仮面ライダーゼロワン&ウマ娘  OtherWorlds  REAL×RACE   作:泥団子男

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或人の進退を懸けたメイクデビュー戦は、「スキル」を発揮したミホノブルボンの勝利で幕を閉じた。
レースを終え、エイシンフラッシュと会話をしていたミホノブルボンと或人、イズ。
エイシンフラッシュは、三人に「自身のトレーナーについての重要な話」をしようとする。
その裏で、エイシンフラッシュのトレーナーは、「黒コートの人物」によって、悪意に取り込まれてしまうのであった。



第6話 輝くキボウは君だけの強さ(前編)

エイシンフラッシュさんは、つぶやく。

「あなた達になら話しても良いかもしれませんね…」

マスターもそれに気がついたのか、即座に質問する。

「一体何を…?」

少しの沈黙の後、彼女はレース前以上に覚悟を決めた顔で話す。

「私のトレーナーが、『身の丈に合わない夢を否定し、無理な練習をするトレーナーを憎む』ようになった理由を…。」

エイシンフラッシュさんがその『理由』を伝えようとしたときだった。

 

「…!」

全身を走る悪寒。前にマスターの『ギャグ』を聞いたときの『風邪のような寒さ』ではなく、『私の回路全てがエラーを発生させたような震え』だった。マスターもそれに気がついたようで、おぞましい気配の方を向く。

 

レース場の出入口、やけに響く足音。

 

「…イズ、ブルボン、エイシンフラッシュ。避難してくれ。出来れば、観客や他のウマ娘も避難誘導してくれると助かるよ。」

そう言うとマスターは、ベルトを構える。

 

ただ、現れた存在の正体を見て、マスターは変身の準備を、私達は避難する足を、止めた。

 

「…オ前ノ…『身勝手ナ夢』は…破壊スル…!」

 

エイシンフラッシュさんのトレーナーだった。しかし、どう見ても通常の『ステータス』ではない。腰元には、マスターとは違うベルト。手には、『マスターの使うアイテムに半分がゆがんでひび割れた仮面のようなパーツがついたもの』が握られていた。

 

『ArkServants…』

 

そのアイテムを起動させ、ベルトに装填。

不穏なbgmが流れる。

 

「壊…放…ッ!」

 

ベルトのボタンが押され、キーから『破壊するための邪悪な力』が解き放たれる。

 

Raidrise…

 

トレーナーの足元に『赤黒い沼』が現れ、トレーナーの身体に纏わりつき繭のようになる。

 

ArkServants…

 

All for the Lord…

 

 

繭を破り、赤く染まった『人型のナニカ』か現れる。シルエットだけなら、マスターの『ゼロワン』に似ていたが、仮面は非対称になっていて、半分は『ゼロワンのような赤黒い仮面』、もう半分は『ヒューマギアの素体のような白い顔』であった。しかし、どちらも今にも崩れそうなほどひび割れていた。

『醜悪な化け物』と化したトレーナーはつぶやく。

 

「オ前ノ理想ヲ…否定シテヤル…殺シテデモ…!」

 

そんな恨みのこもった言葉に対して、マスターは静かに語りかけるように、しかし強い意志を込めて話す。

 

「お前に何があったのか、俺は知らない…。けど、少なくとも『そんな力』に頼ってまでやることじゃない。」

 

J U M P !

 

「変身!」

 

ライジングホッパー!

