今回はクラス代表決定戦ですがセシリア側がちょっと強化されてます。決してインテリオルのあんなものみたいな奴の動きはしません(多分)
では本編どうぞ~ノシ
彼らが機動テストを終わらせたその日の昼過ぎに第一アリーナは観客の熱気と歓声に包まれていた。その日は、織斑一夏とセシリア・オルコットのクラス代表を決定する戦いが行われようとしていたが、開始時間を過ぎたにもかかわらず試合は行われていなかった。
「なぁファットマン、試合時間を過ぎてるのに試合が始まらないって可笑しくないか?」
思わず弘治がファットマンに不機嫌を隠しながらそう告げるがファットマンは豪快に笑いながら弘治にこう告げた。
「ガハハハッ!コージー、俺らがいた戦場は時間を守れるほど崇高な場所ではなかったろ?不測の事態なんざ慣れっこだろ?」
ファットマンにそう言われ何とも言えない顔になる弘治。彼らはその日の仕事をきっちりと終わらせた後にACが格納されている格納庫にいた。ACの点検をするのも日課の一つでもあるが、いつもよりは念入りに点検をしていた。何故なら昨日の夜にかけて戦闘機動はあまりしていないとは言え、ACを動かしたわけであるために故障している箇所が無いか探していた。彼らがアリーナの中継映像を見ている時点でその点検作業は終わっていた。彼らがAC関連のことを話しているのは故障といった類が見つからなかったということだろう。
「・・・(あの機動を再現することは難しくは無いですが問題なのは自身の移動とビットの操作を並行して考える事ですわね。並行操作が自分の中で一番の難敵かもしれませんわね)」
セシリアはアリーナのピットでISを纏いながらそんなことを考えていた。すると、ISコアの意識であるマギーはセシリアに話しかけた。
「セシリア、大丈夫?今の私はあなたのパートナーでもあるんだから頼りなさい?」
マギーにそう言われセシリアは緊張がほぐされているような気分になった。たかが男性操縦者とは言え初心者であるという驕りは彼女の中には存在していなかった。敵が誰であれ、本気で戦う。それがセシリアがマギーに教えられたことであるからだ。
「それにしても織斑さんの準備が遅いですわね・・・もしかして、専用機の到着が遅れているのでしょうか・・・」
セシリアが一人こぼしたこの言葉は的を射ていた。織斑一夏に供与専用機は倉持研究所が作成することになっており、彼の準備が整っていないことはその専用機の納品が遅れていることを指していた。今までのセシリアだったら先にアリーナに出て不満を顔に出しながら待っていたであろうが、彼女は相手側の準備が整うまでピットに待機し続けていた。
ピットで待機していると相手側の準備が完了したとの連絡を受けて彼女はアリーナに出るためのカタパルトに乗った。姿勢を低くし
「セシリア・オルコット!ブルーティアーズ!行きますわ!」
その掛け声とともにカタパルトが急速に加速し射出される。彼女が姿勢を立て直すと目の前に純白のIS「白式」を纏った男性操縦者「織斑一夏」がいた。
「初心者といえどもこちらは本気で戦わせてもらいますわ」
「俺には支えてもらってる人がいるんだ!負けられないんだっ!」
一夏の放った言葉にセシリアは思わず笑みを浮かべていた。自分がやろうとしているのは憎まれ役であった。世界初の男性操縦者だからこそ、あの織斑千冬の弟だからこそ矢面に立たされることが多くなるはずだから、自分が憎まれ役になることで彼が一歩でも前に進めるようにしようと考えていたのだ。それはマギーも承知している。セシリアは最初から最後まで彼女にビットの操作を任せ、自身は彼との距離を取りつつ狙撃に専念するという作戦でいた。
『それでは、両者の準備が整ったところで・・・3ッ!2ッ!1ッ!試合開始ッ!!』
アナウンスの言葉で両者がはじかれるように動くがセシリアは一夏を狙撃しながら距離を取るが、一夏はまだ慣れていないのかぎこちない動きをしている。観客は男性操縦者がいるということだけで熱狂的な歓声を上げているが、それでも冷静に観察判断ができる人はいるだろう・・・たぶん。
