「……では、小野寺さんも、あのエネミーは見たことがないのですか?」
アークスシップ:ハガルの艦橋にて、私は先程起きた出来事の報告を行っていた。
エーテルによって生み出されたマザーの紛い物を意図も容易く葬った2対の未確認エネミーの乱入についてだ。
「ええ、pso2にもあのようなエネミーはありませんでした。見た目的には……あーー、あなた方が少し先の未来で相見えると思われる閃機種に若干似ていると考えますが、それでもあのような存在は完全に初見です」
私は未来の出来事を言っていいか少し考えたが、この際、別に言っても良いだろうと心の中で思い、閃機種の名を出した。
「……閃機種ですか?」
「ええ。詳しくは伏せますが、そのような種族エネミーに配色が似ているように見受けられました」
シエラさんの問いに詳細は伏せつつも、そのような旨を伝えた。
アッシュのマグから記録していた戦闘データの解析が終わり、2対のエネミーの姿がモニターに映し出される。
「これが……」
「あのマザーが意図も容易くやられてた」
ヒツギは先程の出来事を思い出してボソリと呟く。
自分たちも本物のマザーと戦った事があるだけあって、あれほどあっさりとやられたのが衝撃的だったのだろう。
「エーテルで構築されただけの紛い物だから、本物のマザーよりも大幅に弱体化しているとはいえ、あれは想定外だな」
「アイツら、主がどうとか言ってたな。てことは、あれよりも強いのがいるって事だろ?」
「そうなるな。くそぉ……これからデウス・エスカの件もあるのに、厄介な歴史なったもんだよ……」
エンガの憶測に私は頷きつつ、強大な敵性存在が3体もいることに私は肩をガクリと下ろして項垂れた。
「お前の知る歴史とは大きくかけ離れているのか?」
その様子を見た私にアッシュは訊ねる。
私は「ああぁぁぁ……」とため息と肯定を混ぜ合わせたような返事をした。
「そもそも、この世界に存在していない私がいる時点で、ある程度の歴史の違う点があるのは知ってたけどさ。まさかEP4の時点からこんな事になるなんて思ってないわけだよ」
私は片手で自分の頭を掻きながら唸るような声を出す。
そんな時だ。
「ヤバいヤバい!!! 龍照龍照!!!」
切羽詰まった女の子の声と共にそれは現れた。
「ペルソナ!?」
突如としてエスカファルス・ペルソナが艦橋に現れた。
謎の超乳女の子の登場にその場にいた全員が臨戦態勢に入る。
「待て、こいつは私の仲間や!! 危害を加えるようなことは無い!」
私はすかざす、艦橋にいたアッシュ、マトイ、エンガ、ヒツギ、コオリ、アルに言って制止させる。
「こいつはエスカファルス・ペルソナ!! その名前だけでアッシュとマトイなら分かるやろ!?」
そう言うと、2人は「え!?」と信じられないような目で、「やばい事になった!!! 結構な緊急事態!!!」と叫んで私に抱きつく女の子を見つめた。
そんな彼らの視線に気づいたペルソナは、抱きつくのをやめて、挨拶をする。
「あ、こんにちはー、ペルソナだよー、よろしくねー」
彼女は快活とした明るい笑顔で挨拶をする。
その姿に、アッシュとマトイはこちらの世界の彼とは全く違う存在に驚きつつ、幻創種であったとしても彼がこんなに明るい表情をしている事に少し嬉しく感じた。
そんな事を思っていると、ペルソナの視線がマトイへと向く。
次の瞬間だった。
「ちょっと!? マトイちゃん!? マトイちゃんいるじゃん!!!!!」
「へ?」
キョトンとするマトイ。
それにより行動が遅れてしまい、ペルソナのだいしゅきホールドを受けてしまう。
「お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"!!! マ゛ト゛イ゛ぢゃん゛!!! マ゛ト゛イ゛ぢゃん゛!!! マ゛ト゛イ゛ぢゃん゛!!!」
とんでもない声を上げながらマトイに絡みつくペルソナ。
【
ペルソナは遠慮なく、彼女の香りを吸引し始める。
「ん゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!! ん゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
マトイの胸元に顔を埋め、力強く香りを肺に押し込むペルソナは正しく変態のソレである。
「ん゛ーーーーーーー……………………ん゛゛゛〜〜〜〜〜~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」
「わ、わ、わ、ちょっ、ちょっと……えっと、えっと……」
慌てふためくマトイ、こちらのペルソナが想像以上の変態振りに呆気に取られるアッシュ。
マザークラスタ極東支部の幹部の暴かれる性癖に若干引くコオリと、お前が言うなと言わんばかりの目で見つめるヒツギ。
「アークスと同じで変な奴が強いのか?」と小声で私に聞くエンガ。
