エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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61話 変態(ペルソナ)変態(コオリ)

 

 

 

 

 

ハリエットが向かっている間、私は再びヒツギ達の動向を覗き見する。

 

「ふううううーーー、ああーーーーー久々にいっぱい歩いて疲れたーーー」

 

そう言いながらコオリはヒツギのベッドに寝転がる。

ヒツギはコオリの様子を見て半ば呆れ気味に「だったら自分の部屋に戻って寝なさいよ」と言った。

 

「ヒツギちゃんは、一日中買い物に付き合ってくれた友人をもっと労ってもいいと思いまーす!」

 

と返しながらも、顔をベッドにうずくめる。

 

「ねー、アルくーん。アル君も一緒に寝よーよー。ヒツギちゃんのベッド、フカフカだよー」

 

と寝ながらアル君を誘惑する。

今のコオリのポーズが若干如何わしいと思うのは、私の心が穢れているからだと信じたい。

 

「知ってるよ。僕もそこで寝てたもん」

 

アル君のその一言に、コオリの気配が一気に変貌する。

 

「え? そこで寝てた……だと!?」

 

形態変化でもしたんじゃないかってぐらい表情が変わった。

PSO2のボスでもここまでの変貌具合はないぞ。

 

「えちょ、ちょっとヒツギちゃんそれってまさか……!?」

「変な想像してんじゃないわよ!! 気づいたらアルがベッドに居ただけ!!」

 

十中八九、変なことを考えていると感じた彼女は目にも止まらぬ速さで言い返した。

それを聞いたコオリは第三形態へと移行する。

 

「そうなると、このベッドにはヒツギちゃんの汗とアル君の汗が……」

「(なんちゅう事を言っとるんやマジで……)」

 

私はコオリの発言に唖然とする。

だが、彼女はそれだけでは留まらない。

 

「それなら、じっとりかいてる私の汗を加えて……奇跡のフュージョン!!」

 

コオリは大の字でヒツギのベッドに寝転がる。

ダーカー因子でも注入されたか?と疑いたくなる発言に私はもう無言になる。

いや、この光景はゲームでも見たけど、いざ自身の目で見るとなると絶句だわ。

こんなド変態、全世界見ても彼女だけだろう。

 

「率直に気持ち悪いからやめて」

 

ヒツギの発言。

これには私も同意する。

 

「あーでも、確かにちょっと汗かいたかな?」

 

ヒツギは自身の身体を見ながら呟く。

 

「ピーカンだったもんね。アル君も汗かいたんじゃないかな?」

「うん、少しベトベトしてる」

 

コオリの言葉にアル君は言った。

 

「うーん、せっかく買った服も汚れちゃうし、時間もちょうどいい感じだし、お風呂入っちゃった方がいいか」

「ん? あれ、ヒツギちゃん」

 

ヒツギの提案に、コオリは何かに気づいたのかヒツギに質問する。

 

「アル君、お風呂どうするの?」

「……あ」

 

 

「(あ、風呂に入る感じか……)」

 

流石にこれを除くのは宜しくないと感じた私は覗き見を止めることにした。

しかし、その行動を察した変態仮面ことエスカファルス・ペルソナは発狂しながら私の方に飛びついてきた。

 

「風呂シーン始まったね!? 入浴シーン!!!」

「うわっ!? くっつくなや!」

「見せて、ヒツギちゃん達の入浴シーン見せて!!」

 

ハート目になって完全にスイッチが入ってるペルソナを振りほどこうとするが一向に振り解けない。

コイツ、深遠なる闇の力を使ってやがる……。

 

「さぁ、私に見せなさい。深遠なる闇に彼女達の入浴シーンを見せるのです!!!」

「人の入浴シーンを見たがる深遠なる闇なんて聞いたことねーぞ!!」

「いいから見せて!!」

「ちょっ、お前ヨダレ垂れてる!!!」

「はぁ、はぁ、はぁ、早く……見せて!!」

「ちょっっっと待っ……!!?」

 

私も腕だけに深遠なる闇の力を使って抵抗しようとしたが、エロにエーテルが反応したペルソナの力の方が圧倒的に強く、私は普通に組み伏せられる。

両腕を押さえつけられ馬乗りの態勢になる私とペルソナ。

傍から見れば完全に事案か逆レ〇プである。

とんでもない表情を晒すペルソナの口からヨダレが垂れて、私の頬にポタポタと滴っている。

ちょっとラベンダーの良い香りがするのが腹立つ。

 

「早く見せて、早く見せて!!」

「分かったからちょっと離れようか」

「見せてくれるまで離れない」

 

因みにだが、そんな様子を他の方々は完全無視。

最早いつもの日常風景なため、いちいち構うのもバカバカしいのだ。

結局、私は彼女にプチエスモスからの視覚を受け渡した。

 

「ったくもー」

 

私はブツブツ悪態をつきながら、タオルでペルソナのヨダレまみれの顔を拭く。

何でアイツのヨダレの臭いはこんなにラベンダーの良い香りがするんだよ……。

顔面ラベンダーの香りで少しクラクラするぞ。

 

