「え?」
ドールが放った言葉に、私の思考は完全に止まった。
こいつは何を言っているのだ?
私の額から嫌な汗が滴り、険しい表情になる。
「どういうことや?」
私は先程と同じような激しい鼓動の中で、絞り出すようにドールに訊ねた。
ろくな答えは帰ってこないことは承知だ。
しかし、聞かずにはいられない。
黒い塗装が少し剥がれ、中の白い装甲がチラホラと見えるイージスの奥からドールの声が聞こえる。
『全ドールズに搭載してるフォトン粒子エーテルエンジン。そのエンジンの中に、月から掘り起こした香山裕樹の遺体の一部を入れているんだ!』
「……」
『この世に絶望と怨嗟を残した男の遺体は、素晴らしい程の膨大な負のエーテルを持っていた! 僕は彼の肉体を細切れにしてドールズ一つ一つに組み込んだ! 』
その話は信じられない内容だ。
いや、信じたくないと心から思いたい内容だ。
ドールズの中に、裕樹の一部が入っているだと?
「……」
私は目を見開き、ジッとダルクファキス・イージスの顔を見つめていた。
よく見たら、イージスの目と思われる黄色の部分が少しだけ欠けている。
『それによって、フォトナーの閃機種の数倍の出力を出すことができた。これにブレインフレーヤーの保有しているテセラックを組み込めば、まさに"星滅の象徴"となる!』
「……」
私の剣呑な表情を無視して話を続ける。
『僕の最高傑作を馬鹿にしたフォトナー共を見返すことが出来る!! 全ての世界を侵略し、フォトナー共を圧倒してやる!!!』
「(……知ってた?)」
私はニーズヘッグとミラボレアスに訊ねた。
しかし、返ってきたのは無言だった。
だが、それが答えなのだろう。
「(どこで分かったんや?)」
私は二龍に質問する。
彼、彼女は口を開いた。
〚メカブランの時だ〛
〚アイツの中から、裕樹の片目が組み込まれているのを感じたよ。ちょっと引いたわ……〛
「(マジかよ……)」
絶望する私を無視して、2匹は話を続ける。
〚おそらく、山原も気づいていたのだろう〛
〚おそらくというか、間違いなくね〛
「だからか……」
私はあの時の山原さんの事と、以前にマザーに言われた事を思い出して、拳を握り締めた。
そういうことか……。
─『……あまり香山裕樹の事は言わない方がいい。今は落ち着いているが、また錯乱してしまう可能性もある。』─
─「また一緒にデートしよ! それでいっぱい遊ぼうよ!!」─
「……1、2、3、4、5、6……」
私は目を瞑って深呼吸をし、1から6の数字を数え、心の底から溢れ出る怒りのマグマを気合いで抑えた。
この怒りはブレインフレーヤーのゴミにでもぶつけよう。
私は再度、深呼吸をしてから目をゆっくりと開き、イージスに訊いた。
「結局、貴方は自分を馬鹿にしたフォトナーを見返す為に全宇宙を支配しようとしていると?」
『その通り』
「その星に存在する人類の気持ち考えたことある? 平和に過ごしてる人々のことを……」
『ないな。所詮は他人だよ。自分は他人の視界や考えを見ることや知ることなんてない。自分の人生のNPCでしかない』
「……」
『さぁ、話は終わりだよ。君や他のダークファルスも封印して、この星を支配する!!』
イージスの全身に取り付けられた無数の管から流れる青い液体が赤く変化する。
誰がどう見ても、本気を出してきたなと思わせる風貌に、私は警戒心を強めた。
「……絶対にさせんからな」
私は飛び上がって、イージスの顔面に殴りかかる。
しかし、イージスは一瞬、力を込めるような動作をした後、赤い衝撃波を発生させてわたしを吹き飛ばした。
「ぐっ……!」
更に、イージスが解き放った衝撃波は、この位相空間にあった地面すらも砕き割り、私は壁に激突した。
「いっ……てぇ……」
私は背中や後頭部に伝わる比喩できない痛みに顔を歪める。
『嬲り殺してやるさ!!』
