Infinite Stratos ~The Ruler of War~ 作:Bradford
またまた懲りずに小説を書きました。
他の小説と同じくつまらないでしょうが、楽しんで行ってください。
「私の弟だからな、これくらいは当然だろう」
いまだに思い出す嫌な言葉。
あの言葉を聞いたあの日から努力することを諦めた。
その前から似たようなことを何度も言われていたが。
「ああ!?こっちには織斑拓也がいるんだぞ!ハァ!?ならこの声でも聞いて確かめるんだな」
電話を持った男が近づいてきて、左目にナイフを刺した。
「あがぁぁぁああ―!!」
「どうだ?これを聞いてもまだ…録音だと?!」
『さぁ!第二回モンドグロッソの開始です!前回大会優勝者織斑千冬はIS【暮桜】を纏って今ピットから出てきました』
「クソッ!」
ドイツのどこかで行われた第二回モンドグロッソの決勝戦。
その日は私の姉
7年前にとある事件が起きた。今では『白騎士事件』と呼ばれるものだ。
世界各地の軍事基地が何者かにハッキングされ、日本に2341発以上のミサイルが発射されたが、一機のIS…白騎士がほとんどを撃墜し、その後このISを確保しようとした現存の戦闘機を撃墜、破壊した事件である。
その事件で有名になったIS。正式名称はインフィニット・ストラトス。宇宙開発を目指して作られたパワードスーツの一種だそうだが今となってはただの兵器だ。
そのISは全ての点において既存の兵器より優れていた。そして、世界の新兵器になった。
しかしある欠点があった。『女性しか扱えない』というものだった。
結果、これによって世界は女尊男卑という風潮が広まり、多くの男性が被害を被っている。
織斑千冬、ブリュンヒルデと呼ばれた優秀な女だ。
彼女には家族がいた。
私もその一人だ。いや、だったというべきか。
私は親に捨てられたそうだ。本当かどうかは知らないが。
その次は姉が色々と頑張り始めた。
仕事に家事、家族の世話に…色々と頑張った。
極端な話、姉は優秀だった。『優秀』の一言では言い表せないほどに。
周りからはよく「お姉さんを見習って頑張りなさい」というような事を言われた。
無論、私も最初はそうした。
だがどれだけ時間をかけて努力をしていい結果を出してもいつも同じ言葉だった。
「織斑千冬の弟だからな、当然だろう」
簡単にわかりやすく言えばこんな感じだった。
最初は気にも留めなかった。姉のことは尊敬していたからだ。
だが、徐々にその期待に答えられなくなっていくたびに、言葉は変わっていた。
「お姉さんを見習って、もっと頑張りなさい」
「あの姉の弟だ。きっとできるだろう」
そんな言葉ばかりだった。
だが、ISができてから、全てが変わった。
「織斑千冬の弟だ。できて当然だろう」
「このくらい、まさかできないはず無いだろう」
「こんなことも出来ないのか?」
勝手に無駄な期待を寄せられ、勝手に失望される。
それの繰り返し。
段々周りの期待が鬱陶しくなっていった。
それでもあの時の私は頑張れた。
彼女から、たった一言さえ言ってもらえれば。
そんな希望を抱いて生きてきた。
確か…剣道の大会だったか。それに優勝出来た時だった。
彼女に褒めてもらおうと、珍しく自分から電話をかけて、彼女に優勝を報告した。
だが返ってきた言葉は
「私の弟だからな、これくらいは当然だろう」
この一言だった。
あの時から、あの日から全てがどうでもよくなった。
どれだけ頑張ろうと、どれだけ結果を出そうと結局、全てが彼女の名誉になるだけ。その癖、出せなかったら自分のせいになる。
『3時間、真剣に考えて結論を出したら、3年間、真剣に考えても、結論は変らない』
かのフランクリン・ルーズベルトが放った言葉だ。
私はその言葉を聞いたことがあった。あの日、その通りだと感じた。
あの日どれだけ時間をかけて考えても何も変わらなかった。だから面倒だと感じたことはすべてやめた。
先ず剣道を辞めた。幼馴染みだった箒には散々言われた。やれ「それだから失望される」だの。やれ「だから貴様は一夏より弱いんだ」だの、言いたい放題だった。
次にバイトをしながら航空機関連の勉強を始めた。
ナショナル・エア・カーゴかUPS航空、フェデックス・エクスプレス辺りに就職するつもりだった。
剣道をやめてからしばらくして「どうして剣道をやめたんだ」と聞いてきたが、適当な事を話してごまかした。
無論、彼女には感謝している。ここまで私を育ててくれたから。
だが、たったそれだけだ。
「ハァ…ハァ…」
左目が潰れ、出血しているため意識がゆっくりと薄れていく。
「このガキどうするよ?」
「ほっとけ。その内出血多量で死ぬ」
「ま、そう言う事だ。悪く思うなよ」
大きな笑い声を上げながら歩いて行く2人の男を見つめながら、独り言を呟いた。
「…ここで死ぬのかねぇ」
「せめて最後は…パイロットになってモンタナ辺りで隠居生活したかったな…」
殆ど目の前が暗くなり、意識が無くなる寸前に女の声が聞こえた。
「大丈夫か?…そんなわけないか。しっかりしろよ、お前さんには生きておいてほしいからな」
そんな言葉を聞いた瞬間、意識が途切れた。