ではどうぞ
提督治療室に移動中・・・
確かに此方から声がした。
高速修復剤の入ったバケツを持ちながら工廠内を小走りで移動する、此処までたくさんの遺体を見て来たが明石や夕張と思われる者の遺体を見ていない。
もしかすると二人とも生きているかも知れない、いや、友好的なら誰でもいいもう動かない戦友を見るのは沢山だ。
そう思ってしまう程に俺は精神的に追い詰められ疲れていた。
そんなことを思いながら治療室に着いた・・・が
提督「クソが!」
治療室の扉は塞がれていた。明石と夕張が今まで開発してきた試作品達によって・・・
俺は急いで本館側の治療室の扉に向かった・・・だが。
提督「此処もかよ!」
天井が崩れている。此処も塞がれていた。
俺はまた急いで工廠側に戻った。行ったり来たりさせやがって全く。
戻った俺は試作品達の山を前にしてバケツを置く、そしてその山を撤去し始めた。
言っておくが俺は解体撤去に関してはド素人だ。そんなのがしかも一人で作業しているので物凄く効率が悪い。なんかクレーンみたいなので手を切った。でも構わず作業を続けた。
2時間後・・・
提督「ハァ、ハァ」
俺は肩で息をしていた。手を見ると作業中に切ったり挟んだりして血で濡れていない所を探す方が難しかった。それは腕も同じでボロボロだった。
でも扉を開けるのに苦労しないくらいには退かせた。
早速バケツを持とうとして取っ手を掴んだ途端。
提督「ガッ!」
激痛が手と腕に走った。
痛くてとても取っ手を掴めそうにない・・・
なのでバケツを抱えて行くことにした。
まず扉を開け、そしてバケツを抱えて入る、入る途中バシャバシャと修復剤がいくらか手と腕にかかってしまったが問題ないだろう。
それより中の状況だ。
悲惨過ぎる・・・まず臭いがひどい、鼻がもげそうだ、後明かりもない、まだ嗚咽や呻き声は聞こえるがとにかく明かりを確保しないことには何も出来ん。
俺は窓を開け、電灯を点けた。
サァーー・・・
優しい自然の光が治療室内を撫でる様に入って来る。そして俺が見たものは、
酷い姿になった俺の戦友達だった。
俺は急いで高速修復剤を布に浸して応急処置を始める。
初めに取り掛かったのは小柄で緑色の髪をした軽巡艦娘、夕張だ。
提督「大丈夫か、しっかりしろ夕張」
夕張「提・督、ご無・・事で何・・より・・です。」
途切れ途切れで掠れているが言葉を発している、もう少しで回復するだろう。
その間に重傷の者から応急処置をしていく。
駆逐艦娘「う、う、し・・れー・・か・・」
提督「喋るな、今傷口だけでも塞いで楽にしてやるから。」
自分が轟沈するほど傷付いても尚俺の事を呼んでくれている、提督冥利に尽きるってもんだ。
全体の三分の一くらい終わった所で夕張が動けるくらいにまで回復した。
提督「回復したか夕張、起きたばかりで辛いと思うが皆の応急処置の手伝いを頼む」
俺がそういうと、
夕張「了解です」
夕張は治療の手伝いをしてくれた。
40分後
俺達は皆の応急処置を終え休んでいた。
全員は助けられなかった。入って来た時には既に息絶えていた者もいる、しかし入って来た時には辛そうにしていた者も、今はすぅすぅと柔らかい寝息を立てて眠っている、全員喪失、そんなことにならずに済んでホッとしている。
提督「お疲れ夕張」
夕張「はい、提督もお疲れ様です」
夕張は疲れた様に笑う、
提督「夕張、一つ質問していいか?」
夕張「何でしょう?」
俺は聞きたかった事を聞く
提督「明石の姿が何処にも見えないんだがどこに行ったんだ?」
夕張の表情はハッとした後
夕張「う、あ、ああ」ポロポロ
大粒の涙を零した。
夕張「うあぁあぁあぁん!」ボロボロ
提督「!?」
俺は取り合えず夕張の背中をさすり泣き止むのを待つしかなかった。
・・・・・どのくらい時間がたっただろう、夕張の涙が収まったので俺は聞いた。
提督「なぁ夕張、落ち着いて話してくれ・・・何があった?」
夕張「グスッ、実は・・・
回想
夕張サイド
ドゴーン
また爆音がする誰かの叫び声もする、私はそんな地獄の中で治療を続けた。
治療室は負傷者で一杯、本館側に運びこもうとしたが流れ弾が本館に当たって天井が崩れ、出入り口を塞いでしまった。
これでは此処から動けない、私は明石の所に戻った
。
夕張「負傷者が多過ぎる、明石もうこれ以上は治療室に入らないよ!」
明石「そうだね・・・取り合えず私は治療を続ける、夕張は入口で警戒してて!」
