ゲーム・オブ・ドローンズ—椅子取りゲーム—   作:生き残れ戦線

7 / 12
第六話 準備

翌日、蔵人は朝から家を出た。

本当なら偉大なクリエイターに喪に服したかったがそうも言ってられない。

食料は有限だ。今日の内に準備を進めなければならない。

目標は黒蟻の討伐だ。

アレを破壊しない事にはこの町に平和は訪れない。

誰もやらないから俺がやるしかないだろう。

 

蔵人は商店街にほど近い通りまでやって来た。

今日は百貨店に用はない。

というかまだあの黒蟻が居る可能性が高い以上は無理に入る事が出来ないのだが。

なので今日の目的はここだ。業務用工具店『HAL(ハル)』。

その看板を見上げていた俺は無人の店に入って行った。

中には様々な大中小の工具やアイテムが置かれている。

日曜大工のお父さんなら大興奮間違いなしだろう。

荒らされている様子もない。

 

蔵人はそれを見て問題ないなと判断する。

これなら黒蟻を倒すための道具を作れる。

さっそく俺は道具作りに着手した。

 

まずは道中歩きながら拾ってきた空の空き瓶を並べる。

それにオイルを流し込んでいく。

ほどほどまで入れると密閉加工して布で栓をする。

簡単な火炎瓶の完成だ。それを計三つ作る。

 

次にまきびしを作る。簡単だ。

鉄くぎをペンチで曲げるだけでいい。

工房には幾らでもあるからな大量に作っておいた。

 

とりあえず釘バットも作っておいた。

完全にノリである。偶然スポーツ用品店もあったので忍び込んでバットをかっぱらってきた。これから必要になるからな。ランニングシューズや下着も拝借してきた。

それにあたって正体を隠すための黒マスクも作った。

泥棒する時はこれを使う。

やってる事は完全に犯罪だからな。

黒蟻を倒す為とはいえ。仕方がないのだ。

 

さて最後の準備だ。

猫車にセメント袋を入れていく。

水を入れるだけで固まる仕様のインスタントコンクリートだ。

手間と時間をかけずにコンクリートを作れるのだ。しかし割高だ。

こんな時は金の事は全く気にせず何袋も入れてやった。

忘れずにスコップとホースも入れる。

おっと忘れるところだった。電動鋸をバックに詰める。

これでやれるだろうか?

いや、やるしかないんだ。この手札だけで黒蟻を破壊する。

 

「.....ん?」

 

どこか遠くの方で爆発が起きた。

警察だろうか。

もしかしたら誰かが戦っているのかもしれない。

黒蟻が近くに居る可能性も高い。

 

慌ただしく蔵人は猫車を運んだ。気づけばもう昼だ。

急がないといけない。

場所はここから20分弱の所にある自然公園だ。

そこは土と水に恵まれている。

やるならそこしかない。

幸い警戒していた黒蟻との遭遇はなかった。

 

自然公園に荷を降ろして準備を進める。

スコップを手に取り地面を掘っていく。いい筋トレになるが、かなりの重労働だ。

半分ほど進んだ所で汗が止まらない。

それでも手は止めずに進めていく。

 

ほどなくして小さな堀が出来上がる。

その中にセメントを放り込んでいった。

全て投げ入れると次にホースを近くの蛇口に取り付ける。水は流さない。

これで準備万端だ。あとはシートを被せて盛り土で痕跡を隠せばいい。

即席の落とし穴の完成である。

 

蔵人の計画は実にシンプルだ。

黒蟻をおびき寄せて落とし穴に落とそうと云う訳だ。

だがその為にはおびき寄せ役の足が必要だ。

そこが不安材料だ。俺の足で黒蟻を誘い出しながらここまで誘導できるだろうか。

 

一応彼女に頼んでみるか。

もし無理そうなら俺一人でもやるしかない。

長距離走はちと苦手だが。

 

蔵人は考え。

 

「ま、何とかなるだろ」

 

と楽観的であった。

その日が長い一日になるとも知らずに。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。