仮面ライダーゼロワン&ウマ娘 OtherWorlds REAL×RACE 作:泥団子男
第1話 オペレーション:飛び上がライズ
「本日の任務…『お買い物』を完了。宿舎への移動を開始。」
用件を終えた私は、ふと近くの家電製品店にディスプレイされているテレビに目が行く。
『本日で滅亡迅雷.netによるヒューマギアの反乱事件終結から、一年が経ちました。我々はこの事件から、ヒューマギアに対しての…』
「・・・テレビ及び、放送しているニュース番組を確認。今発信されているニュースは、『ヒューマギア』というものの話題であると理解。記憶データから『ヒューマギア』についての記憶データを検索…」
『ヒューマギア』…
「飛電インテリジェンス」という会社が開発したものでしたが、ある一部の機体が「人類に向けての反乱」を行い『デイブレイク』を始めとした様々な事件や出来事が発生した模様。しかし、「飛電インテリジェンス」の社長を始めた様々な人たちによって、ようやくその安全性等が認められ私達のいるトレセン学園でも3か月ほど前から用務員として採用されました。後々は「トレーナー」としても採用するようになるとも言われています。
「もし、『ヒューマギア』がトレーナーになったら、私の『目標』も達成できるのでは…」
(私の「目標」、『クラシック三冠』。他のトレーナーから否定され続けたこと…『「短距離で走ること」を条件に出来ないのなら契約は出来ない』と言われ続け、今は一人で目標達成に向かっています…でも、それでも、父との約束を果たしたい…)
「…長考により、予定時刻より5分20秒経過。私には関係のないことでした。通常より30%スピードアップして宿舎への移動が必須。移動を開始します。」
早歩きとジョギングの間ほどの速度で宿舎へ移動した。
「郊外に到着。残り2.5km。予定時間との誤差、45秒。このペースなら問題ないと…あれは…?」
眼に入ったのは、「ヒューマギア」。おそらく、服装からトレセン学園の用務員と確認。しかし、その足取りはいつもの「人らしい歩き方」ではなく「壊れかけのブリキ人形」のように足取りがふらついていて、先ほどのニュースで見た「青いライト」は赤く、おぞましさすら感じる色に変異していた。
「いったい何が…」
そんなつぶやきが聞こえたのか、その「ヒューマギア」はグリンと、まるで獲物を捉えた獣のようにこちらを見ると、チューニングがズレたラジオのように声にならない声でつぶやいた。
「ウマ…ムスメ…メツボウ…」
その言葉の意味を理解する前に、「ヒューマギア」は人の皮膚や服のような外装を破り、無機質でグロテスクさをも感じるような素体を露わにする。さらに、口元から配線のようなものを吹き出すと、それが体を包み無慈悲な殺戮マシーンへと姿を変えた。
「…!」
その異様な変貌に、心臓を締め付けられるような感覚を味わった。
だが、「用務員だったナニカ」はそんな余裕すら与えず、私たちと変わらないような速度でこちらに迫った。
「…ッ!」
私は必死に避けた。そして、私には「アレ」に対処する力はないことは、分析するまでもなかった。
(このまま逃げていても恐らくスタミナ切れで追いつかれる…どうにか宿舎まで着いたとしても、他のウマ娘や人に危害が加わるか可能性あり…)
まさしく、「万事休す」。
そして、悲劇は続いた。
先ほどから急いで移動していたせいか、脚をもつれさせてしまった。
「うぁ…!」
為す術なく倒れる身体。
にじり寄る「殺戮者」。
(いっそのこと私の「触れた機械が故障する体質」で停止すれば良いが、もしも余計に暴走し見境なく暴れたら…)
普段は起こらないような、モヤモヤとした何かが思考を停止させてくる。
(私は…父との約束を…果たせてないのに…)
父の顔を思い出す。
私を優しく見守ってくれる顔。
その顔にもう会えなくなる。
「これが、『悲しい』ですか…」
最期に嫌なことを記憶してしまった。
「可能性」はないことはわかっている。
でも凶刃が振るわれる前につい、口から漏れ出した。
「助けて…お父さん…」
J U M P !
謎の電子音がした。
私は、「アンドロイド」や「サイボーグ」と呼ばれるが、電子音がなるわけではない。
そして、振るわれたはずの刃は、私に痛みを与えなかった。
自らの腕で隠した視界の先には、夕焼けの逆光のせいで「人のようなシルエットと赤く光る瞳」しか見えなかった。
その影は、私を守ってくれている。
「大丈夫か!?」
若い男性の声だった。
その声を聴いたとき、さっきまで「恐ろしいものの象徴だった赤い瞳」という認識は「優しさの象徴」に変更された。
「お前を止められるのはただ一人、俺だ!」
何かを押す動きをした後、高くジャンプした。
私たち、ウマ娘よりも高く。
ラ イ ジ ン グ イ ン パ ク ト
上空に浮かぶ謎の文字列と共に、キックを決めると、その異形は弾け飛び、その爆炎が赤き瞳の戦士の蛍光色と黒色が目立つ姿を映した。
しかし、その姿は即座に青年の姿に変わった。
残骸の方を向くと、
「助けてあげられなくて、ごめんな…」
そうつぶやいた後こちらを見ると優しい眼差しと共にこちらに歩み寄り、
「無事か?つらい目にあったな…」
私は震えながらも、どうにか声を振り絞った。
「はい…」
そんな状況の私にその青年は、何かを思いついいたようにハッとして笑顔でこちらを見た。
「じゃあ、元気が出る抱腹絶倒ギャグをプレゼントだ!
