エスカファルス【非在】   作:楠崎 龍照

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8話 月面基地防衛戦【邪龍】後編

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、見せてあげるよ! 想像によって生み出されたアプレンティスの力を!」

 

 

私は、そう口にしていた。

自分の意思とは無関係に様々な部位が動いている。

全身を縛られた状態で、車に乗せられて、見知らぬ他人に乱暴に運転させられてる感じだ。

私には分からないが、何となくダークファルス・アプレンティス完全体になっているのだろうと想像できた。

頭の中でオメガファルス・アプレンティスのBGM、DYREINA(ディレイナー)が脳内再生される。

 

「さぁ、行くよ! 幼女美少女とキャッキャウフフする為に!」

 

そう宣言すると、アプレンティスは超巨大なツインダガー、アプレンティスグラッジを具現化させる。

 

「こんな感じかなー?」

 

 

―レイジング・ラプソディエス―

 

 

超巨大な身体を縦に回転させながら、幻創ニーズヘッグに急降下する。

幻創ニーズヘッグは口から火球を吐いて攻撃するが、その火球も一刀両断しながら、接近する。

 

「でやああああああ!!」

 

幻創ニーズヘッグを切り裂こうと力を込めた回転斬撃を見舞うが、この邪龍は力いっぱいに大地を蹴って空中に跳躍。

火炎ブレスを地面に向けて放射する。

 

「そう簡単には当たらないよ!」

 

即座に地面に突き刺さった剣を抜き、背を地に向けた態勢で上空に力場を発生させて、火炎ブレスを跳ね除けた。

 

「これがお望みかな?」

 

アプレンティスグラッジの具現化を解いて、巨大な腕を用いて斬撃飛ばす。

一般的な2階建て一軒家と同等の大きさを誇るアプレンティスから出る巨大な斬撃だ。

直撃はもちろん、掠れただけでも致命傷は免れないだろう。

そんな特大斬撃を幻創ニーズヘッグは片手で弾き返した。

跳ね返った斬撃を再び具現化したアプレンティスグラッジで真っ二つにぶった切りながら突撃。

 

「これでどうかな?」

 

ニーズヘッグは両手両足で防ごうとするが、その巨体故に叶わず、組み伏せられ幻創イシュガルドに叩きつけられる。

再び炎のブレスを吐こうとするが、アプレンティスがそれを許す訳もなく。

 

「やっ!」

 

幻創イシュガルドに大きめのクレーターが出来るほどの力場を発生させニーズヘッグを吹き飛ばす。

余りの威力にアプレンティス本人も後方に弾かれる程だ。

更なる追撃をぶつける。

 

「踊れ踊れー、おっ祭りだー!」

 

巨大レーザーを発射。

そのレーザーは中央から拡大、更に外側から収縮する筒状のレーザーで、幻創ニーズヘッグを倒しにかかる。

 

「さぁ、これでトドメ!」

 

アプレンティスグラッジを構え、切りかかる。

しかし、砂煙を巨大な翼で吹き飛ばし、飛翔する幻創ニーズヘッグ。

そのままアプレンティスの巨腕に噛みつき、地面に叩きつけようとする。

だが、それがアプレンティスに通用する訳もなく、逆に力づくでそれを振り払い、ねじ伏せる。

 

「うらあああああああ!!」

 

幻創ニーズヘッグを一本背負いで幻創ミラボレアス目掛けて投げ飛ばす。

幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアスがぶつかり合い、イシュガルドとシュレイド城の境目の外壁に叩きつけられる。

 

「トドメええぇぇええええ!!」

 

アプレンティスの複数の羽から青いオーラを放って、アプレンティスグラッジを大振りに突き刺そうとする。

しかし、突如2匹の龍が真っ赤な爆炎に包まれ、その中から炎のように赤く染まった2匹の幻創龍がアプレンティスを急襲。

幻創ニーズヘッグがアプレンティスを月面に叩きつけ、幻創ミラボレアスが劫火でシュレイド城とイシュガルドの半分とアプレンティスを焼き払った。

 

「ぐぅう……!」

 

