エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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69話 マザークラスタ極東支部最高戦力VSオラクル船団最高戦力

 

 

 

 

 

 

私がラスベガスへとワープしている時、安藤ことアッシュ達は地下のアースガイド本部にてトップのアーデム・セークリッドからの説明を受けていた。

 

マザークラスタがアースガイドを襲撃しているという現状の説明。

そして、その目的等の考察。

 

最近のマザークラスタのメンバーはアースガイドの支部やメンバーを襲撃しているのは事実。

だが、マザークラスタ極東支部は別である。

 

龍照等の所属するマザークラスタ極東支部の目的はあくまで幻創種や人間共による治安悪化を阻止する為に動いている。

それゆえに、アースガイド極東支部を襲撃する余裕がない。

最低な言い方をすれば、眼中に無い。

そんな事をしている暇があるならば、来るべき日の為に己を研鑽する方が余っ程有意義だと思っているのが大半だろう。

 

マザークラスタ極東支部は最強クラスの支部な為に、他の支部の連中はマザークラスタ極東支部のやり方に口出しができないのだ。

一応、マザーの命令ならば動くといった感じだ。

めんどくさいけど。

 

そして、ついにマザークラスタ極東支部についての話が行われた。

 

「そして、マザークラスタ極東支部はそれはとは逸脱した組織です」

「ファレグも言っていたけど、そのマザークラスタ極東支部っていうのは?」

 

アッシュが問いかける。

 

「日本の和歌山県にあるクレ崎よりも更に最南端にの人工離島にある支部だ。そして、マザークラスタ支部やアースガイド全員が口を揃えてこう言っている。最強の化け物支部ってな」

「最強の化け物支部?」

「そんなに強いの?」

 

ヒツギの質問にエンガは「おいおい……」と言いたげな表情をしてから口を開く。

 

「お前……仮にもその支部の就職先だったはずだろ? 知らないのか?」

「う、うん。学校卒業と同時にそこに働く事ができるって聞いてただけで詳しくは……」

「まぁ、俺らもそんなに詳しい情報は掴めてないが、他の支部と一線を画す支部だ。他のマザークラスタと違って、ウチを襲撃したりせずに幻創種の討伐を行ったりと治安維持に動いている印象を受ける」

 

エンガの説明にアーデムを話をする。

 

「海列車を作ったりと、妙な行動が多いですね。我々としてもかなり不気味に思っています」

「余りの強さに他のマザークラスタメンバーも口出しができないって言われてるしな」

「そんなに強いのか?」

「ああ、さっきファレグと戦っただろ? あれと互角の強さを持ったバケモンが11人も居やがる」

 

エンガの返答にアッシュとヒツギは絶句する。

ファレグ一人でも苦戦したというのに、それが11人も……?

 

「マザー直々の命令には従うようで、もし、あそこが本格的にこっちに攻めてきた場合、為す術なく壊滅すると思われます」

 

ここに小野寺龍照が居たら、こういうだろう。

そんな事する暇があんなら他の事やってる。

と。

 

「俺達に出来ることは、如何にして極東支部の連中に悟られずに行動できるかだ」

「故に、マザークラスタの力は尋常ではなく、僕たちの力だけでは……おそらく……」

 

アーデムは続ける。

確かにアースガイドの力だけではマザクラ極東支部抜きでも普通に勝てる見込みはないだろう。

 

「だから、アッシュさん。どうかお願いです。あなたの力を、アークスの力を貸していただけないでしょうか? かのマザーを打倒し、地球をあるべき状態に戻すために……」

 

胡散臭い。

アーデムがそう言いかけた時、突如アースガイド地下が揺れ始めた。

本部に警報が鳴り響く。

 

「な、なに!? 地震?」

 

ヒツギは咄嗟に身体を構えながら口を開いた。

それに対してエンガは「違う、これは爆発だ!」と言った。

シエラさんはモニターでエーテルの動きに異常な反応を確認し、それを伝える。

 

 

─エーテルの過剰反応を感知。地上に閉鎖領域を展開しました!─

 

 

「随分と早いご到着だな。アーデム、どうする?」

 

エンガはアーデムの方を見て言った。

それに対して彼は決意に満ちた表情で「アースガイドの意志を示す時が来たんだよ。アースガイドは、アークスと共にマザーへと反抗する。ここがその起点となる場所だ」と宣言する。

 

なんて胡散臭い言い分だろうか。

 

