苗木誠の奇妙な冒険~バレット・オブ・ホープ~   作:砂原凜太郎

4 / 5
バット・カンパニーとマンハッタン・トランスファー

「兄弟―――ッ!!」

「なっ、兄弟!?」

 

 バット・カンパニーの戦車砲を受けそうになった石丸を、大和田が突き飛ばした。そして、

 

「ぐおぉっ!!」

「兄弟!!」

 

 大和田の出したスタンドの右腕を思いっきりえぐった。そのダメージは大和田にフィードバックされ、特攻服越しに血が流れしたたり、床を濡らす。

 

「大和田君、石丸君!! ふ、二人とも大丈夫!!」

「なっ、不二咲君まで!? どうしてここに、」

 

 そのあと階段を上ってきた不二咲に、驚きの声を漏らす。

 

「あ、それは……って、大和田クン!! ひどいケガだよぉ。」

 

 説明しようとした不二咲だが、そう声を上げる。

 

「早くクレイジー・ダイヤモンドで治療を……。」

「無理だ。」

 

 そう言うと、大和田は右腕を抑えたまま立ち上がった。

 

「無理って……。大和田クンのスタンドは」

「ああ。傷や損傷を直せる。俺以外のな。俺の傷は治せねぇ。」

「そ、そんな!! じゃあなんで僕を庇ったりしたんだ!!」

 

 と石丸が声を張り上げると、大和田は額に青筋を立てたまま振り返った。

 

「何で、だァ? 石丸、オメェよォ~、それ本気で言ってんじゃぁねぇだろうな?」

「な、なんだと?」

 

 すこし声にドスを利かせている大和田に、石丸はたじろく。そんな石丸に大和田はじりじりと近づいていき、左手でデコピンをかました。

 

「あだっ!?」

「馬鹿野郎が。」

 

 よろめく石丸に大和田がそういう。

 

「おおかた戦刃の野郎に一人で来いって言われたんだろ?」

「…………。」

 

 その石丸の姿勢を見て、

 

「図星かよ。兄弟、生真面目なオメェのことだ。アイツの話を聞いてやりてぇとか、きっとそういうよォ、俺達をだましてぇとか、そういうことを選んでやったことじゃねぇって俺は信じているけどよォ、一人で言っちまうのはねぇだろ。俺たちはよォ、」

「兄弟……だったな。」

「おう。」

 

 苦笑する石丸に笑みを浮かべて大和田君はそう答える。

 

「じゃぁ行こうぜ、兄弟。」

「ああ。」

 

 そう言う二人の周囲を、バット・カンパニーの兵士たちが待ち構えていた。

 

「まずは、」

「ここを突破する!!」

 

 二人は正面にスタンドを顕現させる。そして、

 

「そらそらそらそらッ!!」

「ドララララララララ!!」

 

 剣術で、拳で、弾丸を弾きながら進んでいく。それにじりじりとバット・カンパニーの兵士たちは後退していき。

 

「ドラァッ!!」

「そらァッ!!」

 

 拳と剣が、待ち構えていた兵士たちを吹っ飛ばした。

 

「へっ、さっきの戦車砲でも持って来いっての。ぐっ……」

「大和田君!!」

 

 自信気な顔で大和田はそう言ったが、その後腕を抑えてよろめいた。

 

「出血が酷い……ちゃんと止血しないと!!」

 

 近寄った不二咲がそう言って包帯を取り出す。

 

「不二咲……。」

「思い出したんだぁ。あの事件があってから、治療の勉強をしたこと。」

 

 ボクは力が弱いから……。ちゃんと皆の為にならなきゃって。

 そう言って大和田の腕を治療していく。

 

「ひどい傷だよ……石丸君、」

「な、何だ?」

 

 振り返った不二咲に疑問符を浮かべる石丸。

 

「先に言ってて。ボクはここで大和田君の傷を治してから行く。」

「なっ、おい不二咲……、そいつは」

「いや、頼む兄弟、行かせてくれ。」

「兄弟……。」

 

 反論しようとした大和田に、石丸がそう言って頭を下げたのだ。

 

「もう少し先に、戦刃君と『きもだめし』に行ったときにマッキーで名前を書いた紙を置いていった、思い出の場所がある。戦刃君は、きっとそこで待っている。」

「なら……」

「僕に……。ケジメを付けさせてくれないか?」

 

