ。
大きさは尻尾含めてロックベアぐらい、含めないと、キャタドランぐらい、長さもキャタドランぐらいかと思われる。
「よし、いくか!!」
私はプラチドーラスを16体具現化させる。
そして直ぐに、ウォンド・プラチドーラスに指示を出す。
「シフデバンス!!」
ウォンド・プラチドーラスは持っている短杖を掲げて、バフをまいた。
青と赤の膜が我々を纏う。
これによりプラチドーラスたちの攻撃と防御が上昇する。
エスコピオンは、なんと飛び上がり、尻尾から毒の結晶みたいな物体をこちらに向けて投げてきた。
それをウォンド・プラチドーラスは、再び短杖を掲げてテクニックを発動する。
ーメギドス・パリィスー
前方に紫色のバリアが展開されて、投擲した結晶の直撃と爆発を防いだ。
だが、結晶の爆発は相当のもので、展開されたバリアは一瞬にして崩壊した。
毒の霧が辺りに充満する。
それを見越したウォンド・プラチドーラスは予め、補助テクニックを発動していた。
ーアンティレスー
薄い光が我々を包み込み、毒を中和した。
体力と状態異常を回復させるテクニックだ。
覚えさせておいてよかった。
「AR・プラチドーラス行け!!」
アサルトライフルを構えたプラチドーラスが、バックジャンプをしながら、銃を構えて標準をエスコピオンに定める。
ーワンポイント・シュトゥルスー
一点に向かって集中的に射撃を集中させる。
銃口からレーザーが何十発も連射され、エスコピオンの殻に襲いかかる。
しかし、エスコピオンは怯むことなく、巨大な鋏を広げて、プラチドーラスに襲撃。
だが、そんなことは予想通りだ。
ーバックハンド・スマッシュスー
ナックル・プラチドーラスは素早く距離を詰め、巨大な鋏に突撃をかまし、一撃必倒の裏拳を叩き込んだ。
ダンプカーとダンプカーがぶつかった時のような音が砂丘に轟き、エスコピオンの片方の鋏は、跡形もなく砕け散った。
断末魔を上げるエスコピオン。
だが、直ぐに態勢を立て直したエスコピオンは、尻尾を巨大な鋏状に変化させ、ナックル・プラチドーラスを捕らえた。
抵抗するが、その強靭な鋏から逃れることが出来ない。
しかし、無意味だ。
「……カタナ・プラチドーラス、ソード・プラチドーラス」
私はそう名前を言うと「分かった」と言わないばかりに武器を構えて走り出す。
ーオーバード・ブレイスー
ーアサギリ・コンバトスー
ソード・プラチドーラスは一気に距離を詰め、カタナ・プラチドーラスは視認が出来ない程の高速で接近。
そして、ソード・プラチドーラスが柄で鋏を突きを食らわせて、追撃に大剣の刃にエーテルによって具現化させた極大の刃を纏わせて、尻尾を切り裂く。
カタナ・プラチドーラスは、鋏に目にも止まらぬスピードで連撃で切り刻み、更に一太刀し、カタナを納刀。
カチン!
と鉄の音が辺りに鳴り響き、エスコピオンの鋏や尻尾に無数の斬撃が光り輝き、その部位がバラバラに切断される。
ナックル・プラチドーラスは、そのまま落下。
ーサウザンス・クエイクー
落下する勢いのまま、容赦のない連打の拳の雨をエスコピオンの背中に浴びせる。
あの声が聴こえてくるよ。
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!
と。
そんなことはないけどな。
ただ、それを連想する程に激しかった。
トドメと言わんばかりに、渾身の一撃が背中に直撃する。
耳を刺すような甲高い断末魔が砂丘に木霊する。
エスコピオンは、そのまま沈黙し地に伏した。
動かなくなったエスコピオンは、幻創種がやられた時特有の青い光を放って霧散。
目標の討伐が確認された。
しかし、この砂丘には別の幻創種が存在した。
私はアラトロンさんに任務完了の報告をして月に転移して貰おうとした時だ。
砂中から巨大な影が姿を見せた。
その姿を見て、私は戦慄する。
見た目は、いや。見た目というか……姿はクモそのものだ。
てか、まんまだ。
ダークラグネとか鼻で笑うレベルに、この幻創種はクモそのものの見た目をしている。
そうだな。
アシダカグモをダークラグネと同じぐらいにしたと言えば、どれだけ生理的に受け付けないものかが分かるだろう。
ちなみにだが、私は蜘蛛が死ぬほど嫌いだ。
嫌いというレベルではない。
蜘蛛が現れた場所を禁足地としてアースジェット1本分を全て使い果たして2日はその場所に入らないぐらい嫌いだ。
モンハンのネルスキュラでも若干鳥肌が立ったのに、これはヤバい。
こんなんがpso2に追加されたら、少なくとも私は、要望というか文句として問い合わせるレベルだ。
マジで。
それくらい、今の目の前に映る幻創種は……。
いや、そんな説明をしてる間に、そのアシダカグモから逃げよう。
肝心なプラチドーラスも、私が具現化したからか、蜘蛛にビビり散らしていた。
流石にプラチドーラス達が可哀想なので、具現化を解いて、アラトロンさんに早くテレポートして貰うように叫ぶ。
しかし、その叫び声に反応したのか、アシダカグモの幻創種は物凄いスピードでこちらに迫ってくる。
「ぎゃあああああああああぁああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その姿を見た私は、喉と声帯を破壊する程の雄叫びに近い悲鳴を上げながら、月にテレポートした。
その後、私の背中がムズムズと変な違和感に襲われたのは言うまでもない。
勿論、こんな状態で具現化などできるはずも無い。
マザーからは『少し休め、そして落ち着け(要約)』言われ私は、マザーの手によって自宅に強制送還された。
とりあえず、あの幻創種がpso2に実装されていなくて良かったと心から思った。
続く
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
-
いいよ。
-
ダメ。