熱さと激痛で頭が可笑しくなりそうだ。

だが、流石ダークファルスのエスカ版と言うべきか、全部の羽が損傷しただけで済んだ。

ただ、アイツらはまだピンピンしているのに、こちらはかなりのダメージを受けた。

どうするべきか……。

 

「ねえ、貴方ミラボレアスとニーズヘッグ戦ったことあるでしょ!? 弱点とか知らないの?!」

 

アプレンティスが私に語りかける。

弱点つったって……。

長考しているうちに、幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアスは火球ブレスを何発もぶっぱなし始める。

 

「やばっ!」

 

アプレンティスは羽を再生させて飛翔する。

 

「早く弱点教えて!!」

『待てい! いま思い出してる!!』

「貴方アホみたいにff14とモンハンやってたでしょおがーーー!」

『いきなり言われてパッと出るわけなかろうて! 漢字のテストの時に、いつもは分かる漢字が分からないって感じと一緒や!』

「それは私には分からない!」

 

弾幕を回避し、グラッジで切り裂き、群体エスモスを壁に、シューターエスアーダで迎撃したりと、多彩な方法で直撃を防ぐアプレンティス。

ジェットコースターが可愛く思えるスピードと機動力に私は若干気分が悪くなりながら、2匹の龍の弱点を思い出す。

ニーズヘッグの弱点ってなんかあったか?

私は蒼天のイシュガルドのストーリーを思い返す。

 

……ダメだ。

ラストのイゼルとオルシュファンのシーンしか思い出せない。

あの邪龍の影に囚われたエスティニアンを救うために、アルフィノと主人公が邪龍の眼を……。

邪龍の眼を……。

……。

あれ、ニーズヘッグの弱点ってあれじゃね?

 

『ちょちょちょちょちょ!アプアプアプ!!』

「なに!? 弱点わかった!?」

『眼!眼眼眼!』

「眼!?」

「そそそそそそ、眼眼眼眼眼眼! ニーズヘッグの眼は莫大なエーテルがあるから両眼をくり抜いたらニーズヘッグは消滅するそんでその眼を使ってエーテルの刃を形成させてミラボレアスにぶつけたらいけるミラボレアスは分からんけどニーズヘッグならいける(超早口)」

 

物凄い早口でアプレンティスに捲し立てる。

よく自分でも噛まなかったと思ったわ。

アプレンティスは分かったと言って、急上昇。

何をするのかと思えば、とんでもない言葉ととんでもない行動に出やがった。

 

「分かった、それなら私が囮になるから、貴方がニーズヘッグの眼をくり抜いて!」

『はぁ!?』

「だって私1人じゃあ、あの2匹相手しながら眼をくり抜くなんて不可能だよ! 貴方私が炎属性弱点なの知ってるでしょ!?」

『知らんわ!』

「とにかく、じゃあ貴方が囮になって幻創ニーズヘッグと幻創ミラボレアス相手する?」

『……。分かった、私が眼をくり抜くわ』

「そう来なくっちゃね! 私のツインダガー貸すからお願い!」

『まて、でもどうやって、私がやればええんや?』

 

今の私はアプレンティスと同じ身体だ。

この状態では、くり抜く事をはできない。

そう言うと、アプレンティスは「簡単な話よ!」と言って、私とアプレンティスを切り離した。

突然、宙に投げ飛ばされた私の気持ちになって欲しい。

この月面基地はある程度重力がかかっているため、地球と変わらないのだ。

いきなり弧を描くように落下するのだ。

怖い以外の感情がでるだろうか?