『郊外』の歩き方は『こうかい』!?
ハイ、アルトじゃあ~ナイト!!」
「…?」
理解不能。どういうことかと思考していると私の後ろから、無機質なような若い女性の声がした。
「今のは、『郊外』と確認を求める『こうかい?』をかけた大変面白いギャグでございます。」
その声が聞こえると、青年は心底困った顔と大きなリアクションで
「イズ~!ギャグの説明はやめて~!!」
と叫んでいた。
私はその「若い女性の声」の方を見ると、服装は私のレース衣装に似た服装の「ヒューマギア」だった。
私は先ほどの事もあってビクッとしてしまったが、それを見た青年は、笑顔で
「彼女は俺たちの味方だよ。あ、自己紹介してなった!もしかしたら知ってるかもだけど、俺は飛電或人!」
「私は秘書のイズと申します。」
と自己紹介をされた。
(『飛電或人』…どこかで聞いた記憶が…)
少し引っ掛かることはあるが、まず自己紹介をしなくては…
「私はミホノブルボンです。」
と返すと、私の姿を見て或人さんは、
「君、もしかして『ウマ娘』!?丁度良かった!」
と高揚し、続けてこう質問してきた。
「俺、トレセン学園ってとこでがトレーナー業をするんだけど、場所や、まだ契約していないウマ娘とか…知らない?」
聞かれた以上、答える義務があると結論。
「…場所は私が案内します。まだ契約をしていない他のウマ娘のことは把握していませんが…」
少し言いよどみつつも、続けた。
「私は…まだ契約しているトレーナーが…存在しません。」
ただ、この発言をし終える前、正確には『しま』の時点で或人さんの声でかき消された。
「マジィ!?じゃあ、君のトレーナーにならせて欲しいんだけど!」
「…え?」
(思考停止…或人さんの発言の意図が理解不能)
。
「或人社長、お言葉ですが、そんな簡単に決めることは、ウマ娘にも我々にも不利益を生じる可能性が…」
そこで、イズさんが止める。私も自分の事を伝える。
「私には『クラシック三冠』の夢があります。ですが、私はスタミナ不足のため遂行は困難。他のトレーナーからも『短距離でなければ契約はできない』と断られています。ですので…」
そう断ろうとした。だが、反応は意外なものだった。
「それが、ミホノブルボンの『夢』なんだろ?だったら、余計トレーナーになりたい!一緒に『夢』、叶えようぜ!!」
(『夢』…私やお父さんの『夢』…)
「お前の夢を叶えられるのはただ一人、俺だ!」
夕焼けを背に言い放つ或人さんの表情や声は、お父さんと同じ『温もり』を感じた。
そのせいか、言い放った言葉に、説明できない『安心感』があった。
ふとイズさんの方を向くと、表情などに変化はないが、いかにも「やれやれ」といった雰囲気で
「或人社長が『叶えたい夢』ならば、止める理由はないですね。」
と肯定した。
そして、私も
(夢を叶えたい…)
そう思えてしまった。誰かからのオーダーではなく、自分の意思で…
「わかりました。あなたを私のトレーナー…『マスター』として承認。これからもよろしくお願いします、マスター。」
その言葉と共に、或人さん…訂正、マスターは、飛び跳ねながら
「いよっしゃあぁぁぁ!俺たち3人で夢に向かって、飛ぼうぜ!!」
と喜び、それを見たイズさんも微笑むような真顔のような表情で拍手した。
(私の夢はここから始まる…)
そのことで体中に熱が入るような気がした。
「よーし!トレーナー契約(仮)を祝して!
『ウマ娘』と一緒に勝利を『ホースガール』!
ハイッ、アルトじゃ~ナイト!」
「…今のは、『ウマ娘』と『ホース(ウマ)』、『ガール(少女→娘)』を『欲しがる』と掛けた少々無理のあるギャグですね?」
とイズさんが説明してくださったので、
「今のが『ギャグ』…新規データとして保存。」
保存を完了させ、
「イズ、説明ついでに辛辣な評価言うのやめて~!あと、ミホノブルボンは、真面目に記憶しないで~!!」
と悲痛な叫びをあげ、
私の…訂正。
『私たちの夢に向かって飛ぶ』日々が、始まった。
【次回予告】
次回、仮面ライダーゼロワン&ウマ娘!
「こちらが私の通う『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』、通称『トレセン学園』です。」
――或人、トレセン学園へ!――
「うぉ〜っ!でっけえ学校!!」
「飛電或人社長…いえ、今は飛電或人『トレーナー』とお呼びしたほうがよろしいですか?」
―ートレーナー生活の始まり!――
「まぁ、トレーナーのほうがこっちではしっくりきますよね、たづなさん!」
「気合い入れていくぞ、ミホノブルボン!」
「了解しました、マスター。」
第2話 輝くミライを君と見たいから