4本のタレットをイージスの前方に展開した後、一瞬力を溜めて私に狙いを定めて、それらを突き刺した。
「風遁!!」
いくら不死であっても痛いのはあまり好きではない為、風の力を瞬時に爆発させて、自身を吹き飛ばす事でイージスの攻撃を無理矢理回避した。
─星乃深月=風遁・風歩─
「おりゃあああ!!」
私は自分の足元に上昇する風を生み出して空を飛んだ。
月歩や剃を体得しておくんだったと後悔した。
それと同時にコイツ倒したら、六式全部体得しようという決心も生まれる。
「おれぃやーー!!」
─篠原まり=土遁・岩纏─
─七瀬舞=紙気・紙壁─
私は風を使って全身をイージスに向けて飛ばし、その勢いのまま岩を纏わせた拳で、奴のコアをブン殴ろうとする。
『無駄だ!』
イージスの下部にある砲門から山なりの弾を放ち、私を撃ち落とそうとする。
「それはこちらのセリフやわ」
私は紙壁によって展開された紙の防壁によって、イージスが撃った弾を全弾防ぎきり、私の拳がイージスの顔面に届いた。
『うぐっ! ……ふっ、それはどうかな……?』
「なっ!?」
顔面をぶん殴られたイージスだが、負けじと横ブローを私の脇腹に食らわせた。
普通に予想してなかった攻撃を前に、私は何もする事ができずに血反吐を吐いて吹っ飛ばされる。
「ぐぅ……この産業廃棄物がぁ……!!」
崩れる肉体を再生させてながら、自身に纏う風を使って全身のバランスを保つ。
─星乃深月=風遁・弾嵐─
私は手をピストルの形にして、指先から弾丸レベルにまで圧縮した風を生成し、それを撃った。
圧縮しすぎたせいで衝撃が尋常ではなく、撃った右腕がエライ事になってしまった。
しかも、恐ろしいほどの爆音が鳴り響き、私の右腕の骨が砕ける音と、激痛に苦しむ声を掻き消した。
撃った風は音速の勢いでイージスの左の羽のような箇所に直撃し、装甲を砕き割った。
イージスの砕けた装甲が辺りに散らばる。
『うおっ!? くっ、やったな……!!!』
大きく仰け反り、怒りを籠ったドールの声が位相空間を震わせた。
クローを展開したタレットを投擲して、攻撃を行ってくる。
その攻撃を、私は紙一重で躱しながら手から滴らせた毒をさり気なく塗布していく。
この毒は鉄を腐食させる毒で、ちょっと塗るだけであっという間に錆びてしまうヤバめの毒だ。
『無慈悲な光の刃……くらえ!!!』
イージスは一瞬、力を溜めるような挙動をし、その後に力を解放。
赤い巨大な剣を何千発もこちら目掛けて解き放った。
「もうええわ!! 突っ切ったる!!!」
無敵ならノーガードで正面から行った方がええわ。
恐ろしい程の激痛に襲われるだろうが、知ったこっちゃない!!
ドラゴンボールの不死身ザマス戦法じゃ!!
私は両手に圧縮した風の玉を生成して、雄叫びをあげて巨大な剣の雨あられの中に突っ込んだ。
「うおおおおおおおああああああああああ!!!!!」
『コイツマジか……マジでっ……!?』
私のふざけた行動に、ドールも驚きと呆れが混じった声をあげつつ、一度詰まらせた言葉を吐き出す。
『マトモじゃないな! オマエ!!』
ふざけるな!とでも言いたげな大声をあげて、降り注ぐ剣の雨の中を突撃する私に言い放つ。
腕や肩、顔を抉られては再生を繰り返す私は、彼の言い放った言葉に対して言い返す。
「マトモじゃないから深遠なる闇になったんや!! マトモな奴が深遠なる闇なんかになる訳がないやろ!!!」
イージスから放たれた光の剣に全身を抉られ、激痛を伴いながら私はイージスの懐まで接近。
あまりにも予想外の行動を取られたドールは思考が停止していた為、対処に遅れてしまう。
『しまっ……た……っ!!』
「クソフォトナーが、く
─星乃深月=烈風爆破─
両手に生成しておいた風を極限まで圧縮した玉をイージスの胸部のコアを覆う装甲に打ち込んだ。
先程撃った弾嵐以上の衝撃波が巻き起こり、私とイージスは音速の速度で吹っ飛び、位相空間の壁に殴りつけられた。
