あれから2日が経過。
BETAとアラガミの融合体幻創種によって崩壊したマザークラスタ極東支部は、幹部達の努力によって再建された。
以前のMC極東支部は現代の建築技術によって造られた、実体のある……と言っては語弊があるが、所謂エーテルを用いずに造られた建物であった。
だが、今回は緊急を要する為、先程言ったように幹部勢の莫大なエーテルによって具現化された不落の支部へと変貌を遂げた。
ついでに言うと2回りほど巨大になっており、駅の方もそれ同様に大きくなった。
そこの隣にアークスシップ︰ハガルが停泊している。
流石にアークスシップの方が巨大ではあるが、それでもマザークラスタ極東支部もそれに負けないぐらいの大きさを誇っている。
─皆様、まもなく3番乗り場に幻創電車が参ります。危険ですので、黄色の点字タイルまでお下がりください。─
極東支部の再建によって、造り直されたマザークラスタ極東支部本島駅に"特急ひろしげ"が水飛沫を上げて到着した。
それが本島駅に到着し、転落防止バリアが解除されると、扉が開き、私は"特急ひろしげ"へと乗り込んだ。
少しだけ時間が経った後、アナウンスと共に特急ひろしげが南海なんば駅まで出発する。
2024年に(こちらの世界では)完全に無くなった国鉄型特急列車381系が数年の時を得て、南海電車、それも山岳の登るズームカーとなって具現化された。
子供の頃から大好きな形の鉄道で、1度でもいいなら乗ってみたいと思っていた。
しかし2024年には全車が廃車された為にその夢が叶うことが無かった。
だが、私は考えた。
ないなら深遠なる闇の力で作って走らせれば良くね?
そんで、それを乗れば良くね?
それが、世界から消えた国鉄型特急列車の誕生の理由である。
ブツブツ何かを言ってくるお偉いさん共には、ソイツらのスキャンダルで無理矢理黙らせた。
「夢が叶ってよかったよ」
ボソリと呟いてから、私は目的の場所、春都満之妖海少女へと向かった。
「ふぅぅぅ……」
私はシートに深く座って二日前からの事を思い起こす。
マザークラスタ極東支部との同盟の提案。
それに対して青年はそのような言葉を発して姿を現した。
「君のその提案、承諾するよ」
私は彼を見て少し懐かしい気分にやり、その名を呼んだ。
「おーー、お久しぶりです。いえ、初めましての方が正しいですね。シャオさん」
そして、ペルソナは満面な笑みを浮かべ、シャオに挨拶を交わす。
だが、その挨拶は私すらも「は?」と言わせる内容だった。
「あ、シャオじゃん! 暫くぶり〜! あのオラクル襲撃以来だね〜!」
「……おいちょいと待てペルソナ。その言葉はどういう意味や?」
私がそう訊ねると、ペルソナが説明してくれた。
あの時、マザーがアルを吸収する為にオラクル船団にカチコミに行った時だ。
ハリエット、ペルソナ、エルミルの初代、二代、三代の深遠なる闇組がマザーシップに乗り込んだ際に、六芒均衡達と邂逅し、一触即発状態になった。
その時にシャオが両者の間に現れた。
そして、私達と話し合いと取引があったらしい。
簡潔に説明すると、ここに来た理由や経緯の説明、今破壊しているAISやアークスシップは、他のエスカファルスが生み出した幻創種で本物のそれらは破壊していない事の説明。
そして、これから起きる歴史を伝え、もしそれが合っていたらマザークラスタ極東支部と協力関係を結んで欲しいと土下座で頼み込んだようだ。
協力関係を結んだ暁には、ダークファルス・エイジスのデータを渡す約束も結んだらしい。
そして、彼女の言った歴史が見事に的中。
シャオは信頼しても良いと判断し、あの場に現れたようだ。
いや、よく信頼してくれたよホントに……。
その後、アースガイド極東支部との協力関係を得ることができ、アーデムの暴走を止めるため、
マザークラスタ極東支部
アースガイド極東支部
アークス
この三組同盟が結成された。
しかし、疑問に残る事が1つ。
何故シャオは、ペルソナのふざけた提案に賛同したのか。
仮にもオラクル船団を一瞬ばかし混乱に陥らせた組織の協力関係に、これから起きる歴史が合致してるからって、易々と結ぶものなのか?