 

「ちょちょちょちょちょ!」

 

私は両手両足をばたつかせながら必死に羽ばたこうとする。

これが水曜日のダウンタウンや世界の果てまでイッテQで放送されれば、観客は爆笑の渦となることは間違いないレベルの羽ばたきようだ。

はっきし言って中々の無様である。

そして、私は自然とこのような断末魔が口から出ていた。

 

「アカーーーーーーーーーーーン!!!!!」

 

そして、月面にぶつかる前にアプレンティスが具現化したエスカビブナスが私を拾ってくれて、とりあえず、身体がバラバラになることは防げた。

 

「ほら、私のアプレンティスグラッジ貸してあげるから、それでお願い!」

「わ、分かったよ、そしたらタンク(囮)頼むで!」

「任せてよ! これが終わったら幼女美少女にお菓子を配るんだ」

「陰で誘拐犯ってあだ名がつきそうだな」

 

流石にボソッ呟く。

彼女には聞こえていないようで、あの完全体の格好で、気合いを入れるポーズを取っていた。

 

「さぁ、行くよ!!!!!」

 

そう大声で叫び、アプレンティスは周囲に青い空中機雷のような物を生み出し、更に肩部にある深青色のコアから大量の群体エスモスを出現させ、幻創龍2匹に襲撃させる。

 

「でやー!」

 

手を光らせ交差した後、I字型レーザーを2個放つ。

続けざまに特大なレーザーを薙ぎ払うように撃つ。

ヘイトは確実にアプレンティスに向いた。

2匹の火炎ブレスがアプレンティスを襲う。

それをアプレンティスは巨大な爪で切り裂く。

しかし、2匹の炎の熱量はとてつもなく、次第に腕が焼け焦げていく。

 

「くっ、相性が明らかに悪いんだよなぁ……」

 

アプレンティスはボソッと呟く。

炎の弾幕に、アプレンティスの身体が徐々に焼け爛れていく。

 

「龍照今のうちに!!」

「分かってる!!」

 

私は、エスカビブナスから飛び出し、幻創ニーズヘッグの頭部に飛び乗る。

幻創ニーズヘッグは、私を振り払おうと頭をブンブンと振り回す。

 

「うおおおおおおおおおお!」

 

私は幻創ニーズヘッグの角を持って足掻く。

向こうも必死だろうが、こっちも必死である。

 

「う、動くなああああああああぁぁぁ!!」

 

私はアプレンティスグラッジを持って全力で幻創ニーズヘッグの左眼を突き刺した。

眼からエーテル粒子と共に、赤い血が噴水のように吹き出る。

耳を刺す幻創ニーズヘッグの断末魔。

私はそれに反応する余裕は残っていない。

もう片方のアプレンティスグラッジてま右眼を突き刺す。

 

「どるあああああああああああああ!!!!!」

 

幻創ニーズヘッグの断末魔を掻き消さんばかりの雄叫びを上げて、両方の眼を抜き取った。

そして、私はそこから離れ、エスカビブナスの背中に着地する。

 

「後はミラボレアスだけ!」

 

私はニーズヘッグの眼を使い、アプレンティスグラッジにエーテルを送り込んで巨大な刃を作り出す。

 

「ああああぁああああああああああああぁぁ!!!!!!」

 

刃を前方に放ち、"何もしない"幻創ミラボレアスの胸に一突き。

胸を貫かれた幻創ミラボレアスは黄色に光輝く「眼」だけを残し霧散する。

両目を失った幻創ニーズヘッグも、月面に落下し霧散した。

 

 

私は、落下している残った幻創ミラボレアスの両眼をキャッチし、着地する。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

私は息を切らしながら、倒れ伏しているアラトロンさんとべトールさんに駆け寄る。

脈を測るが、とりあえず生きている。

気絶しているだけだった。

安堵してへたり込む私。

マザーも駆けつけてきた。

 

『大丈夫か!?。』

「ええ、私は特に問題は無いです。それよりアラトロンさん達を、オフィエルはこっちに倒れてます」

『いや、龍照、君が1番危ないのだが。』

「え?」

『その血はなんだ?。』

 

私は体を見ると、全身に深い赤色をした血がべっとりと着いていた。

ただ、これは私の血ではなく、ニーズヘッグの血だとマザーに説明をして、納得してくれた。

 

『それなら、アラトロン達を手当しよう。』

 

マザーは気絶しているアラトロンさんとべトールさんの身体に触れて、翡翠色の光を2人に送り込んだ。

多分回復のエーテル粒子的な何かを送り込んでいるのだろう。

私は、オフィエルが気絶している場所まで向かう。

 

