アークスシップ級惑星調査戦艦9番艦ハガル。
艦内は未だにアークス達がせわしなく走り回っている。
ラスベガスに顕現した深遠なる闇を超えた深遠なる闇。
その存在は地球外縁軌道に滞在しているアークスシップのみならず、オラクル船団全域にまで報告が通達された。
艦橋にはその場にいたアッシュ達及び、シエラ、シャオが話をしていた。
シエラの驚く声が響く。
「シャオにも分からないんですか!?」
「本当に参ったよ」
シャオは頭をポリポリと掻きながら「降参」と言わんばかりの表情をする。
「僕の演算にも全く無かった。本当に未知の事象だよ」
「……アイツは、マザークラスタ極東支部の幹部と言っていた」
「深遠なる闇が組織の幹部か……」
アッシュの言葉を反芻させるシャオ。
我々が戦った深遠なる闇よりも上の深遠なる闇が、敵組織の幹部という意味のわからない状態に全員がお手上げだった。
「アッシュ、君はさっきその深遠なる闇と戦ったんだよね?」
「ああ、戦わされたというのが正しいけど」
「どうだった?」
シャオに聞かれたアッシュは先程の戦いを思い起こす。
暫くの間、静寂に包まれる艦橋に包まれるがアッシュが「まだ手の内を見せてないように思えた。本気ではなくて、俺の強さを見定めている感じだった」と言った。
更にアッシュは続ける。
「ただ、俺はアイツに聞いたんだ。どうして深遠なる闇になったのか?って、そしたらアイツはこう言った」
─別の機会に話す。ただ簡潔に言うなら、"皆を守る為、明日を迎える為"─
アッシュは彼の言った言葉をそのまま皆に話した。
その言葉を聞いたシャオ達は、およそ深遠なる闇から出てくるセリフではない為に頭を抱える。
「深遠なる闇が……ですか?」
「ああ、確かにアイツはそう言っていた」
「皆を守る為……明日を迎える為……か……」
真正面から受け止めるなら、その言葉はアークスと通ずるものがある。
彼らも、レアブトラブEX唐揚げ時限インストドリンクを使ってダーカーを殲滅し、人々の安寧を築く。
ただ、深遠なる闇が言ったとなると、それを馬鹿正直に受け止めて良いのか?
「本心は……どうなんだろうね」
シャオはその言葉の意味が半信半疑だ。
深遠なる闇が完全にマイナスイメージとなっている。
「エンガ君達はどう思う?」
シャオは地球に住む人に意見を仰いだ。
我々だけでは偏った情報しかでない。
それならば、実際に地球に住んでいる人であるエンガ達に深遠なる闇が言った言葉の意味を聞いた。
それを聞いたエンガとヒツギは少し考える。
「俺も深遠なる闇の事は聞いてるから、あの野郎が言った言葉は信憑性に欠ける」
エンガはそう言った後に「だが」と言って続ける。
「アースガイドの本部で言った通り、他のマザークラスタ支部はアースガイドを攻撃して壊滅的状況に追い込んでいるが、極東支部だけはそれを一切として行わずに幻創種の討伐を行ったりと治安維持に動いている印象を受ける」
「つまり、もしかしたら深遠なる闇の言った事は本心なのではないか?って事だね?」
「あぁ。それと……」
エンガは少しだけ言いよどんでから1つの都市伝説の話を初める。
「これはあくまでも都市伝説なんだが」と初めに言っておいて。
「数年前に、俺たちの地球は滅亡しかけたらしい」
その言葉をきいたアッシュ達は怪訝な表情になる。
なんならヒツギも「え?」と言いたげな表情でエンガの方に視線を向けた。
そんな事を気にも止めずにエンガは話し始める。
数年前にフォトナーがダークファルスを連れて地球を滅ぼしにやってきた。
それをマザークラスタ極東支部の幹部である深遠なる闇こと、小野寺龍照がフォトナー及びダークファルスに立ち向かって、これに勝利して地球滅亡を阻止した。
そして、龍照は地球のみの時間を戻す事でその歴史を丸々無かったことにした。
「これが、あの深遠なる闇……小野寺龍照の都市伝説だ」
エンガが語る都市伝説を聞いたシャオ達は更に半信半疑になってしまう。
地球人からすればとても信じられない都市伝説でしかないが、オラクルのアークスからすれば、心当たりのある内容過ぎて益々混乱してしまった。
「時間を巻き戻して歴史を書き換えるって……」
シエラさんはチラッとシャオとアッシュの方を見た。
2人は「ペルソナが深遠なる闇におこなった時間遡行」と呟く。
全員が再び静まり返る。
正直、深遠なる闇を撃退したアークス達にとってマザークラスタはあまり驚異として見てなかった。
だが、想像を超えたぶっ飛んだ現実に危機感を覚え始める。
暫しの静寂が辺りを包んだあと、シャオは「ここで黙っていても仕方がない」と言ってから
「僕はまたマザーシップに戻って、地球に深遠なる闇がいる前提で再演算を行うよ。どこまで行けるか分からないけど、最善を尽くす」
シャオはそう言ってマザーシップ・シャオへと戻って行った。
