ソードアート・オンライン 暗黒剣の使い手   作:シャザ

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第九話 ダークナイト

 十二月三十一日、大晦日のこの日、おぞましい大事件が起きた。

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「…あと少しで二〇二四年か、この分だと来年もアインクラッドで年越しかなー」

「弱音吐かないの!()()()()って思った方が精神的に楽でしょ?」

 シノンと一緒に町で年越しそば(っぽい謎の麵類)をすすっていると、アルゴが血相を変えてこちらに突っ込んできた。

「ききき、キリヤぁーー!!だ、大事件ダぁーー!!!」

 すするのを止めて水を差し出す。すぐに飲み干された。

「…どうしたんだアルゴ。ヒースクリフが裸踊りでもしたか?」

「オレンジギルドがPKやりやがったんだヨ!!」

「はぁーーーッ!?」

 

 少し残っていた年越しそば擬きを急いで完食し、アルゴから話を聞く。

殺人鬼たちは三十人近くで囲んで哀れな連中を滅多打ちにしたらしい。

 本来ならば、この世界にいる人間はほぼただのゲーマーだろう。

しかし、SAO攻略初期から、時々だがゲームとは関係ない悪意を感じる事があった。

 キリトとアスナ、ついでに僕を定期的に襲撃しやがったモルテ、誰かに強化詐欺のやり方を教わったネズハ、単独行動中のキリトを襲った謎の黒フードの男…他にもまだいやがるが割愛する。

 きっとあれらはこの仕込みに過ぎなかったのだ。

…この襲撃殺人によって、今まで殺人は犯さなかったオレンジ連中の()()()()()()()()()()()()

 

 きっと、模倣犯が山ほど湧いてくるだろう。

ゲーム攻略どころの話ではない、プレイヤーたちが疑心暗鬼に陥って殺し合いすら起きかねない。

 シノンがこちらを心配そうに見ている。

「…すごく怖い顔してる」

「……ごめん。ちょっと考えてたんだ。このままじゃオレンジギルドが殺人をやり始める。…アルゴ、少しだけシノンを任せていいか?」

 アルゴはぎょっとした表情で僕を止める。

「…何する気ダ、オマエ!オレンジギルドを殺しに行こうなんて考えてないよナ!?

早まるナ、キリヤ!」

「……殺さない。死んだほうがマシなくらいのひどい目に遭わせるだけだ。まー、十日くらいしたら戻ってくる。」

 アルゴはもはや止まらないと気づき、口を閉ざす。シノンには心配されてしまった。

「…ちゃんと戻ってきなさい。死んだら許さないからね、忘れないで」

「わかった。約束するよ、僕はきみの所に必ず生きて帰ってくる。…行ってきます!」

 

 十日後、大晦日に現れた殺人(レッド)ギルド《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》のように殺人をしようとした、三つのオレンジギルドが壊滅した。

黒鉄宮(第一層の地下に存在する牢獄のこと)に送られてきた彼らは酷く錯乱し、要領を得なかったらしい。

 話をなんとか聞いた者は、その内容に驚愕した。

 彼らを襲撃し、牢獄に叩き込んだのは、たった一人の剣士だったのだ。

 ダークパープルのプレートアーマーを着込み、両手剣一本で彼らを制圧したそれは、

自らを《暗黒騎士》と名乗った。

 

 たった一人で来るなんて馬鹿めと侮っていた彼らは、騎士の使った謎のスキルで半殺しにされたとのことだ。

その力はもはや人間ではない、頼むから二度とここからださないでくれと、オレンジプレイヤー達は叫んだという。

 

 

<SIDE:アスナ>

「ねえアスナ、知ってる?《暗黒騎士》のこと!」

 私の親しい友人で、KOBの長物部隊のサブリーダーを務める《ミト》が、そう切り出した。

「…えっと、新しいボスモンスターの話…?」

「違う違う!この前さ、ラフコフって殺人ギルドが出てきたじゃん」

 それは知っているけれど、面白そうなので彼女に続きを促す。

「それに影響されて、ちょっと人を殺してみようって思っていたオレンジギルドが、三つ壊滅したんだって」

「オレンジギルドを壊滅させたのが、その《暗黒騎士》…?」

「そうだよ!…悪いことばかりじゃないね。」

 

 たしかにすごい人には違いないんだけど、なぜミトはそんな話をするんだろう。

「攻略に関係ない話なら、私以外の人にしてあげたら?たしかにおもしろかったけど…」

「そいつがユニーク持ちだって噂が少しずつ広がってるの。」

「…団長と同じ?…それが本当なら、今すぐそんな無駄なことを辞めて攻略に力を注いでほしいわ!」

 

 怒りを込めて叫んでしまう。案の定ミトに心配されてしまった。

「アスナ、少し落ち着いて。…気持ちはわかるけど、最近睡眠がちゃんと取れていないわ。

前も言ったはずだけど、こういうのはメリハリが大切よ」

「…ごめん。今日は休むことにするね。団長のところ行ってくる…」

 自分勝手に怒ってしまったわたしを、ミトは許してくれた。

「ん。今のところ順調に攻略できてるし、きっと許してくれるよ」

「ありがと。…ふあぁ…明日は一緒に攻略しようね、ミト」

「うん、また明日」

 

 その日、久しぶりに夢を見た。

夢の中の私はミト、いや深澄やキリト君、キリヤ君と一緒に現実世界で買い食いをしたりゲームを楽しんでいた。

 夢を見てはじめに気付いた。SAO初期にキリト君達と旅をしていたのって楽しかったんだなって。

 ギルドに入ってからは旅なんてできないし、今は副リーダーだから取り巻きが常にいて窮屈だ。

最終的にけんか別れしてしまったけれど、大切な記憶なのは変わらない。

「…次に二人に会えたら、パーティーに誘ってみようかなぁ…?」

 

 でも今は少しだけ我慢しよう。たしかにミトの言う通り順調に進んでいるけど、五十層のボスはかなり強いと予想されている。

…今は、《閃光》のままでいい。




《ミト》
初登場:劇場版星なき夜のアリア
WEPON:鎌
 映画版星なき夜のアリアに登場したアスナの親友の少女。
 キリトと同じくベータテスターだが、彼らの行動は鏡のように逆に描かれている。
 ベータテストや正式サービス開始時には型月のジル・ド・レェみたいな目の男性アバターを使用していた(彼女曰く「こういう感じのが好きなの」)。

 この小説では血盟騎士団のメンバーの一人として登場。
アスナとは今も仲が良く、実はファンクラブも存在しているらしい。
 血盟騎士団に入った理由は、アスナに誘われたから。
 え、アスナの紫色の髪の友達(例:ユウキ、キズメル)は死亡フラグ?
知らねえなそんなこと!!

 と、いうわけでミトちゃんの登場です。
…あれれー?おかしいぞ?(メガネの死神並感)
 なんでまだゲームヒロインすら出てきてないのに映画ヒロインが出てくるんですか??
 言っておくとこの子はヒロインではないです。
 KOBの戦闘できるサブキャラ兼アスナの友達として頑張ってもらいます。
 映画二回目観てキャラの解像度上がったからね、しょうがないですね。
 次回も楽しんでもらえると嬉しいです。感想もくれるとやる気が出る…かも?
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