ライナー曇らせ?…いや、曇らせお兄さまだ!   作:栗鼠

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ゴッカム実写化だそうです。ジョジョ四部の映画でキャッキャウフフとした経験を活かして死にます。
来世は鶴見中尉の額当てになってガビガビになりたい。パオパオ。


地雷系ビジョ

 場所はシガンシナ区。

 

 イェーガー派とイェレナにより、全兵団がシガンシナ区へ招集されることになった。

 

 ピクシス司令はジークの脊髄液とイェーガー派に回った兵士に銃を向けられ、逆らっても無駄であると判断し、一切の抵抗を禁じた。

 

 兵士については腕に色違いの布を巻くことになった。区分は、イェーガー派が“白”、脊髄液を摂取した上で服従した者が“赤”、脊髄液を摂取した上でワインの事実を知ったばかりの者は“黒”────といった具合である。

 

 一方連れて来られたアルミンやブラウス家、ニコロも監禁されることになり、地下牢から脱出し逃亡していた戦士候補生二人は、また地下に幽閉されることになった。

 

 

 そしてアルミンたちの元へ、イェレナやオニャンコポンが現れる。

 

 その中にはハンジたちの居場所をイェーガー派に密告したニコロと同僚、「グリーズ」という男もいた。グリーズは膝を抱えて空腹に唸るサシャを見るなり、鼻で笑い、ニコロを嘲笑った。

 

 マーレ人のクセに、売女(ばいた)になんぞうつつを抜かされやがって──と。

 

 険悪なムードが辺りに漂う。尚もガメツイ女のどこがいいのか、などと語る男に、ニコロの顔が少しずつ赤くなっていった。

 そんな、震え、拳を握りしめ、今にも掴みかかろうとする男を止めたのはサシャだった。

 

 

「ニコロさん、その手は人を殴るためじゃなくて、美味しいものを作るためにあるんですよ」

 

 

 サシャは続けて牢の前に立っているイェレナに近づき、メシを催促する。一瞬、敵味方問わず「は?」という声が漏れた。

 

 レストランでの騒動から移動、そして地下に捕らわれるまでの間、長い時間パァン女ははメシにあり付けていない。

 それは仲間も皆同じだが、彼女の場合は死活問題になっている。レストランでごちそうの匂いを嗅ぐだけで終わってしまったため、殊更にである。

 

 檻をつかみよだれを垂らす女にイェレナは瞳を丸くし、わかりました、と返した。

 

 むしろ今の状況にアルミンたちをしていることを、申し訳ありません──とも告げる。

 

「どうかジークとエレンが接触するまで、もう暫しお待ちください」

 

 そう言い残し、踵を返すイェレナ。その後にダリーズと、ジャンたちを複雑な表情で見つめていたオニャンコポンも、少し遅れて続いた、その時。

 

 叛逆の指揮を執る女の耳に、微かな声が聞こえた。

 その内容は、前方にいた彼女にしか聞こえないほど小さなもの。

 

 

「まだ抱くんだったら、()()()ってうわさのアウラ・イェーガーのほ──」

 

 

 男の、ダリーズの言葉が、最後まで続くことはなかった。

 

 硝煙が辺りに漂い、狭い空間の中で反響した発砲音に子どもたちの悲鳴が上がった。幼い少年少女はサシャの両親に抱きつき、ギュウと目を瞑る。

 

 撃った犯人であるイェレナは、頭をぶちぬかれ倒れた男の死体を、無表情で見つめる。

 そして突然の事態に驚く面々に詫びた。

 

 まだサシャのことを貶すような発言を取ったため、私の堪忍袋の緒が切れました、と。

 

 

「このような状況ではありますが、私はあなたたちと四年間共に過ごしてきました。マーレ人であろうとエルディア人であろうと、そこに存在する溝が深いだけで、理解し合えることを知っています。また、分かち合う喜びも。それを侮辱するような発言を……どうしても許せませんでした。誠に申し訳ありません」

 

 唇を歪め、そう語ったイェレナ。

 

 本心からの言葉のように見えて、どこか違和感を一部の者は感じた。

 薄っぺらいピエロのメイクのような。うっかりその化粧を落としたら、鳥肌が立つようなチグハグさである。

 

「…すみません。本当なら簡易的ではありますが、軽食でも召し上がってもらいながらお話ししようと思ったのですが、私の方が気分を害してしまい………やはり今、お話しさせていただきます」

 

「……その話っていうのは、なんだい?」

 

「それは、ジ──」

 

「すらごとやろ!?わしんご飯!!!