「(……何か、シャオ側にも理由があるのか……?)」
次あった時に聞いてみるか。
私は少しモヤモヤさせながら春都満之妖海少女に到着するのを待っていた。
─アースガイド地下最深部─
そこに、アースガイドの指導者であるアーデムが
いた。
彼は神降ろしの儀式を行うため、その場にエーテルの印を結び、人ならざる言語を発していた。
「─────────────」
彼の周囲には、これからアーデムの眷属になる予定の存在、天使型幻創種が舞っている。
アーデムの思考を重ねた実験、彼に仕えた近衛の300人を犠牲にして、ようやくエーテルが安定し、天使の姿を保てるようになったのだ。
「─────────────」
神降ろしの儀の下準備をしているその異様な光景を遠くから見つめるアーデムの部下がいた。
「ふっ……そう、そうです。しっかりと神降ろしをしてくださいよ。私の望む、地球の人が清らかなる聖徒に焼き変わり、争い無き世界にするために」
ほくそ笑む白衣に身を包んだその男は、とある場所から盗んできた青く輝く謎のクリスタルを2つ隔離術式を使って隠し持っていた。
「それでなければ、私が貴方に仕えた意味がないのですから……!」
─ディメンション・フォルト─
この世界とは違う異次元の世界。
そこに3体の異形なる存在と、1人の男性がいた。
「こちらが手に入れたエーテルですわ」
魔女らしき異形な存在は、龍の姿をした存在にエーテルの塊を渡す。
それを受け取った龍は、そのエーテルを隈なく確認してから、魔女に感謝の言葉を伝える。
「ありがとう。ダークファルス・ソウラス。君のおかげで助かった」
「お褒めに預かり光栄ですわ」
ダークファルス・ソウラスと呼ばれた魔女は少し嬉しそうな口ぶりでお辞儀をした。
「では、ダークファルス・アガレス。このエーテルを使って、この華の複製をお願いできるか?」
龍は、人の姿をした存在、ダークファルス・アガレスにエーテルを渡す。
「分かった。直ぐに取り掛かろう。性能は……同じで良いか?」
「あぁ頼む」
龍がそう言うと、アガレスと呼ばれるダークファルスは生み出したキューブゲートの中へと入っていった。
「……ダークファルス・ダリオン……君はこの地球全土に華を咲かせる土壌を……人間……特にマザークラスタ極東支部とアークスの連中に気づかれないように、書き換えて欲しい」
龍は人形術師を彷彿とさせるダークファルス。
ダリオンにそう伝えた。
「畏まりました。ヴァエル。貴方の思うがままに……!! ンクッフッフッ……!!」
そう不敵な笑みを浮かべたダリオンもまた、アガレス同様にキューブゲートの中へと消えていった。
それと行き違いになるように、また別の人の姿をした存在が現れた。
「ヴァエル。こちらの準備はもう時期終わる。フォトンとエーテルをなるべくかき集めた。それで空腹になってもある程度なら行動できる」
「感謝する……ダークファルス・ハルファ。他にも戦力は万全か?」
「あぁ、ヘルジークやハルヴァルディ等の増産は好調。問題なくいけてるよ」
「ありがとう。このまま続けてくれ……」
「了解!」
そう言ってメモをみながら何かを確認しているハルファと名乗るダークファルスはキューブゲートの中へと消えていった。
ソウラスは口を開く。
「準備は好調ですわね」
「あぁ。このまま行ってくれる事を願うばかりだ……。あとは……」
そう言って、龍は外の世界。
地球を見る。
「どうやって、お前を排除するかだ……!! 小野寺龍照……いや、エスカファルス共……!!!」
─春都満之妖海少女─
たどり着いた私は、急いでとある2つ場所まで走った。
1つ目の場所は、路地裏の地下にある家だ。
私は即座に鍵を開けて中に入る。
そして、色々な仕掛けを解いて、その家の更に奥の隠し部屋に向かう。
「もうそろそろ神が顕現する!! 猶予はあと少し!」
「どうやら、ようやく僕の出番のようだね」
少し切羽詰まっている私に対して、彼は余裕そうな表情だ。
「お前が出せるエーテルを使い、天威轟皇・幻創戦艦大和で迎え撃ってくれ!! 亜贄萩斗支部長!!!」
私の言葉に彼は読んでいる本を閉じ、椅子から立ち上がり一言。
「もちろんさ」
続く
─深遠の眷属"こうや"は覚醒し、明日望む者に明日を与え、明日を壊すモノに死を与える。─
─偉大なる"こうや"は人と、夢と希望と未来を明日へと運ぶ。─
─あぁ偉大なる"こうや"よ。明日へと運ぶ鋼鉄の龍よ。私達を平和な明日へと連れて行ってください。─
─あぁ偉大なる"こうや"よ。俗世から極楽へと運ぶ龍よ。夢と希望を明日へと紡いでください。─
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
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いいよ。
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ダメ。