ソードアート・オンライン 暗黒剣の使い手   作:シャザ

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 シノン回です。楽しんでもらえると幸いです。


第十三話 狙撃手の原点<オリジン>

<SIDE:シノン>

 六月のある日、私は血盟騎士団のアスナと一緒に食事をしていた。

もちろん理由はある。武器の強化や更新のことを相談したいからだ。

 彼女は変わった。勿論、いい意味で。

わたしがこの世界に来たばかりの頃は鋭い眼光で睨まれたものだけど、今のアスナは、ぽわんとした笑みもたまにするようになったのだ。

 キリヤはこうなったアスナを見て、

「ギルド入る前のアスナはだいたいあんなんだったぞ?」

と言っていたが、真相は定かではない。

 

「で、シノのん。武器のことについて聞きたいんだよね。

やっぱりキリヤ君の力になりたいから?」

「…そんなとこ。短剣(これ)も六十層に来てから与えられるダメージも心もとなくなってきたし…いい鍛冶屋を紹介してほしいな」

「任せてシノのん!友達がやってるところなんだけど、前に《ランベントライト(このこ)》を作ってくれたんだ。

名前はリズベット、四十八層の主街区に店をかまえてるんだよ」

「それ、ユニーク武器なんでしょ?すごいじゃない!…あとシノのんはやめて、ゆるキャラっぽいじゃない」

「えー?かわいいじゃシノのん、だめかな?」

「……もうちょっと仲良くなったらね」

 

 めんどくさくなったので私は話を逸らすことにした。

「と、ところでアスナ、キリトとはどうなの?何か進展あった?」

「ふふんっ♪…この前一緒に狩り(デート)したよ!」

「まって、ルビがおかしくない?それ一般的には狩りって言わない?」

「………ハイ。」

「ハイじゃないが。…どうせキリト(あいつ)鈍感なんだから、素直にデートしようって言えばいいのに…」

「そーいうシノのんはどうなの?キリヤ君と上手くいってる?だいたい一緒にいるじゃない!」

「で、デートはちょくちょく。仕事とか攻略が休みの日は一緒に遊びに行くし、結構考えてくれるのよ」

「う、うらやましい…。脈あるじゃん絶対!もうちょっと押したらいけるって」

「アスナはもう少し頑張りましょうって感じ…。ゲームに絡めたらダメなタイプよ、あのまっくろくろすけ。

一生進まないと思うわ。」

「…あれ、いつの間にか私の相談になってる…?…まあいっか。私、がんばるよシノのん。」

 

 この後私とアスナは別れて、私は狩りに出かけた。

…実は、アスナにも言っていない話がある。私は()()をストレージから出し、ため息をつく。

 それは、木材が丸く曲線を描いており、その両端には弦がついている。

それは、弓だ。このアインクラッドにおいて、茅場晶彦(デザイナー)が意図的に排除したはずの、()()()()()

 

 これを入手したのは六月の初めのこと。

私はキリヤと一緒にタワー型ダンジョンへ潜っていた。

 そこで遭遇したのは、弓を持ったスケルトンだった。

威力こそ低いがうざったいほどの連射と、後衛にあるまじき防御力をもった強敵だった。

…が、そのしつこさにキレたキリヤが塔の上層から敵を叩き出し、重力でスケルトンは粉々になった。

 この弓はドロップ品だが、やけにダメージ値が低く使い物にならない。

 

 そしてこれを手にいれたあともしくはその直前、スキルに《射撃》が現れたようなのだ。

…どう考えても弓用のスキルで、キリヤに相談したが

「混乱のもとになりかねないから今は隠したほうがいい」

と言われてしまった。

 

 しかし、だからといって。

私は、この力を諦めることはできないんだ。

 足手まといだった私が、彼の力になれるのなら、チートと蔑まされようとかまわない。

 この弓を強化、もしくは新たな弓を求めて、私はアスナが教えた鍛冶屋にやってきた。

 

 よく考えてみるとむちゃぶりをしているのに、店主の少女リズベットは笑顔で強力な弓を作ってくれた。

本当にありがたい、また来よう。

 

 この弓の名前は《オルフェウス》。妻を取り戻すために冥府に侵入した男と同じ名を持ったこの弓は、どことなく竪琴のようだ。

…私は彼を冥府に連れて行かせないように、《オルフェウス》に慣れるために練習を行うようにした。

 

 

 戦え、取りこぼさないように。…戦え、自分が何者であったとしてもそれを貫けるように。

 

 

 

 




《オルフェウス》
 竪琴をそのまま改造したかのような意匠の巨大な弓。
 連射を捨て精密機械のように必殺の一撃で相手を葬る恐ろしき魔弓。

《射撃》
 ゲームなどではもはやお馴染み、弓による遠距離攻撃を行えるスキル。
弓は大体のSAOゲームでシノンがメイン武器として使用するため、ゲームでそれなりに世話になった人も多いのでは?


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