苗木誠の奇妙な冒険~バレット・オブ・ホープ~   作:ナナシのG愛好家

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皇帝の拳銃と、真実

「この矢で傷をつける、それの何がまずいんだ? 言ってみろ、」

 

 矢をクルクルと回転させながら、shadow君は、そう言ってモノクマをにらみつけた。

 すると、モノクマは、がっくりうなだれて、

 

「あ~、もう。ほんっとにやになっちゃうな~も~。」

 

 と、腕を組んで言った。

 

「これは、君たちの命を危うくする物質だから、学園長として管理してたっていうのに、」

 

 と、言った瞬間、shadow君がいや、他の皆が倒れだした。

 

「な、なにが…………グッ!?」

 

 僕にも唐突に、心臓を貫くような痛みが来て、床に倒れこんだ。

 

「ボクは知らないよ? この矢は、傷ついた人に、二種類の道を提示するのさ。」

 

 と、怪しげな笑みを浮かべて言う。

 

「残念だけど、みんなは選ばれなかったみたいだね。ま、何人か選ばれても、全員選ばれるなんてありえないけどね~。ブヒャヒャヒャ!!」

 

 と、高笑いを上げる。

 

「き、貴様…………。」

 

 shadow君が憤怒の形相でこっちを睨む。するとモノクマは、

 

「ま、この中の誰かが生き残ったら、視聴覚室においで。 いいものを見せてあげるよ。」

 

 という声とともに、僕の視界は真っ暗になった。

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「う…………。」

 

 そして、次に目を覚ました時、真っ白な天井が、視界に入った。

 

「ここは…………。」

「よう。あんさん、目が覚めたようで何よりだぜぇ。」

「ッ!!」

 

 声がして、驚いて振り向くと、そこにいたのは、西部劇のカウボーイみたいな服装をした男。

 

「あ、貴方は…………。」

「ホル・ホース。俺の名前だぜぇ。」

 

 そう名乗って、咥えたタバコに火をつける。

 

「あんさん、名前はなんていうんだよ?」

「え? あ、苗木誠です…………。」

 

 そう言って一礼すると、

 

「素直なガキンチョだぜぇ。」

 

 と、笑みを浮かべた。気に入られた…………のかな?

 

「あんさん、何があったのか、思い出せるか?」

「何が……あったか? ッ!! そうだ!! 矢の傷で、確か、モノクマが『選ばれる』とか言ってて、皆は!?」

 

 そう聞くと、

 

「安心しろォ。あんさんと一緒に食堂にいた奴は、みんな生きてるぜぇ。」

 

 と、笑顔を向けてくれた。

 

「え!?」

「あんさん、あの矢に関して、どれくらい知ってるよ?」

 

 驚く僕に、ホル・ホースさんはそう質問を投げかけてくる。

 

「矢、矢ですか………? ほとんど知りません。」

 

 そう答えると、

 

「俺も、詳しいことたぁ知らねぇのよォ。それを踏まえて聞いてくれ。

 あの矢にはよォ、【スタンド能力】っつう、特別な力を目覚めさせるちからがある。」

「す、スタンド能力?」

 

 な、なにを言っているんだ? この人は。それって、皆の【超高校級の才能】とは違う、僕の好きなゲームや、漫画の中に出てくるようなパワーが、現実にあるってことなのか!?

 

「あんさんが今、ここで生きていて、俺がいるってこたぁ、あんたは矢に選ばれたってことだ。

 ここで念じてみれば、出てくるはずだぜェ。あんさんの、スタンドがよォ。」

 

 念じれば…………出てくる? と、とにかく、やってみよう。

 

「え、えいッ!!」

 

 そう言って、とりあえず念じてみる。すると、確かに感じた。僕の胸の中にある、何か、漠然とした力を。そして、右手に少し重みのある感覚。

 右手を目の前にやってみると、

 

「け、拳銃!?」

 

 見たことがない…………というか、明らかに普通の拳銃とは違う形をした拳銃を、僕は握っていた。

 

「これが、スタンド? そもそも、こぶしを握っていいたはずの僕は、なんで拳銃を持ってるんだ!?」

 

 混乱してオロオロする僕に、

 

「そいつは、本能だろうぜェ。」

 

 と、ホル・ホースさんは声をかけた。

 

「ほ、本……能?」

「おうともさ。あんさんのスタンドは、あんさんの精神そのものだぜェ。つまり、あんさんは、本能でこの能力の使い方をわかってるってことさァ。」

「だから、自然と拳銃を握る形をとった…………。」

 

 と言うと、ホル・ホースさんは呆れた顔をして、

 

「あんまり拳銃拳銃言ってやるな。そいつはタロットカード四番目のアルカナを暗示するスタンド、『皇帝』(エンペラー)だぜェ。」

 

 と、言ってきた。皇帝(エンペラー)?

