ライナー曇らせ?…いや、曇らせお兄さまだ!   作:栗鼠

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嘔吐と腹痛で休日死んで更新遅れました。病弱キャラじゃないんだけどな…('ω')
あと普通に女型辺りで話作りが「ゔぉぇっ」状態なので、結構投稿遅めになると思われます。またマルコくんのでSAN値削れた方多かったようなので……スマンネ。


スミス「異議あり!」

 私アウラ・イェーガー。

 

 戦士たちの仲間に上手くなれそうかと思いきや、過半数以上の拒否を食らい、虚しくも失敗した女である。

 

 

 アニちゃんが私の異質な人間性について、勘づいていたのは知っていた。

 

 しかしベルくんまで私をヤベェヤツ扱いするとは…正解ですね。彼の場合私の精神が壊れている、と思っていた様子。

 

 唯一お兄さまから私の話を聞いたというライナーくんだけは、私を最後までお兄さまと会わそうとしていた。

 

 強靭な身体にさらに装甲をつけたようなゴリラだと思っていましたが、イイ人だった。マルコくんの超絶かわいいシーンに、一番ダメージを負っていたのも彼。

 

 というか自分で殺そうとしておきながら「何でマルコが食われてんだ…?」と言っていたのが聞こえたんですが、重度の精神疾患かな?

 戦士が人が死ぬくらいで傷ついていたら、元も子もない。マルコくんが仲間だった分、仕方ないのかもしれませんが。

 

 まぁそれ以上に表情が愛らしくて、胸がドキドキしてしまったんですがね。これが恋…?(ニヤァ…)

 

 

 お兄さまだったら、きっと冷酷に切り捨てられますよ。何てったって()()()ですからね、戦士長。戦士を束ねるリーダーが情に流されるとは思わない。だからこそトップに選ばれている。

 

 ということは、ということはですよ?アウラちゃんが、お兄さまの心に刻まれている「私」()が敵として現れても、お兄さまは必ず殺してくださるということに他なりませんよね?

 

 最高じゃないですか。お兄さまの前に立ちはだかって、殺されて、妹を殺すお兄さまのお顔を眺めながら死ねるなんて。きっと人生で最大の幸福を味わえるに違いない。

 

 ですから戦士たちにフラれてしまった現状、明確な敵対行動は取らず、なるべく彼らが壁内に留まるよう時間稼ぎをしたい。

 

 さすればお兄さまは焦れたマーレ政府によって、他の戦士と共に送り込まれる可能性が高まる。

 

 マーレ政府が全ての戦士を派遣しなかったのは、他にも諸外国との戦争に巨人の力を利用するためでしょう。

 

 

 

「ふへへ」

 

 

 

 思い出すのは、絶頂した顔を罪悪感を堪えるような表情に変え、後ろを向いた時に見えた戦士たちの表情と。

 

 マルコくんの()しい最期。

 

 そして私がお兄さまを愛しているように、お兄さまも私を想ってくれている。「オレ()おま同じ」である事実。

 

 

 団長がエルヴィン・スミスに変わってから味気がなくなり、私の感情を発露させる機会があまりなかった。

 しかし今日は、ここ数年で最高の一日となった。

 

 その後も呆然と佇んでいた戦士と別れてから巨人を狩る作業に戻っていますが、いつも以上に身体が軽い。既に結構な数を倒しましたがまだまだ行けそうです。

 

 エレンくんも壁の穴を石で埋める♂任務を無事終えた。あとはこのまま帰還命令が出されるまで、狩り続けるだけ。

 

 この後巨人化したエレンくんを巡る一悶着が起こりそうですが、とりあえず今は最高の絶頂の余韻に浸り、私自身の()を謳歌することにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 ◻︎◻︎◻︎

 

 

 リヴァイ兵長を筆頭とした精鋭部隊の後、他の調査兵団も合流しみんなで仲良く巨人を駆逐して丸一日。

 

 やはり普段から巨人と戦っている調査兵団と、駐屯兵団の戦力は大きく違いますね。巨人の多くを討伐したのは駐屯兵団より圧倒的に数の少ない我々。仕方ないとは思いますが。

 

 またその間二体の巨人の捕獲に成功した調査兵団。4m級と7m級にアヘっていたメガネの女性がいたんですが、彼女正気なんですかね…?(すっとぼけ)

 

 

『トロスト区奪還作戦』と呼ばれた本作戦において、犠牲となった人命は207名に及び、負傷者だけでも897名と、壁内の人類が巨人に勝ったものの決して諸手を上げて喜べる勝利ではなかった。

