眩い光が晴れたあと、彼らのいた場所が全く別のものへと変化した。
それは巨大な樹の幹の上、それも世界樹クラスの巨大さのモノだ。
空は曇っているものの、天から差す光によって、白ではなく黄色に煌めいている。
心地の良い風、心地の良い空気、現実味が一切としてない。
そう、まるでこの世のものとは思えない楽園にいるようだ。
「……神の庭か」
行ったことがないルーサーだが、頭の中では記憶があった。
楽園、神が住まう庭。
彼がそう呟いた。
すると、どこからともなく声が聞こえてくる。
威厳に満ち溢れた、神々しい声だ。
─ああ、その通り。ここは私の庭、人間の身には過ぎたる場よ。─
「だ、誰!?」
「……アーデムか?」
ヒツギとエンガが反応する。
─不遜な言葉であるな。人間、いや八坂ヒツギ、八坂エンガ。呼んでおきながら、なお私の事を問うか─
後輪か顕現する。
その輪は、pso2のロゴマークに酷似していた。
惑星の囲うように出来たロゴマーク。
「まさか、お前が……!?」
エンガが後輪に向けて言う。
それに応えるように、それは姿を見せた。
「えぇ、私は、対なる存在と共に多元なる宇宙を創造した存在であり、この次元における大いなる光。君たちに分かりやすく名乗るとすれば……」
神は後輪の更に後ろに、見た事のある輪を顕現した。
それは青い徒花とも捉えることができる後輪。
そして、神は我々にも分かるように自身の認識している名を語る。
「私の名は、幻創造神デウス・エスカファルス・メアリースー。そのように名乗れば、君らも理解できよう?」
「なっ!?」
その名に流石のルーサーも今までに無いぐらいの驚愕した表情を浮かべる。
聞き覚えのある名前。
だが、ルーサーだけではない。
アッシュも聞いた事のある名を前に、ルーサーの方をチラリと見た。
「しかし、宇宙の創造神のご登場とは、いきなりぶっ飛んで来やがったな」
それに気づかないエンガは私たちの方を見ながら呟く。
「あぁ、個人的にはいきなり叩き起されて絶妙に不機嫌な状況だが、こうして顕現したのであれば、この役目を果たさなければならない。この地を生贄に新たなる宇宙を召喚する」
「それって、地球を壊す気!?」
「あぁ、今の人類にとっては、そのように捉えてもらって構わない」
ヒツギの言葉に私たちはそのように返答をした。
その後と私たちは言葉を続ける。
「そして、再構成された宇宙はまた新たなる人類によって引き継がれる。今の人類がそう望むのなら、私はそれを成すのみ」
「そんなことさせない!!!」
ヒツギは私たちを止めるために具現武装を抜いた。
いや、エンガやコオリも具現武装を構える。
私たちが見た光景だ。
ならば、私たちはこのような言葉を綴ろうか。
「ふっ、刃を向けるか。
私たちは右腕を天に掲げ、指をパチンと鳴らした。
その刹那、彼らの具現武装が解除され、青い光となって霧散した。
「ど、どうして……!?」
「それは私の一部を用いて具現化した物、私に通じるはずもなく、私の意思によって霧散する。それは当たり前のことだろう?」
私たちは神の力を用いて武器を構築。
木々を絡めた巨大な大剣を象ってそれをヒツギたちに向けて振るった。
「させるか!!」
「ただ見ているつもりはない!」
ルーサーも指をパチンと鳴らして時間を停止。
完全に動かなくなった私たちに、アッシュはコートダブリスを用いて巨大な大剣を打ち砕いた。
時間停止が解けて、自身の大剣が突如として砕けたにも関わらず、私たちは「……ほう」と納得してから言葉を続ける。
「アッシュとルーサーか。別の次元の来訪者と、深遠なる闇の加護を受けた存在か。ならば、エーテルが霧散しないのも道理」
私たちは2人の方を見てから「アッシュ、エスカファルス・ルーサー。この退廃した星の為に尽力した事、感謝する。誠にありがとうございます」と、お辞儀をしてから感謝の言葉を述べる。
「後は、創造神たる私が引き継ごう。アッシュ、ゆるゆるとお帰り願いたい」
私たちは再び指をパチンと鳴らしてアッシュをアークスシップハガルに転移させた。
「あの船も、この世界の物にあらず、創造の際に巻き込むのも申し訳がない。共々お帰り願うとしよう」
アークスシップハガルも、オラクル船団の次元へと転移させた。
無論、こちらに戻ってくるような事はさせない。
この場を神の力を以して結界を生成。
彼らが戻ってこないようにした。
「ルーサー、君にも少し楽になって頂く」
「っ!?」
私たちは少しばかりエスカダーカー因子を操作して、ルーサーの力を減衰させた。