 

「な、なんで、ホル・ホースさんが、僕のスタンドの名前を?」

 

 と、聞くと、

 

「そりゃぁ、俺はそのスタンドの前の持ち主だからだぜェ。」

 

 と、答えた。 前の……持ち主?

 

「あんさんは、この俺のスタンドを継承したのさ。だから、ここに俺がいる。」

 

 どういう…………ことだ?

 

「ここは夢の世界だぜェ。ここには、俺とあんさんの精神だけが存在している。」

 

 だから、こんな真っ白で殺風景な空間なんだぜェ。と、ホル・ホースさんは続ける。

 

「コイツの力と能力は、あんさんの精神に叩き込んでる。起きれば、使い方がわかるはずだぜェ。」

 

 と言って、扉を指さす。部屋にあった扉は、いつの間にか開いていた。

 

「え、ちょ、ちょっと!?」

「さ、行きな。あんさんの仲間もそろそろ起きるころ合いだぜェ。」

 

 と言って、二本目のたばこに手を付ける。

 

「ぼ、僕はまだ、聞きたいことが、」

「答えられることは何もないぜェ。」

 

 僕の質問を、ホル・ホースさんはそう言ってはねのける。

 

「…………また来ます。」

「おう。待ってるぜェ。」

 

 僕の声に、ホルホースさんはそう答えた。その言葉を背に、僕は扉の奥、白い部屋の外へと出て…………

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「う…………。」

 

 僕は、食堂で目を覚ました。

 

「苗木君!! 大丈夫ですか!?」

 

 そして、舞薗さんに声をかけられた。

 

「あ、ま、舞薗さん…………。」

「よかった。みんな目を覚まして、後は苗木君だけだったんです。」

 

 と、笑みを浮かべて教えてくれた。

 

「み、みんな!? みんな無事なの!?」

 

 勢いよく起き上がって舞薗さんに質問すると、

 

「言っただろう。倒れていたのは貴様が最後だと。」

 

 と、声がした。

 

「うわっ!? しゃ、shadow君…………。」

 

 背後にいたのはshadow君だ。全く気が付かなかった…………。これが、【超高校級の殺し屋】の実力…………。

 

「そんなに驚くな。モノクマは全員生き延びるのはありえないと言っていたが……ありえない、というのはありえない。…………よく言ったものだな。」

 

 あたりを見回してみれば、皆、ちゃんと居る。

 

「まったく。そもそも、お前が余計なことをしでかしてくれたからだぞ。」

 

 と、shadow君に十神君がにらみを利かせる。

 

「フン。その結果、貴様が手に入れた力は余計なものだったのか?」

 

 と、問いかけると、

 

「お前の体で試してやろうか。」

 

 と、二人の体からオーラのようなものが立ち上る。すると、

 

「止めろ!!」

 

 という声とともに、ドン!! という音がした。

 そっちの方向を見れば、大和田君が殴りつけた机は、放射状に大きなひびが広がっていた。

 

「お、大和田クン!!」

「止めたまえ!! 机に失礼ではないか!!」

 

 不二咲さんと石丸君が止めに入る形で大和田君の肩を抑えるけど、

 

「悪い。ひとこと言わせてくれ。」

 

 って、大和田君は二人に断って、

 

「お前ら二人、そんなことしてる場合じゃねぇだろ。」

 

 と、言って、shadow君と十神君ににらみを利かせた。

 

「何だと? 僕に指図をするな。」

 

 と、十神君がにらみを利かせるけど、

 

「今仲間割れしてる場合かよ。その前に、まずはモノクマを何とかするべきだろ!!」

 

 という正論に、黙り込んでしまう。

 

『視聴覚室に来い、とか言ってたよね。』

 

