苗木誠の奇妙な冒険~バレット・オブ・ホープ~   作:ナナシのG愛好家

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極悪中隊の奇襲

「戦刃君!? なぜ君が、江ノ島君のふりを!? そもそも、江ノ島くんはどこに!?」

 

 石丸君が、そう声を上げる。

 

「……お姉ちゃんに、そう頼まれたから。」

「何っ!?」

 

 つまり、これを命令したのは、江ノ島さんってこと?

 

「どういうことだ戦刃君!?」

「落ち着け兄弟。」

 

 逸る石丸君に、大和田君が肩に手をのせる。

 

「何にせよ、オメーには聞かなきゃいけねぇことが出来たっつーことだよな。」

 

 と、睨みを利かせる大和田君。

 

「……答えることは、無い。」

「そうかよ。だったらよぉ、」

 

 そういう大和田君の背後に、人型の何かが現れる。あれが、大和田君のスタンド?

 

「悪いが殴りつけて聞かせるしかねぇみたいだな!!」

 

 そんな言葉と共にスタンドの拳が戦刃さんを襲おうとしたとき、何かが光ったように見えた。

 

「ッ!! 危ない兄弟!!」

「なっ!?」

 

 そして、そこに飛び出した石丸君の胸に、

 

「ぐあぁっ!?」

「兄弟ーーッ!!」

 

 無数の穴が開いて、石丸君が倒れこむ。彼の真っ白な学ランが赤く染まる。

 

「あ、あそこ、なんか、小さい物が動いてるよぉ!!」

 

 声を上げた不二咲君が指をさした先。視聴覚室の壁のでっぱりのところに、確かに何かがいたように見えたけど、すぐに消えてしまった。

 

「まさか……、アレが戦刃君のスタンドか? …………うっ!!」

「馬鹿野郎!! 腹をやられてるのに喋るんじゃねぇよ!!」

 

 苦しそうな表情を浮かべる石丸君に、大和田君が近寄る。

 

「直せ、クレイジー・ダイヤモンド!!」

 

 そして、大和田君のスタンドが石丸君のおなかに手を当てる。すると、石丸君の傷がふさがって、学ランの血も、綺麗に消えた。

 

「すごい、これが大和田君の能力?」

「おう。俺のクレイジー・ダイヤモンドは物を直す力だ。」

貴方(暴走族)には似合いませんわね。」

 

 セレスの皮肉に、

 

「ンだとぉ!?」

 

 と、反応する大和田君。すると、

 

『あ、そんな絶望世界に残されたオマエラに朗報です。』

 

 と、モノクマがまたしゃべりだした。

 

『ここの空気清浄機は今は正常に作動してるけど、予備電源を壊しちゃったから、その内さ銅が止まっちゃうよ。直すんなら早くしてね~。』

「何ィーッ!!」

 

 それに桑田君が声を上げた。

 

「マジかよ、大和田!!」

「おう。クレイジー・ダイヤモンドで直してやらぁ。不二咲、一人じゃ何かあった時に対処しずらいからよぉ、手伝ってくれや。」

「うん!! 任せて!!」

 

 と言うと、兄弟はおとなしくしてろよ!! 病み上がりなんだからな!! と、くぎを刺してから二人は走っていった。

 

『あと、お前らに言いお知らせです!! ボクがシェルターのプログラムを弄っちゃったから、1日1回、希望ヶ峰学園には暴徒たちがなだれ込んでくるよ!!』

「マジかべ!?」

 

 青ざめる葉隠君。

 

『それじゃぁ、せいぜいこの絶望世界で、頑張って生き抜いてください。ぶひゃひゃひゃひゃ!!』

 

 という笑い声とともに、ビデオは切れた。

 

「奴め、余計な事ばかりしていきおって……。」

「とにかく行かなきゃ!!」

 

 ぼやく十神君に、朝日奈さんが声を上げる。

 

「でも、私のスタンドは、水がないと戦えない……。」

「安心しろ朝日奈よ。戦いに向いた能力だと思う者は我に続け!!」

 

 そう言うと、大神さんに続いて戸上君、桑田君、それに舞薗さんも含めた、ほとんどの皆が出ていった。

 残ったのは、石丸君の為にと僕と霧切さんとセレスさんと朝日奈さんと梔子さん。男子は、僕と葉隠君と小森君に山田君だ。

 

「みんなのスタンドは、戦闘向きじゃないの?」

 

 僕は石丸君の為に残ったけど…………。

 

「ええ。私の能力は正面戦闘には向いてないの。」

「私も……正確にはそういう訳じゃないんだけど、水がないと戦えなくて……。」

 

 と、クールに答える霧切さん。朝日奈さんもそう言ってうつむく。

 

「私のスタンドも、パワーに至っては成人男性以下ですわ。」

「拙者のスタンドも。特に暴徒相手は不向きですな……。」

 

