誰の…とは言いませんが、圧迫面接書いてたら一万字超えてた(白目)、そして投稿もちょい遅れました。
誤字報告いつも感謝です…!!
これからするのは、あくまで仮定の話だ。
仮にもし、未来も過去も見ることができる人間がいたとしよう。この際同時に過去に干渉できる能力も持つとする。その人間はある時点で未来で起こることを知り、自分や仲間、世界がどうなるかを知る。
これを「結末A」としよう。
「結末A」がその人間にとって、気に食わない未来であるなら、行動を変え「結末B」や「結末C」を作り出すことも可能だろう。
だが何度繰り返しても「結末A」以外にたどり着くことはない。その人間が未来や過去を覗き見る力を手にする以前から、力を手に入れた未来のその人間が、過去の自分を「結末A」にたどり着くよう操作しているからだ。
これは未来や過去を見る力を手に入れることも、操作された一つに入る。未来のその人間がこのような行動を起こすことには、理由がない。いや、理由がわからない──と表現した方が正しい。
抑止力のようなものが働いているのだろうか。「結末A」以外には至らせない何かが。そんな存在がいるなら、それこそ“
また疑問なのは、いつからこのループする世界ができたかについて。
その人間の未来の姿が、その人間の過去を操る。そしてその人間が成長し“未来の姿”になった時、また過去の自分を操作する。
果てが見えない。ニワトリが先か、タマゴが先か────。
ただ言えることは一つ。その世界線は、「結末A」を結果としてたどる道以外は存在しないということ。
「結果A」以降は、無数に人間の選択肢や行動によって結末が枝分かれするだろうが、「結末A」の範囲内の始めから終わりまでは、一貫して同じルートをたどる。
また「結果A」以前の世界も無数に分かれており、青いタヌキを連れてきて『結末Aの世界に連れて行ってくれ!』とお願いするならば、『ぼくにまかせてよ!』などと言い、簡単に連れて行ってくれるだろう。
しかし実際に「結末A」の世界を目指すのは難しいだろう。不可能と言ってもいいかもしれない。
木の幹からスタートして、その木の一本の枝の先を目指して進むようなものだ。もちろんどれが「結末A」の世界であるかのヒントはない。ひたすらにスタートをやり直して行かねばなるまい。
そして「結末A」以降の木の先から落ちたタネがまた、全く同じ構造の一本の木となって──と、果てしなく続く。
してここから、話を少し変える。
仮に「結末A」をたどり続ける世界に、唐突に異分子が現れたとしよう。その結果「結末A」にたどり着くのかわからなくなり、異分子が存在するがゆえの歪みも生じてしまった。本来の性質が変わってしまう、という歪み。
その人間はおろか、“神”でさえ
しかし望む結末にするためには、同じやり方をするしかない。神が操作し、そして神に操作されたその人間が、「結末A」を目指す。
ただしここに感情論を持ってくれば、さらに変化が起こる。その人間ではなく、神の感情を揺さぶる異分子の存在。異分子を
それでも神は「結末A」を最善の選択肢として世界を導く。
いや、神は自分が一番に望む「結末A」へと至るために選んでいるだけなので、導く、という言葉は適当ではなかろう。
神でさえわからくなった結末だ。これから起こることは、誰にもわからない。灯りこそ持っているが、出口のわからぬ洞窟を、手探りで探る状態へと変化したのである。
今後あるべき「結末A」のたどり方と多少異なる道へ進んだ時は、神の心情をわかりやすく噛み砕いて、それでいてRTA風にするなら、きっとこう言うだろう。その神は言葉を発することはできないのだが。
オリチャー発動!!──────と。
⚪︎⚪︎⚪︎
突如現れた超大型巨人によってシガンシナ区の門が壊され、同日ウォールマリアとシガンシナを繋ぐ内門もまた、鎧の巨人により破壊された。
これにて人類は、ウォールローゼまで後退せざるを得なくなったのである。
シガンシナ区を船で脱出しトロスト区へ向かっているエレンは、ミカサとアルミンと肩を寄せ合っていた。
アルミンは言葉を一切発さぬ二人に視線を向ける。
ミカサは目を見開き膝を抱えながらマフラーに顔を埋めており、エレンは今にも誰かを殺しそうな鋭い目つきで、船の床を眺めている。
時折聞こえる、ギリッという軋む歯の音。
母親のカルラや姉のアウラはどうしたのか、とアルミンは聞くことができずにいる。二人は彼とシガンシナ区の船で出会ってから、ずっと喋らない。