 という機会音声は梔子さん。

 

「行ってみるしかねーんじゃねーの?」

 

 と、桑田君も言う。

 

「でも…………何が待ってるのかな?」

「少し、いや、かなり不安だべ。」

 

 と言うのは、朝日奈さんと葉隠君。

 

「安心しろ。いざとなれば、我が。」

 

 というのは大神さんだ。

 

「ともかく、行かないことには始まりませんわ。」

 

 という、セレスさんの鶴の一声で、全員で全員で視聴覚室に向かうことが決まった。

 

「うん。そうだね、セレスさん…………ッ!!」

 

 ふと、さっき大和田君の叩いた机を見て、僕は目を見張った。あれだけ大きかった放射状のひびが、消えていた。

 

「どうしました? 苗木君。」

 

 舞薗さんにそう聞かれて、僕はとっさに、

 

「ううん。何でもないよ。」

 

 と答えてしまった。とりあえず、モノクマのもとに行くのが優先だ。

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「で、来てみたはいいものの………」

 

 と、小池君が口を開く。

 

「何もいねぇじゃねぇか!!」

 

 そう。大神さんと大和田君が扉をぶち破って突入したが、そこには何も無かったんだ。

 

「ど、どういうこと?」

 

 小森君がうろたえる。その瞬間、

 

『やぁ、諸君。』

 

 モノクマの顔が、正面のスクリーンいっぱいに現れた。

 

「モノクマ!!」

『あ、初めに言っておくけど、質問には答えられないよ。コレ、録画だから。』

 

 と、手をひらひらと振るう。録画…………?

 

『だから、君たちのうち何人が生き残ったかなんて、僕は知らない。もしかしたら、一人しかいないかもしれないけど、ボクはあえて、君たちって呼ばせてもらうよ。』

 

 うぷぷぷぷ~と、癪に障る笑い声でそう言う。ギリッ!! と、shadow君が奥歯をかむ音がした。

 

『生き残った運のいい君たちには、これを見せてあげよう。VYR、スタート!!』

 

 と言って、モノクマがボタンを押した。そして、流れてきた映像に、皆が驚愕した。

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「馬鹿な…………。」

 

 信じられないかもしれないけど、これは十上君がこぼした言葉だ。でも、それ以上に僕が信じられないのは、今流れた映像だった。映像の手前に移っていたスーツ姿の人からの説明みたいなのを聞いた後なのだろう。もしかしたら、この学園の中で一生を終えることになるかもしれない。そんな条件に、僕たち全員が同意していた。

 shadow君だけは、しぶしぶだったけれど。

 

「こ、コイツは…………どういうことだ!?」

 

 大和田君が声を荒げる。そしたら、モノクマの顔がまた出てきて、

 

「君たちは、今、自分が何歳か、わかるよね?」

 

 というのは、モノクマの言葉だ。年齢はもちろん、高校に入ったばっかりだから、15歳だ。

 

「おれっちはダブって二十歳だべ。」

 

 というのは葉隠君の言葉。アハハ…………。

 

『実際はね、君たちの考えのその二歳上。』

 

「「「「「………は?」」」」」

 

 ぼくたち全員の声が、重なった。

 

『君たちが希望ヶ峰学園に入学してからね、世界が変わったの。』

 

 と、ひょうひょうと答える。

 

「世界が、変わった…………?」

 

 不二咲さんが、驚いたような表情をして、

 

『そう!! 人類史上最大最悪の絶望的事件のせいでね!!』

 

 と、両手を高々と上げたモノクマの次にビデオに映ったのは、世紀末だった。

 

「「「「ッ!!??!?!?!!」」」」

 

 モノクマ型の巨大ロボが、大きなビルを破壊している。モノクマの被り物をした暴徒が、色々な物を壊している。人を…………殺している!!