「くっ!機体に引っ張られる!推力が訓練用の奴とは全然違い過ぎるだろ!?」
一夏は初めて乗った専用機に引っ張られているようだった。だが、順応は早かったみたいで試合が始まってから3分を過ぎた後からはぎこちない動きが多少は改善されたようだった。一方、セシリアは狙撃しつつ距離を取ることで自分に有利な展開を作り出していた。相手が初心者ゆえに予測がしづらかったが有利な展開を作り出したことによって少し安堵していたが、すぐに気を引き締めビットの展開をしようとしていた。
「さて・・・初心者相手にやり過ぎという言葉が出そうですが・・・手加減は致しませんわッ!行きなさい!ビット!!」
セシリアのISから4つのビットが射出され、白式に襲い掛かる。4つのビットはお互いの射線に入らないように気を付けつつ、白式の進行方向を防ぐような動きをしているために白式は徐々にアリーナの壁際に追い込まれていた。
「ビットを動かしながら自身の機体を動かしている?成長しているにしてはあまりにも早すぎる・・・」
管制室から見ていた千冬はそうこぼした。IS学園入学試験の実技にて見た動きと明らかに違っているのだ、試験の時は自身が動くときは片方だけ動きもう片方は静止すうといった動きだったのだが今では自身の動きとビットの両立ができているではないか。そんなセシリアの成長に千冬は笑みを隠さなかった。そんな中、面白くない顔をしている人物がいた。その名は「篠ノ之 箒」という少女で、あの天災「篠ノ之 束」の妹でもある。そんな彼女は一夏が劣勢になっているのを見て心配そうな顔をしているが、心の中では一夏はそんな逆境を超えられるとそんな根拠のない気持ちでいっぱいになりつつも試合の推移を見つめていた。
「なぁ、ファットマン、このビットの動き・・・」
「ああ、マギーの動きに酷似しすぎてるな・・・偶然にしては出来過ぎだ・・・」
「今から、織斑さんに言って面会できないか聞いてみる。が、面会するのは俺だけにさせてくれいきなり少女に対して大人2人で詰め寄るのは大人げないからな。なーに、なに言われても心の準備だけはしておくさ」
そんな会話しつつも彼らの心の中にはいまだにマギーを救えずに殺してしまったことを気にしていた。『好きに生き、好きなように死ぬ』という言葉があったとしても長年一緒に戦ってきた仲間を自らの手で殺してしまったのには変わりはない。そこだけはいくら戦いに没頭しても消えない傷となっているのであった。
「えーっと、これの使い方はこれであってたかな?おできたできた。もしもし?織斑さんですか?」
『今電話かけてくるとは何かあったか?』
電話をかけてきた弘治に対して警戒心をあらわにするが、そんなことは気にせずに弘治が要件を話し始める。
「明日辺りでも良いのですが、セシリア・オルコットと面会できませんか?理由を話すのは盗聴の危険性があるので試合が終わった後に面談室で話させてください」
『分かった。時間は空けておこう。ところで君から見た一夏の動きはどうだ?』
唐突にそんな質問をされ戸惑う弘治であったがすぐに落ち着いては感想を話し始めた。
「動きは機体に引っ張られているために判断は難しいですが、もう少し時間を見て判断しても?」
『フフッ、いや何あと少しで場が変わるからその時に判断してくれ。では切るぞ』
電話が切られると仕舞ってはすぐに中継画面を見る。そこには大きな煙と恐らくその原因を作ったであろうセシリア・オルコットが上空にいた。
「これでチェックメイトですわね。ですが織斑さんの機体は
セシリアが様子をうかがうためにうごかないでいる間に一夏は機体が光始めているのに気付いた。
「いてて・・・この劣勢をどう挽回すれば・・・ん?なんで白式が光ってるんだ?・・・ッ!眩しい!」