艦橋が再度静まり返る。
アークスがてんやわんやしている状況の中……マザークラスタ極東支部では……。
「お○ぱーーーーーーい!!!」
開幕早々頭の悪い単語がマザークラスタ極東支部内に轟く。
職員達は「またか」と言わんばかりに笑いあっている。
そう、ここマザークラスタ極東支部では日常茶飯事の出来事なのだ。
その声の正体は……エスカファルス・ペルソナである。
一応、この支部の幹部であり、指パッチンするだけで数億の"宇宙"(惑星でも銀河でもない)を滅ぼす事ができるのだが……。
「ぱいぱお○ぱーい♪デカ○ークビオー○○コー♪」
そんな彼女はpso2エピソードオラクル2期のopイントロを訳の分からない語録で歌いながらスキップしている。
「まーたペルソナが訳の分からない事を言ってるよ……」
「いつもの事だ。気にすんな」
職員達も半ば呆れつつペルソナのIQ0の歌を無視して作業をしていた。
「あぁ、眠い……お腹すいた。マトイちゃんのおっ○い」
睡眠欲、食欲、性欲。
3大欲求を一気に訴える彼女はまさに欲求モンスターだろう。
「マトイちゃんのお○○い揉み揉み……」
極東支部のベンチに座って虚空を眺めながら呟く彼女。
恐らく何も考えていないのだろう。
「早くマトイちゃんに会いたいな〜」
アークスシップが滞在する宇宙空間を眺めて彼女は呟いた。
そんな中で、マトイに話しかける少女がやってきた。
「マトイちゃんのおっ○いの前に少し聞きたいことがあるんだけど」
そう話す彼女は、機械油やフォトンジェルで青黒く汚れている衛士強化装備の上に黒ずんだ白衣を羽織っている人物。
アリス・メイシアスだ。
「あ、アリスちゃん! どうしたの?」
ペルソナは笑顔でそう言った。
アリスは「龍照どこにいるか知ってる? 連絡しても繋がらなくてさ」と辺りをキョロキョロしながら言った。
彼女がキョロキョロする度に機械油と汗と女性特有の髪の香りが混ざりあったソレにペルソナは「あー良い匂いー」と甘美な表情をする。
「後でどんなシャンプーとボディソープ使ってるか教えようか?」
気持ち悪いペルソナの発言にも普通に返すアリス。
ぶっちゃけアリスは機械以外に興味はないので、ペルソナがどれだけ気持ち悪い事を言っても知ったこっちゃないのだ。
「お願い!!!」
ペルソナは鬼気迫る表情で懇願する。
「龍照の場所知ってる?」
話を強制的に戻して、龍照の居場所を訊ねる。
「確か警察本部に行ってるはずだよ」
「じゃあ、今日は帰ってこないのかなぁ」
「どうなんだろうね。もし、あれなら私が龍照に言っておこうか?」
「いや、大丈夫だよ。格納庫に置いてるエスカモビルスーツをどうするつもりなのか聞きたかっただけだから」
「え? エスカモビルスーツって何? 龍照なんか作ってるの?」
私が怪訝な表情でアリスに訊ねると「うん。なんかマザードールズ……というか戦域統制型マザードールズで使用する装甲で作ってるんだよね」と言った。
「何かに使うのかな?」
「さぁ? ただね、まだ頭部が完成してないっぽい」
「頭部……デザインに悩んでるとか?」
「ペルソナって、言ってしまえば龍照何でしょ? 何か分からない?」
「…………………………………………………………なんだろうね」
そう言って2人で笑いあった。
マザークラスタ極東支部本島行き
特急電車
こうや号
私は格納庫で建造中のエスカモビルスーツの事を考えていた。
もう時期、あれを使う時が来るはずだ。
その時までに完成させないといけない。
しかし、1つの悩みがあった。
「……ガンダムに乗りたいけど、私がガンダムに乗る資格があるのだろうか」
海を160の速度で爆速する特急こうやに乗りながらボソリと呟く。
子供の頃に父からガンダムのゲームを誘われて以降、私はガンダムにハマってしまった。
当時、小学2年生だった私は1度でいいからガンダムに乗ってみたいと夢見ていた。
そして、今……時を得てガンダムに乗るチャンスが巡ってきた。
ただ、深遠なる闇になり、アークスと敵対する組織に属している私が……ガンダムに乗って良いのだろうかと。
急に罪悪感が生まれてきたのだ。
「あーくそ……こんな事で悩むなら初めからAISを作っときゃ良かった……」
私は頭を抱える。
あそこまで作ったから、やり直しは効かない。
きかないというか、時間が無い。
「ダメだな……早く考えないと……」
夕焼けに染まる海を車窓から眺めながら、私はマザークラスタ極東支部へと向かっていった。
マザークラスタ月面本部にて……。
1人の巨乳少女が青の星である地球を眺めて不敵な笑みを浮かべて密かに呟いた。
「ひつぎちゃん……」
続く
次回
哀しき再会
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
-
いいよ。
-
ダメ。