なんか女子会になった回です。
楽しんでもらえると幸いです。
追記:サブタイトルをつけ忘れてました。
樹海エリア攻略が完了した翌日、僕は転移門の前で一人悩んでいた。
今日もホロウ・エリアに行こうと思っていたが、みんな予定があってパーティーを組めなかったのだ。
シノンはアスナたちと女子会、アルゴは《ウィークリー・アルゴ》の編集中、
キリトはそもそもダンジョンにでもいるのかメッセージすら届かない。
…一応他にも友人はいるけど、ホロウ・エリアのことを広めたら攻略ギルドのスカウト合戦が起きるんじゃないかという不安が残る。
謎のPK集団の存在、現在は
「さて、行くか。…転移、《ホロウ・エリ…」
「やっほーキリヤ!元気?アタシは絶好調!!」
「アあああ!!?」
至近距離から聞こえた声に僕は悲鳴を上げてしまった。
思わず声の主の方向を向くと、そこにいたのはストレアだった。
「…い、何時からいたんだストレア…。」
まったく気付かなかった。
「ねえねえ、どこに行こうと思ってたの?《ホロウ・エリア》ってなーに?」
……。あ、ギルドに属してなくて、フィリアが
実力も申し分ないし、巻き込んでもいいかも。
「…ねえストレア。ちょっと冒険するからパーティー組んでほしいんだけど」
「ん、いいよー。今日は予定ないから暇だったんだよねー。
よろしく、キリヤ」
「……。暇な時にすることが人間観察なのは少し考えた方がよくない…?」
「最近はキリヤの観察が一番多いかな。この前はシノンと本を探してたよね」
…ちょっと後で話をした方がいいかもしれない…。
<SIDE:シノン>
さて、今日はアスナに誘われて女子会に参加することになった私は、どうしたものかとケーキをつついていた。
今日集まったのは、私、アスナ、ミト、リズベットにシリカだ。
…ほとんどアスナの友達じゃない?シリカは猫ににらまれたネズミのように震えている。
「あの、あたし場違いじゃないですか…?なんでこんなことに…。」
『きゅるぅ…。』
彼女に抱っこされているのは羽毛で包まれた小さなドラゴン。
彼女の大切な友達でパートナーでもあるそのドラゴンの名前はピナ。
そう、かつてプネウマの花によって蘇生された彼女の使い魔は、今も元気に暮らしているらしい。
昨日の夜アスナに女子会へ誘われた私は、道連れとしてシリカを誘った。
ピュアな彼女は何の疑いもせずにやってきたけど、メンバーのせいで萎縮している。
「…ご、ゴメンねシリカ。私、女友達ってあんまりいなくて…。」
「まさかKOBの副団長主催なんて想像できないですってぇ!?
あ、でもキリトさんの話聞けるかな。」
「あれ、キリトの知り合いなの、この子?」
リズベットはシリカに興味が沸いたようだ。
「…フェザーリドラってレアモンスターじゃなかったっけ。
発見どころかテイムまでできたなんて、すごいラッキーガールと友達なのね、シノン」
ミトは感心したようにピナを観察している。
「すっごくかわいいなあ。ねえシリカちゃん、ちょっとなでてもいい?」
アスナはピナにメロメロである。…わかるよ、可愛いよねフェザーリドラ…。
「へっ!?あ、大丈夫ですよ。」
『きゅる!』
アスナがアニマルセラピーで癒されること十分、ようやく落ち着いた彼女は本題に入る。
「えっと今日集まってもらったのは、女の子同士で仲良くなるきっかけができたらなって思ったからなの。
スイーツを食べたり、色々話をして親交を深めようって企画なんだ。
…その、えっと…パワハラしたいわけじゃなくて…。」
「うん、とりあえず落ち着いてアスナ。あたしは楽しみにしてたから、ね!」
リズベットのフォローは逆にアスナを落ち込ませる。
「考えれば考えるほどシリカちゃんへの嫌がらせになってる気がしてくる…。」
うわ、なんかマイナス思考になり始めた。どうしようかと考えてると、シリカはアスナに顔を近づける。
「…いやじゃないです!その、なんか親近感がわきました。
攻略組最強ギルドの副団長も、あたしと同じ女の子なんだなって。
いろいろお話聞いてみたいです。」
シリカは笑顔でアスナに話をねだっている。
使い魔と同じく人懐っこい彼女に、アスナも心を開き始めたらしく、少しづつ話し始めた。
「えっと…なんの話をしようかな。…そうね、どうして攻略組として戦い始めたか…とかどう?」
ミトの顔が引きつった。
「えっと、あの、その…アスナさん?」
「初めは、私も怖かったんだ。でも、そこにいるミトが一緒に生き延びようって、
