FGORTA―配られし切り札―   作:雨乞い

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14 Round 6

「知らない天井だ」……そんな風に言ったあのキャラクターの名前は、何だっただろうか。

 

藤丸立香はぼんやりと、そんなことを思った。

 

「よーし、キミはずいぶん良い子でちゅねー」

 

起き抜けのふわふわした頭に、そんな声が聞こえて。

傍らで小動物と戯れる、美女に気付いた。

 

「おっと、本命の目が覚めたね」

「おはよう、こんにちは、立香君」

 

美女が自分に声を掛け、小動物が駆け寄ってくる。

寝転がったままだった自分の頬を舐める感触に、思わず声を上げてしまう。

 

「んっふ、くすぐったいよ、()()()――」

 

 

 

 

 

 

 

 

――瞬間、思い出した。

 

 

 

 

跳ね起きる立香を見て、美女は目を細める。

 

「うーん、元気そうで何よりだよ」

「それで?目を覚ましたら絶世の美女が居て驚いた?」

 

クスクスと笑う美女を尻目に、記憶を整理していく。

奇妙な旅のことを、意識を失う直前のことを。

 

「私はダヴィンチちゃん。カルデアの、召喚英霊第三号、みたいな?」

 

カルデア、英霊、そしてダヴィンチ――レオナルド・ダ・ヴィンチ。

出てきた単語が、アレが夢ではなかったことを示唆していて。

 

 

「――そうだ、皆は?マシュ達は!?」

 

 

あの奇妙な旅を共にした、仲間たちに思い至った。

 

 

 

 

 

 

 

管制室へと走っていく立香を見送りながら、レオナルドは呟く。

 

「そう、ここからはキミが……()()()()が中心になる物語だ」

 

「ただの人間として、星の行く末を定める戦いが、藤丸立香(キミ)に与えられた役割だよ」

 

その微笑には、様々な意味が含まれているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます先輩」

 

管制室のドアを潜り抜けると、亜麻色の髪の少女が振り向いた。

 

「おはよう、マシュ。……無事で良かった」

 

安堵のため息を一つつくと、2人で微笑みあう。

 

「――コホン」

 

咳払いの音に、慌てて視線を外して。

傍らの男――ロマニに向き合った。

 

 

「まずは生還おめでとう、立香君」

 

「君は勇敢に事態に挑み、乗り越えてくれた」

 

「ありがとう」と頭を下げるロマニに、慌てて立香も頭を下げる。

その様子を少しだけ可笑しそうにマシュが見ていて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――所長は、残念だった」

 

顔を上げたロマニの言葉に、一瞬、時間が止まった。

 

 

「『人類を守る』、この偉業を達成することが、彼女への手向けになる」

 

 

ほんの短い時間だった。

 

 

「レフの言葉は真実だ……おそらく、すでに人類は滅びている」

 

 

厳しくて、ちょっと怒りっぽくも思えて。

 

 

「この状況を打破するまではね」

 

 

でも、とても一生懸命なヒトだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「歴史上に存在する、人類にとってのターニングポイント。それが崩されるという事は、人類史の土台が崩れることに等しい」

 

()()()()()()()七つの特異点、ボクらだけがこの間違いを……歪んだ歴史を修復できる」

 

「だから――」と、ロマニは目の前の少年少女を見る。

 

「マスター適性者48番、藤丸立香」

「デミ・サーヴァント、マシュ・キリエライト」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――君たちに、人類の未来を背負う覚悟はあるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

残酷な問いかけだった。

自信なんてなかった。

しかしそれでも――

 

 

 

 

 

「――はい」

 

 

答える立香。

頷くマシュ。

2人の瞳に迷いはなかった。

 

 

 

 

その様子に、安堵と、眩しさと、胸の痛みを感じながら。

ロマニは言葉を続けようとした。

そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく言いました」

 

 

 

 

再び、時間が止まった。

その場に居た全員の視線が、一点――再び開かれた管制室のドアに向けられる。

 

 

 

そこに居たのは小柄な若者。

奇妙な旅の、最後の同行者が立っていた。

 

 

「カルデアはその使命を全うします」

 

 

一歩一歩、部屋の中央へと向かう。

 

 

「目的は人類史の保護、及び奪還」

 

 

その手には、何故かバスケットが抱えられていて。

 

 

「探索対象は各年代と、原因と思われる聖遺物・聖杯」

 

 

その声は、バスケットの中から聞こえている気がして。

 

 

「我々は人類を守るために人類史に立ち向かう」

 

 

「あ、ここで止まって」と小さく呟く声に合わせ、()()()()()()()()()()()()()()()でその歩みを止めて。

 

 

 

 

若者――御剣日彩は、その手を目一杯伸ばして、バスケットを天に掲げた。

 

 

「以上の決意をもって、作戦名を改めます」

 

 

全員が注目する中、バスケットに掛けられた布がもぞもぞと動く。

 

 

「これはカルデア原初の使命。となれば相応しい名前は――」

 

 

布の端を何かが掴んで、布を勢いよく取り払って――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――冠位指定(グランド・オーダー)。さあ、キリキリ働きなさい!」

 

 

2~3頭身の、ちっちゃいオルガマリー・アニムスフィアがそう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

その場に居た立香、マシュ、ロマニを始めとしたスタッフが、驚愕に目を見開いて。

 

 

何時から居たのか、レオナルドが部屋の隅でお腹を抱えて笑っていて。

 

 

所長が入ったバスケットを掲げ持つ影は、相変わらず困ったような微笑みで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この人理修復の旅は、そんな風にして始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【System message:トロフィー『特異点F復元』を獲得しました】

【System message:トロフィー『仮面、新たなる疾走―ブレイド―』を獲得しました】

【System message:トロフィー『お帰りオルガマリー』を獲得しました】

 

【System message:ここまでの旅を記録します】




当作品は大体このような感じで続けていく予定です。
読者の皆様に気に入っていただければ幸いです。
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