彼はガクリと膝から崩れ落ちて意識を失った。
「ふ、2人に何をしたの!?」
ヒツギの問いかけに私たちは応える。
「来訪者は、あるべき場所に帰ってもらい、ルーサーには力の全てを削がせてもらった。彼らの尽力に感謝は耐えぬが、それはこちらの問題、あとは宇宙を創り直すのみ……!!」
力を無力化され、アッシュもオラクルの次元へと返され、化け物支部と呼ばれた極東支部の幹部も一撃で気絶した。
創造神という強大な敵を前にヒツギたちの戦意は喪失する。
「これで終わりなの? ……ここまで頑張ったのに、これが私の結末なの?」
以前のヒツギなら、ここで全てが終わっていたことだろう。
だが、今の彼女は違う。
EP4の経験を得た彼女は、言葉を続ける。
「……そんなの、嫌だ……! 私はまだ何も成し遂げてない!!!」
その彼女の言葉に返答する存在が現れた。
─そうだ。八坂火継。まだ君には成すべき事がある。─
聞いた事のある、聖母のような優しい女性の声だ。
その瞬間、創造神の全身にノイズが掛かり始める。
「っ!?」
「この雑音は……まさか……!」
創造神には心当たりがあるのだろう。
全身に走るノイズに足掻きながら一言呟いた。
「マザー。貴女か……!」
創造神の言葉にも目もくれずに1つの輝く光となっているマザーは話を続ける。
─地球の子よ。我が子らよ。聞こえているか? 私の声が─
「その声、マザー!?」
─まだ、この星に名前が無く、月というものが存在しなかった遠い遠い昔の事だ。私の大半は月となったが、私の一部は地球と共になった。─
マザーは創造神に対して話をする。
少し強い声色で。
─そして、貴様の具現に使われているエーテル。それもまた、私より生じたもの。私は、貴様の一部だ。地球意志。いや、最古より大いなる光となった、小野寺龍照と呼ぶ方がいいか? 貴様がどれだけ願っても私は消せんよ。それは貴様が1番理解していることだろう?─
「えぇ、完全に忘れていましたよ。そういえば、このような物語でしたね。そら、数無量大数年以上もあらゆる次元や時を歩めば、忘れることもありますとも!」
マザーの言葉に、創造神の口調が少し変化する。
人間らしさが倍増したと言うべきだろうな。
「そして、この身の主導権は私にある。申し訳ないがマザーには少し黙っていてもらいたい。まずは目の前に居る存在を片付ける!!!」
小野寺龍照と呼ばれた幻創造神デウス・エスカファルス・メアリースーは、マザーのノイズを払い除け、周囲にダークファルス・ルーサーが生み出す剣に酷似した物を展開する。
「深遠と創造の先に全知より至る道あり」
─マザークラスタ極東支部─
幻創造神が顕現したのは見聞色の覇気を通じて理解できた。
ただ、そのエーテル反応が非常に私と告示している事に混乱をしていた。
正確に言えば、私や他のエスカファルスたちを混ぜ合わせたような反応だ。
「何が起きている? あと、その場所に転移も不可能。ホンマに何があった?」
極東支部の支部長室で、私は各所で待機していたエスカファルスにも連絡を送り、出撃準備を急がせていると……。
─小野寺龍照、聞こえるか? 私の声が─
「その声は……マザーか!?」
─ファミチキ下さいと、少しのボケを挟みたいところだが、今は時間が無い。いま、アルにもこうして語りかけている。小野寺龍照。今一度、地球を救うために力を貸してはくれないか?─
「無論です。マザークラスタ極東支部は、地球に住む人々を明日へと届ける組織。それを断る理由はないです。遠慮なく、私の……深遠なる闇の力を使ってください!!!」
─ありがとう。オラクルにいるエスカファルス【
「でしょうね。では、さっそく繋げましょうか」
私は深遠なる闇の力を解放する。
黒いリオレウスの姿となった私は少しだけ笑みを零し、「まさか、存在と非在がこんな所で繋がるとは思ってもみなかった」と言ってから「座標の特定をお願いします。宇宙を滅ぼさんとする力を以して、次元を開けます!!」と。
私は宇宙を破壊するレベルの力を振るい、この次元とオラクルの次元の繋がりを創造した。
─世界樹の最上部─
「私の名は……デウス・エスカファルス・メアリースー。アカシックレコードそのものだ」
巨大な剣が3人(4人)に振り注ごうとした。
しかし……。
「焔迎え!!!」
「ノヴァ!!!」
2人の声が聞こえた。
次の瞬間。
「
「ストライク!!!」
斬撃と竜巻と、降り注ぐ炎の雨によって創造神の剣を全て破壊した。
その2人の姿を見た創造神も流石に狼狽える。