「お疲れ様だね」

 

ルーサーは少し憐れみの表情で労いの言葉を投げかけた。

私は肩を降ろしながら「とんでもねーよ……」と言葉を漏らす。

 

「ふへへ♡ ふへへへへへ♡」

 

そんな事も露とも知らず、ペルソナはヨダレを垂らしながらニヤニヤ顔でヒツギ達の入浴シーンを見つめていた。

 

「ンへ♡ んふへへへへへへへ♡」

「なんちゅう声出しとんねん……」

「深遠なる闇とは思えない顔してるね」

 

先程、こんなド変態全世界見ても彼女だけだろう。と言ったが、ここにも居たわ……。

そんなペルソナの視界に広がる光景とは……。

 

 

「うん、良し。ヒツギちゃん、誰もいないよ!今だよ!」

「よし、さぁ入るわよ。アル!」

 

コオリとヒツギの声が反響して聞こえてくる。

それを聞いたペルソナは狂喜乱舞していた。

 

「2人の声が反響してる!!! 反響してるよーーーーーー!!!」

 

そして、お風呂のシーンがペルソナの視界に映り、とんでもない声をあげた。

 

「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!! 来た!!! お風呂来た!!! イエエエエエエエエエエ!!!!」

「オホ声あげんなこんな時間に!!!」

 

私の訴えも、彼女に耳に届くことはなく……。

鼻息を荒げるペルソナは食い入るようにプチエスモスから見える視界に心と血液を沸騰させる。

 

 

「お、お姉ちゃん……この目のやつ取って、何も見えなくて怖いよ……」

 

女子風呂に連れてこられたアルは目隠しをされた状態であり、少し不安げな口調でヒツギに訴える。

 

「絶ッッ対ダメ!! 取ったらぶん殴るわよ」

 

物凄い怒気を発してそういうヒツギはバスタオルを身体に巻いていた。

無論、コオリも然り。

 

「別に私はアル君に見られてもいいけどなぁ」

「うるさーい! いいからさっさと身体洗うよ!」

 

ヒツギはアル君の手を掴んでシャワーの場所まで連れていく。

 

 

 

「オ゛オ゛オ゛バスタオル巻いてる!!ヤバいエロい可愛い綺麗!!!!!オ゛オ゛オ゛ッ!オ゛オ゛オ゛ッ! 肌色! 肌色が見えてる!肌色オオオオオオオオ!!!」

「だからオホ声あげんなって!!!」

「エヘッ♡ エヘヘヘヘヘヘヘへ♡ みんなかわいい♡」

「気持ち悪い声出すなっつってんだろーーーww!!!」

 

 

 

 

そして、女子風呂では目隠しされたアル君はヒツギに結構強引にシャワーをさせられている。

 

「ワップッ! お姉ちゃんやめて、苦しい!」

 

無理矢理シャワーを浴びせられて、アル君はジタバタ抵抗していた。

 

「直ぐに終わるから我慢しなさい」

 

そんなもの知るかと言わんばかりにヒツギはアル君の体を洗っている。

 

 

 

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオ、オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

なかなか気持ち悪い声を荒げて覗き見るペルソナを見かねた私は、「そろそろええやろ」と言って彼女の視覚共有を解いた。

 

「ちょっと!! 今良いところだったのに! なんで解くのよ!!?」

「風呂場の覗き見はダメだからに決まってるやろ!?」

「いいじゃん減るもんじゃないし!! どーせアークスの変態バナナだって見るんだし、こっちが見たっていいじゃん!!」

「良くねーよ! いいから、風呂の覗き見はダメだ!!」

「……」

 

私がそう言うと、ムッとした表情で黙るペルソナ。

やっと諦めたか。そう一安心私だが、そんなもんで諦めるほどペルソナは甘くはなかった。

そうだよな。こいつは、私が女性であればこうなりたい、こうでありたいという全ての願望が詰まった存在だ。

私自身が諦めの悪い性格であるという事は、彼女自身もそれと同じであるという事だ。

ニッと凄い悪魔みたいな笑みを浮かべた彼女はとんでもない事を口にした。

 

「じゃあ、龍照! お前の隠された性癖をこの全世界にバラしてやる!!」

「ハァッ!?」

 

コイツ何言ってんだ!?