 

 周囲がお通夜ムードの中私はというと、巨人掃討後の遺体の回収作業があるというので、そちらへ向かおうとしていた。

 

 作業は駐屯兵団や訓練兵団の人間たちが主に行うそう。しかし私も力になりたい、と偽善者ヅラ満載で行く気満々である。

 

 だって駐屯兵はともかく訓練兵たちがいるんですよ?そんな彼らが人間団子の巨人の嘔吐物や食いかけの死体を見たら、曇ってしまうに決まっています。

 ですから私がそんな彼らを慰めながらニチャニチャするためにも、行く必要があるんですね(頑なな意志)

 

 これは現在捕縛されている弟の身柄よりも優先すべきこと。

 どうせ私一人が動いたところで、弟は救えませんし。

 

 調査兵団の仕事はないのか?と思われそうですが、丸一日巨人を狩り続けて疲労しているので、しばらく休みをいただいているゆえ無問題(モーマンタイ)。アウラちゃんに不足はない。

 

 

 というか弟は超大型巨人が現れた後、トロスト区攻防戦において一度足を巨人に食われた。その後アルミン・アルレルトを助けようとし、巨人の腹の中へ。

 

 死んだと思われたが巨人化し、復活したらしい。エレンはそのことを覚えていないようだが、弟が巨人のうなじの部分から出て来たことなどから、そのような憶測がなされた。

 

 巨人化能力者の回復能力は私も知っている。お父さま情報と、幼少期父が怪我をした時、そのキズが蒸気を発しながら回復しているのを見ましたから。傷についてはある程度本人の意思で回復を留めることもできる。

 

 となると、エレンくんが数年間ずっと巨人化しなかった理由が気になる。巨人化するには何らかのきっかけが必要なのか、はたまた自分が「巨人化能力者」であるという意識がなければ使えないのか。

 

 訓練兵時代ならケガもするでしょうし、異常治癒も恐らくは起こっていなかったはずだ。戦士三人が今まで気づかなかったのだから殊更。

 

 疑問点は多いですが、それこそ巨人化は個人によりけりなのかもしれない。

 “巨人”自体未だ謎が多い。あまり考え過ぎても仕方がないでしょう。

 

 

 

 

 

「アウラ副分隊長!エルヴィン団長が至急会議室まで来て欲しいとのことです!」

 

 

 アッ、タイミング悪く捕まってしまいました。

 

 そのまま連れられて来ましたが、狭めの会議室の正面の机に団長が座っています。ヤヴァイ兵長は…いませんね。一人だけのようです。

 

 用件はもちろん弟のことである。

 

 エルヴィン団長曰く、直に憲兵団と調査兵団がエレン・イェーガーの身柄を巡って、兵法会議が行われるとのこと。

 

 決定権を持つのは三つの兵団のトップに立つダリス・ザックレー総統。いち調査兵のアウラちゃんじゃ滅多にお目にかかれないお方です。

 

 憲兵は今のところエレンくんを解剖(らめぇ♡)して、処分したいらしい。人の弟のことをどういう風に思ってるんですかね?エレンくんを捌いたのなら、憲兵共の身体にも同じ赤い内臓が詰まっていることを教えてやらなければいけません。当然だよなぁ?

 

「そう気を立てないでくれ、アウラくん」

 

「…申し訳ありません」

 

 私はお兄さま一筋ですが、半分血の繋がっている弟のことも大切に思っています。

 

 エレンくんはお父さま以上に感情の起伏が大きく、翡翠の大きな瞳を見開き絶望を見せた時なんか、とても輝いて見える。

 

 団長は私にも兵法会議に出て欲しいと頼んだ。というか親族なので必ず出されるから、先に手をつけておきたかったご様子。

 

 他にも現場に居合わせたミカサちゃんや、アルミンくんも出席するらしい。

 

 

 団長の考えではエレンくんはトロスト区奪還の際、巨石を動かすため巨人化した直後制御不能となり、ミカサ・アッカーマンを攻撃対象にした。

 

 その後は意識を取り戻し、つつがなく任務を遂行。

 

 だが一度制御不能となり、任務の中止も出た場面。時間のロスは、エレンから巨人を遠ざけようとした多くの兵の命を奪った。仮に最初から弟が巨人化を操ることができていれば、死者も貴重な戦力も失うことはなかった。

 

 この点を憲兵団は、エレン・イェーガーが本当に人類の希望となるのか、信用できないと会議において話す可能性があると。

 