 そう言い、まっすぐ大和田の方を見る石丸。その目をじっと見ていた大和田はやがてため息を付いて。

 

「分かったよ。」

「兄弟!! 分かってくれたか!!」

「危なくなったら俺のクレイジー・ダイヤモンドで直してやるからよ、決着、つけてこい。」

「……ああ!!」

 

 そう言うと石丸は奥へと走っていった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「戦刃君!!」

 

 ドアを勢いよくあけながら、石丸はそう声を上げる。

 

「……遅いよ。」

 

 そこにいたのは黒髪の、メイクも落とし、江ノ島盾子の派手なファッションから元の機能性重視の衣服に着替えた、戦刃むくろの姿があった。

 

「いくさばく」

「来ないで。」

 

 そう言って拒絶するように素早く拳銃を構える。

 

「……申し訳ないが、それは無理だ。」

「……あなたはすでに、包囲されているのよ。」

「ああ。そうだろうな。」

 

 そう呟いた石丸の背後から、前方の暗闇から、横にあるがれきの下から、バット・カンパニーの兵士と戦車が現れた。

 

「やはり、ここに戦力を終結させていたか。戦刃君。」

「うん。あなたを仕留めるために。」

 

 すると、戦刃の奥から、回転翼(ローター)の空を切る音が聞こえてくる。

 

「ヘリか。そして、地面に地雷を設置して近づけないようにしてる。待ち伏せと不意打ちの強い極悪中隊(バット・カンパニー)の強いところが出たな。」

「ええ。銀の戦車(シルバー・チャリオッツ)がいかに早くても、包囲されたら元も子もないでしょ?」

「ああ。確かにそうだね……。だが戦刃君!!」

 

 石丸は暗い目をした戦刃にそう声を上げる。

 

「何?」

「それは君の望みなのか? 君の意志で動いているのか!? 江ノ島君に何か」

「そうだよ。」

 

 言われれたんじゃないのか。そう言う前に、戦刃は肯定してくる。

 

「私、盾子ちゃんに言われたからこうしてる。誰かひとり、私のスタンドで始末しろって。本当なら、コロシアイ生活の時わざとモノクマを殴ってやられる役回りを演じるはずだったけど、なんならお前が殺してみろって。」

「……そこに、君の意志はあるのか?」

「自分で選んだ。」

「何故、それが僕なんだ?」

「……一番、利用しやすそうだったから。」

 

 戦刃はそう答える。

 

「利用できそうだった。あの時、二年前に私に声をかけてくれたあの時からそう思ってた。」

 

 二年前、【超高校級の軍人】として希望ヶ峰学園に入学した戦刃は、孤立していた。

 暴走族のように人を殺さない、あくまで喧嘩にとどめていた訳じゃない。

 スイマーやのようにきれいでまっすぐな才能じゃない。むしろ逆な、真っ黒で、血にまみれて薄汚れた、暗い暗い才能だ。

 戦闘能力だけなら大神にも匹敵する彼女だが、戦争は周囲を沸かせる格闘技(スポーツ)ではない。

 勉強はからっきし。双子の妹である江ノ島盾子にも、『残姉』と呼ばれて舐められている始末だ。だが、そんな彼女に、

 

『君!! 成績が悪くて困っているそうだな!! ならばともに勉強しようじゃないか!! 僕は少々教えには自信があるのだ!!』

 

 と、笑顔で話しかけてきた彼は、才能なんてなかった。それでも、切磋琢磨して『超高校級の風紀委員』なんて呼ばれるようになっていた。

 

「そんなあなたに吐き気がした。」

「吐き気……か。」

 

 そう言って目を落とした石丸。自分はそんなに戦刃に嫌われていたのかと思ったが、次に放った戦刃の言葉に驚いた。

 

「あなた達も私と同じなのに。」

「同じ?」

「そう。同じ。あなた達も、私も、絶望的な環境で育った。」

「絶望的な環境……か。」

 

 戦刃の過去にも、壮絶な物があったのだろう。双子であるということは、江ノ島にも。

 

「確かに、人生に頂点と底辺があるというのなら、あの時期は、確かに最底辺だったのだろうな。」

 