「真っ向迎え撃つ、って訳だな。まったく、オレたち働き者だぜ。なぁ?」

「そうだな」

 

アッシュはフッと笑ってコートエッジを出現させて、地上へと向かった。

様々な映像が映し出されるLEDアーケードが特徴の「フリーモント・ストリート・エクスペリエンス」。その場所にピエロ、ブルドッグ、ネオン看板などの多数の幻創種が跋扈していた。

 

 

「あれが……」

 

東京に具現化される幻創種とはまた一味違う形を見て、ヒツギは小さく驚いている。

 

─幻創種が、ラスベガスの各地で破壊活動を行っているようです。各自撃破をお願いします。─

 

─エネミーの反応がある場所をマップに表示しておきます。急いで向かってください!─

 

 

アーデムとシエラの通信が聴こえ、3人は頷いた。

 

「これってやっぱりマザークラスタの……」

「ああ、そう見て間違いなさそうだな」

 

ヒツギは具現武装を顕現させて呟いた。

それに対してエンガが肯定しつつ、顕現させた具現武装に弾丸を入れる。

 

「よし、行こう!」

 

コートエッジを構えたアッシュは2人にそう言って、マップに表示された幻創種の場所へと急行する。

 

 

そんな中で……。

 

 

「(なにごと……?)」

 

ラスベガスに降り立った私は、跋扈する幻創種を前に唖然とする。

 

「(いや、これマザークラスタの連中がやった奴やな)」

 

具現化されている幻創種の構成されているエーテルを見て、私は心の中で呟いた。

人が意図的に具現化した幻創種は、構成されるエーテルの量が均等かつ綺麗に並べられている。

だが、人が意図せずに生み出された幻創種は、様々な人の妄想によって出来るために非常にごっちゃごっちゃした構成になっているのだ。

いま、このラスベガスにいる幻創種の大半が人によって具現化された幻創種と見て間違いないだろう。

因みに、敢えてエーテル構成をグチャグチャにして人為的に生み出していないように誤魔化す事もできる。

パッと見マジで分からないから厄介だ。

 

「(えーと、安藤は……どこにおる……?)」

 

私は見聞色の覇気を使って辺りの人間の気配を探る。

 

「地下になんかめっちゃ人おるやん。あれがアースガイドの本部っぽいな」

 

とりあえず、アースガイド本部の場所は把握した。

まぁ、それをしてなにかする訳では無いが……。

 

「まぁ、アースガイドの本拠地はええとして、安藤安藤……」

 

私は再び目を瞑って見聞色の覇気を使う。

暗い視界の中に、3つの白い気配が見える。

おそらく、あれがエンガ、ヒツギ、安藤だろうな。

 

「いたな……行くか!! 剃ッ!!!」

 

私は地面を瞬時に10回以上蹴って瞬間移動に近しい速度でその場から立ち去る。

マジでワンピースの武術便利。

 

「(向かう間に、破壊行動行ってる幻創種撃破しとくか)」

 

剃で瞬間移動しながら私は通り魔のように幻創種を引き裂きつつ、安藤達の元へと向かった。

 

 

「ふう……」

 

安藤達は最後の大型幻創種のデビルズトレーラーを撃破した。

 

─反応、全て消失しました!─

─おかげで被害が抑えられました。皆さん、感謝します。─

 

シエラとアーデムの通信を聞いた3人は武装を納めて一息つく。

 

「とりあえず、何とかなったがコイツらをけしかけた奴は見つからなかったな」

「ああ、逃げたかどこかで観察してるのか……」

 

エンガの言葉を聞いたアッシュはブツブツと独り言をつぶやいた。

 

「まぁ、気にしても仕方ない、一旦本部に戻ろうぜ」

 

エンガが立ち上がりながら2人に話しかける。

それを聞いた2人は頷いて立ち上がろうとした、その時だ。

 

「……ん?」

 

奥から1人の男性が近づいてくる事に気づいたアッシュは、立ち上がりつつ彼の方を見た。

 

「アッシュ? どうしたの?」

 

それに気がついたヒツギもアッシュと同じ方を見る。

 

「あれ、アースガイドの人?」

「ん?」

 

不思議そうに彼を見るヒツギ。

その事に気づいたエンガも、2人と同じく振り向く。

 

「……おい、嘘だろ」

 