 と、答える。

 

「俺っちも、直接戦闘は避けたいべ。戦えなくはねぇけど、スタンドパワーを馬鹿みたいに食うんだべ。」

 

 本来の力は、一日三回が限度だべ。という葉隠君。そして、終始無言の梔子さんと小森君。

 

「苗木君、気を付けて。戦刃むくろが戻ってくるかもしれないから。」

「でも、信じられないよ。むくろちゃんがあんなことしたってことは……。」

 

 朝日奈さんがそうこぼすと、セレスさんが、

 

「彼女に命令した江ノ島さんが、黒幕と言うことでしょうかね?」

「……そうなのかもしれねぇべ。」

 

 腕を組んだ葉隠君は、そう答えた。

 

「だとしたら、何で私たちに殺し合いなんて起こさせたのかしら。」

 

 疑問符を浮かべる霧切さん。

 

「……そんなのは、我々にはわかりませんな。まさしく、盾子殿のみぞ知る。と言ったところでしょうか。」

「その通りだね……ハァ。」

 

 と、ため息を付いて、皆を待っていた時だった。

 

「おう、帰ったぜ。」

「バッテリー昨日は無事だよぉ。って、皆は?」

 

 不二咲さんの質問に、僕たちは、事情を説明した。

 

「そ、そんなことが……。」

「暴徒、か。それにしても、兄弟は無事か?」

「あ、うん。まだ休んでるけど、」

「いや、もう大丈夫だ。」

 

 そう言って、石丸君が立ち上がる。でも、

 

「兄弟……お前、フラフラじゃねぇか!!」

 

 大和田君が声を上げる。そう。石丸君は、とても万全とは言いずらそうな体制だった。

 

「ああ……まだ、痛みが残っている。済まない、少々気持ち悪いから、トイレに行ってきてもいいか?」

「……おう。好きにしろよ。」

 

 大和田君がそう言うと、石丸君は出ていった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

《十分後》

「遅ぇ。」

 

 ふと、大和田君がつぶやいた。

 

「確かに、遅いわね。」

「心配なら、トイレに向かってみてきてはどうですか?」

 

 セレスさんの提案で、トイレに向かった山田君の答えは、

 

「い、いませんでした!! どこにも!! それと、これを!!」

 

 そう言って山田君が持ってきたのは、

 

「これって、窓をふさいでた鉄板……だよね?」

 

 僕たちがどれだけやっても壊れなかった鉄板が、綺麗に切り裂かれていたんだ。

 

「どうやら、石丸君のスタンド能力は、こういう能力のようですわね。」

 

 と、顎に手を当てて言うセレスさん。窓の先には、土に足跡が残っていた。

 

「馬鹿野郎……無茶しやがって!!」

 

 そう言うと、大和田君もその先に飛び出していく。

 

「ぼ、ボクも行かなくちゃ!! 待って、大和田君!!」

 

 不二咲さんも、窓を越えて走っていった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

《No Side 希望ヶ峰学園の側。国道》

 

「うがぁ!!」

「ハッ!!」

「げうっ!!」

 

 希望ヶ峰学園の正門の方にたかり、あたりの暴徒の数が少なくなっていることは、石丸にとって幸運だった。

 右手にレイピアのような剣を持った甲冑騎士のスタンドを従える石丸は、球に襲い来る暴徒をスタンドの当て身で気絶させながら、ある場所に急いでいた。

 理由は、江ノ島もとい戦刃が、こっそり彼のポケット潜ませていた紙。

 

『今日一日、幽霊屋敷で待ってる。 戦刃むくろ。』

 

 と、即席で書いたであろう汚い字で書かれた紙を、こっそりと確認した彼は、自信のスタンド、シルバー・チャリオッツで、窓の鉄板を切り裂いていた。

 

「(らしくないのは分かっている。学校を勝手に抜け出すなど言語道断だ。だが、)」

 

 この世界に人類史上最大最悪の絶望的事件。が起こる以前は、軍人と言う肩書と、戦闘能力以外残念な点から、江ノ島からも『残姉』と呼ばれ敬遠されていた彼女と一番真摯に接していたのは石丸だ。時折、大和田にもからかわれるくらい、よく接していた。だからこそ、この紙を石丸のポケットに忍ばせていたのだろうと、石丸は考えていた。

 

「(超高校級の風紀委員としても、一クラスメイトとしても僕は、彼女と話がしたい。)」

 

 僕になら、心を開いてくれるのでは。そういう気持ちから、彼は歩く。幽霊屋敷とは、夏休みの肝試しに向かった、この町のはずれにある謎めいた古い洋館だ。

 

「ここだな。」

 

 その、深紅の空を背景にし、余計におどろおどろしくなった洋館に、意を決して入る。

 

「お邪魔します!!」

 

 ……挨拶を忘れずに。すると、机の上にあった携帯電話が鳴った。

 