だがいるはずの母と姉がおらず、そして友人たちの表情から、何が起こったのかうっすらと察することができた。
「……して、やる…」
ポツリと、声が聞こえる。
ミカサとアルミンがその声に反応すると、エレンが立ち上がり川の先を見つめていた。
翡翠の瞳から覗くのは、憎悪に染まった人間の狂気。そして、溢れる涙。
「駆逐…して、やる。駆逐してやる、駆逐してやる……!!」
「え、エレン!?」
「……エレン、落ち着いて」
巨人を全てこの世から一匹残らず駆逐してやると、叫ぶエレン。
二人はそんな少年の腕を両サイドから掴み、一歩下がらせた。そのまま進み続ければ、船から落ちてしまう。
「オレが、弱いから。オレに、力がないから……」
母親が目の前で巨人に食われた。巨人の手で握りつぶされるカルラの身体、そして巨人の口の中に入り肉や骨が潰され、噛み砕かれる音。
その全てが鮮明に記憶に残っている。少年に力があれば救うことができた。姉に混じり、巨人を駆逐することができた。
だがどうだ。今の少年はただ巨人を憎悪して、憎み、弱い己に嘆くことしかできない。
「……エレン」
アルミンが、横から少年の瞳を見つめる。ミカサもまた、強く片方の腕を握っている。
母が、殺された。そして姉は巨人を駆逐するため、シガンシナ区に残った。あの時の姉は誰が見てもわかる、正気ではなかった。姉が少年に向けて微笑んだ姿が忘れられない。やさしく、笑って──ーその姿は夕日と青空を混ぜた色に照らされ、淡く映った。
カルラを救うことができなかった。ゆえに彼女は残ったのだ。代わりに他の命を一つでも多く救おうと、心臓を捧げて。
大怪我を負ってさえ戦い続ける様は勇敢だ。だが、アウラ・イェーガーの姿は異なった。もはや自分のことなど、どうでもいいように思えた。でなければハンネスに抱えられていく弟に、あんな安らかな表情を浮かべるわけがない。まるで今から死にに行くような顔で。
「エレン!!」
涙の止まらぬ少年に、ミカサが強く抱きしめる。そして、彼女もまた涙を溢しながら、呟く。
「お姉さんは、きっと大丈夫。大丈夫だから」
「……ふ……う、ぅ」
噛みしめた少年の唇の間から呼吸が漏れ出る。三人は今自分たちの命があることを確かめるように抱きしめ、お互いの熱を、そして心臓の音を感じあった。
⚪︎⚪︎⚪︎
時刻は超大型巨人により、シガンシナの門が破壊されてから暫く経った頃。
場所はとある洞窟だ。一部の者しか知らない、全体が結晶に包まれた奇妙なその場所。
そこにいたのは、白い装束を身にまとった数名の人間たち。対し彼らの反対にいるのは、眼鏡をかけた一人の中年の男。壁が壊されたことにより洞窟に集まっていた白装束の人間たちには、予期せぬ訪問者である。
男は「進撃の巨人」の継承者であった。
またこれには個人差があり、男は未だ次の継承者の視点では未来を見たことがない。あるのは、もっと別の視点から。
ゆえに男は「進撃の巨人」の能力を、次の継承者視点──という限定的なものではなく、漠然とした“未来を見る力”と考えていた。
彼に巨人の能力を託したのはクルーガーという男。その男が進撃の力について語っていた内容は、『何者にも従うことが無く、
クルーガーの発言からわかる通り、本来継承すればいずれ認識する「次の継承者の」の部分が説明されていない。つまりこれは「進撃の巨人」の能力が、実際のものと多かれ少なかれ変化しているということになる。
しかして男は導かれるように、ここまでたどり着いた。
壁の崩壊。そしてその日、以前突き止めた洞窟に、レイス家が集まっている未来と、その場にいる自分を見て。
「あなた方に、話がある」
男は白装束人間たち────「レイス家」と呼ばれる彼らに、戦うことを望んだ。壁が壊れてしまった今、偽りの王ではない、本来の王が戦わなくてはならない。「始祖の巨人」を有する、レイス家が。
だがレイス家には「不戦の契り」という、壁を築いた初代レイス王がユミル・フリッツと交わした契りが存在する。
初代レイス王が目的とした“平和”。その思想を、始祖の巨人を継承した王家の人間が受け継ぐ、というもの。
かつてエルディア人が行ってきた多くの虐殺。その禍根は現代にも根強く残っており、パラディ島を攻めんとする諸外国勢力は多くいる。しかしすぐに攻めることができないのは、初代が残した壁──それも巨人でできた──があるため。一度始祖が命令すれば、50mの壁の巨人たちは動き出し、世界を崩壊させる。