 

 また、弟が過去にミカサちゃんと共に強盗誘拐犯三人を殺したことも、人間性の是非を問う材料にされるとのこと。

 

 思った以上に不利な状況。

 しかし団長にはリヴァイ兵長を使った作戦があるようなので、一先ずそれに託すことにします。

 

 仮に弟が憲兵行きになったらその前に戦士が動くと思うので、憲兵団か調査兵団行きか、二つの可能性を考慮しなくては。

 

 まぁエルヴィン・スミスという男は、こういった博打にことごとく勝利してきた“()()”がある。ほぼ間違いなく憲兵からエレンを奪い取るでしょう。

 

 ただし弟をゲットできても、その後、本当に彼が人類に有用かどうか示さなければならない。

 一難さってまた一難。

 結果を残せるかどうか否かで、調査兵団の存続の明暗も分かれる。

 

「君はエレン・イェーガーの人間性を審議する際、家族として証言を求められるだろう」

 

「…わたしは弟が“人”であることを、語ればいいのですね」

 

「あぁ、普通に思い出話をするだけで十分だ。君たち姉弟の過去の出来事は、他人が知ることではない。ただ他者の記憶を否定することは、実際に君たちが紡いできた「人」としての姿を否定することに他ならない。それはつまり、指摘する側の人間たちの作り上げてきた家族や友人たちとの繋がりを否定することと、どう違う?」

 

 

 ()()()()だ。

 

 

 もし否定されたのなら私は憲兵が、彼ら自身のつながりを否定することを無意識に肯定しているのだ───と、言えばいい。

 

 一瞬聞いただけでは頭がこんがりそうなことを、淡々と提案する団長の脳みそはどうなっているのか。

 

「家族が危機にある立場の君が冷静に答えれば、却って感情を露骨に出す憲兵の姿は総統の目につくだろう。思うところは多いと思う。しかしだからこそ、落ち着きを見せてくれ」

 

「……はい。団長のお考えなら、まず泥舟ではないでしょうから。毅然と行きますよ」

 

「泥舟か…いつそうなってもおかしくなさそうだ」

 

 

 一応気になっていた、私に対する憲兵や駐屯兵団の反応も伺った。

 

 やはり弟が巨人化したため、私を知る者は姉も巨人になれるのでは?と、話が出ているらしい。過激なところでは、エレンと同じ地下牢に幽閉しておくべき、などの厳しい声も上がっている。

 

 しかし現状私が自由の身なのは、長らく調査兵団として心臓を捧げてきたがゆえ。

 

 多くの巨人を倒し人類に貢献してきた。その功績も含め、()()様子見中なのだと。

 

 

 ただエレンが憲兵に渡った場合、私の身柄も拘束される可能性が出てくる。

 

 そうなったら戦士たちと一緒に、弟を連れて逃げるコースしか無くなりそうですね。全力でエレンくんを弁護しなきゃ(使命感)

 誰ですか、先まで呑気に死体を回収するみんなのお顔を拝んでやろうとか言っていたヤツ?──私ですね。もうちょっと死ぬことへの危機感を持たないとダメだな。

 

「安心してくれ、調()()()()()君と共に戦い、語らい、人類の希望のため進み続けてきた同士だ。疑いを持つ者はいない。100%とは言い切れないが」

 

「それで構いませんよ、人とは疑う生き物でしょう。わたしも何故弟が巨人になったのかわりませんが、誰よりも彼が人間だと信じています」

 

「エレン・イェーガーも、君のような姉がいるなら心強いだろうな」

 

「……えへ」

 

「はは……しかしやはり君も、エレンが巨人化した理由はわからないか」

 

 団長は超大型や鎧の巨人も、エレンの能力と似たものではないかと推測しているようだ。

 つまり人が操作し、動く巨人。

 

「ここに来る前、私は憲兵団からの許可が下りたためエレン・イェーガーと話をした。もちろん見張りの憲兵は一旦下がらせての話し合いだったが……その時少し、気になった部分があってね」

 

「気になった部分…ですか?」

 

「あぁ、本当ならこの場にリヴァイ兵士長を同伴させたのだが、個人の話が絡みそうで今日は下がらせた」

 

 

 エルヴィン団長の目つきが、変わった。

 

 鋭かった青い瞳の上から、引き込まれるような爛々とした────ギラギラした色が出てくる。キレイだ。青い瞳、お兄さまと同じ色。

 

「……すまない、もう少し下がってくれ」

 

 気付けば私は、机に前のめりにして座る団長に近づいていた。いけません、アバズレアウラちゃんになってしまいました。これはお兄さまにお仕置きしてもらうしかないですね。肝心のお兄さまどこですか?

