ソードアート・オンライン 暗黒剣の使い手   作:シャザ

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 やっとユニークスキルが出ました。
 楽しんでくれると幸いです。


第七話 斬り開かれた運命

 キリトの片手剣と僕の両手剣が激しいライトエフェクトを放ちながら交差する。

 互いに全力で放ったソードスキルは相殺され、ノックバックで後退する。

 

 

 こうしてキリトと向かい合うと、子どもの頃剣道をやっていた時を思い出す。

 小さい頃から大人しいというかインドア派の兄と、それなりに活発で外でも中でもよく遊んでいた弟。

 それでも何故か仲はよかった。僕が剣道を辞めたのは、兄と一緒に遊ぶ時間が稽古のせいで明らかに減ったからだ。

僕らの祖父は、控えめに言ってスパルタで、僕は嫌いだった。いつも泣き言を言う兄を竹刀でぶっていた記憶がある。

 辞めたいという僕らに祖父は激怒し、二対一でボコボコに負かされた。最終的に妹が泣きながら祖父を説得してたっけ。

 

 …でも、ここに妹はいないから僕ぐらいしかキリトの絶望を止められないだろう。

 キリトの《シャープネイル》を《ファイトブレイド》でガードしながらカウンターを決める。

 今のHP量は、キリト六割、僕六割五分といったところか。

…拮抗しているが、キリトには高威力長射程の《ヴォーパルストライク》がある。隙をさらせば串刺しにされるだろう。

 

 ただ、奥の手がないわけではない。

使えばまずどちらかは倒れてしまうが、確実に決着がつく。それでいいのかはともかく。

 だいたい、キリトが狂って襲ってきたのが原因なので、正気に戻れば戦いは終わる…はず。

「キリト!しっかりしろ!落ち着いて話を…」

「どうでもいいって、言ったはずだ!!頼むよ、俺を殺すか、殺されてくれ!!」

 その目は淀んでいた。僕はそれが、彼の救いにならないと理解した上で。

「……ああ、わかったよ。…()()()()()()()()()

 切り札(ジョーカー)を切った。

 

 

 血盟騎士団の団長であるヒースクリフは最強の壁役(タンク)だ。

しかし、彼が最強の守護者としてその名をほしいままにした理由は、良い盾を使っているとか、その技術が卓越しているだとかではない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そのスキルの名は《神聖剣》。

事実、ヒースクリフのHPが半分以下(イエロー)になったことはなく、血盟騎士団の心の支えになっている。

 出現条件が全く不明のそれは、いつからかこう呼ばれることになる。

 《神聖剣》は聖騎士ヒースクリフにのみ許された《ユニークスキル》と。

 

 僕が()()に気づいたのは、つい最近宿屋での休憩中にスキル欄を見ていた時だ。

 見たことも聞いたこともない謎のスキルが出現していた。

興味本位で取得し、MOB相手に使って見たらHPがガリガリ削れた。…MOBはおろか僕のHPも。

 すぐ使用を中止してスキルの説明文を読む。

…たしかにHPが減少するとは書いてたがその減る量とスピードの速さがやばかったのだ。

 速攻で封印したが、調子に乗らなければ強力なスキルではある。

ハイリスクハイリターンのユニークスキル、《神聖剣》が最強の盾なら、僕のスキルは使()()()()()()()()()最強の矛。

 その名は《暗黒剣》。

 

 

 僕のHPがスリップダメージで減り始めた。暗黒剣は発動した瞬間バフ効果と引き換えに対価を求めてくる。

ここまではまだ問題ないがソードスキルにもHPを求めてくるので気を付けないとHPが一気に危険域(レッド)になる。

 キリトは四連撃ソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》を放つ。できる限りブーストを掛けられたそれを、()()()()()()()()()()()()()()()

「…な、に…!?」

「お返しだ、返さなくていいよ」

 黒いライトエフェクトを纏った両手剣で突進し、キリトを吹き飛ばす。暗黒剣専用ソードスキル《ヘイル・ストライク》だ。

キリトはHPを一割ほど残しモミの木にぶつかる。僕も二割程度しか残っていなかった。

 

