「オフィエル……!!! 君は……!!?」
「私はオフィエル・ハーバート。この世界の神になる存在ですよ」
オフィエルはそう言って、隔離術式を使って依代となっているアーデムを強制的に引きずり出した。
「ヴッグアアアァァァァァッ!?」
史実には存在しない人々の成れの果てから引きずり出された原初の人は、即座にオフィエルが創造したメスによってズタズタに引き裂かれる。
「グッハァッ!?」
「この世界の貴方の役目は終わりました。おやすみなさい。アーデム卿……!!」
血を吐き、地面に倒れ伏してもなお、オフィエルはアーデムの全身にメスで滅多刺しにする。
かつてべトールに行った時よりもそれは酷いものだ。
返り血が世界樹に散らばる。
その光景をエンガたちが冷や汗を流して目を背けた。
やがて、アーデムの断末魔を聞こえなくなり、彼は死亡した。
─アーデム・セークリッド死亡─
「ぐっ……オフィエルか……!」
依代となったアーデムを無理矢理引き離された事で具現化が保てなくなっているのか、幻創造神も苦悶の声を出して膝が着いた。
「神ともなれば、このような状況に置いても慌てるような素振りは見せませんか? 深遠なる闇の成れの果てよ」
殺したアーデムの遺体を魚の餌にするため、隔離術式を使って世界樹の外へと放り出した。
「オフィエル、なんでアーデムさんを!?」
ヒツギの言葉にもガン無視を決めるオフィエル。
いや、その言葉に彼は隔離術式を使って、全員の動きを封じ込めた。
「くっ……!」
アッシュは持っていたコートダブリスで破壊しようとするが、隔離術式が壊れることはなかった。
彼だけじゃない、私やマザーの攻撃ですら、オフィエルの生み出した結界を破壊することが出来なかった。
そして、オフィエルは2つのクリスタルを持って、依代を失い、崩壊を辿る幻創造神に掲げていた。
その不敵な笑みはこれから自身に起こる奇跡に打ち震えているようにも見えた。
私からすれば、疑問が残る。
そのクリスタルは悪用を防ぐため、私とペルソナ以外では使えないはずだ。
「んッひっひっ、貴方は今こう思っているでしょう? 貴方とペルソナ以外が使用できないクリスタルを持ってどうするのか? と」
オフィエルはニヤニヤと笑みを浮かべたまま、私の心を読んだ。
私は一瞬驚いたが、素直に「あぁ」とだけ答えた。
「残念ですが、私の力でこのクリスタルのエーテルを解析し、構造を作り替えました。その為、今は私以外、これを使用する事ができませんよ」
「……冗談だろ?」
「そう思うのでしたら、証明として早速使用してみましょうか」
オフィエルの持つクリスタルが深緑色に光りを放ち始めた。
幻創造神の身体が崩壊し、エーテルの光となってオフィエルの身体に包み込んでいく。
「さぁ、深遠なる闇の成れの果てよ……!! 私を依代とに再顕現するのです!!」
頑丈な隔離術式によって閉じ込められた私たちには為す術がなく、ただただ幻創造神がオフィエルに吸収?されていくのを見ているしか無かった。
「ハ、滑稽だな。オフィエル……」
オフィエルの身体に無理矢理憑依されていく中、幻創造神は一言。
オフィエルにも聞こえない小さな声でそう呟いた。
光となった幻創造神が完全にオフィエルに包まれた時、彼の中に途方もない力や、森羅万象の情報が流れ込む。
全知全能の力を得たオフィエルは白い歯を見せた凶悪の笑みを浮かべた。
「フククククク……始めましょう……かの創造の失敗は、我が創造にて取り戻す!!!」
圧倒的な力を得たオフィエル。
いや、力だけではない。
深遠なる闇の成れの果てたちが得た知識すらもオフィエルは識った。
神の気が彼の身体から溢れ出す。
「フハハ……フハハハハハハ!!! ヒハハハハハハ!!!」
その気は次第にオフィエルの身体を飲み込み、8本の黄色い甲殻を持った東洋龍が螺旋を描きながら、天へと登った。
その螺旋の中心に巨大な神が姿を現した。
「おいおい、冗談だろ?」
「あれが……オフィエルさん?」
エンガとコオリは驚愕の表情を露わにし、完全体であるデウス・エスカ・ゼピュロスと思われる存在を見上げていた。
「この万物の力を以てして、全人類を我が信徒へと作り替え、悠久の平穏をもたらす!!!」
オフィエルは巨大な手のひらから青い光の弾を生成した。
そのセリフに若干の聞き覚えのあるマザーは、オフィエルに問う。
「オフィエル、その弾はまさか……!!?」
