エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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76話 乱戦の開幕

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

八坂火継奪還の為、アッシュとエンガが月に建設された月本部に乗り込んだ。

それを見たフル・J・ラスヴィッツは具現武装の能力を発動させる。

 

「……物語の世界に閉じ込める」

 

彼女の具現武装、グリモワ・メルヒェンが輝きを放ち出し、輪廻する物語を形成。

何も知らない2人はその世界の中に登場する哀れな人物となった。

 

 

輪廻する物語の登場人物であるアッシュとエンガは長い長い本部の直線状の通路を走る。

見上げるとガラス越しからでも感動する程に壮大な母なる地球が見えた。

だが、今の2人にはそんな事をしている暇は無い。

 

「この先にヒツギの反応が……待ってろヒツギ!」

 

しかし、彼らの行く手を阻むモンスターが現れた。

チェーンソーやナイフを持ったピエロ型幻創種、"チェーンソーピエロ"と"ジャグラーピエロ"達だ。

彼らは物語に囚われた哀れなキャラクターを嘲笑う。

 

「チッ、雑魚がウジャウジャと……邪魔すんじゃねぇよ!」

 

エンガは苛立ちを覚えながらも幻銃を具現化させて戦闘態勢になる。

 

「全員倒すしかないか!」

 

アッシュもコートエッジを構え、ピエロ達に襲いかかった。

 

「こっちは急いでんだ! どけ!」

 

吐き捨てるように言いながら、エンガは的確にヘッドショットを狙っていく。

頭を撃たれたピエロは不気味な高笑いをしながら霧散した。

 

「邪魔だ!!」

 

アッシュもギルティブレイクでピエロ達の敵陣ど真ん中まで突撃した後、ノヴァストライクで一気に吹き飛ばした。

やはり、ピエロ達は霧散する中でも嘲笑いながら消滅していく。

その他にも大勢の幻創種が具現化されたが、流石に2人の敵では無い。

 

「よし、先を急ごうぜ!」

「ああ!」

 

難なく幻創種を片付けた2人は立ち止まることなく目的の場所まで走り出した。

 

 

─物語は繰り返される─

 

 

フルはめくっていたページを止めて、元のページまでめくり直した。

更にめくり直した ページに少し内容を書き換えた。

 

 

 

2人は長い長い直線状の通路を全力で走る。

しかし、彼らの行く手を阻むモンスターが現れた。

ライフルやランチャーを持った看板型幻創種、"スナイパーネオン"と"ランチャーネオン"達(以降ネオンと呼ぶ)だ。

ネオン達は物語に囚われた哀れなキャラクターに対して無機質な笑みを浮かべて狙いを定める。

 

「……チッ、雑魚がウジャウジャと……邪魔すんじゃねぇよ!」

 

エンガは苛立ちを覚えながらも幻銃を具現化させて戦闘態勢になる。

 

「……全員倒すしかないか!」

 

アッシュもコートエッジを構え、ネオン達に襲いかかった。

 

「こっちは急いでんだ! どけ!」

 

吐き捨てるように言ったエンガは、飛んでくる弾丸や砲弾を全て軽やかな身のこなしで回避しつつ、的確に敵の武器に狙いを定めて発砲する。

持っていた武器を撃たれて破損したスナイパーネオンやランチャーネオンは再度武器を具現化しようと、エーテルを集約させる。

 

「させるか……よ!!!」

 

アッシュはギルティブレイクでネオン達の敵陣ど真ん中まで突撃した後、ノヴァストライクで一気に吹き飛ばした。

無防備だったネオン達は全員バラバラに壊れて霧散する。

その他にも大勢の幻創種が具現化されたが、流石に2人の敵では無い。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……よし、先を急ごうぜ!」

「ふぅ……ああ!」

 

難なく幻創種を片付けた2人は立ち止まることなく目的の場所まで走り出した。

 

 

─物語は繰り返される─

 

 

 

フルはめくっていたページを止めて、元のページまでめくり直した。

更にめくり直した ページに少し内容を書き換えた。

 

 