 

 

「エレンは駐屯兵団の者に、「地下室に鍵がある」と言っていたらしい」

 

 

 その鍵はウォールマリアが陥落し、トロスト区の避難所に弟たちが逃げた後。

 エレンが一眠りし、目を覚ませばいつの間にか持っていたものらしい。

 弟は父親とその間会った記憶はない。しかし一度彼の元に父親が訪れていたのではないか?と、団長は考えている。

 

 その際鍵の受け渡しがあったのなら、私が知らない間の出来事となる。

 

 

 私がユミルちゃんに見せてもらったのは、お父さまがレイス家と話し、殺す映像。

 

 そして場面は一転し、次に見えたのがエレンくんにお注射するお父さまだった。「進め」と息子に行ったお父さま。……落ち着いてください。今は当時のお父さまを思い出して、絶頂する状況ではありません。スミスがビビっちゃうだろ。

 

 思い返せば、お父さまにお注射されていた時のエレンくんの首元に、ヒモに繋がれた鍵があったような気がする。

 記憶が曖昧で申し訳ない。あの時の私の全ては、お父さまに注がれていましたから。

 

 

 お父さまがエレンくんに鍵を渡すシーンを、ユミルちゃんが私に見せなかったのは意図的なのかわからない。

 

 ただお父さまのご様子を見せていただきながら、彼女に文句を言うのはお門違いです。全ては私のせいだ、私が鍵を付けていた弟の変化に気づかないのが悪いんだ……。

 

 エレンくんも何度か会う機会があったのだから、お姉ちゃんに「お父さんにカギもらったの!」って教えてくれればよかったのに。反抗期かな?

 

 単純に伝え忘れ説と、伝える余裕がなかった説(何せ姉が久しぶりに会いにくるのですから)、伝える時間がなかった説の…全てが有効ですね。

 

「恐らくその地下室に人類の謎が隠されている。無論エレン・イェーガーが巨人化した謎含めてだ」

 

「人類の…謎」

 

「アウラ・イェーガー」

 

 

 

 ──────君は本当に父親から何も、聞いていないのかね?

 

 

 

 団長が立ち上がり、机に手をついて身体を前に傾けた。私も注意されて一歩下がっただけなので、距離が近い。

 

 青い瞳が、青い瞳。私をじっととらえて、キレイ。呼吸が変になってくる。何これ何これ?

 

 金髪もだめだ。光に当たってキラキラ輝いている。かっこいい、すき。お兄さま?お兄さまお兄さま、お兄さまだ、お兄さまがいらっしゃる、お兄さまが目の前にいるの?え、あ、うそ、どうしよ。

 

 

「違ッ…!だん、ちょ」

 

「君の過去が気に掛かり調べたが、訓練兵団に入る前精神疾患を理由に入院している。そのことについては知っていた。キース団長…いや、キース教官から個人的に伝えられた話だったからね。ゆえに精神に()があると、私は君のことを認識していた。無論あの人は大っぴらにしていなかったが、君のことを裏で気にかけていたことも知っている。幼い頃から君のことを知っていたそうだね。まぁこれが、話の本題ではない」

 

「……あ……ぁ」

 

「入院理由は確か、自宅で過去の記憶(トラウマ)を思い出したことが原因だった。四肢を拘束せねば自死行為に走る。食事も食べられなかったそうだね。それほど衰弱していた」

 

 手を握られた、どうしよ、お兄さまに手を握られちゃった、大きくてあったかくて、ゴツゴツしてる。私の手を簡単に包める、あっ(脳死)……………いっぱいしゅき。

 

 

「大事なのは、君が()()()()父親と話していた後、事が起こったということだ。エレンと地下牢で会い姉について聞いた際、彼が思い出した。弟が足を踏み入れることのできなかった場所に、君はいたのだ。本当に父親から聞いたのは、君の過去の出来事についてだったのか?以前行方不明になったイェーガー医師の件を君に話した時、反応が薄かったのも気にかかる。過去──即ち母親の件を聞き発狂していた幼き頃の君。本当に聞いたのは母親についてなのか?頼む、()に教え────」

 

 

 もう色々頭が限界だった。わかってる。お兄さまじゃないのはわかってる。でもお兄さまにしか見えない。お兄さまにしか感じられない。お兄さまがいないなんてそんなの嘘で、今目の前にお兄さまがいるのが本当なんだ。