土煙からでもわかるほどの眩しい光が観客とセシリアに襲い掛かるが眩しい光は一瞬にして落ち着くと土煙から一機の純白のISが飛び出してくる。そう一夏が機体を一次移行させ復活したのだ。姿が変わったISを見て観客は驚きに包まれつつも会場の熱気はうなぎのぼりで上がってゆくのであった。
「やはり一次移行してしまいましたか・・・それでもッ!」
「くっ!もっと・・・もっと俺に力を貸せ!白式ぃッ!」
お互いが対等な戦いを繰り広げ始める。だがここで事態が動き始める。
≪ビットのエネルギーが限界よ!一旦格納するわ!≫
「ビットのエネルギーが・・・インターセプター!」
セシリアは近接戦も起こりうると判断し、短剣を取り出すと狙撃銃で牽制してはいるが一次移行した白式を追うことができておらず2人の距離は急激に接近しつつあった。それでもセシリアには秘策があった。接近しているところに、回避が不可能な距離まで接近したらミサイル型のビットを叩き込むという作戦であった。だが、バレてはいけないことを考えつつ、所謂引きうちを積極的に行うセシリアであった。
「こりゃあ驚いたな、坊主の動きがさっきとはまるで違うな」
ファットマンはそう告げた。だが動きが急激に変わったために驚きと動揺は隠せないでいた。それほどまでに変わり過ぎていたからだ。機動力が高すぎるせいなのかセシリアの機体は照準が間に合わず、距離を詰められている中弘治はあることに気づいた。
「もしかして白い方の武装ってあのブレードだけか?」
今まで触れていなかったが白式の武装はブレード一本しか無いのである。しかし、ブレード一本しかなくとも持ち前の機動力でセシリアに急接近し、ついにブレードのがに届く距離に届こうとしたときにセシリアの口角が上がったのを弘治とファットマンは見逃さなかった。
「かかりましたわね!ビットはもう一機ありましてよ!」
そう言いながら彼女はミサイル型のビットを白式に向け放ち、避けられなかった白式は爆発し地面に墜落するが、操縦者本人は気絶で済んでいるようだった。
ビーッ!
『勝者!ブルーティアーズ!』
試合終了のブザー音と共にセシリアが勝利したことを告げるアナウンスが会場に響き、観客の熱狂は一気に最高潮に達している中で、セシリアは自身の息が上がっていることに気づき深呼吸をした後ゆっくりと自分側のピットに戻るのであった。
「つ、疲れましたわ・・・まさかあそこまでできるとは思いもよりませんでした・・・」
ピットに降り立ったセシリアは開口一番にそう呟いた。
そんな彼女に近づく人物がいた。織斑千冬その人である。彼女のに気づいたセシリアは緊張した顔で出迎えた。
「お!織斑先生!?」
そんな彼女に千冬は言葉を発し始めた。
「ビットの操作と自身の移動が両立できていたのはとても良かったぞ。だが、近接武器を音声コールで呼んだことに関してはまだまだだな。今日はよく頑張った」
千冬からの遜色のない誉め言葉にセシリアは笑みがこぼれそうになるが次の言葉で彼女に緊張が走る。
「この後の夜に面談室に来てくれないか?会わせたい人物がいる」
「え?あ、織斑先生が言うなら行きますわ」
急に予定のことを聞かれ動揺するがすぐに答えるが、会う人が思い浮かばず困惑する。が、そんなことは気にせずに千冬はピットから出て行く。
残されたセシリアは夜に会う人が誰なのか思案で精いっぱいだった。
セシリアに落ちる日の光が差す。それはこれからの栄光になるか没落になるかはまだ誰も知らないことである。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想の方で登場してほしいキャラが来ましたので味方として登場できないかお話を練っております(笑)
この後セシリアが会う人物は一体誰なんでしょうね~(すっとぼけ)
一応聞きたいと思うのですが・・・「WR」の出番欲しい人いる?一応、出番の案はあるっちゃある・・・
と、とりあえず!次回は「邂逅そして発覚」です!