一層のフロアボスが倒れて早くも四ヶ月が経過した。現在の最前線は二十六層、なんとか生き延びている状態だ。
この一ヶ月は今までの攻略とは違うことが起こりすぎてかなり疲労が溜まった。
これまで仲良くしていたキリトとアスナがパートナーを解消するわ、キバオウが作ったギルドが壊滅するわ、聞いたことないギルドが攻略に出てくるわ。
その原因は二十五層にいたボスだ。
キバオウはいつも通り戦って、
…死んだやつの中には、友達もいた。
その知らせを受けた翌日キリトはアスナと別れたのだ。なぜ別れたのかは聞けていない。
ちなみにアスナは《血盟騎士団》という今まで名前も知らないようなギルドに加入し、そのまま副リーダーになった。
血盟騎士団のリーダー《ヒースクリフ》は二十五層のボスの圧倒的攻撃力にひるむことなく仲間を護り切ってみせたのだ。
英雄、いや聖騎士という人たちは彼のような男だったのかもしれない。
現在僕はアルゴの下を離れて売れない情報屋兼攻略組として、昼は観光ガイドブックを作って安価で販売し、夜になると最前線で狩りをする毎日を送っている。
そんなことを繰り返していたある日のこと。なんとキリトを見つけたのだ。こっちに気付いてないのでそれなりの声量で呼ぶ。
<SIDE:キリト>
俺が《月夜の黒猫団》に入って数日が経過した頃、深夜の狩りに出ていたら大声で自分の名前を呼ばれた。
「おーい、キーリトー!!!」
「うるせぇ!元気そうでなによりなのはわかったからもう少し声落とせ!」
「……ハーイ」
「まったく、変わらないな、お前。聞いたぜ、観光ガイド作ってるって。…レベリング大丈夫か?
別にドロップアウトしたいんなら止めないけど、レベリングサボってくたばるのだけはやめろよ」
「大丈夫、マージンは取ってるし、無茶はしてない。それより、ギルド入ったんだ?」
…やっぱ聞かれるよな。誤魔化すとずっと聞いてきそうなので正直に言おう。
「《月夜の黒猫団》って言うんだ。アスナもギルドに入って独り立ちしたし、ちょうどいいかなと思って」
「……え、けんか別れじゃなかったのか!?」
「違うぞ!?ちゃんとお互い納得してコンビ解消したって!」
「まー、冗談はこのくらいにして。あの人見知りのキリトがねぇ…」
冗談かよ!あと人見知りは余計なお世話だ!
「べ、別にいいだろ。お前こそギルドに入らないのか、今旬の
「……一応情報屋だよ?ギルドに入ったらそこの専属にさせられそうだしパース」
「そっか、まあギルドは自分の意思で決めたほうがいいと思うし、無理強いはしない」
俺だってギルドに入ったのはたまたま出会ったからだし。
その後ちょっとした世間話をした後キリヤと別れた俺は、仲間たちのことを考える。
《月夜の黒猫団》はいいギルドだと思う。が彼らは最前線で戦うにはレベルも装備も貧弱だ。
しかし、こうも思った。彼らなら攻略組を変えてくれるんじゃないかと。
それが思い上がりだと気付いたときには、全てが終わってしまった後だった。