なんの事か分かっていないピュアなアル。
興味津々で見つめるシエラ。
一時艦橋が騒然とした。
「お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"……お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"!!! フォトン……フォトンの匂い……スンスンスンスン……おぉぉぉぉ!! マトイちゃん……フォトン……フォホォトン……おぉぉぉぉ……!!! マトイちゃんフォトンの香り……スンスンスンスーーーーン……んぁぁぁぁいい香りぃぃぃぃ!!! マトイちゃんのお〇ぱい……フォトンの香りが……オオオオオォォォォォォォ、オオオオオォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!!」
流石に出しちゃいけない声を出し始めたので、私はペルソナを止めにかかる。
「おーーいペルソナーーー! マトイさんがドン引きしてるから離れろー!!」
「ん゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!(もうちょいマトイちゃんの香りを肺の中に込めさせてお願い!!!)」
私はペルソナに話しかけるが、彼女はマトイの虜になっており完全に我を失っていた。
その後、私達はだいしゅきホールドでマトイを拘束するペルソナを引き剥がすことに成功した。
「ふぅーーーーーー!!! ぁぁぁぁぁぁこぉれで数年分のオカズが出来た!!!」
よしっ!気合いをいれるポーズで、ろくでもないことを言い放つペルソナ。
アークス組は何を言っているのか理解出来ない様子だったが、地球組は彼女の言っている事が理解出来てしまいヒツギ、コオリ、エンガは顔を赤くした。
「あーーー、コイツはいつもこんな感じだから気にすんな。マザークラスタ極東支部内でもスッポンポンで歩き回るぐらい公序良俗の欠けらも無い奴だから」
「イェイ!!」
ペルソナは全員が顔を赤くするぐらい可愛い笑顔とピースをする。
「マザークラスタ極東支部の連中って皆──」
「ペルソナだけやからな? 支部内で全裸で歩き回る痴女なんてコイツ1人や」
エンガの呆れた言葉を遮って私はマザークラスタ極東支部の女性陣の名誉を守り切った。
そんな時、私はふと思い出す。
「そういえばペルソナ、極東支部はどうなった!? あと、なんか緊急事態なんじゃないのか!?」
少し鬼気迫る表情でペルソナに問いただすと、彼女は話を始める。
融合体幻創種はどうにか殲滅できたようだ。
しかし、それによってエルミルとハリエットが戦車級とアラガミの融合体によって身体の80パーセントを食われて瀕死の重傷で春都満之妖海少女でエーテルの再構築を行っているそうだ。
再生まで1日はかかるらしい。
他は軽傷か中傷で済んでいるとのこと。
現在は、傷の浅いエルダー、ルーサー、アプレンティス、ダブル、大原、藤野がエーテルを使って崩壊した極東支部を具現化している最中のようだ。
「エルミルがもう凄かったよ。戦車級アラガミに喰われながら、山城さんの仇じゃああああああ!って叫びながらバカスカ戦車級を食らってたよ」
「そ、そうか。んー……まぁ生きてるならええわ。言うて深遠なる闇なんざ身体さえ残ってりゃエーテルで再構築できるからな」
「そだね」
「そいで、緊急事態って言うのは?」
その言葉にペルソナは深刻な表情になる。
先程までの元気な女の子を体現したような表情から一変した顔つきに、この場にいる全員が固唾を飲んでペルソナの方をじっと見つめた。
「やばい事になった。私と龍照のクリスタルが誰かに盗まれた」
「……は?」
ペルソナの言葉に私も唖然とした表情になる。
私以外の人々は互いの顔を見合って首を傾げた。
「……クリスタルってあの具現化する奴やんな?」
「うん。マザーを討伐する時にクリスタルを持っていこうと思ったんだけど、その時に無くなっていることに気づいた」
「……マジか……でもさ、あのクリスタルって私とペルソナ以外使えない制約なかったか?」
「あるけど、じゃあ何で盗んだの?ってなる」
「……」
ペルソナの言葉に私は静まった。
言われてみればそうだ。
そもそも、あれを知っている存在は非常に少ない。
ていうか、知っている存在はエスカファルス勢と大原と藤野、マザー以外知らないはず。
彼ら彼女らからしても盗む理由がない。
だって、あれを使用することができるのは私とペルソナだけだ。
もちろん、その制約も彼らは知っている。
「……あれか? 普通に綺麗なクリスタルだからって盗人にやられたとか?」
「しかないんだけど……なんか凄い嫌な予感がする……」
「……そうだな」
私とペルソナが次に出てくる言葉が見つからず静まり返っていると、「あの……」とシエラさんが恐る恐る話しかけた。
