「――ん」
目が覚めたらベッドの上だった。周りを見る感じ保健室?
「目を覚ましたかい」
部屋の奥から杖を突いた老婆…確かリカバリーガール、だっけ?全くと言っていいほどの”シロ”だからあんまり覚えてないけど入試の実技試験後にけが人への案内でそんな名前を見た気がする。
「はい。えっと、アレからどうなって、どの位経ちました?」
「あの襲撃からは大体3時間と少しってとこだね。お前さんが倒れた後、オールマイトが急いでここまで運んだって訳さ。目立った怪我人はイレイザーと13号くらいで他の生徒は全員帰らせた」
「ありがとうございます。そうでしたか…」
取り敢えずみんな怪我なくて良かった。
「嬉しそうな顔をするね。だけどお前さんが1番みんなを心配させたんだよ。あの脳無とかいう敵にいつの間にか何かされたんじゃ無いかってみんな帰りたがらなかったけどただの疲労と軽度の栄養失調と説明したらなんとか帰ったくらいにね」
「それは…ご迷惑をお掛けしました。あの敵と相対するのはやはり内面的にはとても緊張していたんだと思います。足止めするために個性を使い続けましたから」
きっとそれだけじゃないが今はあとでいい。
「今後は気を付けなよ。…さぁ、目立った怪我はないしもうお帰り。しばらくは栄養に気を付けな」
「はい。ありがとうございました」
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普段通っている道より少し遠回りをして大通りに沿って帰路に就く。
「ただいまぁ」
「おかえり、あじみ」
「ん、兄さん今日はこっちなんだ」
”占い”という個性で占い師になり数年前から1人暮らしを始めた兄、楓・ポルナレフが帰省していた。ちなみに父と母が海外を飛び回っているから保護者としての諸々を請け負ってくれている。
「本当はもうしばらくは帰る予定はなかったんだけどね。雄英襲撃が速報で出て心配だから急遽だよ。実際そのあと学校から連絡来たし不安だったけど目立った傷とかなくって良かった」
「それは心配かけたね。ごめんなさい。明日色々話すから今日はもう寝かせてもらうね」
「ああ、おやすみ。騎士さんにもよろしく言っておいてくれ」
「ええ」
兄はあたしの秘密を知っている。そして、あたしのスタンドを見ることが出来るただ1人の理解者だ。
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『それじゃあ騎士さん。あの黒くなったチャリオッツはなに?』
シャワーだけ済ましたあと、あたしは今日起こった出来事の中で1番不可解なことを聞いた。
『…以前から君のスタンドの扱い方の上達が想定以上に速いことが気になっていた。それ自体は歓迎すべき事だから君の才能だろうと今まであまり気にしてこなかったが2年ほど前に1つの推論が立った』
『推論?』
『私の存在、もっと言えば≪魂を支配する矢の力と一時的とはいえ一体化した存在≫がチャリオッツの操作を円滑にしているのではないか、とな。矢の影響であじみとチャリオッツの間に起こり得る精神的な歪みを円滑にしていると思われる。そして矢の力の一端そのものとなっていた私なら矢が無くともレクイエムの片鱗の片鱗程度なら発動できるのではないかと考えてはいた。だがディアボロの様なレクイエムが必要な敵などまずいない。今日の件も本来ならこの力を使うことは無かったハズだが…』
煽られたと感じたっぽい爆豪くんに邪魔されて必要に駆られた、と。
『それが発動した結果、黒くなって剣が無くなるのね』
『ああ。それを発動しているときはチャリオッツは何もできなくなる。おまけに本体への負担がすさまじい。疲労と軽度の栄養失調はそのためだ。』
あたしのダメージはほとんどそのレクイエムの影響ってことね。そのレクイエムの力って言うのは対象は1人だけになるのかな?