だがこれはあくまで保険。緩やかに壁内のエルディア人が衰退するために初代が残したものだ。仮にマーレの戦士のように外から攻めてくる存在がいれば、滅びを受け入れる。
斯様な思想が始祖を受け継いだ人間や、それを「是」とするレイス家の者にはある。
して、当代の始祖の巨人を持つ女性────フリーダ・レイスは、男の言葉を聞き、初めは困惑した表情をみせた。だがその思考が初代レイス王の影響により、一つの結論を見出す。
彼女は宝石のように吸い込まれるような美しい瞳を向け、男を強く睨む。
「我々は初代レイス王に従い、滅びを受け入れます」
「しかし、関係のない多くの民が犠牲になるのだぞ!!」
「ユミルの民が、裁きを受ける時がきたのです」
不戦の契りがある以上、この結果は男にはわかっていたことだった。未来でこのようなことになることまでは知らなかったが、予想はできる。
ならば方法は、一つしかない。奪うのだ。このまま放っておけば戦士たちが彼らにたどり着き、始祖を奪ってしまう。そしてマーレの手に渡れば、悲劇はパラディ島だけではない。その他の国へと伝播する。“戦争”という、最悪の形で。
しかし男は────グリシャ・イェーガーは、行動に移すことができない。自傷し、始祖を持つ目の前の女を殺す。それが、できない。
何故か?それは彼が、医者であるからだ。
「フリーダ!!その男を殺せ!我々のことを知られた以上、生かすことはできない!」
女の父親らしき男が、彼女に向かって叫ぶ。それに女の兄弟らしき子供たちも、「殺せ」と叫ぶ。
仮に初代レイス王の“平和”の思想があったとしても、それは始祖を持つフリーダのみ。他のレイス家の人間たちはどこまでも
彼女は家族の言葉に汗を流す。殺せ、殺せ、殺せ。
さながらカエルの大合唱だ。そんな家族から視線を逸らし男を見れば、力が抜けたように座り込み、下を向いている。
「……どう、すれば」
男を殺すことに、フリーダは躊躇いをみせる。確かに殺さなければ、レイス家の正体をバラされてしまう可能性がある。だからといって、人の命を奪う行為を軽率にできる人間ではない。縦えそれは初代レイス王の思想があろうともなかろうとも。
その時だ。
彼女と男のちょうど中央に、一人の人間が現れる。
ボロボロのキトンのような服を身にまとった、一人の少女。表情には感情のカケラ一つ見当たらない。その姿は透けており、フリーダの奥にいる男が見える。そしてグリシャもまた、そんな少女の姿が見えていた。
しかし突如現れた不思議な少女に、その他の人間が気づく様子はない。二人にしか少女の姿は見えていないようだ。
一歩、少女が歩を進める。それに肩にかかる長い金髪が揺れる。頭につけたバンダナが、結晶が煌めく光を受け、その白さをよく映えさせる。
一歩一歩と、少女が近づく先は男の元。フリーダはその少女を見たことがあった。
一面の砂と、光の柱が天上へと届き無数に分かれる「道」の世界。その場にいる、一人の少女。
「ユミル……」
ユミル・フリッツ。それが、少女の名。
エルディア人の始祖であり、悪魔と出会ったとされる女性である。
少女の瞳は影に覆われ、窺い知ることはできない。フリーダがユミルの近づく男の方へ視線を向ければ、男の顔は驚愕に染まっていた。そして彼が呟いた言葉に、フリーダもまた驚くことになる。
「アウ、ラ……?」
アウラ?違う、その少女の名前はユミルだ。「道」にいる人間など、彼女以外あり得ない。しかし男は「アウラ」と言う。
「どうしたんだ?何故ここに……それに髪の色が────いや、それよりどうして小さくなっているんだ…?」
グリシャは娘と異常なまでに似ているその少女を見つめる。娘の髪の色がダイナに似れば、少女とソックリだっただろう。
少女はそして、座り込んだ男の前へとたどり着く。呆然とする男に顔を近づけ、二人の額がぶつかった瞬間。走ったのは「バチッ」という電流のような音。
その後グリシャの顔は驚愕から、絶望へと変わる。
少女と額がぶつかった瞬間、彼の中で流れた映像。それは、恐らく巨人の視点のもの。ハァハァと、荒い息を上げどこかへ歩み寄る巨人。そして直後視界に映ったのは、地面に仰向けで転がっている娘の姿。
調査兵団の服はボロボロになり、特に左側が血まみれになっている。グリシャに似た髪の色は、血を染み込ませ異様な色へ変化していた。
巨人は、彼女へ近づいていく。その他にも周囲に何体も巨人がおり、娘へ群がっていく。