(嘘でしょう!?私のご飯!!!)」

 

 一名メシの供給が絶たれ絶望する女は、ニコロに回収される。

 死体の方はオニャンコポンが険しい表情を浮かべながら、ズルズルと地上へ運んでいった。

 

 気を取り直しイェレナは、ジークの本当の計画────「安楽死計画」について、語り始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 また同時刻、戦士候補生が捕らえられている部屋にて。

 ガビとファルコの前に現れたのは、エレン・イェーガーだった。

 

 青年はレストランではじっくりと話す機会のなかったガビを見やり、目を細めた。途端に少女は肩を跳ねさせる。

 それは恐れ──から来るものではなく、罪悪感の延長線上による感情だ。

 

 エレンの姉がアウラだということは知っている。

 

 

 始祖を保有する人間=エレン・イェーガーであることは、これまで上層部のみが知るトップシークレットな情報であり、一介の戦士候補生であるガビが知り得る情報ではなかった。

 

 しかしヴィリー・タイバーがその名を明かしたことで、全世界にエレン・イェーガーの名が知れ渡ることになる。

 

 少女はアウラと接する上で、名前は知らなかったが、弟がいることは聞かされていた。

 可愛い弟で、ガビと似ているところがあり、そんな少女を構いたくなってしまうのだと。

 

 やさしい微笑みを浮かべ女が少女の頭を撫でる度、幾度「私にも姉がいたらなぁ」と、思い描いたことだろう。

 

 

 ただ「イェーガー」だけでは、本当に兄弟であるかどうかはわからない。

 

 しかし飛行船でアウラが別室へ移され、首謀者たる男の元──ジークのいる部屋へ案内された時、ガビははじめてエレン・イェーガーを見た。

 

 二人が兄弟ということが周囲の言葉によって知らされたのである。

 

 兄、妹、弟、並べてみると三者三様で、全く似ていない容姿。

 兄と弟の類似点は見受けられず、兄と妹も似ているとことが見つからない。だが妹と弟には似ているところがあった。髪の色だ。

 

 

 

「……私に、何の用」

 

 

 震えるガビを隠すように、ファルコが前に出る。ガビも気付かぬうちに縋るように、少年の服を掴んでいた。

 

 そんな二人にエレンは、協力を求めた。

 そこには省略されているが、「(敵を炙り出すために)協力しろ」という意味が込められている。青年は二人を囮に使う気である。

 

 エレンの意図を理解したファルコはどうするべきか、悩む。

 

 二人が戦士候補生だとしても、巨人化能力者の前ではその鍛え上げられた力も役に立たない。

 

 ただエレンの不可解な言葉の裏を読みとって導いた可能性────マーレ軍が来ているのだとしたら、このまま助けが来るまで待った方がいい。だが、エレンはそれを許さないだろう。

 

 となると、どうにか相手の一瞬の隙を突き、逃げるしかない。

 仲間の近くにまで来れば、助力をもらい逃げることも可能になるかもしれない。

 

 失敗した時のリスクは高いが、しかしそれ以外に方法は無さそうだった。

 

 

「ガビ・ブラウン、ライナーの従妹」

 

「ッ!」

 

 思考するファルコをよそに、エレンに声をかけられた少女はさらに少年の服を掴む力を強める。

 翡翠の瞳は、見ているだけでその奥へ誘うような、恐ろしさがあった。

 

「協力すれば、アウラ・イェーガーに会わせてやる」

 

「……アウラ、さんに…」

 

「姉さんは謝られたら、お前のこと許しちまうだろうな」

 

「そんな、わけない。だって私が……」

 

「許すさ。お前に撃たれたことはきっと、アウラ・イェーガーにとって()()()()()でしかない」

 

「……え?」

 

「もしかしたら、気にも留めてないかもしれねぇな」

 

「そんなはずない!撃った人間を許せるわけがないじゃないッ!!」

 

「許す、絶対に」

 

 

 ──────ガビ・ブラウンという存在は所詮、姉さんにとって()()()()()()()でしかない。

 

 

 さながら人間の下でせっせと食料を運んでいる、アリのように。

 目に留まることはあれど、そのちっぽけな存在がアウラの中で溜まる事はない。

 

「姉さんにとってはジーク・イェーガーがすべてで」

 

「ちが…」

 

 だって、女はいつも、ガビだけでなく他の戦士候補生たちにも優しく接していた。

 

 

「お前のことを何とも思っちゃいない」

 

「違う!」

 

 辛い訓練の中で励まし、応援の言葉をかけ、時には菓子を差し入れる女に、彼女たちは救われてきたのだ。だから。

 

 

「それが真実だ。俺のように」

 

「……え」

 

「「愛」されていない。愛していても、愛されない。虚しいな」

 

 

 レベリオ区を強襲し、多くの人間を殺した青年。

 

 その青年の表情は歪むでもなく、ただ凪いだ水面のように静けさをもって、ガビを見つめている。

 

 その感情はアウラを撃ち、悩み続けていた少女よりもよっぽど粘ついていて、底が見えない。

 足を取られたらそのまま溺死してしまいそうな闇が垣間見え、ガビは釘付けになってしまった。ファルコもまた呼吸をするのも忘れて、眉間に冷や汗を垂らす。

 

