深緑の空と渡り鳥   作:タルル

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ちわっす。校正に手こずりましていつもより1時間遅刻投稿でございます。

今回も少しオリジナルの展開を用意しながら物語は進んでいきますのでよろしくお願いします!(笑)

ではどうぞ~ノシ


秘密の戦い

二人の転校生が学園に編入されてから数日、ラウラと一夏の確執は一層の深まりを迎えていた。だが、その裏で別の意味で緊張している人たちがいた。

 

「・・・」

 

「・・・(どうしてこうなったんだっけか・・・)」

 

弘治を含めた5名がACとヘリを格納している倉庫の角にある事務室で重たい空気を放っていた。

 

「で、君はこれからどうしたいんだい?」

 

それは数時間前にさかのぼる・・・

 

 


 

「コージー、俺の機体の色を塗りなおしたんだがどうだ?」

 

その日の昼、ファットマンは弘治に新規に塗りなおしたヘリを見せていた。だが唯一変わってないところだとすれば機体に描かれているエンブレムだろう。

 

「エンブレムはそのままなんだな。ま、あんたらしいよ」

 

「ハハハッ!年季がすごいが今までずっと乗り続けてきた機体だからな」

 

そのエンブレムは塗りなおされたほかの部分と比べて戦場でついた煤などで汚れ、薄くなってはいたがそれでもそのエンブレムは威光を失ってはいなかったのである。

 

「でもコージー、お前のACも新しく塗装しなくてよかったのか?」

 

「ああ、派手にするのは趣味じゃない。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「塗りなおすにしても俺のエンブレムが描いてある右肩だけ古いままなのは苦手なんだよな」

 

弘治はそう言いながら苦笑し、ACのに視線を向けた。彼のACは幾多の戦場を渡り歩いた結果、汚れの無い箇所は無く全体的に煤汚れの多い状態になっていた。だがこんな状態になっても機体の性能は全く落ちていないという各パーツの頑丈さ信頼性の高さには更識関連の研究者たちはあまりのすばらしさに危ない方向で興奮しているようだった。

 

「お前さんらしいや!」

 

ファットマンの豪快な笑い声が格納庫内に木霊する。二人は一息着こうとACとヘリの整備などでいつもより汚れたツナギを着たままだったのに気付いた二人はまずは着替えようと事務室に向かおうとすると、来客予定も無いために無人であるはずの事務室の方から何かが床に落ちた音が二人の耳に届いた。

 

二人はお茶らけた雰囲気から一気に傭兵として戦う者としての雰囲気になる。そして彼らは一斉に走り出す。弘治はそのまま事務室側へ、ファットマンは格納庫から直接外に出れる出入り口に向かって走っていった。

 

一方、事務室に侵入し、ACとヘリを見てしまった者がいた金髪に長袖長ズボンを着用する生徒「シャルル・デュノア」であった。彼はかねてから学園で噂になっていた「巨大二足ロボ」に興味が沸いていたのだ。そして彼は見てしまった。IS学園の格納庫に鎮座する巨大な二足ロボットを見てしまったのだ。彼は持っていたカメラを使って写真を撮ろうとしたが、カメラをポケットから取り出す際に事務室の机の上に置いてあった書類やファイル等を床に落ちしてしまったのだ。物音に反応した男性二人に発見され彼は急いで事務室から脱出する。そして、ひたすらがむしゃらに走って行くのであった。

 

「もしもし?真耶か!?」

 

『どうしたんですか?』

 

「緊急事態だ!織斑先生に『見られた』と話してくれ!多分見たのは最近来た男子の方だ!そう伝えてくれ!」

 

弘治は電話で真耶に口早に連絡すると返事を待たずに電話を切ったのであった。だが、追っている人物を見失てしまったが、彼は自身の()()を信じて追跡を続けたのであった。

 


 

「はぁ・・・はぁ・・・ここまで来ればさすがに・・・撒けた・・・かな?」

 

息をとぎれとぎれにしながら周りを確認するシャルル。彼は周りに追手がいないことを確認するとホッとため息を吐いていた。だが

 

「やっと追いついたか、てこずらせやがって・・・」

 

「!?」

 

彼の後ろには軽く息を上げていた弘治であった。彼は道中のほとんどを()()で進路を決めていたのであった。ただ彼の雰囲気は学園生徒がよく見る用務員の雰囲気ではなく凍てつくような雰囲気に変わっていたのだ。そして、殺気の籠った目を向けられながら弘治が口を開いたのだ。

 

「織斑先生らに連絡が行ってる。何故覗いたか、如何によっては相応の処罰が下るから覚悟しておけ」

 

そう言われ、シャルルは逃げても無駄だと判断しおとなしくACのある格納庫事務室まで歩くのであった。

 

格納庫まで歩いてる途中、千冬と合流し、事情を説明すると、

 

「なるほど大体は分かった。詳しいことはそちらの事務室で聞くとしよう。ただ、なんでこう・・・次から次へとトラブルが舞い込んでくるのか・・・ハァ・・・」

 

最後にこぼした千冬のその一言に弘治は目をそらしながら苦笑いをするので精いっぱいであった。

 