 

マスターは、いつもの蛍光色の『ゼロワン』に変身する。手には、前にも見た『カバンの剣』が握られていた。

 

「オ前…(ゴト)キガァァァァァ!!」

 

 

『トレーナーだったもの』は、叫びながら『赤黒いエネルギー波』を放つ。

 

マスターはジャンプをすると、上空で身体をひねりながら避けつつ、剣を振るって着地。剣に当たったエネルギーは、上空に向かい爆発する。

その後、着地後の体勢から相手の方まで一気に近づき低姿勢からの蹴り上げ。

空中で為す術のない『化け物』に追撃が決まる。

地に落ちた『化け物』から再び、赤黒い沼が放出され元のトレーナーの姿に戻る。

しかし、様子はおかしいままだった。

 

「お前の…戯言を…絶対に…認メナイ…ッ!」

 

 

そう言い残すと、トレーナーは、『朱い霧』を纏って姿を消した。

 

静かに変身を解除するマスター、呆然とする私やイズさん、地に膝をつきうなだれるエイシンフラッシュさん。

そんな沈黙の中、最初に口を開いたのはエイシンフラッシュさんだった。

 

「私の…トレーナーの話…まだ出来てなかった…ですよね…?」

 

震える声で、そう質問した。

今の状態で話せるとは思えない。

おそらく、私だけでなく、マスターも、イズさんもそう思っていただろう。

しかし、彼女は声の震えを抑え、語り始めた。

「トレーナーには、同じトレーナーでありライバルであるご友人がいました。そして、そのご友人さんの担当ウマ娘は、私の友達でした。」

淡々と話し続けるエイシンフラッシュさん。

「その私の友達は、元々中・長距離の適正がないのに、『私と競いたい』という一心で練習し続けました…。『あの時』までは。」

ここを機に、また少しずつ震え声になり始めた。

「彼女は…『私と模擬レースがしたい』と頼んできました…。『エイシンと戦えるぐらいスタミナも、パワーも付けてきた』と…。」

言葉の一つ一つから、『バッドステータス:【後悔】』を確認…。それでも、彼女は続けた。

「お互い、【差し】の作戦だったため、最終コーナーまで結果は分かりませんでした。最終直線に入ったとき、恐らくわずかな差で、私は彼女に負けていました…。ですが、ゴール寸前で…。」

一瞬、話が止まる。

 

「彼女は…足を…もつれさせて…倒れました…。」

 

押し殺した感情を少しずつ開放するような声。

「そのときに、彼女は脚を怪我して…レースで走ることが…出来なく…なりました…。そして、そのことがキッカケで、トレーナーの友人も…トレーナー業を…引退してしまいました…。」

まるで『自らの罪を懺悔する』ようだった。

彼女は…訂正。

『彼女達の誰も』が罪を犯した訳ではないのに。ただ、『夢を叶えたかった』ウマ娘と『夢を支えようとした』トレーナー、そして『その二人をライバルとして支えていた』二人。

ただ、それだけなのに。

「トレーナーは、不器用なだけなんです…!『無茶してほしくない。心配だ。』…ただ、それだけ言えれば良かったのに…!」

溢れ出る思い。

 

「私の…私のトレーナーを…助けてあげてください…っ!!」

 

『心からの願い』…私でも理解できるぐらい、心のこもった言葉だった。

 

「あんな横暴な対応をしたトレーナーのことで…不躾(ぶしつけ)なお願いなのは、重々承知しています!それでも…私の『唯一のトレーナー』なんです!!」

 

そんなエイシンフラッシュさんの言葉に、マスターは…

「…任せてくれ。君の言っていた通りの人なんだろうなっていうのは、よくわかったから。」

…やはり、マスターからは、『優しさ』があふれていた。

「ただ、少し準備する時間と、あの人がどこにいるかを探す時間が欲しい!エイシンフラッシュは、居そうな場所とか考えておいてくれないか?」

そう言うと、イズさんを呼び、二人で作戦会議のようなものを始めた。

「…って、今使える?」

「いえ、まだメンテナンスが終わってません。」

「じゃあ、…と…だけでもなんとかならない?」

「…ですか?わかりました。優先してその2つのメンテナンスを完了させます。」

「ありがと!」

私には何の話かは理解できなかったが、それが解決に繋がるのだろう。

私は、開催できるかわからない『初めてのウイニングライブ』のことを考えながら、自分にできることを探すことにした。

 