彼の顔を見たエンガは驚愕の表情を浮かべつつ酷く青ざめる。

エンガの表情を見た2人は、武器を構えて彼の方をジッと見つめた。

……そして、3人に見つめられながら、彼こと私は成るべく悪役っぽい雰囲気を漂わせながらゆっくりと近づいた。

 

「こんにちは」

 

とりあえず何か言おうと思い、悪役が言いそうなセリフを頭の中で考えたがそれらしいセリフが見つからなかった為、挨拶の言葉を口にする。

全然悪役っぽくねえ……。

 

「なんでお前がここにいるんだ……?」

 

剣呑な表情でエンガが聞いてきたので、私は普通に返事をした。

 

「あぁ、マザーから連絡があってな。ラスベガスのアースガイド本部周辺にお前らが居たって」

 

その言葉に深読みしたエンガは冷や汗を流しつつも武器を構える。

 

「ねえ、兄さん……この人って……?」

「あぁ、ごめんなさい。自己紹介がまだでしたね」

 

私は成るべく丁寧な言葉遣いで話を始める。

 

「私は、マザークラスタ極東支部所属、幹部【四神】赤の使徒を務めております。小野寺龍照と言います。よろしくお願いします」

 

そう言ってペコリとお辞儀をする。私の前方に赤色のマザークラスタのシンボルが浮かび上がった。

当の三人はマザークラスタ極東支部という単語を聞いて一気に武器を構え出す。

 

「極東支部!? それって、さっき兄さん達が言っていた!?」

「ああ、化け物支部の幹部の1人だ」

「アイツが……?」

「みたいやな。私もよー分からん。そう言われてるけど、言うてファレグさんには1度として勝ててないからな。私からすればマザークラスタ本部連中の方が化け物やと思うが……」

「で、極東支部のお前がラスベガスに何の用だ?」

 

エンガはアサルトライフルの標準を私の頭に向けたまま訊ねる。

それに臆することなく私は淡々と返事を始めた。

 

「さっきも言ったけど、マザーから連絡を受けたから来ただけやで。別にアースガイドを壊滅させろみたいな指示は受けとらん」

「じゃ、じゃあどうして……」

 

平然を保とうとするヒツギの問いに私は「あぁ、安藤……いや、アッシュさんに用があってな」とアッシュの方を見て返事をする。

 

「俺に?」

 

コートエッジを構えるアッシュに私は「ええ」と頷いた。

 

「オラクル船団の最高戦力、守護輝士(ガーディアン)が一人、安藤ことアッシュさんがどれ程の強さを持っているのかを確認しに参りました」

 

他の奴らが何か言うよりも先に私は、身体の中にある闇を解放させる。

 

─う、嘘……ど、どうして……、そんな……そんな事が……!?─

 

私が闇を解放したと同時に、モニターで見ていたシエラの目には、私のパラメーターが表示されて酷く狼狽していた。

そして、そのアークスシップにて緊急警報が鳴り響く。

 

─緊急警報発令。地球にて【深遠なる闇】の反応を確認!! アークス各員は至急任務の参加をお願いします!─

 

と。

その通信を耳にした3人は「は?」と間の抜けた表情を浮かべた。

 

「化け物支部と呼ばれている所以、教えるわ。おそらく、こういう事やと思う」

 

そう言って私は完全体、救災龍エスカファルス・メアリースーへとなった。

 

─ぱ、パラメーター……我々の知る深遠なる闇よりも……更に大きいです……─

 

絶望しているのような声のシエラ。

その声は、驚きの表情で固まる3人の耳には届いていなかった。

 

「……お前は一体……?」

「……今、それを話すつもりはない。どうせ後で話すことになるだろうから、それまで我慢してくれ……!! 剃ッ!!!」

 

そう言って私は、深遠なる闇の状態……いやリオレウスの状態と言えばいいな。

その状態でアッシュ達の後ろに回り込む。

 

「なっ!?」

「闇壁!!!」

 

私は闇で作られた壁を生み出して私と安藤を閉じ込めた。

 

「アッシュっ!?」

「しまった、アッシュ大丈夫か!!?」

 

ヒツギとエンガは直ぐ様闇の壁を破壊しようと攻撃を与えるが、深遠なる闇が生み出した壁を破壊できるなんて不可能だ。

 

私とアッシュだけとなった空間で私は、翼に武装色の覇気と闇を纏わせて思いっきり殴り殴り掛かる。

 

「くっ!」

 