2人は長い長い直線状の通路を全力で走る。

しかし、彼らの行く手を阻むモンスターが現れた。

大型のバイクに乗った首無しの乗り物型幻創種、"デュラハンライダー"達だ。

数体、レア種のレッドデュライダーも居る。

彼らは物語に囚われた哀れなキャラクターに対してバイクのエンジンを吹かして煽り散らした。

 

「ハッ、ハッ、ハッ……チッ、雑魚がウジャウジャと……邪魔すんじゃ、ねぇよ!」

 

息を切らすエンガは苛立ちを覚えながらも幻銃を具現化させて戦闘態勢になる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……全員、倒すしかないか!」

 

「……全員倒すしかないか!」

 

エンガ同様に、何故か息を切らしていたアッシュもコートエッジを構え、デュラハンライダー達に襲いかかった。

しかし、アッシュの頭の中では奇妙なモヤがかかっていた。

 

「(……なんだ、この違和感は……?)」

 

心の中で疑問を走らせるも幻銃から轟く銃声に思考を一旦ストップさせて、目の前のデュラハンライダー達を蹴散らしに掛かった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、こっちは、急いでんだ! どけ!」

 

息を切らしながらも吐き捨てるように言ったエンガは、デュラハンライダーの心臓部に狙いを定めて発砲。

心臓を撃ち抜かれたデュラハンライダー達は奇妙な警笛を鳴らして消滅した。

 

-・・・ ・・ ・--・- ・--・- ・--・- ・--・- ・--・- ・--・- ・--・- ・--・- ・--・- ・-・・ 

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ、これで、全員薙ぎ払ってやる!!」

 

こちらも息を切らすアッシュは、突撃するデュラハンライダーに対してサクリファイスバイト零式を使って、奴のエーテルを奪った。

そして、そのエーテルをコートエッジに送り込んで青い刃を形成させる。

 

「終わりだ!!!」

 

 

─オーバーエンド・サクリファイス─

 

 

通常のオーバーエンドよりも長い刃でデュラハンライダーの群れを叩き切った。

消滅する瞬間、デュラハンライダーは奇妙な警笛を鳴らして霧散した。

 

・・-・・ ・・・ -・- --- ・-・-- ・- -・--・ ---- ・・-・・ -・・-・ --・-・ ・・・ ---・- ・・ -・-・ -・・・ ・・ ・-・・ -・・・- 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……よし、先を急ごうぜ!」

「ふぅ……ああ!」

 

難なくデュラハンライダーを片付けた2人は立ち止まることなく目的の場所まで走り出した。

 

 

─物語は繰り返される─

 

 

 

フルはめくっていたページを止めて、元のページまでめくり直した。

更にめくり直した ページに少し内容を書き換えた。

これを何度も繰り返し行った。

物語に閉じ込められた哀れなキャラクターは、辿り着くことの無い童話の中を彷徨い続ける。

しかし、終わらない物語はない。

2人とも次第に違和感を抱き始め、それはやがて真相という最後のページへと辿り着く。

 

 

「……はぁ、はぁ、はぁ……エンガ待ってくれ!」

「……はぁ、はぁ、どうした?」

 

アッシュはエンガを呼び止めて、「……時間が巻き戻っている」と自身の違和感から考えた結論を言った。

 

「ふー……どういう事だよ? なにかあったのか? まだ敵にも会ってないのに……」

 

アッシュの言葉に、息を整えたエンガは少し訝しんだ表情をした。

 

「いや、敵には会ってる。今まで何度も交戦している筈だ。その証拠に俺たちは今、疲れて息を切らしているだろ?」

 

その話を聞いたエンガはハッとしたような表情をして、自分が先程から息を切らしていた事に気がついた。

 

「おい……じゃあまさか本当に……?」

 

信じられない現実だが、今の自分の状態が何よりの証拠となっている。

エンガは直ぐにシエラに通信をとった。

 

「……シエラさん?」

 

応答は無い。

 

「おいおい……通信も通じねぇぞ!」

 

エンガが何か言おうとした時、2人の女の子の声が聞こえてくる。

 

「……無駄。この領域は同じ時間軸を繰り返す遊び場。外からの通信なんて届くわけない」

「そのまま気づかずに、フルの物語の中を彷徨っていれば、100%楽できたのに……あーあ、70%勿体ない」

 