夕暮れ時

先程とは別のレース場を恨みと悲しみのこもった瞳で見つめる男。

 

「…やっぱり、ここにいたんですね。」

女性の優しい声色。

「エイシンフラッシュ…。」

彼の担当ウマ娘は、彼の行きそうな場所を、理解していた。

「トレーナー、あの子は…」

 

「ウルサイッ!」

 

『そんなことを望んでいない』という説得も彼の中で煮えたぎる怒りにうち消される。

「たとえ、お前でも…邪魔ヲスルナラ…」

 

ArkServants…

 

「壊…放…ッ!」

 

Raidrise…

ArkServants…

All for the Lord…

 

悪意がエイシンフラッシュに牙を剥く…。

その時だった。

 

「お前が『悪意』の矛先は、ただ一人…俺だろ?」

エイシンフラッシュの背後に現れる青年とウマ娘。

 

「もしも、私が『その子』なら、マスターのために頑張れたことに悔いはないはずです!」

私は、エイシンフラッシュさんの代わりに言い放った。

「ミホノブルボン…ヒデンアルトォォォ!」

目に見えて苛立つ『化け物』。

「お前を止める方法は、エイシンフラッシュと…『名探偵』が教えてくれたのさ。」

そう言うと、『金色に輝くアイテム』を取り出した。

 

マスターがここに着く前…

マスターは、その『金色のアイテム』で変身し、何か考え込むようにしばらく硬直していた。

マスター曰く、その間にこんなことがあったという。

 

マスターは、『このアイテムを作るために消えたヒューマギア』の意志を信じていた。

イズさん曰く、「その方の意識データは、入っていないはず」…だそうですが。

「(力を貸してくれ…『ワズ』…)」

もちろん、マスターがつぶやいた声に返答はない。

しかし、マスターには聞こえたそうだ。

(『真実』は、『見方』によって変わります。『その悲劇の登場人物』に直接聞いたら…どうです?)

その言葉がマスターに、解決策を思いつかせた…らしい。

「ありがとうな…『ワズ』…。」

虚空にまた、つぶやくマスター。

マスターは、やはり不思議な人だ。

 

そして今、そのアイテムを「彼の悪意を止める」ために使用する。

 

SHINING_JUMP!

 

Authorized…

 

『金のカギ』を天に浮かぶ鍵穴に差して回す。

鍵が開き、中から金の巨大なバッタが現れる。

 

「変身!」

 

Progrize!

The rider kick increases the power by adding to brightness!

シャイニングホッパー!

"When I shine,darkness fades."

 

金のバッタはマスターにくっつき、バッタの脚が尖った装甲になる。

「お前たちの『予定』を守れるのはただ一人…俺だ!!」

マスターは、『いつもの決め台詞をアレンジしたもの』を言い放った。

(後編に続く)




【お詫び】
「泥団子男」の「泡男」です。
一ヶ月以上もの間連絡もせず、投稿をお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。
体調などは問題なかったのですが、私の所用が少々立て込んでしまい、「アイデアはあっても、形にできずにいる状態」にありました。
一応、仕事にひと段落が付き、文章を書く時間も取れるようになったため、本日の「第6話(前編)」から投稿を再開させていただきます。
また、今まで「週1投稿」を目標にしていましたが「不定期投稿(週に1回以上投稿するときもあれば、全く投稿できない場合あり)」とさせていただきます。
恐らく「この投稿者はもう書くのをやめてしまったのだろう」とお気に入りから削除された方や、「勝手に失踪したくせに、急に「定期投稿にして復帰するのか」と不快に思われる方もいらっしゃると思いますが、「自分で考えた物語をちゃんと完結まで書き切ること」をどうしても果たしたいので、投稿を再開させていただきます。
今日まで「ゼロワン&ウマ娘」の投稿をお待ちして下さった方々には、本当に頭が上がりません。
こんな作者ですが、これからもご声援と作品のご愛読をよろしくお願いします。

【泡男】
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