 

こうして格納庫事務室の長机で5名の面々の沈黙が続いていた。だがその沈黙を破る

 

≪ヴィー ヴィー≫

 

その沈黙を破ったのは誰かのケイタイの音であった。

 

「ああ、すいません。自分のでしたね。少し席を外します」

 

弘治は外に出て、ケイタイの受話器を開くと相手は「更識楯無」であった。

 

「もしもし?」

 

『あ、佐野さんですか?二つほど要件があったので連絡させていただくのですがそのうち一つが緊急の要件が口頭で話しますね。一つが明日の深夜、格納庫に各種弾薬を運搬するので受け入れ準備お願いします。でもう一つの要件が・・・』

 

「どうしたんですか?」

 

『シャルル・デュノア・・・いえ、シャルロット・デュノアの情報を伝達します。彼女はフランス政府の職員の独断によって男性として入学していることでそのことは親に一切知らされていないこと。ただこれは高度な政治的判断が必要な案件ですので、これ以上深追いすると貴方の身が危なくなりますよ?』

 

「それに関しては承知した。ただ、一つ思い出してほしい。俺は傭兵だ。その時の依頼主の意向によってそんなものは無為に帰すことも考えてくれ。また生徒会室にお邪魔しますね」

 

そういうと弘治は電話を切ると、少し考えると彼はそのまま格納庫事務室まで戻るのであった。

 

「もどりました。まだ・・・いるようですね」

 

彼が事務室に戻ると無言の冷たい空気が蔓延したままであった。デュノアは先ほどよりも縮こまっており、千冬はさらに顔を険しくしている。真耶とファットマンは困惑した表情で弘治を見るが、弘治は千冬ほどではないが顔を険しくしていた。

 

「コージー、さっきの電話は何だったんだ?」

 

「今からそれも含めて説明する。まずは、初めましてといった所かな?シャルロット・デュノア」

 

「「「「!!??」」」」

 

全員が驚愕の色に染まっていた。彼女、シャルロットに至っては驚きと恐怖の色に染まっているのが良く見えていた。

 

「俺はこの情報を使って脅すことはしない。そこは安心してくれ。そしてもう一つ、今まで男性としてこの学園に来ていたのはフランス政府職員の独断によって性別が書き換えられていたということだ。もちろんこのことは君の親は知らない」

 

全員この情報に開いた口が塞がらない状態ではあったが、フランス政府が一夏に接近させる理由は明白であった、それは欧州の中でIS開発技術に関しては一歩遅れている状態であったからで、世界で唯一の男性操縦者であり、専用機を持つ一夏の情報は是が非でも欲しいのは明白であった。

 

「デュノア、お前には3つの選択肢がある。1つはフランス本国に強制送還されること。2つは性別は偽ったまま3年間IS学園で過ごす。3つ目はかなり危険でコストがかかるが偽りの仮面を脱ぎ捨てることができる方法。どれを選ぶ?ただ私から言えることは今ここで一つ決めろ。決めたらもう後戻りはできないし、後悔することもできない。それでもいいなら今決めろ」

 

シャルロットは目をつぶって考えた。目をつぶったときにふと思った疑問が彼女の活力となったのだ。それは「何故IS学園に送られたのか、その真実を知りたい」ただそれだけである。しかし、彼女にとってはそれが一定期間にしか作用しない強烈な反応となって彼女を突き動かす動力になったのである。

 

「織斑先生・・・僕は・・・真実が知りたい。お父さんがここに僕を送った理由を。そのためならいばらの道だって怖くないはずなんです!」

 

その言葉に千冬は弘治とファットマンを見た。二人はそれに気づきくと即座に事務室からACとヘリの点検に入りだしたのである。驚いたシャルロットは千冬を見たが、彼女はおもむろに携帯を取り出してどこかに電話をかけ始めた。

 

「楯無か?織斑だ。少し頼みごとをしたい・・・ああ、たしかB747があったはずだよな?それを使ってACを往復でフランスまで送ってほしい頼めるか?・・・ああ、よろしく頼む」

 

「お、織斑先生?いったい何を・・・?」

 

「ああ、フランスまで遠いから貨物機を頼んだだけだが?」

 

さらっと貨物機を借りたなんて言えるのは世界広しと言えども織斑千冬くらいではないだろうか・・・

 

「あとは、デュノアの親に極秘にコンタクトを取って話をしなければならん。山田先生も手伝ってくれ」

 

「わ、わかりました。ですが織斑先生。こ・・・いえ、彼らは必要になるでしょうか?」

 

「いや必要になる。ちょっとした予感だがな・・・」

 

ついに万全に動かすことができるようになったACは極東を離れ、西欧フランスに向かう。彼らに待ち受けるのは何なのかはまだだれにも分からないが、これだけは言える。フランスに血と硝煙の臭いが沸き出てくることだろう。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

シャルロットが落ちるまではもうちょっと・・・くらいかな?ワカンネ

次回はフランスへ出発までを執筆していきますのでこうご期待!

次回「ゼロ時間へ」
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