私は全身を強く打ち、イージスは背部に後輪のような部分と、胸部のコアハッチが音をたてて、弾けるように砕け散った。
「──────────」
『がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
ドールの断末魔が位相空間内を木霊させた。
一方で、全身を強く打った私は肉体を再構築して戦線復帰をする。
「……攻撃はしっかり守るか避けるかの、どちらかにしよう」
先程の攻撃を受けて、私は心からそう思った。
『うぐぅ……絶対に許さない!』
ダークファルスのように頑丈なイージスは、胸部のコアから特大のレーザーを放った。
私は不死身かもしれんが、向こうも大概不死身だよ。
「ほいっさ!!」
私はそれを躱してイージスの元へと走る。
その際、私は能力を使用する。
─綴木みこと=ハッキング─
バイザーにあるスイッチを押して、私の前方にホログラムのキーボードを出現させる。
私は、そのキーボードを使ってイージスの全権限を掌握しようとした。
「いけるかな……」
"私の前に存在するダルクファキス・イージスの全権限の掌握"とキーボードで打ち込み、エンターを押す。
すると、キーボードが少しだけ光を放ち、ホログラムの鎖に繋がれた鎖がイージスへと一直線に進み、コアに打ち込んだ。
『は!? なんだこれは!?』
その直後に、イージスの中からドールの狼狽する声が聞こえてくる。
「お前のイージスの全権限を頂くぞ!!」
『ふざけるな!! そんな事させるか!!!』
私の目的を聞いたドールは発狂に近い怒声をあげて、ハッキング攻撃から逃れようと抵抗する。
「大人しくせぇやぁ!!」
私はイージスの抵抗を辞めさせようと、攻撃を行おうとする。
─星乃深月=風遁・烈風刃─
刃状の風をイージスへと飛ばして、抵抗を阻止する。
『邪魔をするなぁぁ!!!』
イージスはぎこち無い動きで光の剣を生み出して、風の刃を迎撃。
私が放った風の刃が全て破壊された。
「マジか……!!」
更に光の剣は勢いが止むことなく私の方へと飛んでくる。
─七瀬舞=紙気・完全防御領域─
紙を使い、鎌倉を形成して、降り注ぐ光の剣から身を守った。
『対魔忍がぁ、このままその紙ごと刺殺してやる!!』
「やれたらな?」
私はドヤ顔でそう言い返す。
その様子は余裕の塊である。
しかし、心の中では……。
「(やっべ……どうする? このまま突撃するか? いやもうあんな痛いのだけは勘弁や。対魔忍やゴッドイーターの連中はあんな激痛を受けてるのか? アイツらの方が、私より何十倍も強いやん……平穏を貪り生きてる人間と修羅の世界を生きてる人間の違いなのか? 私では勝てんな……)」
非常に焦っていた。
実際にこの状況はヤバい。
どうする?
何とかして、あいつの動きを止めんとヤベエ……。
私はバイザーに表示されてるハッキング完了までの数値を確認する。
ダルクファキス・イージスの全権限ハッキング30%。
全然やないか……!!
どうする?
また突撃を……!
嫌だ……あの痛みは正直二度と食らいたくない……。
このまま行けばマジで精神が終わる。
─「私は、こう考えることにしたよ。未来対魔忍達が受けた痛みに比べたら、私の受ける痛みなど……産湯に浸かる前の赤子の如しであると……!!」─
前に言ったこの言葉を思い出して、私は情けなさと恥ずかしさの表情を浮かべた。
まるで成人してから、部屋の掃除をしている最中に中学時代の黒歴史小説を見つけ、挙句の果てに親に朗読された時レベルの羞恥の表情だ。
あれだけドヤ顔をキメて、発言した言葉なのに、直ぐに音を上げる……即落ち二コマじゃないんやから……。
「……っていうか、紙を使って守ればいいやん」
私は紙を取り出した。
残りの紙はあと僅か。
色々と使いすぎた。
紙を具現化させてどうにか……いけるか?