 石丸には、まだ大和田にも話せていない秘密があった。

 彼の祖父についてだ。

 彼、石丸清多夏の祖父。石丸寅之助は、最大最悪の汚職事件を起こした悪名高い元総理大臣と知られている。もちろん、その泥を被ったのは祖父である寅之助だけでなく、自分たちの家もだった。

 毎日のようにテレビの記者が張り付き、家を出ればボイスレコーダーを突き出しながら遠慮のない質問を投げかけてくる。

 遠慮は、一切、されない。こっちの事情も知らず、家族は知っていたんですか? 実は容認していたのでしょう? 汚職した金で私腹を肥やしていたのではないですか!?

 と、質問を投げかけてくる。本当に、絶望的な人生の最底辺だった。

 親友である不二咲と大和田にも話せていない、彼のトラウマ。

 

「それなのに、貴方はそんなにも笑顔で、私に近づいてきた。」

「…………。」

「勉強を教えてくれた。」

「…………。」

「ずかずかと、こっちに向かってくる。そんなあなたがずっと、大嫌いだった!!」

 

 そう怒鳴り、手をまっすぐ上にあげる。

 

「確かに、君が嫌だと感じることをしていたのかもしれないな。」

「だから、ここで……!!」

 

 死ね!! そう言って手を振り下ろそうとした時だった。彼の行動に、思わず戦刃は手を止めてしまった。

 

「……なにそれ。」

「……僕の、僕なりの誠意だ。」

 

 石丸は、頭を下げていた。スタンドを出すことも、逃げることもしない。彼は腰を直角に折って、戦刃に、頭を下げていたのだ。

 

「……今更?」

「本当に今更だ。だが、君をそう呆れさせるほどに、君の心を理解できなかったことを、許してくれとは言わない。だが、殺される前に謝罪はしないといけない。」

「……本当に、」

「真面目だろう?」

 

 頭を上げて、石丸はそういう。

 

「祖父は天才だから慢心してしまった。天才だから、あんなことを起こしたと思ってる。だから僕は天才が嫌いだ。」

「あなたも、超高校級の才能を持つ天才の癖に。」

「天才なんかじゃないさ。」

 

 戦刃の言葉に、石丸は苦笑する。

 

「僕の肩書(これ)は、ただ僕が必死に努力したからだよ。必死に努力して、努力して、努力した。希望ヶ峰学園への切符をつかみ取ったのも、努力のおかげだ。」

「何でそんなに前を向ける!!」

「君こそいつまで下を向いているつもりだね!!」

 

 戦刃の言葉に石丸は怒鳴り返した。

 

「何を……!!」

「君にも辛い何かがあったのだろう。僕はそれに同情しない。お悔やみ申し上げるとも何とも言わない。君を侮辱するだろうから。だが、ずっと下を向いているなど愚かだ。重荷を引きずることは大事だ。だが、その重荷に縛られ、前を向けなくなるのは愚かだ!!」

「知ったような口を!!」

「知っているさ!! さっき君が言ったように僕は君と同じ、最底辺を経験したものだ!!」

「ッ!!」

 

 その言葉に、次第に戦刃は押されていく。

 

「だからこそ言える。最底辺が何だと。人には最底辺と絶頂がある!! その絶頂がどこかは分からないが、そこにたどり着くためにはなんだって努力して見せるさ。」

「絶頂なんてない!! 私はずっと憂鬱だった!! 子供の頃も、戦場も!!

 

「私には最底辺しかない。そこにあるのは絶望だけだあぁぁぁ!!

 

それは違うぞ!!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

希望ヶ峰学園

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 BREAK!!