アッシュはそれを紙一重で避け切り、そのままオーバーエンドで私の首を刎ねようとする。

しかし、私は咆哮を上げてアッシュを吹き飛ばして阻止。

追撃を行う為に口から火球ブレスを放つ構えをとる。

 

「ぜやぁぁあああ!!!」

 

だが、アッシュは闇の壁を足蹴にしてこっちに急接近そのまま私の顔面に攻撃を仕掛けた。

 

「うぐっ!?」

 

コートエッジの刃が頭に直撃し、私は怯んでしまった。

その隙を逃さぬと言わんばかりにアッシュはソニックアロウを繰り出す。

 

「チッ……!!」

 

私は迫り来る斬撃を対処する為に、周辺に闇の球を生成し、そこから闇のレーザーを発射させて斬撃を破壊した。

 

「さすが、アッシュさんやな」

「お前は、本当に深遠なる闇なのか……?」

「シエラさんも言うとったやろ? パラメーター云々。私は正真正銘の深遠なる闇やぞ」

「……だとしたら、どうして深遠なる闇がこの星にいる……?」

「さっきも言うたが、その事については後々話す時が来るからそんときに話す。申し訳ないが、今話すことはできない」

「何故?」

「まぁ、追々話す。もう少しだけ手合わせ願おうか……!!!」

 

私は口から火球ブレスをアッシュ目掛けてぶっ放す。

しかし、アッシュはその火球ブレスをコートエッジで真っ二つに切り裂いた。

 

「……ようやるわマジで……!!」

 

私はエーテルを操作して、エルアーダ等の蟲型エスカダーカーを具現化させる。

 

「ダーカー!?」

「深遠なる闇なんやから、そらダーカーも出せるよ!」

 

驚くアッシュに冷静に返事をする。

しかし、やはり深遠なる闇や数々のダークファルスを蹴散らしたアッシュ相手ではエスカダーカーでは圧倒的に分が悪い。

襲いかかる蟲型エスカダーカーを瞬く間に殲滅させた。

 

「まぁ、そらそうだよな」

 

私は武装色の覇気を尻尾に纏わせて、サマーソルトキックを繰り出した。

だが、アッシュに余裕で見切られてしまい、普通に反撃であるジャストカウンターを受けてしまう。

 

「いった……!!」

 

後ろに後退するように怯んだが、そのままふわりと空中へ浮き上がって翼を振り回し、弾丸の如く翼爪を複数発射した。

 

「っ!?」

 

発射された翼爪にアッシュは何とか対応して全て回避する。

だが、私の攻撃はまだ終わらない。

滞空の状態のまま暴風を放ちながら旋回上昇し、十数本の闇の棘を雨のように降らせた。

 

「クッ!!」

 

降り注ぐ闇の棘を、オーバーエンドで一掃する。

私はその攻撃を待っていた。

オーバーエンドで出来た隙をついて、猛烈な勢いでアッシュ目掛けて急降下。

地割れを起こしながらアッシュを吹っ飛ばした。

 

「うぐぅうぅぅ!!?」

 

痛みに呻くアッシュ。

やべ……やりすぎた……。

 

「ハァ……ハァ……なるほど……化け物支部って訳か……!!」

 

痛みに顔を歪ませながらアッシュは私の方を見てニヤリとする。

 

「まぁな。……アッシュの強さも大体は理解した」

 

私は完全体を解いて人間の姿に戻る。

そして、闇の壁も解除した。

 

「アッシュ大丈夫!?」

「早く本部に戻って治療するぞ!!」

 

ヒツギとエンガがアッシュの元に駆け寄る。

 

「そんじゃあ私はこれで撤収するわ」

「待て!! あの幻創種の破壊行動ってお前の仕業か!?」

 

鬼気迫る表情で言うエンガ。

私は平然として「いや、私じゃないよ。私がここに来た時には既に幻創種がおったからな。マザークラスタの連中である事には間違いないが、私では無い」と言ってから再び五光駅にワープした。

 

 

─まさか……深遠なる闇が地球に……これはいったい……?─

 

モニターで見ていたシエラさんはありえない光景を前に訳が分からなくなっていた。

 

 

 

─いやぁ参ったね……。僕の演算を超える未知の事象が出てくるなんて……。─

 

オラクル船団……マザーシップの中枢にて演算中のとある青年もまた、深遠なる闇の顕現に苦笑いをしていた。

 

 

 

 

 

 

続く

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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