戦おうって誘ってくれたの。そのあとはしばらくパーティーを組んで、ちょっとすれ違いがあって…。」
そういえばアスナのそういった話を聞くのは初めてだ。
「……あのときは、ゴメン。」
「……ミト、私は今でも友達だって思ってるからね。で、一層のボス戦で目標を見つけたの。
…今でも追いつけてる気は、ちょっとしないんだけどね。」
「アスナさんにも、追いつけない人がいるんですか…?」
シリカは意外そうだった。たしかに、プレイヤーの中の上澄みと呼べるアスナでも、
追いつけていない目標があるというのは中層プレイヤーには想像しづらいかもしれない。
「ええ。この世界で一ニを争う剣士だと思っているわ。」
そう語るアスナの顔は、恋する乙女そのものだ。
あの黒づくめの剣士との出会いは、彼女の人生を大きく変えたに違いない。
「…キリトも罪なヤツね。」
リズベットは小さな声で呟く。
「……まったくね。…で、そこでうつぶせになってるのどうする?…ほっとく?」
ミトはなんかいじけ始めるし、シリカはトッププレイヤーの話に夢中になっている。
「…うーーん、ねえミト、あんたもなんか話してあげなよ。
いや、キリトが好きなのはわかったから」
「…ちがうよ。アスナがこんなに心を開いた相手に嫉妬する自分が嫌になってるだけ。
うーん、攻略組総出でもぐらたたき大会した話とかでいいかな。」
「あ、次はミトの番?どうぞー」
アスナはちょっと話しつかれたらしくジュースを飲み始めた。
「あの、次はあたしもピナとの思い出を話してもいいですか?」
「いいんじゃないかしら。とりあえず一人ずつ思い出話を言っていきましょう。」
その後は、みんなの思い出話を聞いて、ひとまず解散することになった。
キリヤ、今日もホロウ・エリアへ行ったみたいだけど、大丈夫かな…。
<SIDE:キリヤ>
「…あああああ!!?ストレア、あとで覚えてろバカヤロー!!!」
「ごめーーーん!!!」
「謝ってる暇があるんなら走れーー!?」
僕とストレア、フィリアの三人パーティーは、巨大なグリフォン三体に追いかけられていた。
一匹一匹がかなりの高レベルで、一体ずつ相手にするならまだしも全部いっぺんにはキツイ!
なんでこんなことになったかというと、ストレアがうっかり範囲攻撃を撃ってしまい、
二匹目のグリフォンが突っ込んできたのだ。その騒ぎのせいで三匹目もこっちを襲ってきててんやわんやしている。
なんとか樹海に逃げると、グリフォンどもは満足したのかどこかへ飛び去って行った。
「くそったれ…」
「ううん、橋を渡って新エリア解放したいのにあいつらいたんじゃ先に進めないよ…。」
どうやらグリフォンたちは新エリアに生息しているらしいが、
近くに居座っているせいで通行止め状態だ。しばらく沈黙がつづき、ストレアが言った。
「…誘い出して一匹ずつ倒していくしかなくない?」…と。
長時間の死闘の末に、三体のグリフォンを倒した僕たちは昼食をとり、
新エリア《バステアゲートの浮遊遺跡》へたどり着いた。
ええい、あのグリフォンどもに時間を取られたのが腹立つな!
ストレアはちょっと申し訳なさそうに
「あはは…。今度ご飯おごるよ。」
と食事に誘ってきた。……。舌がひりついてきたような錯覚をうける。
「この前おごられた激辛料理店以外で頼む…。」
この辛党め、舌がおかしくなりそうなもん食べさせるのは罰ゲームだろ!
「…一体何を食わせたんだろう…。」
「…知りたいか?本当に知りたいのかフィリア?とんでもなく辛いスープ…みたいなものだ。
ぐつぐつと煮込まれ形がなくなったであろう具材、NPCコックが死んだ目で馬鹿みたいに入れる香辛料たち、周りでは興味本位で入った連中がスープのせいで気絶してた。
…ほんとうに怖いのが、
「えー、美味しいのに…」
「………ヒエッ。」
ストレアのヤバい発言にフィリアはドン引きしている。
「まあ、それはさておき。新エリアってワクワクするよね!」
…話をそらしたな。たしかにこれ以上話すと今にも辛さが蘇ってきそうだ……。
「わ か る 。フロアボスを倒して新しい階層に行くとドキドキする!」
…とりあえず激辛のことは忘れて、新しい冒険の気配にワクワクする僕たちだった。
空中に浮かぶ大地に、そびえ立つ塔。
僕らを待っているのは、どんな冒険なのだろうか。
キリヤは辛いものはわりと食べられる。
ただ激辛スープがやばかっただけなのだ。ちなみにアルゲードにある設定なので、キリトもきた…かもしれない。
ただ、キリヤは甘いものが一番好き。