「……」
私は口に溜まった唾をゴクリと飲み込んで意を決した。
光の剣によって、この鎌倉も崩壊寸前だ。
「おらあああああああああああああああ!!!」
私は急いで鎌倉から飛び出して上昇気流を発生させて光の剣の中に突っ込む。
無論、紙の盾を構えてだ。
『そんな盾で、イージスの光の剣を防げるものか!!』
ドールの言う通り、私が展開した紙の盾は次第にヒビが入っていく。
「……」
あぁ、もうええわ。
「未来対魔忍達の痛みよりマシ。未来対魔忍達の痛みよりマシ。未来対魔忍達の痛みよりマシ」
眼を瞑り、念仏を唱えるようにボソボソと呟きながら、ボロボロになった紙の盾を放り投げた。
「BETAに食われるよりマシ!!! ブレインフレーヤーに改造されるよりマシ!!! アラガミに食われるよりマシ!!! 痛くない!! ぜんっぜん痛くない!!!!!」
光の剣が降り注ぎ、全身を切り裂かれる中で、私は自分に必死に言い聞かせた。
心頭滅却すれば火もまた涼しという諺があるように、心頭滅却すれば、刃もまた気持ち良し。
いまの私は対魔忍だし、ワンチャン感度3000倍にして全身性感帯にしたらこの痛みも快楽になって楽なのでは?
と頭を過ぎったが、それはそれで別の問題が浮上するだけで根本的解決にならないと思ったから辞める事にした。
「い、痛くない!! 全然痛くない!!」
『嘘をつけ!! 早く痛みを前に精神壊れてしまえ!!!』
「ぎ、
『減らず口を!!!』
ハッキングに抗いながら、イージスは光の剣の量を増やす。
私は風をコントロールしながらなるべく当たらないように、光の剣を回避しようとするが、光の剣の量が尋常では無い為、寧ろ回避しようと動けば動くほど、直撃してる気がしてきた。
「こんな、攻撃……ぐぉ、……どうというこった無いわ!!!」
『っ!?』
ドールは戦慄する。
コックピットに映る画面には青い残光を走らせ、凶悪な笑みを浮かべたドアップの私が映りこんだ。
そして、私は紙、毒、風、岩を纏った拳を大きく振りかぶる。
更にドールは気づいただろう、私の後ろに巨人(以下ガーディアン)が同様に拳を振りかぶっている事に。
私は肺から全ての酸素と声を吐き出す。
「死ぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!!!!」
私はコックピットがあると予想している黄色く光り輝くコアを、力一杯にぶん殴った。
『ギャアアアアアアアアアア!!?』
ドールの、耳を刺すような声が殴ったコアの奥から響いてくる。
だが、殴りつけたコアはヒビが入り、欠片が少しだけ飛び散るだけで完全に壊れることは無かった。
「……っこれでも壊せんのか!!?」
『イージスは、僕が作った中でも最高傑作だ!! 対魔忍ごときの拳で、壊れる訳がない!!!』
今度はイージスの拳が私の方に飛んでくる。
私は展開している、ガーディアンを前に出して身を守った。
更に私は近くに浮遊しているイージスの破片を持って、風を纏わせてイージスのコア目掛けて投げた。
『悪あがきをおおおおお!!』
「うるせぇ黙れ!!」
イージスの背部にあった後輪と思われるパーツの破片だ。
それを何度も投げつけた。
すると、次第にコアのヒビが大きくなっていく。
もう少し、あと少しで……!!
『無駄な足掻きということを、教えてやる!!!』
ドールが言い放った瞬間、明らかに場の空気が変わった。
先程まで赤い色だった空間が真紫に変化し、イージスが何やら力を溜めていた。
やつの掌には小さなエネルギー玉が目に入った。
しかも、位相空間の壁に出現した大渦から小さな球体が物凄い勢いでそのエネルギー玉に吸収されていく。
ふと思った。
これエスカファルス・マザーの攻撃と同じやつじゃないか!?