夕張「了解よ!」
それから暫くして・・・
夕張「ガッ!?」
重巡洋艦級のものと思われる砲弾に被弾してしまった。
しかも頭に、
足元がふらつく、視界に砂嵐のようなものが見え、ぐわんぐわんと揺れる、音も遠く聞こえる。
夕張サイドアウト
明石サイド
明石「夕張!」
夕張が被弾した。装甲の薄い彼女ではあれはキツイだろう、
私は急いで夕張を治療室に入れた。しかし入れるために外に出た時恐らく夕張を撃ったであろう重巡洋艦リ級と目があってしまった。
リ級が感情の無い目で笑う、おまけに軽巡ホ級まで来た、ホ級の方に赤いオーラが見える、エリートだ。
もう此処までだ。
そう思った時
??「オラオラオラァ!」
四角い箱のような物を肩に付けた男性がリ級に刀を向け飛び掛かった。
??「させない!」
ホ級エリートの方にはその男性より小柄な女性が切りかかっている。此方も四角い箱のような物を肩に付けている。
服は茶色基調の迷彩柄で二人が陸軍所属なのが分かる、
思い浮かぶのは三人、チトさんチリさん五式さん、でも五式さんは司令室の防衛に回っている。だとするとチトさんとチリさんのチトチリ中戦車隊だ
二人は果敢に敵に向かっていく、私は急いで夕張を入れる、
外で二人が戦っている、チリさんが此方を向いた。
チリ「明石さん!すぐに治療室の扉を閉めるんだ!閉めたら・・・何でもいい、物を置きまくって封鎖して立て篭もるんガハッ!?」
チリさんの口から血が飛び出す、私は目眩の収まった夕張にも手伝ってもらって試作品達を集めた、これから積むぞというときにまた夕張が被弾してしまった。
見るとチリさんの相手とはまた別のリ級が此方に砲を向けていた。
私は持っていたものごと急いで夕張を治療室に放り込む、
そして扉を閉める、中から夕張が扉を叩く音がする、私はとにかくがむしゃらに試作品達で封鎖していく、その間にもリ級は近づいてくる、・・・・私の周りに砲弾が着弾する・・・・わざと外してるんだ。私が武装の無い工作艦だから、
艤装のクレーンに被弾してクレーンが外れるそんなの構わず私は封鎖を続けた。
中から夕張が扉を叩く音と私を呼ぶ声がする。私は封鎖を続けた。
封鎖が終わった。その頃にはチトさんチリさんの戦いは終わっていた。
リ級がすぐそこまで来ている、私は手に持った鉢巻きと金づちを見る、改二記念に提督に貰ったものだ。
鉢巻きを頭に付けきつく締める。
そして・・・私はリ級に向かっていった。
明石サイドアウト
夕張サイド
明石に治療室に放り込まれた。そして扉を閉められた。私はパニックになって扉を叩き明石を呼ぶ、彼女が扉を封鎖する音がするそれと砲撃音も・・・
封鎖する音が止んだと思ったら明石の叫び声が聞こえた。きっとリ級に向かって行ったんだ・・・
薄れる意識の中で最後に聞いた音は私達が装備を解体するときに聞くカーンという音だった。
回想終了
提督サイド
夕張の話を聞き終わってハッとする、そういえば此処の封鎖を撤去してる時にクレーンで手を切ったよな・・・あれってもしや、
それに夕張の聞いたあの音、多分あれは明石が自分ごとリ級を解体した音だ。
艦娘には二種類ある、
適性のある人間に艦娘化改装を行った者と、資材だけから生まれた者だ。
適性は主に艦種で別れる。一番なりやすいのは駆逐艦で逆に一番なりにくいのは明石等の工作艦だ。
なので適性率の低い艦種は大抵資材による建造によって生まれてくる。
ウチの明石も工廠で資材から生まれた。
元々人間なら解体するのは艤装だけだが資材から生まれた者を解体すると・・・その艦娘に関係のある物どれか一種類に解体される、
だから高速修復剤が一つだけ残っていたのだ。
それじゃあ俺が皆に使ったのは・・・解体した明石・・・
・・・明石、お前は凄いよ、居なくなっても尚工作艦として皆を助けるとは・・・
物思いに耽っていると、
夕張「あれ?」
夕張が声を上げた。
夕張の方を向くと夕張はポケットに手を突っ込みゴソゴソしている、そして何かの紙を取り出して読みはじめた。
手紙かな?
夕張「これって!?」
突然夕張が驚きの声を上げ手紙を俺に寄越した。
どうやら俺当てらしい。
何々?
なんだと?
第四話に続く
いやぁ書いていたら三千文字超えるとは・・・
なにげに二時間半かかってますからね。
さて解体されても皆を助けた明石から提督に当てた手紙の内容は何でしょう?
第四話をお待ちください。
最後に一言・・・・感想くーださい!