『あともう一つ重大なことがある。戦闘に入る前から遠くの声や音が聞こえたことだ』
ああ、そういえばそんなこともあったね。レクイエムのことが衝撃的過ぎてすっかり忘れてた。
『結論から言うとおそらくチャリオッツの能力だろう。生前に光速で鏡から鏡へ移動していたハングドマンを捉えたり5枚のコインと炎を同時に貫けたのは私の視力に寄るものだが、それは元々私の視力が良いのだろうと漠然と考えていた。だが、君が遠くの音を拾えるのなら”五感強化”と言うべき能力がチャリオッツに備わっているのだろう。視力の代わりに聴力が君は強化されているわけだ』
『でも、今まで遠くの音が聞こえたり周りが普通の状態でうるさいと感じたことはないよ?』
『恐らく今回の襲撃があじみの人生にとって一番命に関わる事件なため生存本能に呼応して開花したのだろう。帰りに騒音が負担にならず今まで忘れていた事から普段は発動せずに気を張ることで発動されるのだろう』
直前に聞いた内容のせいで凄さがあたしの中で少し薄れているけど、しっかりと考えるととんでもないことだと思う。戦闘モードに頭を切り替えれば不意打ちがほとんど効かなくなる上に音によるエコーロケーションじみたこともできるから見えない敵の確認や戦場の把握ができるすごい能力だ。
『いくつか聞きたいんだけどまず――』
この後気になったことを色々聞いてすぐに寝た。
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朝起きたら2人やクラスの人達から沢山連絡が来ていた。多分昨日だとまだ起きないとリカバリーガールから言われていたのだろう。
「……言う、か」
もう言ってしまおうか。今回の件や騎士さんの人生のように、意図しない事故や不運なんて人生のそこら中に転がっている。その中でもしあたしに何かあった時あの2人に秘密にしたままでいたくない。小学校までは騎士さんと話すのが楽しかったし騎士さんの事を聴いてからはスタンドの制御のために友達を作らなかった中で2人も出来たんだ。誠実でいたい。何より知っていて欲しい。
そう思って早速2人に連絡してすぐに会う事にした。場所は個室形式の喫茶店。偶々見つけたけど一目では分かりにくいこの場所なら他の生徒がいることも無いはず。
「ごめんね2人とも。遅れちゃった」
「ううん、そr「それより!昨日大丈夫だったの!?怪我とかは?」
希乃子ちゃんは心配してくれて声を荒げてくれる。支配くんも声こそ普通だけどあたしを気遣ってくれてる様子がひしひしと感じられる。
「うん、昨日言われたと思うけどあたしは単なる疲労だから全然大丈夫」
「じゃあ大事な話って……」
「それはあたしより説得力のある人に語ってもらう方が良いかもね」
「「???」」
あたしは目を閉じ、求める。
『よろしくお願いします。騎士さん』
『ああ、任されよう』
あじみの身体が
「………」
成長しきった彼女がゆっくりと瞳を見せる。
「あの……?」
「…私の名前はジャン=ピエール・ポルナレフ。二重人格者であるあじみのもう1つの人格、というのが近しいのかな」
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あじみ・ポルナレフ――つまりあたしの一部としてこの世界に存在する「騎士さん」ことジャン=ピエール・ポルナレフは医学上は先天性の多重人格という分類になる。このことは両親と兄、父の仕事の関係で知り合った友人しか知らないこと。そして今しがた話し終えた騎士さんの前世やスタンドに至っては現状兄しか知り得なかった秘密。
「なぜそれを僕たちに?」
「それは決めた本人から聞いたほうがいいだろう」
支配くんの質問に騎士さんはそう返して身体の主導権をあたしに返す。それと同時に身体も元の身長にまで戻った。
「それは、あたしがそうしたかったからっていうのが1番大きいかな。ここまで仲のいい友達が出来たこと無かったし、口が硬い確信が持てなかった。でも、2人になら話しても絶対に広まらないって思ったし仮に2人で話してるところを聞かれて広まっても後悔しないって思ったから。それに何より、一生仲良くしたい友達に隠し事はしたくないから。」
「…………」
「改めて、2人ともこれからもよろしくね」
「「……うん!!」」
その割に少ないし薄くてごめんなさい。オリジナルの難しさを再認識。
誤字報告ありがとうございます。何度見返しても気づかないことなので本当に助かっています。
あと感想とか貰えると嬉しいです。
ではまた次回
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜』編、読みたいですか? (2作目以降の映画は自分は他の方の小説でも見たことが無く、時系列が曖昧なのでまたその内調べ、適宜アンケート取ります)
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