 

「ッ!!」

「戦場も、君の幼少期も、僕は知らない。だが、希望ヶ峰学園はどうだったんだ!?」

「そんなの……」

「僕は知っている。あそこでの君の笑顔を!! アレを嘘だとは言わせない!!」

「何を……。」

 

 たじろく戦刃に、石丸は畳み掛ける

 

「君にも、いいなと思える時はあったはずだ。江ノ島君の、君の言う絶望は分かる。だが、絶望しても前を向いて、歩いていくのが人間だ!!」

「う、五月蠅い!!」

「君にもあるはずだ、大切な時間が!! 僕たちとの、あの学園生活が!!」

「ッ!! 黙れェッ!!」

 

 もう戦刃に出来るのは、叫ぶことだけだった。

 

「五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅い五月蠅いうるさぁい!! 私には、皆を裏切った私にはもう、盾子ちゃんしか、盾子ちゃんしか残ってないんだァ!!」

 

 髪を振り乱しながら叫び、揺らいでいた手を、まっすぐ張る、

 

「全隊!! (これで……!!)」

 

 そして、それをまっすぐ振り下ろそうと、

 

「(終わり……!!) う」

「そんな顔で、」

 

 撃てと、そういう前に石丸が、口を開いた。

 

「そんな悲しい顔で、幸せな自分まで否定しないでくれ!!」

「ッ!!」

 

 その時見えた、まっすぐな石丸の瞳。戦刃の目は、とらえてしまっていた。その瞳に映る自分の、髪を振り乱した、今にも泣きそうな少女の顔を。

 

「あ……。」

 

 そうしたらもう、

 

撃てないよ……

 

 戦刃に出来るのは、

 

「戦刃君……。」

「撃てないよ……。」

 

 極悪中隊(バット・カンパニー)に命令を下すことはできず、崩れ落ちるだけだった。

 

「私には、撃てないよ……。」

 

 そう言う戦刃の下にある床に、透明な液体がしたたり落ちる。

 

「ありがとう、戦刃君。」

「……なにそれ。」

「僕を、撃たないでいてくれて。」

「でも戻れない。戻れないよ……もう。」

 

 皆と一緒には、歩けない。そう涙を流す彼女を石丸は、やさしく抱きしめた。

 

「歩けるさ。」

「無理。無理だよ……。」

「無理じゃないさ。もどって、事情を説明しよう。そして怒られよう。

 さくら君から拳骨が来るかもしれないし、十神君にはいろいろ言われるかもしれない。

 でも、僕も一緒に怒られる。そうしたら、樹っと許してくれるさ。」

「何で……。」

 

 涙でゆがんだ顔を、石丸の方に向ける。

 

「何で優しく……してくれるの? 私……私こんなに……こ‶ん‶な‶に、ひどい‶こと‶……したのに……。」

「優しくするさ。許すさ。だって君も、皆も、僕の大事なクラスメイトなんだから。」

「……」

 

 涙を流す戦刃。そして、呟いて。

 

「でも……無理だよ。」

「何故……?」

「私は、この戦いは、見られてる。」

「ッ!!」

「失敗した私は、用済みだから…………。」

「まさかっ!!」

「もう、始末される。」

「ッ!!」

 

 石丸はその瞬間、何とも言えない、猛烈ないやな予感に駆られた。戦刃を抱いて、そこを飛びのいたその時。

 

「ぐおぉっ!?」

 

 この家の木の板を貫くような音と共に石丸の腹を、弾丸が貫いたのだ。

 

「石丸君!?」

「ぐうぅぅ!? こ、これは……狙撃!?」

『ご名答だ。』

「ッ!?」

 

 機会音声がして、石丸は戦刃を抱え込んで横になったままとっさに辺りを見回す。見れば、床の隅に置かれていた一台のスマホが、通話中の文字を示していた。

 

『ごきげんよう石丸清多夏。上手くその娘を被ったようだな。」

「貴様……何者だ!!」

 

 石丸はそう声を上げる。

 

『スナイパーさ。A(エース)と名乗らせてもらおう。』

「エース……目的は戦刃君の殺害……江ノ島君の命令なのか!?」

『そうさ。あのお方は我々を束ねる【超高校級の絶望】。俺はあのお方の命令で待機していた『保険』だよ。そこの残姉がしくじった時にそいつもろとも始末せよと言われている。』

「ふざけるな……!!」

 

 体を引きずりながら、石丸は怒りをあらわにする。

 

「命は、貴様のおもちゃなどではないんだぞ!!」

『ああそうさ。俺のおもちゃじゃない。あのお方のおもちゃだよ。俺もお前もそこの女も、あのお方の盤上の駒さ。』

「このっ!!」

 

 石丸はそう言いながら体を引きずり、棚の陰に入った。

 