白銅色の瞳はぼんやりと空を映すのみだ。ケガにより動けないのだろう。逃げろと彼が叫べど、声が聞こえていない。
「あ、あぁ、やめっ」
先にたどり着いた巨人の一体が、娘の腕を掴む。そして他のもう一体が足を掴み、耳を塞ぎたくなる音を伴って、彼女の四肢を引きちぎった。もはや声にもすることができず、グリシャは口元を抑える。
息子エレンにレイス家が持っていた脊髄液入りの注射で巨人にさせ、「進撃の巨人」を託していた未来。
彼の残りの命が少ないゆえ、取った行動なのだろうとはわかっていた。ジークのように道を強いた自身。だが仮にその未来を見なくとも、彼はエレンに託しただろう。他に頼れる人間など、いない。
娘に継承させる方法もあったかもしれないが、それだけはできなかった。自分の目的のために進むアウラ・イェーガー。そんな彼女をこれ以上、苦しませたくなかったのだ。
「もう…やめッ、やめてくれ……!!!」
だからこそ自分の道を進むよう、娘を見送ったつもりであった。
だがその娘は今、巨人にその身体を食われている。
空に手を伸ばした娘の手が、食いちぎられる。悲鳴もあげずアウラはずっと、空を見上げ続けている。
ついで腹を食いちぎられ、赤い内臓が覗く。辺りは彼女の血で汚れ、飛沫が近くの建物まで汚していた。
「………やめて、くれ……」
グリシャの視点と繋がっている巨人が、娘へ近づき口を大きく開ける。
娘の、白銅色の瞳。やめてくれと、涙をこぼしながら男はうわごとのように呟いた。
────おにいさま。
最後に彼女が、そう口にしたのがわかった。巨人はその肢体をきれいに平らげるように、彼女が事切れても肉を貪り続ける。
生気を失ったグリシャに、少女は額を離す。その一連を見ていたフリーダは異様な光景を凝視し、他のレイス家の人間たちも訝しんだ表情を向けている。
「……何が、目的なんだ」
男は下を向き、ポツリと呟く。次の瞬間歯を噛みしめ、瞳孔が開いた目を少女に向ける。
「何が、目的なんだ……!!貴様がユミルなら、娘は、娘は………」
少女は、ユミル・フリッツは何も語らず、男の隣に移動する。そして男が握っていた自傷用のナイフに手を添えた。言葉には発していない。しかし少女の意図が、グリシャの脳内に流れ込む。
何を彼が、すべきなのか。
『父親以外、殺せ』
始祖を奪うのではない。始祖もろとも殺し、父親のみを生かす。
あぁ、と男は息を漏らす。
あぁ、娘は──アウラ・イェーガーは、ずっと始祖が仕向けていた道を歩まされているに過ぎなかったのだ。「寵愛」されているならば、あのような残酷な方法で殺されるわけがない。目的を持ったユミルに利用されただけの、人間だった。
愛しい彼の、娘だった。
「………」
笑い声さえ出ない。感情が欠如した──いや、精神が壊れた表情でグリシャはフリーダを見やり、持っていた刃物で自身の手を傷つけた。
知っていたはずだ、グリシャ・イェーガーは。この世界が、残酷だということを。
妹が殺され、その私怨が始まりとなって、エルディアの復権を望んだ彼。ジークに後悔しきれぬ生き方を強要し、娘もまた妹を失った恐怖のため家に囲い、家族に固執する歪な人格を形成させてしまった。
そして息子の告発。復権派の仲間が死に、妻のダイナは死んだ。一度は失ったと思っていた娘と共にクルーガーに託された意志を以って進め、カルラとエレンが家族となり、再び幸福を感じた。
だが彼が生きる支えとなっていた娘は死んだ。
それは単に、グリシャ・イェーガーがここまで
「ごめんな、アウラ…」
そして、巨人化したグリシャ・イェーガーはその日、父親以外のレイス家の人間を皆殺しにした。
その後彼らから奪った注射器を持ち、巨人の被害に遭ったシガンシナ区へと向かう途中。トロスト区へエレンが逃げていたことを知り、出会ったキース・シャーディスを無視し、人気のない場所へと息子を連れ込んだ。
息子から妻のカルラまでも死んでいたことも知った彼の精神は、この時完全に壊れてしまっていただろう。
ただそれでも進み続けるしかない。
彼は「進撃」しなければならなかった。
「
それが巨人化した息子に向けた、グリシャ・イェーガーの最期の言葉である。
【現在のイェーガー家】
エレン「駆逐してやる駆逐してやる駆逐してやる駆逐してやる駆逐してしてやる駆逐してやる駆逐してや」
グリシャ(精神崩壊)
主人公(反応がない ただの屍のようだ)
ジーク「俺は必ずやり遂げてみせるよ!クサヴァーさん!!」
結論=ジーク以外地獄……いやみんな地獄。