と。
私は急いで招来する球体を破壊しようとしたが、時既に遅かった。
招来した球体は全て、イージスの生成したエネルギー玉に吸収されてしまった。
玉の色が紫色に光り輝いているのが見えた。
あぁ、これやばいぞ。
『不死身のお前を殺してやる!! このイージスの力で!!!』
「っ!?」
─イクリプス・アボリティオ─
力を吸収しきったイージスは大爆発を引き起こし、更に巨大なエネルギー球を全周囲にばら撒いた。
避ける事ができない。
この位相空間全てを包み込む爆発と弾幕だ。
しかも、その威力はこの空間の壁を吹き飛ばす威力。
いくら不死身であっても痛覚のある私が食らってしまえば、精神的に廃人になる可能性があった。
私はその爆発に飲み込まれた。
『私の勝ちだ!! 直ぐにお前を封印し、この地球を征服するぞ!! お前ら人類の敗北だ!!!』
月面全てに轟く程の声量で、そう高らかに宣言する。
「本当に、そうだろうか?」
『……っ!?』
爆発と弾幕の中から聞こえてくる
「深遠なる闇と
『なぜ、なぜ、精神が崩壊していない!?』
「破壊神、天使率いる全王か? 安藤、マトイ、六芒均衡が所属するアークス船団か? 少なくとも、お前によって敗北する事はない」
崩壊する位相空間を、爆炎と共に吹き飛ばした
『あの爆発を受けて、なぜ平気でいられる!?』
「さぁ……今の
光を宿していない虚ろな眼をした
「さぁ、行くぞ!!」
しかし、イージスは怒りの衝撃波を放って
「
『グゥゥゥゥゥゥ!!』
だが、イージスはそれを両手と前面に展開したバリアで防ぎきった。
「世界を征服するふざけた目的の為に、明日を奪われる人間の気持ちがわかるか!? 明日を奪われる一般市民の気持ちがわかるか!?」
『クソ……がぁ!!』
先程の熱線でバリアが粉砕された為、今度は両手のみで熱線を防いだ。
しかし、そのバリアで精一杯だった。
イージスの機体は限界寸前になっていた。
ぐったりと項垂れていた。
『このままでは、一時マザーシップに撤退を……!』
ドールは必死に回復させようと、一時撤退をしようと試みる。
しかし、イージスの動きが停止する。
『馬鹿な!? 動け、動けイージス!! なぜ動かない!!!?』
─綴木みこと=全権限ハッキング─
彼が使ったハッキングが完了。
それによりイージスの全権限を奪い、動きを停止させた。
彼の撤退は失敗に終わる。
「明日が誕生日な奴らだっておるんやぞ!!! パイを沢山食べるつもりだった女の子だっておったんやぞ!!! それを、お前らのみたいな地球外生命体のゴミクズ共が、我々人類の平和を……奪ってんじゃねえええええええええ!!!!!」
『っ!?』
肺や食道、喉を溶かす勢いで放たれた熱線は、月面を真っ赤に照らした。
最早、イージスには防御する余力は残っていないのだろう。
ゆっくりと、赤く光る炎の光線を見つめるだけだった。
そして……。
『ぐああああああああああああ!!! 熱い!!熱いいいいいいいい!!!ちくしょおおおおおお!!!』
熱線に呑まれたイージスは仰け反りながら灼熱の劫火によって、装甲が徐々に溶解していく。
その熱はコックピット内にも届いており、あまりの熱さにドールが断末魔をあげてコックピットの中で暴れ狂う。
「
『ふざ、けんな……!! ふざけんなああああああ!!!!!』
遂に力尽きたかに思われたが、まだイージスは倒れていなかった。
しかも、最高傑作の意地だろうか?
全権限ハッキングしたはずのコントロールを逆に奪い返したのだ。
しかし、今のイージスには滞空する力も残っていないのだろう。
かろうじて残っている足場にしがみ付くという状態だった。
『お前らの事情なんて知ったことか!! お前らは大人しく僕の実験の成果の材料になっておけばいいんだよ!!!!!』
そう言い放った彼に、深遠なる闇は無言で最後の攻撃を行おうとする。
ドールも最後の足掻きとばかりに4本のタレットを使って深遠なる闇を迎撃する。
しかし、その時だ。
4本のタレットが朽ち果てるように砕け散った。
『何がっ!?』
「お前、タレットに腐食性の毒を塗布されてるの気づかんかったやろ!!!」
『腐食……!?』
「お前にもう打つ手はない!! お前の負けや!!」
『ふざけるな!!! それなら、もう一度撤退を!!!』
彼は必死に撤退する操作をした。
しかし、それが出来なかった。
『な、なんで……??』
ハッキングされた形跡は無い。
イージスがそれを受け付けなかったのだ。
ドールは手を震わせて、放心状態だった。
─たっつー、今だ……早く……トドメを……─
「っ!!」
だが、その原因は、深遠なる闇……いや、小野寺龍照には分かった。
そうやな。
イージスの中には……お前がいるんだもんな……。
「ドール!!! この世界から、この次元から、この歴史から、消え去れぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!」
闇の閃光を纏ったリオレウスの一撃によって、イージスのコアと、その内側にあったコックピットごと貫かれた。
『……これで終わりだと思うなよ……!!』
不吉な言葉を残したまま、ドールとイージスは月に巨大な爆発を起こして完全に消滅した。
続く
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
-
いいよ。
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ダメ。