「そのクリスタルってなんですか?」
率直な質問だった。
それにペルソナが説明を始める。
願いの力によって、その人の想像や妄想を具現化させる媒体である。
エーテル適性のある者が使用すれば、人智を超えた存在すらも具現化する事が可能なやばい代物であること。
そして、それを用いて数年前に起きたフォトナー事件を解決した事を説明した。
「フォトナー……だと……!?」
「ああ。1人のフォトナーが地球にやって来てな。ドンパチやった」
それの事を話すとエンガは「おい、それってまさか……!」と目を大きく見開いて驚愕していた。
あまりの驚愕具合に次に出る言葉が出てこない様子だ。
「あの都市伝説やぞ。あれガチで起きた出来事やからな。あのクリスタルで時間遡行を発動して、地球やそこに住む全ての存在をらフォトナーがやってくる前まで戻したんや。で、今があるって感じやな」
「兄さんが言ってた都市伝説って……」
「本当に起きた事だったんだ……」
私の話を聞いた人々は目を丸くして驚いていた。
そらそうか、都市伝説と言われていた内容が実際に起きていたなんて、私だったら鳥肌立たせて半信半疑になるわ。
「そのクリスタルが何者かに盗まれた」
私の言葉にエンガ達は「それ大変だ」と納得した。
だが、盗まれたソレがどこにあるのか分からない都合上、今それを探すのは得策では無い。
もう時期、アーデムがやらかすタイミングだ。
優先順位的には悔しいがアーデムの方が危ない。
「ただ、正史ではアーデムのアホがもうそろそろやらかすタイミングや。場所が分からないクリスタルを探すよりもまずは、あのバカを止めることが優先になる」
"そこで"と前置きしてから私は話を続けた。
「アークスとアースガイドに言いたい。お前ら、我々"マザークラスタ極東支部"と手を組まないか?」
その誘いに一同が少し訝しむ表情を見せた。
まぁそらそうやな。
「無論、アーデムとの戦いの時だけでええよ。アイツ、割かし厄介な事をしてくるで。前も言うたけど、恐らくはアーデムが生み出す幻創造神デウス・エスカは、3年前にアークス達が戦った二代目深遠なる闇よりも更に強力な力を持つ初代深遠なる闇と同格のスペックを誇っている。アークスとアースガイドじゃあ心もとないと思うがな」
私は少し大袈裟に言いながら両陣営を説得する。
「どうする? もし、手を組むというのならこちらとしてはそれなりの謝礼は支払うつもりや」
その言葉にエンガは警戒した表情で「内容によるな。こちらとしても俺一人では頷けん」と言った。
「ダークファルス・エルダー、ルーサー、アプレンティス、ダブルに比肩するスペックを持ったマザードールズ、ダークファルス・エイジスのデータを譲渡すると言ったらどうする? 作成の手伝いも惜しまんぞ?」
私の言葉に全員が驚愕する。
そもそも、マザークラスタ極東支部にそんな化け物があったこと自体、知らされていないのだろう。
かなり驚いていた。
「……すまん。支部長に掛け合ってみる。アーデムの事だが、まだ時間はあるな?」
「ああ、あと数日は問題ないと思う」
「分かった。少し極東支部に行ってくる」
そう言って、エンガはポータルを使ってアースガイド極東支部へと転移した。
彼が去ってから、私は再度アークスに確認をする。
「どうしますか? 我々極東支部からしたらアークスと手を組むのは歓迎です。デウス・エスカと戦うなら数は多い方がいい。勿論、ダークファルス・エイジス以外にも、小型大型のマザードールズのデータも差し上げますよ」
龍照の提案にシエラは悩んでいた。
彼女個人としては、非常に有難い提案だと思っている。
しかし、彼らはダークファルスの幻創種である。
例えそれが幻創種であったとしてもダークファルスに酷似した存在と手を組むのは、アークス内でも賛否両論になることは目に見えている。
ならんなら、賛よりも否のほうが多いとすら考えられる。
しかも、彼らはマザークラスタが襲撃した際にかなりの……いや、痛手は負わされていないにしても……不満に思うものは絶対に多い。
エルダー達、ダークファルスに比肩するスペックを持つ存在をくれると言われても、喜んで首を縦に振るのは戸惑ってしまう。
だが、シエラのその考えを晴らす存在が現れる。
「君のその提案、承諾するよ」
1人の青年が姿を現した。
私は彼を見て少し懐かしい気分にやり、その名を呼んだ。
「おーー、お久しぶりです。いえ、初めましての方が正しいですね。シャオさん」
そして、ペルソナは満面な笑みを浮かべ、シャオに挨拶を交わす。
だが、その挨拶は私すらも「は?」と言わせる内容だった。
「あ、シャオじゃん! 暫くぶり〜! あのオラクル襲撃以来だね〜!」
続く
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
-
いいよ。
-
ダメ。