私は心の中で叫ぶ。

正直コイツの言っている事が理解できなかった。

だが、そんな私の事を無視して、ペルソナは物凄い得意気な笑みとバカデカい胸を張って堂々と喋り出す。

 

「このまま視界共有をしないのなら、私の持ってる深遠なる闇の力とエーテルを使って、全世界の回線をジャックしてお前の性癖を暴露してやる!!!!!」

「おい待て!!」

 

コイツ、エロになるとマジで見境が無くなるのホンマにクソだと思う。

因みに可能だ。

マザークラスタの幹部ともなれば、自身のエーテルでそれくらい容易に行える。

ぶっちゃけ深遠なる闇の力を使わなくても可能だ。

 

「いいの? 全世界に龍照の隠された性癖が暴露されても、いいの? 大変だよー? 今のネット社会だと凄いことになるかもねー。ネットタトゥーどころの騒ぎじゃなくなるよー?」

 

意地悪そうな表情で言うペルソナ。

めっちゃ可愛いのが凄い腹立つ。

正直、私の隠れた性癖を暴露されるのは不味い。

ましてやマザークラスタの幹部の性癖となれば、SNSでお祭り騒ぎとなるだろう。

 

「わ、分かった。分かったからそれはやめろ!」

 

怒り声で私は視界をブンッとペルソナ目掛けてぶん投げた。

ペルソナはめっちゃクソ可愛い笑顔でそれを受け取る。

 

「ありがとー!」

 

感謝を述べると即座に覗き見を行うペルソナ。

この淫乱なる闇め……。

 

 

 

 

一方、風呂場では……。

無事?にシャワーを終えた3人は湯船に浸かっていた。

 

「はぁぁぁ……疲れた身体に染み渡るお風呂ー……最近凄く肩凝っちゃってさー」

 

コオリはリラックスした表情で自身の肩を揉みながら呟く。

それに対してヒツギはムッとした表情で「そんだけ大きいモン抱えてりゃそうなるでしょーね……ふんっ!」とコオリの巨大な胸を見ながら言った。

 

「大きくていいことなんてあんまりないよ。無遠慮にジロジロ見られるだけだし」

「はんっ! 持つものに持たざる者の苦悩は分からないのよ」

「そうは言っても、ヒツギちゃんも普通サイズはあるじゃん。そのぐらいがいいって、絶対にー」

「……身長も普通サイズになって欲しいんだけどねー」

 

ヒツギはため息をつきながらそう言った。

 

「大きいとか普通とか、何の話?」

 

彼女らの話を聞いた、未だに目隠しをされているアル君が純情な気持ちで訊ねる。

 

「……アルには関係ない話」

 

速攻でぶった斬るヒツギ。

 

「ええー! 僕も混ぜてよ! 混ぜて! 混ぜて!」

 

仲間に入れてくれなかったアルは、子供のように駄々をこねて手足をバタバタさせた。

バシャバシャと水飛沫が飛び散る中、ヒツギは「あーもう暴れるなー!」とアルを落ち着かせようとするが、その際に胸に当たったのだろう。

うわぁ!と言って「だから触るなー!」と怒る。

そんな空気を無視してコオリはある心配事をヒツギに聞いた。

 

「ヒツギちゃん、春休み開けてからのアル君のお風呂どうする? 人がいない時間見計らってたら、お風呂の時間終わっちゃうよね、多分」

「う、それは……」

 

コオリの質問に、なんの解決案も無かったヒツギは俯いて言い淀む。

 

「あーあ、アル君が女の子だったら何の問題も無かったのにねー」

 

コオリは少し残念そうにアル君の方を見つめながら言った。

 

「僕が女の子だったら、お姉ちゃんは困らなくて済むの? だったら僕、女の子になる!」

 

元気よく宣言するアル君。

しかし、その宣言にすかさずヒツギは「なろうと思って成れるものじゃない!」とツッコミいれた。

それとは対照的に、コオリは少しだけアル君に身を寄せて「アル君、女の子には成れなくても、限りなくそれに近づく事なら……」ととんでもない発言をかます。

子供に言っていい発言で無いことは確かである。

 

「ええい! コオリは黙れぃ!!!」

 

ヒツギは水をバシャンとコオリに向けてブッ放して発言を中断させる。

その時、脱衣場から他の女子高生達の声が聴こえてきた。

 

「あれ? こんな時間から誰か入ってるんだ。珍しー」

「ちぇー。一番風呂もーらいって思ってたのにー」

 

それを聞いたヒツギは立ち上がって焦りの表情を見せる。

 

「ゲッ、春休みの部活動勢がもう来たっていうの!? こ、コオリ、時間稼いできて!」

 

ヒツギはコオリの肩を掴んで懇願する。

 

「じ、時間稼ぐってどうやって……!?」

 

その無茶振りにコオリは辺りをキョロキョロ見渡しながらヒツギに訊ねる。

「ちょっと待ってもらうだけでいいから!お願い! その間に私はアルをどこかに隠すから!」とヒツギは焦った様子で答えた。

そう言われたコオリは、急いで部活動勢に適当な言い訳をして風呂場に入る時間を稼いだ。

 

 

 

そんなやり取りを見ていたペルソナは……。

 

 

「……オォ、オオオオオ……エヘッ、エヘヘヘヘヘヘヘッ!」

 

少なくとも深遠なる闇が見せるような表情ではない、ヤヴァイ表情をして気色悪い笑い声を上げていた。

 

「もうええやろ?」

「ひあわへー♡」

 

ヨダレを垂らしてトロ顔を晒すペルソナを見て、私は頭を抱えるしか無かった。

 

 

 

 

続く

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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