「ッ!!」

 

 思わず、それを手に取る。

 

「もしもし?」

『来てくれたみたいだね。石丸君。』

「ッ!! 戦刃君か。」

『そう。』

「電話越しなのか? 出来れば直接…………。」

『ありがとう。私を信じてくれて、そして……。』

 

 ごめんね。という言葉と共に、彼の右側で何かが光った。

 

「くっ!! シルバー・チャリオッツ!!」

 

 素早い剣技と、スタンドが全身にまとった甲冑で、飛んでくるダンガンをはじく。

 スマホのライト機能で照らした先にあったのは、

 

「ミニチュアサイズの兵士!! 小さな兵士が、銃を構えて僕を狙っているっ!! これが君のスタンド能力か!!」

『そう。私のスタンド、極悪中隊(バット・カンパニー)は、誰であろうと生かしては返さない、無敵の軍隊。銃弾の威力が小さいから、複数を相手にすると厳しいけれど、』

 

 クスッ、と笑うような声が聞こえてきた。

 

『ありがとう。私を信じて、一人で来てくれて。』

 

 ライトで照らしたところだけではない。初めに石丸を襲った時のように、ところどころ壁の裏が露出している壁のでっぱりに、階段の上に、すでに、バット・カンパニーの包囲は、石丸が来た時すでに、完了していた。

 

「最初から、僕をはめるつもりだったのか!!」

『うん。絶望した?』

 

 その言葉と共に、複数方位からの銃弾が飛ぶ。

 

「くっ!! シルバー・チャリオッツ!! 壁を切り裂けぇ!!」

 

 とっさにその場から飛びのき、洋館の壁を切り裂いて、中庭に転がり出る。

 

『そうした時も、読んでる。』

 

 しかし、二階のベランダにも、兵士が待機していた。

 

「くっ!! もうすでに、あちこちに布陣を敷いていたというのかっ!! だが!!」

 

 チャリオッツが、バット・カンパニーの弾丸を叩き落とす。

 

「それならばかろうじてはじける。そして、」

 

 チャリオッツの剣を伸ばせば、ベランダにも届く!!

 

「今度の剣さばきはどうだァーーッ!!」

 

 そして、何体かの兵士を、ベランダごと切り裂く。

 

『ぐっ!!』

 

 スマホから、戦刃の声が漏れる。

 

「戦刃君!? そう言えば、スタンドのダメージは本体に……。」

『それがどうしたの? バット・カンパニーは群体型のスタンド。一体一帯がやられてもフィードバックは0に等しい。いきなり痛みが来たからうめいただけ。』

 

 しかし、戦刃は、石丸の言葉を遮るようにそう言う。

 

「な、何を言って……。」

『私は、貴方を始末する気でここに来ている。だから、貴方も、』

 

 一回のベランダにも、隊列を組んだバット・カンパニーが終結して陣形を組んでいる。

 

「ッ!!」

『私を始末する気で来い!!』

 

 すぐさま飛来する銃弾。

 

「ぐっ、シルバー・チャリオッツ!!」

 

 素早い剣閃が それを防ぐ。が、いくら剣が早いとはいえ、二十人の兵士からの斉射をさばききれはしない!!

 

「遠距離攻撃手段のほぼ皆無な近距離パワー型の天敵ともいえるスタンドだ!! これが、超高校級の軍人である戦刃くんのスタンド!! 奇襲と待ち伏せに、戦場に特化した(・・・・・・・)いや、戦場のスタンド!!」

 

 とっさに、石丸は、さっき切り裂いた家の中に逃げ込んだ。

 

「室内には……居ない? 先ほどの隊列に、一階の守りを費やしていたのか? ともあれ、チャンスだ!!」

 

 そう言い、階段を上る石丸。しかし、階段を登り切った先で、足元が爆発した。

 

「ぐわぁ!? じ、地雷だと!?」

 

 バット・カンパニーは、兵士だけではなかったのかと戦慄する石丸。しかも、さらに石丸を驚愕が襲う。

 

「何ィ――ッ!? 戦車だとォ――ッ!?」

 

 そう。戦車の砲口が、地雷で足にダメージを受けて倒れこむ石丸を狙っていたのだ。

 

「(マズイ!! チャリオッツの甲冑では戦車砲は防げない!!)」

 

 そして、この体制では戦車砲の弾丸をはじくだけのパワーは出せない。万事休すかと思われたその時だった。

 

「兄弟―――ッ!!」

 

 彼の後を追ってきた大和田が、声を上げ、彼を突き飛ばした。




 次回、駆けつけた大和田、不二咲と共に、幽霊屋敷を歩む石丸。たどり着いたその先で出す戦刃の答えとは。そして、戦刃との一対一の戦いを望み、外で待つ二人のもとに、新たなスタンド使いが襲い掛かる!!

 次回
 【バット・カンパニーとマンハッタン・トランスファー】

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