「……?」

 

 息をするのも憚れるような空気が場を支配した時、ふいにエレンは背後に人の気配を感じ、振り向く。

 

「ピークさん!!」

 

 ファルコが声を上げる。

 

 エレンの背後の扉から現れたのは、ピーク・フィンガーだった。

 彼女はナイフで扉の側に控えていた兵士の首を突き刺し、銃の照準をエレンに合わせる。

 

 突然のピークの登場にガビとファルコは安堵に包まれたが、まさかの事態が起きる。

 

 

 優位に立っていたはずのピークはエレンに撃つよう煽られた上、始祖を殺してはピークに責任がいく“軍機違反”の内容を述べられ、逆に脅される形になった。

 

 そしてエレン側に寝返ろうとする姿勢を見せた彼女に、ファルコたちは固まる。

 父を救うために、マーレ人を殺したい──と、ピークは語った。

 

「何、言ってるの?ピークさ…」

 

「………よく考えて、ガビ」

 

 四年の歳月を経て集結した戦争。その戦いで巨人の力が通用しなくなっていることは、マーレだけでなく他国も知る「事実」となった。

 

 兵器の発達はより進んでいく。さすればエルディア人の命が危うくなることは明白である。

 

 巨人になれるバケモノ。()()()()()()者たちを、黙って見ているはずがない。

 

 

 力を失くしたように下を向いてしまった少女。ガビに視線を合わせていたピークと、ファルコの視線が一瞬絡む。

 

「……?」

 

 その時、少年は何かピークに含むような意図があったのを見逃さなかった。

 

 何か────何かある。

 

 ピークはエレンから協力する証明を求められ、仲間の居場所を伝えることを告げた。すでに仲間はピーク以外にも潜んでいる──と。

 

 ずっとポケットに入れていた男の指先からは、血が一滴一滴、したたり落ちている。

 やはり何の準備も無しに行動しないのは、エレンも同じ。

 

「指すわ、仲間の居る場所を。…そうね、でも、どこから指した方が……」

 

「…だったら、屋上とかなら、見やすいんじゃないんですか?」

 

 ファルコはピークの言葉の後にそう続け、エレンは少年へ視線をやった後、同意した。

 

 

 

 それから場所を移動し始めた彼らは、今いる建物の屋上へと向かい始める。

 

 その道中。後ろから腕に白い腕章をつけた数名の兵士が続く中、階段を登っていたファルコは一瞬、()()姿()をとらえる。

 

 まるでファンサするアイドルのように兵士たちへ手を振るピーク。その笑顔に少ない数の男たちがざわざわとしながら、頬を染めた。

 

 彼女が手を上げた拍子に、つられて上がったガビの左手。少女は困惑の表情を浮かべる。対してガビの右手は、ファルコの左手と繋がっていた。

 

「……っ!」

 

 少年はピークが笑顔で視線を向けた方角に、アニがいるのを発見した。

 ものすごく嫌そうな顔で、「何やってんだアイツ」とでも言いたげな表情の女を。

 

 

 しかしアニ・レオンハートは憲兵に一度入っていた手前、その素性を知る者はいる。

 

 そのためか、もっさりとした黒髪のウィッグを付けていた。目元を隠すため前髪は長く、メガネも付けており、兵士の中に上手く紛れ込んでいる。胸元が服の上から強調されていないため、そこもサラシを巻くなりしているのだろう。

 

 前方を歩くピークの背中が、少年には大きく感じられた。頼りになる仲間である。

 

 一方、まったく気づかず暗い表情を浮かべるガビの手を握り、少年は「大丈夫だ」と小さく声をかけた。

 

 

「何があっても、俺がお前を絶対守るから」

 

 

 ガビは目頭が熱くなると同時に、妙な胸の高鳴りを覚えた。

 

 そして辿り着いた屋上で、ピークが味方の位置を指し示す。その場所──正確には下から建物を破壊しつつ現れたのは、女型の巨人。

 

 104期生に「安楽死計画」の全貌を話し、アルミンに感激の涙を受けた後屋上へ訪れていたイェレナたちも、突然の事態に動転する。

 

 女型がかろうじてエレンの捕食に失敗したが、戦いの場はそろった。

 

 吹き飛ばされた直後巨人化したエレンは、空から迫りくる物体に視線を向けた。

 

 

 泳ぐ飛行船。そしてその中にいる男、ナイスガイ・ブラウン。

 

 レベリオの雪辱を果たすべく今ここに、新たな火蓋が切られたのであった。




女型「オラ、オラオラオラオラァ!!!」
車力「ウラウラウラウラウラァァ!!!!」

ーーーー復讐を抱え戦う二人。その拳が、一人の青年にぶち当たる。


次回、ライナー死す!?デュエルスタンバイ!


ライナー「えっ?」
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