 

 頭がショートし、涙腺が壊れる。「うぅー……」とガキみたいに泣き始めた私に、お兄さまも正気に戻ったようだった。

 

「…………あっ、いや、すまなッ…!」

 

 あたふたしているお兄さま。結婚しよ。

 

 

 その後、お兄さまはタイミングよく入ってきた兵長に、腹パンを食らって倒れた。

 

 兵長はどうやら妙な胸騒ぎがし、お兄さまが私と二人だけというのを、ここに連れてきた兵士を絞めて聞き出したらしい。お兄さまセコムか貴様。

 

 地面に座り込み、ガチ泣きしている女性とその側で本気で焦っている男、事案ですね。しかも密室で二人きり、いったいナニが起こったんですかねぇ…何も起こってないんですけど。

 

「オイ、大丈夫か。エルヴィンに何をされた。どうにも嘘泣きじゃねェみてぇだし…」

 

「ゲホッ………容赦がないな、リヴァイ」

 

「お前は黙ってろ、何があったかで今後お前への見方が変わるからな」

 

 ハンジ(クソ眼鏡)と同じ「変態」の称号が団長に付くとかなんとか。

 

 ──えっ、エルヴィン団長?いや、私が話してたのはお兄さまで……あれ、違いますね?お兄さまは?お兄さま、お兄さま?お兄さまどこですか。

 

「………ゔぅ、う゛……」

 

「………本当にすまない、過去のことを思い出させたようなら悪かった」

 

「過去のこと?オレを追い出してこの女と話していた内容か?後で洗いざらい吐けよ」

 

「……こういう時、どうすればいいんだ、リヴァイ」

 

「…クソ眼鏡でも呼んでくるか?」

 

 泣いてる美女を慰める方法を知らないんでしょうか、この二人。童貞かよ、しっかりしてくれよ。実質調査兵団のツートップと言っていいヤツらだろ。

 

 

 

「ここにいるって兵士に聞いたよ!エルヴィン!!ちょっといいかい捕まえた二体の巨人のことで………………え?」

 

 

 大量の資料を抱えて、ノックもなしに部屋に入ってきたのはハンジ・ゾエ。

 あ、眼鏡が曇って目が見えなくなりましたね。

 気のせいでしょうか、部屋の温度もグッと下がりました。

 

「………二人とも、何を…いや、ナニをしていたんだい……?その子は私の大切な友人なんだが…」

 

「これは少し──「エルヴィンが悪い」…………」

 

 電光石火の速さで団長を指差した兵長。

 この中で一番怒ったら誰が怖いか、男二人はハッキリ知ってんだね。

 

「……そうか、わかったよエルヴィン。捕獲した巨人について話したかったのだけれど、予定を変更して彼女に何をしようとしていたのか、一から全て話してくれよ」

 

「いや、ハン」

 

「いいね?」

 

「………了解した」

 

 未だ床に座り込みガチ泣きしている私の腕を引っ張って、兵長がソファーに座らせてくれます。アウラちゃんの兵長への好感度が、妙に上がっているのは気のせいじゃないですね。

 

 これが世間で言うギャップ萌えなのか。絶対に捨て犬を見たら傘をその犬のために置いて、ずぶ濡れのまま帰っちゃうタイプだよ。

 要はイケメンか?ついでにハンカチも貸してくれた。驚異的に真っ白なんだが。

 

 それから私から一人分離れた場所に兵長が座り、前方ではハンジ分隊長の拷……尋問が始まった。

 

 

 不意に空を見たら、青かった。とても、キレイだ。




【主人公のタイプが金髪青眼と知った人たちの反応】

・ユミル
「は、クリスタじゃん(ブチ切れ)?アイツは私と結婚すんだよ」

・兵士ナー
金髪以降から話が聞こえていない。ついでに以前駐屯地で目が合ったと思っている。ただし彼女が見ていたのはエレン。
「やっぱり俺に気があるのか…」

・アニ
(過呼吸)

・ベルトット
「ア……アニ大丈夫かい!!?」

・兵士長(30代)
「オイオイオイオイ………よく考えろ、アイツは中年のオッサンだぞ…」

・アルミン
「えっ……僕じゃあお姉さんの好みにドストライクな感じ……!?」
ただしアニや団長と違って、恐らく勘違いされることはない人物。

・???
(砂いじりしながら、少し頬を膨らませている模様)

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