ソードアート・オンライン アナザーゲート・プログレッシブ    作:たかてつ

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SAOです。
最終話です。
二〇二六年七月のお話。


050 最後の秘密

荒涼とした大地――傷ついた人々の輪の中心めがけ、疾駆する俺に合流する人影。

「遅すぎ――何やってたんだよ!?」

その不満そうな声に俺は、

「寝てた……普通だろ? ……」

 

 

瞬間――分裂した 《ストーカー》 の片割れに加速して斬りかかる。

「お久しぶり――」

馬鹿デカい包丁を受け止めた愛剣 《ヴェノムファング》 から激しい発光。

「Suck!! オマエまで来るとはな――」

横薙ぎの一閃を退ける――最高速の突き。

そのまま後方に回り込んで横一閃。煙のように消える。

……あっちはどうなった?

どうやら苦戦している模様。

即座に地を蹴った。

 

 

大鎌と包丁の鍔迫り合いに後方から突進する。

右手を大きく振りかぶる――迸る赤い光。

「おりゃっ!」

投げつけた 《ヴェノムファング》 はフードをかすめる。

後方に退くのを目視して、俺はそのまま 《ストーカー》 に突進した。

「バカか、てめえは――」

にやりと笑い、黒光りする包丁を振り上げた――

……馬鹿はお前だよ。PoHさん。

ふいに目の前に投げ込まれた直剣を左手で掴む。

轟音を響かせ、血色の閃光――

「な、……」

ゆっくりと立ち上がると、俺はすっと振り向いて、

「左利きなんだよね……ごめんな、PoH」

大鎌が振り下ろされた瞬間、薄気味悪い色の煙は風に漂い、拡散した。

 

 

雨が降り出した――

俺は大鎌の背中を追う。

アスナの前で立ち止まると、

「私が絶対守るって……バカのせいで、ちょっと、遅くなったけど」

その美しい抱擁を横目で見ながら追い越す。

「遅いよー、シュウ……」

にこにこした化け猫と、ぱんっと右手を合わせ、そのまま歩くと背後から、

「絶対、お前ェは来るって……じゃあな!」

……こういう時だけ頼りにされても困るんですけど。

俺は振り返らず右手を上げて、その場を後にした。

 

 

人々の輪の中心から緑色の光が飛び立つと、同じ色のマントを纏った人影が、ゆっくりと近づいてくる。

 

 

「ほんとに、ぎりぎりだった――絶対、無視しようと思っていたでしょ?」

 

「…………」

 

「あれだけ……まあ、来なかったら全部しゃべってしまえって思ったけど……ふふっ」

 

「……そうすると思ったから、来たんですけど……朝、早すぎるだろ、まったく」

 

「でも、間に合って、本当に良かった……ありがとう、シュウ……」

 

「いえいえ、どういたしまして……」

 

 

俺が右手を差し出すと、その細い指が絡まる。

 

 

「で、どうやって帰るんだ……あっちに?」

 

「さあ? ……ログアウトも出来なそうだし……死に戻りかなー?」

 

「えー……痛いんだろ? この世界……それは嫌だな……」

 

「ほら、これで、すぱっとしてあげるよ。ふふっ……痛くないよ、大丈夫」

 

「…………」

 

「まあ、帰れなかったら、こっちで約束守ってもらうってのも、ありかなー」

 

「…………」

 

「ほら、そうすれば、もう犯罪者じゃなくなるよ。グリーンにもどれるじゃない……」

 

「……あのさ、お前……早く彼氏、つくれよ、」

 

「秀、可哀想だから通報しないであげたんだから、ちゃんと感謝しようよ。ふふっ、あはは」

 

「……そうっすね。深澄さん、ありがとうございます」

 

「でもなー……子供生まれちゃったら、さすがに……」

 

「だから、彼氏、見つけなさい。俺なんかと遊んでないで……」

 

「そうだね……あっちに戻れたら、考えてみるよ――」

 

 

(終わり)




第1話の最後から2行目――これが、この物語の全て、です。ごめんなさい。

このお話の原点は、SAOアリシゼーションのリズベットさんの演説でございます。

本物とは何か――

それが、現実と仮想の真実を描くきっかけとなりました。

原作に満ち溢れる美しき世界とは裏腹な、人間の業を書いてみたいと……

それで、こんな救いようのないオチになってしまい……本当にすいません。ごめんなさい。

1話から全て読んでいただいた方、ありがとうございました。

1話だけでも読んでいただいた方々、ありがとうございました。

最後に次回作、すぐに執筆をはじめる予定です。

SAOしか分からないので、またSAOになります。ごめんなさい。

とりあえず、タイトルは 《SAO -GRAVITY-》 と、なる予定です。

次はちゃんと冒険する物語……書けたら良いなあ……です。ごめんなさい。

《SAO AGP》 読んでいただいた方々、本当にありがとうございました。


たかてつ
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