 

マザークラスタ月本部所属 幹部【オリンピア】

日の使徒 オークゥ=ミラー

月の使徒 フル=ジャニース=ラスヴィッツ

 

 

警戒する2人を無視してオークゥはフルに話し掛ける。

 

「やっぱり全然バレなかったね、フル?」

「……うん。あの人から色々と話を聞いて正解だった」

 

フルはアッシュの方を見てから話を続けた。

 

「……そういう経験あるんでしょ? シオンやシャオの時間遡行、ダークファルス・ルーサーの時間操作」

「何故、時間遡行の事を……?」

 

その事を聞いたアッシュはコートエッジを握りしめてフルに問いただす。

 

「龍照から聞いたの。貴方は時の巻き戻しに耐性があるからって。それで史実の私は直ぐに破られたらしい。だからより一層強固な物語を作るべきだって」

「……どういう事だ?」

 

フルの言葉にアッシュは訝しむ。

あの深遠なる闇は……何を知っているんだ?

 

「……ここで死ぬ貴方達に教える必要ある? 」

「俺たちがそう簡単に死ぬと思うか?」

「……思う」

「何にせよ見てるだけじゃ99%飽きてきたし、私達が直接潰してあげる」

 

腕を組んで偉そうに(実質すごい偉いのだが)するオークゥ。

 

「特にアッシュ。あんた、龍照の言う通り100%危なそう。絶対にマザーの邪魔になる。ラプラスもマクスウェルもこの前のお礼をしたいって言ってるしね!!」

 

力強く言い放つオークゥ。

彼女の傍にはラプラスの悪魔とマクスウェルの悪魔が具現化された。

 

「……これだけ徹底した世界でも、それを見破ったアッシュさんはとても危ない人。絶対にマザーの障害になる」

 

フルも大人しくも力のこもった口調でアッシュに語る。

 

「マザーの邪魔をする奴らはアタシ達が許さない。絶対に、100%排除してみせる!!」

「マザーの障害を取り払う。それが私たちの役割。メモに残すまでもない、当たり前のこと……!!」

「「……っ!?」」

 

2人が言い放った時、空気が一気に変わるのを感じたエンガとアッシュは冷や汗を流した。

以前にラスベガスでオークゥと対峙した時とは全く違うレベルだ。

いや、あの時も大概強かったのだが、今回はその比ではない。

全力で行かなければ狩られる。

アッシュとエンガは緊張感MAXの状態で、武器を握りしめた。

 

 

「マザークラスタ、日の使徒! オークゥ=ミラー!」

「……マザークラスタ、月の使徒。フル=ジャニース=ラスヴィッツ」

 

2人は自分達の具現武装を発現させる。

オークゥは三角定規としか思えない武器にラプラスの悪魔とマクスウェルの悪魔。

フルはグリモア・メルヒェンと呼ばれる本。

 

「100%じゃ足りない! 200%で迎え撃つ! この命も、この力も、全てはマザーのために!!」

「……本のページをめくれば、物語は繰り返す。何度も何度も何度でも、マザーが笑ってくれる、その時まで」

 

2人の両腕が鉄のように黒く変色する。

戦いの幕が開いた。

 

「お前らがマザーに尽すのにもそれなりの重い理由がありそうだが……邪魔するなら容赦しねぇぞ!!」

「エンガの言う通り、俺達はヒツギを取り返しに来たんだ。それを阻むなら……!!」

 

エンガとアッシュも2人を排除するために戦いに出た。

 

 

 

 

 

次元を超えた先にある別の次元。

マザーシップ・シャオ。

オラクル船団の管理統制を担っており、アークスシップ航行や環境維持などの演算を行っている巨大な要塞。

マザーシップが失われることは、オラクルのすべての機能が停止することを意味する。

そんなマザーシップ内に、三体の深遠なる闇が侵入をした。

そう考えればアークス側からすればどれだけ最悪な状況であるか分かるだろう。

しかも3体と言われれば、最悪というか絶望と地獄を足して2で割ったような状況といっても過言では無い。

いや、それだけならまだ全戦力を以して迎撃に当たれば良い。

六芒均衡や守護輝士、その他全アークスで挑めばお互い全滅ぐらいで収まるだろう知らんけど。

だが、今回は訳が違う。

3体の深遠なる闇がマザーシップに侵入しただけでは飽き足らず、4体の深遠なる闇が船団に喧嘩を売っている状況。

更に残りの1体は戦闘に加わらずに待機状態。

肝心の守護輝士のアッシュは物語のキャラクターになって、マトイはマザークラスタ本部直属の幹部との戦闘中。

追い討ちと言わんばかりに、シオンと同格の存在が1つのアークスシップを襲撃し、全管制を掌握しようとしている。

……馬鹿じゃねーの?