「嘘やろ!? アッシュに、小野寺!! なんでここに!? どうやってここに来れた!!? 不可侵の結界は貼っていただろう!!」
神とは思えぬ、まさに人間そのものの口調。
それに対して、私とアッシュは無言で創造神を睨みつけた。
「「アッシュ!!」」
「それに小野寺も!」
コオリとヒツギ、そしてエンガは2人の登場に歓喜する。
因みに女性二人からは私の名前は呼ばれていない。
「ヒツギ、これを」
アッシュは創造神の方を見ながら、彼女に具現武装の刀を渡した。
「これ、霧散したはずなのに、どうやって!?」
彼女は自身の具現武装が顕現している事に驚きの声を上げていた。
「エーテルの扱いならば、奴より私に長がある。それだけの話だ」
エスカファルス【
しかし、口調や声色が違う。
それはヒツギも直ぐに気づいた。
「その喋りは、マザー!?」
「アルの承諾を得て、一時的に体を借りた。それよりも八坂炎雅、鷲宮氷莉。2人とも私の手を取れ……!」
手を取ろうとするマザーに、2人はこくりと頷いてからアルことマザーの手を繋いだ。
彼女は2人にエーテルを送り込み、2人の持つ具現武装を顕現させた。
それに驚く2人。
だが、直ぐに武器を構えて創造神の方を見る。
無論、ヒツギも刀を抜いて奴を視界に入れた。
「ルーサー。起きろ」
私も創造神によってやられたルーサーに私のエスカダーカー因子を最大限まで送り込み、意識を取り戻させた。
「……すまない、完全に未知の事象だった」
「あれを予測できるなら、とうにみんな、全知を掴んでいるよ」
謝るルーサーに私はフォローを入れつつ、彼を起き上がらせてから彼らと同じく創造神の方を見た。
この幻創造神は恐らく、私たちエスカファルスが行き着いた先の存在なのだろう。
やつの中にあるそれが物語っている。
「奴は神と言えど、下地にあるのはアーデムが生み出した具現化現象。いかに神格、人格が本物であろうとも所詮はその程度の存在。なればこそ、人類の力で打ち倒してみせよ。その力、その思いを込めて。その為の場は、私と
「実質、経歴が全く異なる三体の深遠なる闇のバフフィールドや。お前ら頑張れよ!!」
「お姉ちゃん、みんな、頑張って!!!」
そうして我々はエーテルを解放。
ヒツギ、コオリ、エンガの3人のエーテルの主導権をこちらに移し、磐石なる体制にする。
アッシュとルーサーには深遠なる闇の力を以して通常の3那由多倍の強大なシフタとデバンド、永続レスタアンティを付与させた。
そして、幻創造神のエーテルを大幅に減衰させて、1エネミーとして確立させた。
「ぐぅ……地球の宇宙の具現である私に歯向かおうつもりか、人類!! 新たなる創造を次なる進化を求めず、貴様たちはただ退廃していくだけを望むと、そんな愚かな結論を出すつもりか!? 戦争しかやらねぇ、そんな脳しかねぇクソみたいな、こんな西成の肥溜めを啜るハエみたいな世界を望むというのか!!!!!!」
「そう、だからこそ……アーデム卿、貴方に神の顕現をして頂きたかった」
創造神に対して返事をしたのは、コオリでもエンガでもヒツギでもない。
「お前は……!?」
創造神……いやアーデムが、現れた男性の名を言った。
「オフィエル!? 何故ここに」
「ンッフッフッフッフッ、私がここにいては不思議ですか? 私がこの場には不相応だと申しますか? アーデム卿。まさか、私が貴方にただ付き従っているとお思いですか?」
不敵な笑みを浮かべなから、彼はあるものを取り出した。
それを見た私は驚愕する。
「それは、ペルソナが生み出した具現のクリスタル!?」
「そう、あの動乱の最中に頂きましたとも。私の計画には必要不可欠の為……ングッフッフッフッフッ!!」
気持ちの悪い笑みを浮かべたオフィエルは、幻創造神に向けて手を払い除けるような仕草をする。
その瞬間、幻創造神に隔離術式が展開される。
「ありがとうございますアーデム卿、わざわざ神を降ろして頂いて。後は私に任せて、ゆるゆるとお眠り頂きたい」
「オフィエル……!!! 君は……!!!」
「私はオフィエル・ハーバート。この世界の神になる存在ですよ」
続く
歴史が変わる。
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
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いいよ。
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ダメ。