 一人の暴徒が車を叩き、あたりには炎が広がっている。それを見たところで、梔子さんが倒れた。

 

「梔子さん!?」

 

 屈んだ舞薗さんが梔子さんのそばによる。

 

「呼吸が荒い…………。」

「パニック状態だ。」

 

 そうしたら、shadow君が近くによってそういった。

 

「え?」

「以前、似たような症状を目にしたことがある。梔子はよその部屋で一旦落ち着かせ…………」

『だいじょうぶ』

 

 マスクから声が出る。左手で喉を抑えて、右手でスマホを動かしている。変換もしていないみたい。

 

『だいじょうぶ…………だから…………これをきかせて』

 

 呼吸もだんだん落ち着いてきたみたいだ。でも、この映像に皆騒然としている。

 

『だから、君たちはこの学校をシェルターにしたの。窓や扉のロックは、皆がしたんだよ? 必死でね。』

「だったら…………。」

 

 なんで、僕たちがそれを覚えていないんだ!! そう言おうとしたら、

 

『何で君たちがそれを覚えていないのかって?』

「ッ!?」

 

 僕のセリフを先取りされた。

 

『簡単なことだよ。ボクのスタンドの力で、君たちの記憶を奪ったのさ。』

 

 と言った。

 

「なっ!?」

『あ、その記憶が入ったDISCを、皆の顔のプリント付きケースに入れて、段ボール箱に詰めておいてあげたよ。ボクからの卒業記念とでも思ってね。』

 

 と、僕たちに言った。見てみれば、真ん中の机には確かに段ボールがあった。ずっと映像に気を取られて気が付かなかった…………。

 

『五分待つから、DISCを頭に押し当ててごらん?思い出すから。』

 

 言われてる間に、桑田君と小池君が段ボールを開けて、皆にディスクケースを配っていた。僕に回ってきたディスクケースの側面には、僕の顔がプリントされている。皆もそれぞれのケースを開けていた。中に入っていたのは、何の当たり障りもない金属製のディスク。恐る恐る頭に当ててみると、そのディスクは僕の頭に吸い込まれて行って、

 

「ああっ!!」

 

 僕は思わず声を上げた。皆も、似たような反応をしている。思い出したんだ。唐突に、皆との記憶が…………。

 

 ムードメーカーだった舞薗さん。

 その舞薗さんと仲の良くて、なんだかんだで野球を捨てきれない、妹想いな桑田君。

 口うるさい十神君。

 その十神君にベタ惚れな腐川さん。

 そして、腐川さんがくしゃみをすると入れ替わる、超高校級の殺人鬼、ジェノサイダー・翔。

 何時も孤高な雰囲気を醸し出すshadow君。

 火がトラウマだと教えてくれた、梔子さん。

 一緒によくドーナツを買いに行った、朝日奈さん。

 そんな朝日奈さんとよく一緒にいた、大神さん。

 怖いけど、仲間のためならどんな危険だって顧みない大和田君。

 その大和田君に、憧れの目を向ける不二咲さん。

 なんだかんだでこの二人と仲が良くて、『兄弟』と呼ぶくらい大和田君と親友な石丸君。

 切れると豹変する、実は餃子好kじゃなかった紅茶以外は認めない主義のセレスさん。

 そのセレスさんにひどい目にあわされながらもまんざらじゃなさそうな山田君。

 意外といじられキャラな小池君。

 二年間たっても、タブレットとロボット越しに会話しようと徹底する小森君。

 意外と勉強ができて達筆な葉隠君。

 そして…………。

 

「霧切さん…………。」

 

 二年間と数か月の生活の中で、はるかに思いを寄せていた、【超高校級の探偵】。

 

「…………どうやら、私たちは、あってから数日なんて関係じゃなかったみたいね。」

 

 どうやら、霧切さんも…………思い出したみたいだ。それと、もう一つ、

 

「江ノ島さん…………いや、君は…………。」

「…………。」

 

 反対の手で二の腕を握って青い顔をしている人…………江ノ島さん。いや、あの時、江ノ島さんは、雑誌に移っている自分との顔の差は、ソフトを利用して盛ってるからだと言っていたけど、本当の江ノ島さんを思い出した………本当の江ノ島さんと、この人は違う。そして、この人は、今まで記憶に消えていた、もう一人のクラスメート…………

 

「戦場…………クン。」

 

 彼女と親しかった石丸君が、その名を口にした。

 

「ハァ。」

 

 すると、彼女はため息をついて、自分の頭に手をかけて、無造作にウィッグを取り払った。現れたのは、黒髪。

 

「そうだよ。ゴメンね。今までだましてて。」

 

 いろんな所の戦場を渡り歩いた、超高校級の軍人、戦刃むくろの姿が、そこにあった。

ジョジョ味 出てた?

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