「先に私が回復してるわよー」

 

まさかのアプレンティスがオフィエルの治癒に当たっていた。

 

「アプレンティスって治癒出来たのか?」

「そうね、これくらいの怪我の治癒なら可能よ」

「ダーカー因子を送り込んで……」

「んなわけないでしょ。アークスがよくやる回復テクニックを見様見真似でやっただけよ」

 

オフィエルの治療に集中してるからか、顔はオフィエルの方を見ながら、私と会話をしている。

 

「まて、いつ覚えたの?」

「龍照がプラチドーラスにテクニックを覚えさせてる時に、頭の中で見てたのよ。アンティレスだったわね。それよ」

「ま、マジか。え、じゃあ、あれか? あの時アプレンティスを具現化させようとしても出来なかったけど……」

「ええ、本当はこの通り具現化されてたわよ。あえて貴方の頭の中で具現化したって感じだけど」

「どうして……」

「私がそう願ったから」

「どういうこと?」

 

私は頭が???になった。

その姿を見たアプレンティスは、何も言わずに話を続ける。

 

「エーテルを使って具現化する時、性格を鮮明に想像したよね?」

「そう言えば……確かに」

 

 

アプレンティスは続ける。

生物を具現化する場合、自我・性格・人格等を思い浮かべなければ、具現化された時にある程度ランダムで構成される。

人が赤子を産んで、そこから性格が構成されていく感じらしい。

ある程度ランダムなのは、例え自分が性格等をソレに思い浮かべなくても、その人の深層心理に影響を受けて、性格等が構築されることもある。

ただし、一貫して言えることが、その具現化存在がどのような性格、人格を持っていても、決してその創造主を裏切ることはないということ。

 

そして、このアプレンティスのように、性格を思い浮かべて具現化した場合、その時点で自我、人格、性格等が構成された状態。

出産で例えるなら、

性格を思い浮かべない具現の場合、0才の赤子が生まれる。

 

性格を思い浮かべた具現の場合、20才の大人が生まれる。

様なものらしい。

もちろん、その場合性格に"自分を裏切らない"と思い浮かべなければ、裏切る可能性もある。

 

そして、このアプレンティスの場合、彼女の意思、もっと言えば気分で頭の中で具現化して、ずっと私の行動を見ていたとのこと。

 

ただ、アプレンティス曰く、決して裏切らないから安心してほしい。

と言う。

私は「何故?」と問うと、彼女は超ド直球にこう言った。

 

「君、性格で"子供好きのお姉さん"って思った時、"マルガレータ"の他に対魔忍の"ふうま亜希"も思い浮かべでしょ?」

 

あまりにもド直球な一言に、私は言葉を喉に詰ませた。

 

「そうなのかな?」

「そうだよ!お陰様で、マルガレータとふうま亜希と、その他諸々の性格が合わさった結果、この私、エスカファルス・アプレンティスが具現化されたのよ」

「そ、そゆことですか。で、裏切らないのは?」

「マルガレータや、ふうま亜希が裏切ると思う?」

「思わ……ないですね……」

「そういうことよ」

 

何故だが納得してしまった自分がいる。

まぁ、だから、アプレンティスがこんな変な性格になったのか……。

美貌より幼女美少女優先のアプレンティスも中々の新鮮である。

ただ、このアプレンティスをpso2をしているプレイヤーに見せるのは、些か怖い。

 

「それより龍照、貴方その血大丈夫?」

 

怪訝そうな表情で、私の全身にこびり付いた血を見て訊ねる。

 

「ええ、これはニーズヘッグの返り血なので、私の方は大丈夫です」

「それならいいけどね。はい、治療完了よ」

 

アプレンティスはそう言うと、立ち上がり「龍照の頭に入るわね」と言ってエーテルを霧散させた。

 

「EP5みたいだなこれ」

 

そう呟き、オフィエルをマザーの所まで連れていった。

 

 

その後は被害状況や、幹部たちの反省会などで二日潰れてしまい、私はモンハンとff14コラボに出遅れる結果となってしまった。

 

 

 

 

 

 

続く


















眼が光っている。

ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?

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