「(あの穴の位置から見て、ここなら狙撃しようにもこの棚の陰で狙えないはずだ。奴がどうやって室内にいる僕たちを狙ったのかはおそらくスタンド能力!! ならば……。)」

 

 と思った矢先だった。連続で音がして、床に複数の弾丸が転がった。

 

「(なんだ? 奴はどこを撃っている!?)」

『風通しはこれくらいで十分だろう? 石丸清多夏。』

「何ッ!?」

 

 すると、壁をすり抜けて、何かが入ってきた。UFOのような風鈴のような、それが何なのか、石丸と、呆然とする戦刃には理解できた。

 

「(スタンドだ!!)」

「シルバー・チャリオッツ!!」

 

 とっさに、射程距離の長いシルバー・チャリオッツで剣を素早く走らせる。だが、

 

「何ィ―――ッ!? かすりもしないだとォ―――ッ!?」

 

 一切当たらないのだ。

 

『無駄だ。そいつは気流の流れに敏感だ。降り注ぐ豪雨だって前段躱せるぜ!! それにコイツは、』

 

 そう言った瞬間、音の壁を突き破って飛んできた弾丸がそのスタンドに辺り、チャリオッツの肩を打ち抜いた。

 

「うぐぅっ!?」

「石丸君!!」

 

 悲鳴を上げる戦刃。

 

「た、大したことはない……。」

『強がるな。鳩尾と右肩だ。それだけで十分致命傷だろう。』

「ふ、ふふ。」

 

 そう、男の言う通り致命傷だ。だが石丸は、笑っていた(・・・・・)

 

『何が可笑しい……?』

 

 通話でいぶかしむ男に。

 

「詰めが甘いと思ってね。」

『何だと?』

「君はさっきの一撃で頭を打ち抜くべきだったんだ。おかげで君の能力が分かった。」

『ほう。』

「ズバリ『中継』!! 君のスタンドは狙撃の弾丸を中継する、いわば狙撃衛星だ!! しかも気流を読んで索敵も出来る!!」

『その通りだ。だがそれでどうした? 俺のマンハッタン・トランスファーは無敵だ。攻撃は当たらない。スタンドマスターには届かない。スタンド能力が分かったからなんだ? 次の弾でお前の脳天をブチ抜いて次の弾でそこの女をブチ抜く。』

「そう喋ってる間に撃つべきだったな。」

『何?』

「僕は一人で来たわけじゃないからな!! シルバー・チャリオッツ!!」

 

 そう叫んだ石丸は、チャリオッツを奔らせ、床を切り裂いた。

 

『何ッ!?』

 

 落下する石丸は、飛んできた弾丸の回避に成功した。さらに、

 

「頼んだぞ兄弟!!」

「任されたぜ、兄弟!! ドララララララァ!!」

 

 そう声を上げたクレイジー・ダイヤモンドの精密な拳が、落ちてくる木材を殴って床に直した(・・・)そしてそのまま二人を担ぎ上げる。

 

「感謝するぞ兄弟。うっ!!」

「兄弟!! オメェ傷だらけじゃぁねぇか!! 待ってろ、今直してやる。

 

 そう言ってクレイジー・ダイヤモンドが石丸に触れれば、傷がみるみるうちに治っていく。

 

「それにしても、オメェはスゲーぜ。石丸。俺はこいつをぶん殴ってブッ飛ばして、そしたらその後野垂れ死のうが構わねぇって思ってた。けどよ、そいつをオメェは許して、そのまま助けてやったんだから。」

「ああ。だが、狙撃手がいた。そのスタンド使いが……。」

「前腹をブチ抜かればばっぁだろうが、馬鹿野郎。」

 

 後頭部をかきながら大和田はそう言い、

 

「オメェらもう走れんだろ。希望ヶ峰学園まで逃げろ。」

「え? そんな、兄弟、僕も一緒に」

「石丸君。」

 

 部屋に入ってきた不二咲が石丸に声をかける。

 

「石丸君は先に帰って、戦刃さんの事をみんなに話してあげてよ。」

「そうだぜ。それに少しは俺達にもいいカッコさせろや。追手のスタンド使いはブッ飛ばしといてやるからよォ。」

「二人とも……済まない。恩に着る。」

 

 その言葉に、石丸は頭を下げた。

ジョジョ味 出てた?

  • 出てた
  • 出てない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。