「どうやら、マザーにはお分かりのようですね……!! そういえば、貴女は熱心にプレイをなさっていましたね。FF14を……!!」
その名を言ったオフィエル。
神降ろしによって顕現した神。
そして、そこから生成された青いエネルギー弾。
FF14を遊んだ私も、その意味を理解した。
「お前、まさか全人類をテンパードにするつもりか!?」
「そのように捉えて頂いて構いませんよ。デウス・エスカの持つ莫大なエーテルを用いて、人類の身体に私のエーテルを打ち込み、私の支配下に置く。そうすることで人類は私の命令に逆らえず、恒久的な平和を得ることができる!!!」
オフィエルは高々にそう宣言する。
争いが無くなるというは、とても素晴らしいことだ。
マザークラスタ極東支部が求めているものでもある。
しかし、彼の言うことには落とし穴があるのだ。
簡潔に例えると、人間にダーカー因子を打ち込むようなものだ。
人間がダーカーになるか、天使型幻創種になるかの違いである。
ていうか、やろうとしていることはアーデムの二番煎じだ。
「お前のやろうとしていることはアーデムとさして変わらんやんけ」
私の言葉を聞いたオフィエルは鼻で笑った。
「小野寺龍照。貴方はアーデム卿の真の目的を分かっていない。卿は人類を平和へと導く等と宣っていたが、卿の本当の目的は楽園へと戻ること。人類の争いを無くしたいなんて、卿は毛ほども思っていない」
オフィエルの発言に、エンガやヒツギ、コオリは複雑な表情を露わにする。
「だから、私が本当の平和を導くのです!! マザークラスタ極東支部に所属している
奴の問いかけに私は頷かずに「確かに、恒久的平和はマザークラスタ極東支部が求めているものだ。だが……」と言葉を出す。
そして、深遠なる闇、完全体へと姿を変えて口を開く。
「人々の姿を無理矢理変えてまで、得ようとは思わない……!!!」
しかし、私を捕らえている隔離術式が壊れることはない。
予想以上に堅牢な結界で、少し焦った。
そして、私のこの行動と言葉にオフィエルは「残念です」と冷たく一言。
すると、オフィエルの周囲に天使形幻創種が具現化される。
ただ、オフィエルが具現化した天使型幻創種だが……何かがおかしい。
我々pso2プレイヤーが知る甲冑を被っている天使型とは少し違い、それらは石膏のような白い肌を持ち、神々しくも不気味な姿で、天使のようで天使ではないという印象を受ける。
「まずは、あなた方全員を信徒へと変えましょう。さぁ、行きなさい。我が眷属たちよ!」
オフィエルの命令によって、石膏のような天使型幻創種(以降、石膏天使型とする)は、翼を羽ばたかせてこちらに迫ってきた。
みんな、必死に隔離術式を抜け出そうと攻撃を与えるが、オフィエルの隔離術式はどうやっても破壊できなかった。
その間にも石膏天使型は徐々にこちらに接近し、持っている剣を大きく振り上げた。
しかし、その剣が振り下ろされることは無かった。
「……カァァットッッ!!!」
癖のある声と心地のいいクラッパーボードのカチンとなる音がこの楽園に響き渡る。
次の瞬間、我々を捕らえていた隔離術式が真っ二つに割れて霧散した。
有り得ないその現象にオフィエルが驚愕するよりも、我々が反応するよりも先に、この楽園に赤黒い稲妻がほどばしる。
先程まで心地の良い空気が一気に重苦しい空気に様変わりし、全身に鳥肌が走った。
我々に襲いかかってきた石膏天使型も、それによって無条件に霧散する。
赤黒い稲妻や明らかな空気の変化、石膏天使型の霧散、それらの現象が1人の人間による覇気であると即座に判断できた。
こんな事を出来るのは、この地球において一人しかいない。
黒いドレスを身に纏った、原初にして深遠なる闇をも超えた最強生物が、この楽園に舞い戻ったのだ。
「ウフフ……」
最強人類ファレグ・アイヴズの帰還である。
更に、この楽園に招かれざる客も現れた。
騒がしいルー語で話すアフロの男性を見たオフィエルは、ファレグよりも驚愕していただろう。
あまりの驚愕ぶりにオフィエルは言葉が出なかった。
そんな中、べトールはクラッパーボードを手に持ち、薄ら笑いを浮かべる。
「さぁ、アクターは揃った。ラストシーンの撮影といこうじゃないか、オフィエル?」
続く
ふと思った事がある。実行するとも限らない。ルーサーかアプレンティスを、シャドーコリドーか、ととモノの世界に一時的に転移させてもいい?
-
いいよ。
-
ダメ。