FGORTA―配られし切り札― 作:雨乞い
「知らない天井だ」……そんな風に言ったあのキャラクターの名前は、何だっただろうか。
藤丸立香はぼんやりと、そんなことを思った。
「よーし、キミはずいぶん良い子でちゅねー」
起き抜けのふわふわした頭に、そんな声が聞こえて。
傍らで小動物と戯れる、美女に気付いた。
「おっと、本命の目が覚めたね」
「おはよう、こんにちは、立香君」
美女が自分に声を掛け、小動物が駆け寄ってくる。
寝転がったままだった自分の頬を舐める感触に、思わず声を上げてしまう。
「んっふ、くすぐったいよ、
――瞬間、思い出した。
跳ね起きる立香を見て、美女は目を細める。
「うーん、元気そうで何よりだよ」
「それで?目を覚ましたら絶世の美女が居て驚いた?」
クスクスと笑う美女を尻目に、記憶を整理していく。
奇妙な旅のことを、意識を失う直前のことを。
「私はダヴィンチちゃん。カルデアの、召喚英霊第三号、みたいな?」
カルデア、英霊、そしてダヴィンチ――レオナルド・ダ・ヴィンチ。
出てきた単語が、アレが夢ではなかったことを示唆していて。
「――そうだ、皆は?マシュ達は!?」
あの奇妙な旅を共にした、仲間たちに思い至った。
管制室へと走っていく立香を見送りながら、レオナルドは呟く。
「そう、ここからはキミが……
「ただの人間として、星の行く末を定める戦いが、
その微笑には、様々な意味が含まれているようだった。
「おはようございます先輩」
管制室のドアを潜り抜けると、亜麻色の髪の少女が振り向いた。
「おはよう、マシュ。……無事で良かった」
安堵のため息を一つつくと、2人で微笑みあう。
「――コホン」
咳払いの音に、慌てて視線を外して。
傍らの男――ロマニに向き合った。
「まずは生還おめでとう、立香君」
「君は勇敢に事態に挑み、乗り越えてくれた」
「ありがとう」と頭を下げるロマニに、慌てて立香も頭を下げる。
その様子を少しだけ可笑しそうにマシュが見ていて。
「――所長は、残念だった」
顔を上げたロマニの言葉に、一瞬、時間が止まった。
「『人類を守る』、この偉業を達成することが、彼女への手向けになる」
ほんの短い時間だった。
「レフの言葉は真実だ……おそらく、すでに人類は滅びている」
厳しくて、ちょっと怒りっぽくも思えて。
「この状況を打破するまではね」
でも、とても一生懸命なヒトだった。
「歴史上に存在する、人類にとってのターニングポイント。それが崩されるという事は、人類史の土台が崩れることに等しい」
「
「だから――」と、ロマニは目の前の少年少女を見る。
「マスター適性者48番、藤丸立香」
「デミ・サーヴァント、マシュ・キリエライト」
「――君たちに、人類の未来を背負う覚悟はあるか?」
残酷な問いかけだった。
自信なんてなかった。
しかしそれでも――
「――はい」
答える立香。
頷くマシュ。
2人の瞳に迷いはなかった。
その様子に、安堵と、眩しさと、胸の痛みを感じながら。
ロマニは言葉を続けようとした。
そして――
「よく言いました」
再び、時間が止まった。
その場に居た全員の視線が、一点――再び開かれた管制室のドアに向けられる。
そこに居たのは小柄な若者。
奇妙な旅の、最後の同行者が立っていた。
「カルデアはその使命を全うします」
一歩一歩、部屋の中央へと向かう。
「目的は人類史の保護、及び奪還」
その手には、何故かバスケットが抱えられていて。
「探索対象は各年代と、原因と思われる聖遺物・聖杯」
その声は、バスケットの中から聞こえている気がして。
「我々は人類を守るために人類史に立ち向かう」
「あ、ここで止まって」と小さく呟く声に合わせ、
若者――御剣日彩は、その手を目一杯伸ばして、バスケットを天に掲げた。
「以上の決意をもって、作戦名を改めます」
全員が注目する中、バスケットに掛けられた布がもぞもぞと動く。
「これはカルデア原初の使命。となれば相応しい名前は――」
布の端を何かが掴んで、布を勢いよく取り払って――
「――
2~3頭身の、ちっちゃいオルガマリー・アニムスフィアがそう宣言した。
その場に居た立香、マシュ、ロマニを始めとしたスタッフが、驚愕に目を見開いて。
何時から居たのか、レオナルドが部屋の隅でお腹を抱えて笑っていて。
所長が入ったバスケットを掲げ持つ影は、相変わらず困ったような微笑みで。
――この人理修復の旅は、そんな風にして始まった。
【System message:トロフィー『特異点F復元』を獲得しました】
【System message:トロフィー『仮面、新たなる疾走―ブレイド―』を獲得しました】
【System message:トロフィー『お帰りオルガマリー』を獲得しました】
【System message:ここまでの旅を記録します】
当作品は大体このような感じで続けていく予定です。
読者の皆様に気に入っていただければ幸いです。