アークスからすれば、どうしろ問題だ。

AISは機能停止状態。

実質的に管制はマザー及び小野寺龍照によって奪われている。

何ならバックアップであるシャオでは管制を取り戻す事は可能ではあるが、難しいだろう。

……アークス側からすればほぼ詰んでいる状態だ。

 

だが、マザークラスタ……特に小野寺龍照含むエスカファルス勢からすればどうだろう。

 

マザーシップ・シャオに降り立った3体の深遠なる闇は、到着するなり背伸びをしてから大欠伸をかました。

 

「よし、私達がここに来ればアークス側は大慌て! マザーの目的も達成し易くなるでしょ」

「じゃあ僕達はここで呑気に座ってるだけでいいわけだ!」

 

ペルソナはマザーシップ内の鉄のような床に座り込んで休憩する。

それを見たエルミルも床に寝転んで読書(同人誌)をし始めた。

 

「言い逃れできない不法侵入ですね。ですがそれが目的なのですから仕方ありません」

 

我が物顔で寛ぐ2人を見ながら、ハリエットは力無く呟く。

 

「そうそう、任務だからって事で割り切るしかないね」

「タリサ少尉可愛い」

「し、しかし、流石にここで寛ぐのは……」

 

寛ぐ2人を見てやんわりと辞めさせようとするハリエット。

「いいじゃん。私達の目的は混乱であって、オラクル船団?アークス船団?どっちでもいいか、ぶっちゃけどっちでも意味は一緒だ。船団の混乱であって、滅ぼす訳では無い。だったら下手に動いてアークスを殺すぐらいなら深遠なる闇っていうネームバリューを使ってマザーシップに乗り込んだ方が混乱するでしょ?」

「唯中尉可愛い」

「そ、そうですか? 思わず着いて来てしまいましたが……」

「そうそう! 不殺なんだから! その為にエルミルが時間を止めて、その間にマザーシップに乗り込んだから!」

 

ペルソナはチラッとエルミルの方を見る。

エルミルは彼女が見ていることも気にもとめずにひたすらに本を読んでいた。

 

「あーダメだ、自分の世界に入ってるよ……」

「あはは……」

 

呆れるペルソナとそれを見て苦笑いするハリエット。

そんな時だ。

巨大な斬撃が3人を襲った。

呑気に過ごしていた3人はその攻撃を見事に食らってしまい吹き飛ばされてしまう。

 

「……まぁ、やっぱ来るよね」

「仕方ないサ。マザーシップはアークス達の生命線だもん」

「戦闘は、やはり避けられませんか……!」

 

何とか受け身をとった3人は、奥から歩いてくる7人の存在を見て冷や汗を流した。

 

「おやおや、随分と余裕そうじゃないか! まぁ、そうでなくちゃ面白くない」

「まさか、こう易々とマザーシップに入られるとは……」

「深遠なる闇だからこそ、ですね」

 

六芒均衡であるマリア、レギアス、カスラが話をしている。

その他の六芒均衡も無言だが、それでも覚悟の決まった表情で創世器を構え出す。

 

「……まぁ、私達が六芒均衡を抑えてたら、向こうもある程度楽に行動できるか」

「流石に殺す気で行くよ。六芒均衡が相手なら手加減してたら死ぬからサ……!!」

「そうですね。私も全力で行かせてもらいます!!」

 

3人の深遠なる闇たちは、そう言ってヒューナル形態へと変身。

零を含めた全六芒均衡VSオラクルにて深遠なる闇と呼ばれた3体の幻創種との戦いが始まった。

 

 

 

 

続く

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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