 …ここで、僕は少し躊躇してしまった。このままキリトを斬れば、HPは消し飛ぶだろう。

《ヘイル・ストライク》を喰らった時点で死んでいてもおかしくはない。

「キリ…」

 ―紅い光がこちらを透過した。

「……へ?」

 重い衝撃が僕を襲う。…キリトの《ヴォーパルストライク》がクリティカルで僕に叩き込まれたのだ。

 …キリトの目を見ると、自分が何をしているのかわかったのか呆然としている。

どうやら《ヴォーパルストライク》を撃った衝撃で正気に戻ってくれたようだった。

「き、キリヤ?俺、なにを…!?」

 …ああ、こんな時に限って話したいことが多いなぁ。

妹のこと、アスナさんのこと、僕が死んでも気にしないでほしいこととか、でも。

 こんな一人で抱え込む優しいやつが、僕の兄弟(かたわれ)で本当によかった。

「……じゃあな、かずと。」

 ニコッと笑った瞬間、自身のHPがゼロになり、僕のアバターは四散した。

 

 

 今までの人生を回想する。これが、走馬灯というやつか。

…兄が僕にPCを自作してくれたときはうれしかったなぁ。妹が剣道で負けた時話し相手になったっけ。

両親にもうちょっと親孝行しとけば良かったな。…じじいはどうでもいいか。

 

 …そこまで思考して気付いた。脳をレンチンされているにしてはやけに余裕があるな?

体の感覚がある。冷たい、というかさむい。

 

 目を開けると山賊ずらの男がこちらを心配そうに見ていた。

「……目覚め一発で見るにはキツイなー…」

「ひ、ひでえ!!こちとら心配してんのに!」

 上体を起こすと、山賊のような男の周りには数人、ギルドメンバーらしき人たちがいた。

 話したことはないが、彼とはボス攻略で何度か会った。たしか名前は…

「《風林火山》のクラインさんですよね。ボスはもう死にましたよ?」

「……知ってるよ。さっきキリトと会ったからな。それより大丈夫か?」

「ピンピンしてますねー。そういえば、蘇生アイテムのことですが…」

 クラインはため息をついた。

「キリトのやつは、そんなもんなかったとさ。…()()()()()()()()()()()()。」

 やっぱり優しいよあいつ。

「そういうことにしときましょうか。…お腹すいたなぁ。どっかにおごってくれる人いないかなー?」

 クラインの方をチラ見する。クラインはニヤリと笑った。

「おう、良いぜ!特別に《風林火山(おれら)》のクリスマスパーティーに招待してやる!」

「ぃやった!ありがとうおっさん!」

情報屋としての顔をやめて素の状態に戻ると、クラインは引きつった笑みで、

「いや、おっさんじゃねえ!おれ一応二十代!」

とつっこんだ。

 

 クラインたちとのパーティーは物凄く楽しかった。

彼はログイン初日にキリトと一緒に遊んでいたらしい。

 結局別れてしまったらしいが、彼は恨んでいないようだった。

 彼らが疲れて寝てしまったあと、僕は四十九層(さいぜんせん)の圏内で建物の屋根に上り、風を浴びていた。

キリトは寝ているだろうか、それとも寝れてないのか。

 僕がこうして生きているのは、蘇生アイテムのおかげだろう。

彼はゴミだと言っていたが、時間制限でもあったのかもしれない。

 

 ぼーっと五十層の大地を見ていると、オレンジ色の光が見えた。

朝焼けにしては早いと思い観察すると、()()()

「……はぁっ!?なんだあれ!?」

 そこからなにかが落ちてきたのを見た瞬間、僕は走った。

ギリギリのところで受け止めたものは、黒髪の女の子だった。

 カーソルを見ると、プレイヤーを示す緑色。つまり、これは()()()()()()()()()()()()()

「……なんなんだよ、マジでぇ…」

 

 

 これが、僕と狙撃手の少女シノンとの出会いだった。

 

 

 

 




ソードスキル解説

《ファイトブレイド》
出典:HF HR 
 かなりいい使い勝手を誇る両手剣用ソードスキル。
 リアリゼーションではリジェネが発生するので使いやすい。

《暗黒剣》
元ネタ:リアリゼーションの《冥界剣》
 HPがスリップダメージで減っていくがその分バフもりもりで殴れる脳筋ユニークスキル。
 敵のHPがガンガン減っていくのですごく楽しい。

《ヘイル・ストライク》
出典:HR
 冥界剣で最初に覚えるだろうソードスキル。突進した後黒いオーラで攻撃する。
 アバランシュに似ているとおもう。
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